360度評価の導入失敗で起こる弊害2つと失敗する4つの原因を解説

2.「360度評価」の導入が失敗に終わってしまう4大原因

2-1.実施目的をしっかり説明しない

「実施目的をしっかり説明しない」と、360度評価の導入は失敗します。
なぜならば、ピントのずれたフィードバックを行う従業員が出てきて、必要なフィードバックが得られなくなってしまうからです。

このことは、具体例を用いるとイメージしやすいです。
以下の事例をご覧ください。

【実施目的にそぐわない評価コメントの事例】

ある会社では「従業員の能力開発」を目的に360度評価を導入しました。そのため、本来であれば以下のようなフィードバックを期待していました。

【よいフィードバック例】
・営業のAさんは、もう少しヒアリングを丁寧に行うと、もっと成果がUPしていくと思う。(→弱点の克服)
・ヒアリングで要望がきちんと聞けるようになるとベターだと思う。営業のBさんに同行してもらうとよいと思う。(→弱点の克服)

しかし、ある会社では「実施目的」を従業員に周知徹底しなかったため、以下のようなフィードバックが散見されました。

【悪いフィードバック例】
・営業のAさんは、体調不良を理由に早退ばかりしている。会社の雰囲気を乱していると思う
・営業のAさんは、メールの返信が遅い。もっと早くレスをしてくれないと、業務に支障を来すから改善すべきだ

見てお分かりの通り、悪いフィードバック例は、コメント者の主観的な感想に過ぎません。「目的に沿わない主観的な評価」は、従業員の能力開発には役立ちませんから、何の意味もありませんね。

従業員のモチベーション低下につながる可能性も十分に考えられます。
実施目的をしっかり説明しないと、「360度評価」の導入は失敗に終わってしまうでしょう。

2-2.「業績評価」「人事考課」に組み込んでしまう

360度評価の結果を「業績評価」や「人事考課」に組み込んでしまうと失敗します。
なぜならば実態に即していない「歪んだフィードバック」が行われる可能性が高まるからです。

具体的には以下の通りです。

●よい評価を得たいという「自己利益」のバイアスがかかった場合
従業員間での忖度(よい評価のつけ合い)が起こる

例:「上司のAさんによい評価をつけておこう。そうすれば、自分の評価も多少上がるはずだ」

●ニガテ意識のある人物の評価を下げたいという「悪意」のバイアスがかかった場合
仕事のパフォーマンスに問題ないにもかかわらず意図的に「低評価」をつける

例:「同僚のBのことはあまり好きじゃない。仕事はできると思うが、評価を下げてやろう」

こんな具合に、「自己利益」に走ったり「悪意」をもったりした場合には、適正なフィードバックを受けることができなくなります。

現実に即さない恣意的なフィードバックが増えれば、従業員の能力開発に結び付きません。さらに、従業員のモチベーション低下にもつながるでしょう。

「360度評価」の導入を成功させるためには、給与や人事考課とは切り離し、純粋に「能力開発」や「スキルアップ」のみの活用に限定するべきです。

2-3.設問が多すぎて、いい加減に取り組まれてしまう

「360度評価」は、上司・部下・同僚の評価を行うため、基本的には社員の負担が大きいものです。
ですから、設問が多すぎると、「流れ作業的にこなして終わらせる」社員が増える可能性があります。

そうすると、十分に役立つフィードバックが受けられなくなる可能性があります。
「360度評価」の意義そのものが疑問視される事態にもなりかねません。こうなっては「導入に失敗」したも同然といえるでしょう。

設問の分量には、最大限の注意を払いましょう。

2-4.評価結果を受け取るだけで、何のアフターフォローも行わない

「フィードバックを受けっぱなしで終わらせる」のは絶対に避けましょう。
なぜならば、受けたフィードバックが従業員の能力向上に活用されず、ただ時間を浪費しただけで終わってしまうからです。これは一番もったいないことともいえる状況ですし、まぎれもなく典型的な失敗例です。

アフターフォロー不足の代表的な失敗例は、以下の2点です。

◎振り返り面談を行わない
◎受けた評価を「PDCAサイクル」で管理しない

この点については、以下で詳しく解説します!

2-4-1.振り返りの面談を行わない

「振り返り面談を行わない」と、「360度評価」が失敗に終わります。

なぜならば、せっかく受けたフィードバックが活かされず、そのまま流れてしまう可能性が高いからです。日々の業務で忙しい中、自己フィードバックを行う時間を確保するのは至難の業ですから、当然といえば当然かもしれません。

しかし、振り返り面談の日程を設定しておけば、そのような失敗は防げます。
「360度評価」の運用設計時に「振り返り面談の日時設定」も行っておきましょう。

2-4-2.受けた評価を「PDCAサイクル」で管理しない

制度設計段階で「PDCAサイクル」を意識した管理を行わないと、「360度評価」の導入に失敗します。
PDCAとは以下のようなものです。

Plan(計画)
アクションリストの作成

Do(実行)
行動の改善/努力

Check(確認)
行動の達成度合いのチェック

Action(実行)
アクションリストの修正

PDCAサイクルで管理していかなければ、フィードバックは受けっぱなしのまま忘れ去られてしまうでしょう。当然、従業員の行動に具体的な変化を起こすことは不可能です。

そのため、計画を立てて、日々行動チェックを継続することが大切です。

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