
5.従業員エンゲージメント向上おススメ施策
最後に、従業員エンゲージメント向上のためにおススメの施策を紹介していきます。
5-1.エンゲージメントを定期的に測定する
問題とは、現状とあるべき姿のギャップのことです。
エンゲージメントを測定しなければ現状把握ができず、あるべき姿を想定することができないので、解決すべき問題を明確にすることができません。明確でない問題は解決不可能です。
エンゲージメントサーベイのプラットフォームを活用するなどして、できるだけ短いサイクルで測定し、現状把握ができるようにしておくことが重要です。
5-2.わかりやすくて心に響く理念などを策定する
ユーザベースの事例のように、バリューをまとめた「7つのルール」、「4つのやらないこと」、7つのルールをビジュアル化した「31の約束」のように、考え抜かれた言葉とそれをわかりやすく伝える仕組みがセットで重要です。
やるべきことが明確になれば、人は力を発揮しやすくなり、それがエンゲージメントの向上にも直結します。
5-3.OKRを導入する
OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、目標とその成果指標のことです。
組織として達成するのが難しい高い目標を設定し、その目標達成に必要な成果指標を3つ程度設定、その成果指標に対して今度は同じようにチームが目標設定と成果指標の設定をし、最終的に個人まで紐づけます。一気通貫した目標設定がOKRの特徴であり、従業員が同じ方向を向きやすくなります。
チームとして一体感が生まれやすくなり、高い目標を目指すことでモチベーションが上がり、結果的にエンゲージメントが向上しやすくなります。
OKRの詳細は、こちらの記事でご確認ください。
OKR導入事例から学ぶOKR成功のポイントと注意点:https://media.unipos.me/okr-case-study
5-4.フィードバックの仕組みを作る
スターバックスの事例の通り、適切なフィードバックによって社員は自身の成長を感じることができ、そうしたやりがいや喜びが、エンゲージメント向上にもつながっていきます。
フィードバックは日常的にも行うべきですが、フィードバックを当たり前のものとして定着させるためにも、数カ月に1回面談を行うなど、会社の仕組みとして運営することが望ましいでしょう。
また、フィードバックをする上司やマネージャーは指摘や叱責ではなく、1人ひとりが自律的に考え問題解決できるようなきっかけとなる問いを与えるようにするとよいでしょう。
5-5.1on1の実施
1on1とは、1対1の面談のことです。
上司やマネージャーと従業員が定期的に1対1で面談をすることで、そのような状況でなければ話しづらいことも話すことができます。
効果的な1on1は信頼の構築、つまり心理的安全性の確保につながりますが、上司が一方的に話しをするような1on1はかえって逆効果です。
アジェンダは用意した方がいいですが、基本的には部下や従業員が話したいことを話し、上司は聞き役というスタンスが、エンゲージメント向上には効果的です。
5-6.上司から部下へはオープンな質問、部下から上司へはクローズな質問
主体性や当事者意識はエンゲージメントを向上させる上で重要な要素ですが、それらを持たせる具体的な方法が、オープンクエスチョンです。
上司は部下に対して具体的に指示を出したり、答えを教えたりする傾向にありますが、そうではなく、上司から部下へは「どうしたらよかったかな?」「どうしたいの?」など、オープンクエスチョンにすることで、部下は自らが考えるようになります。
逆に、部下から上司に質問するときは、「どうすればいいですか?」ではなく、「〇〇と考えて〇〇をしようと思うのですが、よろしいですか?」というような、上司がYesかNoで答えられるクローズドな質問をすることで、主体性を鍛えることができます。
6.まとめ
ここまで、従業員エンゲージメントの基本的な意味からメリット、事例までを詳しく解説してきましたが、最後に要点をまとめます。
・エンゲージメントとは
- エンゲージメントとは「組織や職務との関係性に基づく自主的な貢献意欲」のこと
- エンゲージメントには、「ワークエンゲージメント」と「従業員エンゲージメント」の2種類がある
- ワークエンゲージメントは、仕事の内容に対する愛着や意欲
- 従業員エンゲージメントは、組織に対する愛着や自発的な貢献意欲
- エンゲージメントは、従業員満足度、モチベーション、ロイヤリティとは似て非なるもの
- 従業員エンゲージメント向上は、業績向上や適切な人材確保に直結しやすい
・従業員エンゲージメント向上のポイント
- 適切なフィードバック(スターバックスの事例)
- わかりやすくて共感できる経営理念等の策定(ユーザベースの事例)
- 定期的なエンゲージメントの測定(LIXILの事例)
- エンゲージメントに関するマネージャーへの教育(小松製作所の事例)
・従業員エンゲージメント向上のおススメ施策
- エンゲージメントを定期的に測定する(問題・課題を適切に把握できる)
- わかりやすくて心に響く理念等の策定(やるべきことが明確になれば力を発揮できる)
- OKRの導入(組織から個人まで一貫した高い目標を設定し、一緒に達成を目指す)
- フィードバックの仕組み(成長を実感でき、自己理解が深まる)
- 1on1の実施(マネージャーが聞き手に回り、心理的安全性を確保する)
- オープン、クローズドクエスチョン(主体性や当事者意識を育む具体策)
これからの時代は働き方の選択肢が広がっていることもあり、従業員が「ここで働きたい」と思えない会社は、淘汰されていく可能性が高いと言えるでしょう。
しかし、従業員エンゲージメント向上に取り組もうという考えのもとこの記事を読んでいるあなたの会社は、きっと従業員に選ばれ、従業員と共に成長していける会社になるはずです。
ぜひ、今回紹介した事例やおススメの施策など、できることから実践して見ていただきたいと思います。