行動指針とは?企業理念・行動理念との違いと作り方&定着方法

5.企業の行動指針3例を紹介

本章では、企業の行動指針について3つの事例を紹介します。

Google

世界の検索エンジンであるGoogleには、以下の10の行動指針があります。Googleの社員だけではなく、Googleの検索エンジン自体も以下の規範に則っています。

  1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
  2. 1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
  3. 遅いより速いほうがいい。
  4. ウェブでも民主主義は機能する。
  5. 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
  6. 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
  7. 世の中にはまだまだ情報があふれている。
  8. 情報のニーズはすべての国境を越える。
  9. スーツがなくても真剣に仕事はできる。
  10. 「すばらしい」では足りない。

上記の10の行動指針の元になっている、Googleの企業理念「Don’t Be Evil」(2015年に「Do the right thing」に変更)です。

ユーザーにとって価値ある情報をバイアスなしに提供すると同時に、法律に従って倫理観のある仕事と誇り高い行動をし、同僚に礼儀と尊敬を持って接する、という考えがGoogleという企業の根底にあります。

例えば、6の「悪事を働かなくてもお金は稼げる」は、具体的にはGoogle検索結果ページには内容と関連性のない広告の掲載をしないことを意味しています。

現在、検索エンジンの世界最大手でありながら、いまだにGoogleのブラウザには派手な広告や目につく動画広告がありませんが、これはGoogleが派手な広告がなくても宣伝は効率良くできると考え、ユーザーにとって検索の邪魔になるものを極力排除しているからです。

やろうと思えば何兆円規模の広告収益を得られると知っていても、自社の理念と行動指針に反することには決して手を出しません。

また、検索エンジンの中では、事実上の神のような存在のGoogleにとって、自分たちに都合の良いように情報を捻じ曲げることは簡単なことですが、それも行いません。

このような企業理念に基づく行動指針が社員全体に行き渡ることにより、Googleは「悪事を働かない」会社として信頼され、その結果、ユーザーはGoogleの客観性と検索結果を信頼するようになりました。

【参照元Google が掲げる 10 の事実】

【BASE】

誰でも簡単にEコマースを開設できるBASEの行動指針は、次の3つです。従業員は日常的にこれらを意識して行動・意志決定しています。

  1. Be Hopeful
  2. Move Fast
  3. Speak Openly

同社は、会社に行動指針が根付くようコミュニケーションの形を考え抜いた結果、Uniposというサービスを2年以上前から取り入れています。

この取り組みを開始してから、行動指針が社内で日常的に飛び交うようになり、浸透したと言います。

Unipos上で送り合う日々の仕事の感謝・賞賛のメッセージに、その行動が行動指針を体現しているなと感じたら、ハッシュタグ化して投稿に紐づけます。

また、行動指針ごとの賞をつくり、四半期ごとにMVPを選び表彰しています。

これらの取り組みを行うことで「日々のどのような行動が、行動指針を体現しているのか」を全従業員が考えるきっかけになり、行動に移しやすくなったそうです。

弊社らしい使い方としては、行動指針をハッシュタグ化して投稿につけていることでしょうか。

「Be Hopeful」「Move Fast」「Speak Openly」という3つの指針に加えて、「Stay Geek」というハッシュタグもよく使われています。

どれもBASEの理念を表した言葉で、Uniposを入れてから日常的に飛び交うようになり、かなり浸透したと思います。

また、四半期ごとにMVPを選んで表彰しているのですが、それをUniposのタグごとの「行動指針賞」に切り替えることにしました。

ハッシュタグつきの投稿を集計することで、BASEの行動指針にもっとも沿った社員が誰なのかわかるようにしています。

「メリットしかない」 BASEの鶴岡氏が絶賛するUniposの魅力より

【ローソン】

ローソンの企業理念は「私たちはみんなと暮らすマチを幸せにします」、行動指針は次の5つです。

10年に一度くらいの割合で、行動指針に変更が加えられています。

  1. お客さま、マチ、お店を起点に考えます。
  2. 基本を徹底し、革新に挑戦します。
  3. 仮説、実行、検証の質とスピードを高めます。
  4. 規律のもとで自律し、チームでやりぬきます。
  5. 自己の成長を求め、仲間の成長を支えます。

    コンビニという性質上、そこの地区=マチ(町・街)にとってなくてはならない存在になることを考え、ローソンにはマチカフェという、コンビニにカフェ機能を持たせるというスタイルを創出しました。

    長いデフレの影響で全国の個人経営の喫茶店や洋菓子店が相次いで閉店していた折、人々は街に出てもちょっと腰掛けて休む場所がなく、まさにコンビニがある距離感に「喫茶店機能」を欲していました。

    ローソンの「マチを幸せにする」ための徹底した企業理念と行動指針が生み出したものが、今でこそ、どこのコンビニにもあるコーヒーサービスとスイーツ販売です。

    このカフェ機能は、最初は都内のナチュラルローソンでのみ試験的に行われ、

    • コンビニ機能としての便利さ
    • コンビニとは思えない居心地の良さ
    • コーヒー豆の良質さとコーヒーの美味しさ

    が話題になり、全国でもカフェ機能を持たせるように急速展開しました。

    カフェ展開に合わせて出したスイーツ「プレミアムロールケーキ」はたったの210円というコンビニ価格であるにも関わらず、専門店並みの美味しさということで、まだSNSが十分に発達していなかった2009年に、19ヶ月で1億個を口コミだけで売り上げました。

    これは一年半近くで日本人の人口9割がこのロールケーキを食べたことになるという、驚異的な売り上げであり、発売しては消えるのが宿命のコンビニスイーツの常識を覆しました。

    また、つい最近では「バスチー」というスペインのチーズケーキが発売3日で100万個を突破する、プレミアムロールケーキを抜くヒットになっており、現在、ローソンは「マチの洋菓子専門店」として、カフェ機能とケーキ屋機能の両方を担っています。

    このような定期的なヒットとカフェ成功の裏には、

    • 絶対に欠品をさせないスピード対応(がっかりさせない)
    • お客様志向による、商品開発(欲しいものを作ってあげる)
    • 裏付けのある商品開発(流行っているものを教えてあげる)
    • 街にとって、あってほしい場所に店舗展開する(全都道府県展開)

    という、マチに合わせて進化することを決めたローソンならではの行動指針が実ったものと言えます。

    また、消費税が上がっても、素材単価が上がっても、頑としてコーヒー豆のランクダウンしなかったことも、カフェとして評価に値します。

    【参照:ローソン 企業理念ほか

    【参照:ローソン「プレミアムロールケーキ」シリーズ累計販売数1億個突破!

    まとめ              

    いかがでしたでしょうか。行動指針について

    1. 行動指針とは?    
    2. 行動指針のもたらすメリット
    3. 行動指針の作り方
    4. 行動指針を浸透させる方法
    5. 企業の行動指針2例を紹介       

    の5項目にまとめました。

    すでに行動指針がある企業は、より社内に浸透するような取り組み、またはいつか時代や状況に合わせ行動指針をアップデートしていくための基礎が理解できたのではないでしょうか。

    これから行動指針を作る企業は、作り方と浸透方法を参考に、ぜひ実践への一歩を踏み出していっていただければと思います。

    最後に、もう一度、経団連の月刊誌より、1997〜2002年4月にかけて連載されていた「わが社の企業行動指針」を、行動指針を検討する際の参考として付け加えさせていただきます。

    【参照:一般社団法人 日本経済団体連合会 わが社の企業行動指針

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