
1on1ミーティング導入で注意すべきポイント
ここまででご紹介した企業事例を踏まえ、導入が成功するためのポイントや失敗しないよう注意すべきポイントをそれぞれ解説します。
これらを事前に把握しておけば、より効果的で円滑な運営につなげることができますよ。
ポイント①:目的を明確にし、社員の理解を得る
1on1ミーティングを導入する際には、賛否両論さまざまな意見が挙がるでしょう。全社員が最初から肯定的に受け止めてくれるとは限りません。
特に、多くの部下を抱える上司にとっては、自身の業務時間の多くを1on1に割くことになります。「なぜ1on1ミーティングをやるのか」という目的に納得できなければ、せっかく導入しても早々に形骸化してしまうかもしれません。
よって、導入時には必ずその目的や意義を明確にし、社内に浸透させることが必要です。
また、これと同時に1on1をどのようにして行えば良いのか、最低限のレクチャーも行いましょう。現場に丸投げになってしまうと、やり方がよく分からないまま時間を無駄にしてしまい、期待する効果が得られない可能性があります。
ポイント②:いきなり全社導入しない
1on1ミーティングは一度導入すると継続的に実施する必要が生じるため、やってみたけど上手くいかなかったからといって運用を止めることは難しくなります。
そこで、組織が大きい場合や、運用に自信がない際は、特定の部署に限定して試験的に導入してみると良いでしょう。試験運用してみて気づいた点を改善し、軌道に乗ったタイミングで全社的に導入する方法もあります。
段階的に導入することによって、後から始める部署は先行事例を参考にできるというメリットもあります。運用のイメージが得られるため、効率よく全社展開していけるでしょう。
もちろん、全ての会社が必ず試験運用を行なっているわけではありませんが、必要に応じて実施してみてはいかがでしょうか。
ポイント③:時間配分や話すテーマを決めておく
特に1on1ミーティングを導入し始めたばかりで慣れていないうちは、上司も部下も「何を話したら良いのか分からない」という悩みがつきもの。
せっかくの1on1も会話が弾まなければ時間が無駄になってしまいますし、会話が弾んだとしても雑談に終始してしまい、本来話すべき内容に到達できないということもあるでしょう。
こうしたケースでは、事前に時間配分や話すテーマなどを決めておくのがオススメ。準備をして1on1に挑めるため、「何を話したら良いか分からない」という事態を避けることができます。
また、社員の負荷をなるべく軽減したいという場合には、予め全社共通のガイドラインを作成し、時間配分やテーマを指定しておくのもオススメです。
ポイント④:最初から完璧を求めない
現在1on1ミーティングを成功させている会社も、最初から完璧な運用ができていたわけではありません。
目的や意義を理解してもらうことに苦戦したり、実施してみたら社員満足度が低かったりと、いろいろな課題に直面しながらも、一つ一つ改善を繰り返しています。
そもそも、1on1ミーティングに限らず、新しい人事制度を導入するに当たっては、社員の受け止め方はさまざまです。不満やクレームが人事宛に寄せられることも珍しくありません。
だからこそ、最初から完璧を目指すのではなく、定期的にサーベイなどを実施しながら社員の意見を反映していくことが大切です。
また、他社で上手く行っている事例が必ず自社でも成功するとは限らないので、独自にPDCAを回しながら、自社に適応するスタイルを見つけましょう。
ポイント⑤:前回話した内容を忘れないための仕組みを作る
1on1ミーティングでは、上司と部下の信頼関係の構築が非常に重要になってきます。
そのため、部下が前回話した内容を上司が覚えていないという事態は可能な限り避けたいところ。
とは言え、上司が複数の部下を抱えていたり、1on1ミーティングの実施頻度が低かったりする場合は、全員が話した内容を覚えていられないということもあるかもしれません。
そうならないために、1on1ミーティングを行う際は、専用のミーティングシート(フォーマット)を使用し、終了後は上司が管理を行うといった仕組みを作ると良いでしょう。
↓↓詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください
【テンプレート紹介あり】1on1ミーティングシートで1on1の効果を最大化する!質問項目、話す内容を詳しく解説
前回の話を踏まえた内容で議論ができれば、限られたミーティングの時間を有効に活用することができるという運営上のメリットもあります。
1on1ミーティングの課題
全国の上場企業に勤務する20代〜60代の管理職325人と、一般社員324人を対象に行われた「1on1ミーティングに関する実態調査」(※)によると、1on1ミーティングに期待する要素全てにおいて、上司より部下の期待値が低いことが分かりました。
当調査で明らかになった課題として、以下の3点が挙げられます。
①部下の1on1の優先度が低い
→「1on1ミーティングの優先度が高い」と回答したのは、管理職が65%だった一方で、一般社員が46.9%に留まった。
②部下の1on1の期待値が低い
→1on1の目的として考えられる要素を12項目に分割して数値化したところ、全ての項目において、上司よりも部下の方が期待値が低かった。
③部下の1on1への満足度が期待値を下回っている
→1on1に対して「満たされていること」と「期待していること」を比較すると、上司・部下ともにほぼ全ての項目で「満たされていること」が「期待していること」を下回った。
以上の3点を踏まえると、1on1ミーティングの満足度を向上させるためには、部下が期待する項目を重視した対話が必要であることが分かります。
具体的には、部下の期待値が高い「自分自身の挑戦・キャリア」についての話題に積極的に触れ、上司が部下の成長を支援するアプローチが求められているのです。
出典:「1on1に期待する要素全てにおいて 上司より部下の期待値が低いことが発覚 ~1on1充実の鍵は“部下の成長支援”~」
1人ひとりの貢献を見える化→1on1の対話の質向上! ピアボーナスⓇ「Unipos(ユニポス)」とは?
まとめ
上司と部下の定期的なコミュニケーションを通じて、さまざまな効果が期待できる1on1ミーティング。
今回は、先進企業の事例などを参考にしながら、成功するためのポイントや失敗しないための注意点、現状の課題などをご紹介しました。
ここまでの内容をおさらいしましょう。
・1on1ミーティングとは、部下の育成やモチベーション・エンゲージメントの向上を目的とした面談のこと。人事評価には関係しないなどの特徴がある。
・1on1ミーティングを成功させている企業は、面談後のフィードバックやサーベイなどを実施し、PDCAを回している共通点がある。
・導入時には、目的や意義を明確にすること、段階的に導入してみることなどがポイントであり、最初から完璧を目指すことなく改善を重ねていくと良い。
・1on1ミーティングの課題としては、部下の期待値を満たせていないことが挙げられ、上司は部下の育成を視野に入れたアプローチが求められている。
いかがでしたか?
1on1ミーティングを成功させるためのポイントについて、理解は深まりましたでしょうか。今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ社員満足度の高い1on1ミーティングを実践してみてくださいね!