客観的人事評価が可能なコンピテンシー評価のメリット・導入までの流れ

5.コンピテンシー評価の導入事例

こちらではコンピテンシー評価の導入事例を確認していきましょう。

5-1. 豊田市の評価項目

コンピテンシー評価は企業だけでなく自治体にも導入されています。

豊田市では人事評価制度の導入に合わせ、管理職のコンピテンシーを定めてマネジメントのPDCAサイクルと連動させています。

管理者として必要なコンピテンシーや具体的行動がそれぞれ以下のように定義されています。

 

管理職の資源活用に関するコンピテンシーの定義

職場や業務の目的と戦略に応じて、資源の優先順位づけとそれに応じた配分を決め、それらの資源をどのように効率的に活用するかを決めることができる。また、人的資源(部下・自分の能力や情報)については、場面に応じて適切に引き出し、十分に活用できる。

 

具体的行動(評価項目)

①自身にとって必要な経営資源(人・もの・金・情報)について常に目を配り特徴(強みや弱み)を把握している。

②様々な活動に対する優先順位を決定し、各活動で使用が可能な資源の適切な配分を示す。

③効率を上げ、資源をより有効に活用するために、不要な活動や手順を取り除く方法を示す。

④部下の能力についてその特徴(強み・弱み)を具体的に把握している。

⑤自身の能力や持っている情報や時間などの資源の内容と限界を意識して活動計画を立てる。

⑥すぐに自分がやってしまうのではなく、部下や上司その他の関係者の意見を取り入れたり、場面に応じて役割を分担させたりして、十分に能力を活用している。

(出典:民間企業や地方公共団体におけるマネジメント能力向上のための支援措置事例

https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/kanri_kondankai/dai4/siryou3.pdf)

企業だけでなく自治体や医療現場などでも導入が進んでいるコンピテンシー評価ですが、効果的に運用するためには、導入に当たっての狙いや目標などについて従業員・職員によく説明し理解を促すことが大切です。

5-2. WHOのコンピテンシーモデル

WHO(世界保健機関)が、コンピテンシー評価の土台となるコンピテンシーモデルの例として”WHO Global Competency Model”を公開しています。一般企業にとっても参考になる項目が多いので、その一部をご紹介します。

なお、WHOの核になるコアコンピテンシーは以下の通りです。

①確実で有効な方法でコミュニケーションを行う

②自分自身をよく知り、管理できる

③成果を出す

④変化する環境の中で前進する

⑤連携とネットワークを育てる

⑥個性や文化の違いを尊重し、奨励する

⑦手本となり模範となる

5-2-1. コミュニケーションにおけるコンピテンシー

上記コアコンピテンシーの中の「確実で有効な方法でコミュニケーションを行う」を詳しく見ていきましょう。

このコンピテンシーモデルの定義は以下の通りです。

人々との会話や相互関係の上で、明確に自己表現でき、傾聴できる。また文章でのコミュニケーションもうまくできる。それによって情報の共有を確実にすることができること」

このモデルを実現できているかを確認するために具体的には以下のような評価項目があります(なお、WHOでは「適切な行い」だけでなく「不適切な行い」も定義しています)。

 

適切な行い

・対象となる相手のニーズにふさわしいコミュニケーションの方法や内容にそって、はっきりと話したり書いたりする

・うまく組み立てられた確実な方法で、情報や意見を伝える

・人々が自らの考えを述べることを励まし、ゆっくりと時間をかけてその考えを理解し、熟考する

・間違いなくそのメッセージを聞き理解する

・人々に重要で関係の深い問題について知らせ続ける

 

不適切な行い

・他の人と有用な情報を共有しようとしない

・オープンなコミュニケーションを殆ど促さない

・他人の意見に耳を傾けず、遮ったり、反論したりする

・人々との関わりの中でも、不適切に業界用語を用いる

・口頭や文書コミュニケーションでも、一貫性がなく、重要な点を見逃しがちである

5-2-2. 成果に関するコンピテンシー

次に、コアコンピテンシーの中の「成果を出す」を詳しく見ていきましょう。

このコンピテンシーモデルの定義は以下の通りです。

「良質な成果を生み出し、手渡すこと。成果実現に向けた活動を行うこと」

 

適切な行い

・仕事に対して、系統的かつ効率的に取り組んでいる

・良質な成果を生み、顧客のニーズを満たすための現実的な解決策を編み出す

・目標に向けた前進を常に進行管理しつつ、必要に応じて修正活動を行う

・指示が無くても行動でき、問題を効果的に処理しながら変化をもたらす

・自分の仕事に責任を持つ

・仕事を完遂するまで見はなさない

 

不適切な行い

・より重要な事柄を犠牲にして、ささいなことにこだわる

・不適切で他のニーズとぶつかるような解決策を見いだす

・成果よりもプロセスをより重視する

・不完全で不正確で厳密でない仕事を行う

・最終目標に向けた進行管理を怠り、期限を守らない

・意思決定が遅れ、行動が遅い

以上、WHOという国際機関のみならず、ビジネスの場でも使える汎用性の高い評価項目として、自社のコンピテンシーモデル、評価項目を作成する際の参考になさってください。

(参考:https://www.kaonavi.jp/dictionary/competency_hyoka/

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