働きがいのある会社に共通した4つの特徴と働きがい向上9アクション

働きがいとはなんでしょうか。働き方改革が進む中、企業は労働条件や労働環境の整備に力を入れていますが、果たしてそのような条件が整ったら、人は「働きがい」を感じることができるのでしょうか。

働きがいのある会社があるのだとしたら、どういう条件を持って働きがいのある会社と言われているのか? そうなるためには一体どうしたらいいのか、知りたいですよね。

そこで今回は、働きがいに関して

1.「働きがい」とはどういうものか
2.働きがいが上がると得られる4大メリット
3.働きがいのある会社に共通した4つの特徴
4.働きがいを高めるために企業ができる9アクション
5.働きがいのある会社2事例

をまとめました。最後までお読みいただければ、働きがいに関しての概略を含め、自社が今後、働きがいのある会社へと変化していくために必要なことが理解でき、必要な改善案を準備することができます。

1.「働きがい」とはどういうものか

「働きがい」とは「働き甲斐」とも書き、一般的には仕事をするためのモチベーション(動機付け)のことです。「甲斐(かい)」には値打ちという意味がありますので、働きがいは「そこで働くだけの値打ちがあるかどうか」を指す言葉となります。

この値打ちの中には、仕事内容や職場に自分が期待したことが含まれている必要があり、その内容はそれぞれ人によって違いますので「働きがい」の明確な定義はありません。つまり、自分にとって値打ち・価値があると感じられれば、そこは働きがいのある職場になります。

1-1 「働きがい」と「働きやすさ」の違い

現在、日本は働き方改革の真っ只中にいますが、これらは労働条件・労働環境を整えて、働きやすい環境へと整備しているに過ぎません。厚生労働省がまとめた「働きやすい・働きがいのある職場づくり」のポイントによれば、働きかた(働きやすさ)と働きがいには以下のような違いがあります。

【参照:厚生労働省資料 「働きやすい・働きがいのある職場づくり」のポイント

1-2 「働きがい」には現在、明確な定義がない

上記の表をみる限り、人が「働きがい」を感じて仕事をするために必要なものは、金銭や役職待遇とはほとんど関係していないことがわかります。それよりも、自分が所属している

 ・職場への信頼感
 ・自分の仕事への誇りやプライド
 ・職場の仲間との一体感
 ・自分の存在価値

などの総合的で情動的な要素が複雑に絡まっています。このように働きがいのある・なしは主観的な部分が大きく、働きがいがある職場かどうかを明確に測量できる方法が現時点では確立されていません。

1-3 学問的な定義での「働きがい」

英語では働きがいをワークモティベーションと言い、仕事へのモチベーションは「環境や条件といった要因から外発的に生まれるのではなく、仕事そのものから内発的に生まれる」ことが、100年以上の研究により明らかになっています。つまり、社員個人にとって

「この仕事、おもしろいな!」
「この仕事、やってみたいな」

など、仕事や課題への取り組みそのものが目的となっている状態が、働きがいのある仕事・働きがいのある職場ということになります。現在でも、世界各国で働きがいに関した調査研究は継続して行われており、各企業は職場環境の改善とともに、働きがいのある職場になるように努力を続けています。
【参照:大東文化大学 経済学部 社会経済学科教授・医学博士・特許庁健康管理室 精神衛生相談担当「ワークモティベーションを考える」
【参照:ゲイリー・レイサム 「ワークモティベーション」
【参照:池田 浩 九州大学准教授 ワークモチベーション研究の現状と課題

【働きかた・働きがいの2要因理論】
働きかたと働きがいを明確に区別する理論として「2要因理論」というものがあります。社員が仕事に満足を感じる要因を「動機付け要因」、整っていないと不満につながる要因を「衛生要因」に分けるという考え方で、アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した理論です。図にすると、以下のようになります。

「衛生要因」は不満が解消されれば、それ以上に向上させたところで満足度が上がらないという特性があります。ここでいう衛生要因とは、労働条件や労働環境などに関わる部分です。

「動機付け要因」は、仕事の達成感や責任範囲の拡大、能力向上や自己成長、チャレンジなどを指し、あればあるほどやる気・モチベーションアップにつながります。

この2要因による社員の働きやすさと働きがいの違いを企業側が理解していないと、職場環境を整えたはずなのに業績や定着率が下がってしまうことがあります。
【参照・図:フレデリック・ハーズバーグ 仕事と人間性―動機づけー衛生理論の新展開 (1968年)
【参照:Harvard Business Review Anthology  動機づける力―モチベーションの理論と実践

 

2.働きがいが上がると得られる4大メリット

働きがいがアップすると、企業にはどのようなメリットが発生するのかをまとめました。世界中の企業の働きがいを調査している専門機関GPTW社によれば、人が働きがいを感じられる企業(ベストカンパニー)には以下のような特徴があることがわかっています。

2-1 売上も利益も増える

社員が自分の仕事に対して自主的・積極的であり、目標達成への意欲が持続しやすいため、業績が伸びる傾向にある。例えば、2010年度調査のベストカンパニーは、そうではない企業と比較した場合、対前年売上伸び率が21.9%も高い結果が出ています。

また、これらの企業の株価動向を9年間追った結果、TOPIX全体は平均で62.6%の上昇率であるのに対し、ベストカンパニーだった企業は256.5%も株価が上昇していることがわかりました。

もちろん、上昇したのはベストカンパニーの全てではありませんが、全体的にベストカンパニーに選ばれた会社が好成績であることは間違いありません。また、働きがいのある会社では、これらの業績アップに大した報酬還元も適切に行われます。
【参照:GPTW 働きがいと業績

2-2 新しいビジネスが生まれる

働きがいのある職場では、社員の「やりたい」「チャレンジ」がサポート・推奨される環境が整っているため、新しいビジネスアイデアが生まれやすい傾向にあります。時代が代わり、新しいビジネスフロンティアに立たされ、新しい方法が必要になっても、柔軟に対応できています。

2-3 新しい技術が生まれる

働きがいのある職場ではチャレンジが推奨されるため、社員が失敗を恐れません。その結果、新しい技術が生まれやすくなります。また、働きがいのある職場は、横の連携も良いため、各部門が互いにアイデアを出し合い、イノベーティブな技術が生まれやすい傾向があります。

2-4 社員が成長する

働きがいのある会社では、社員の職場経験ギャップを埋める努力自体が推奨されます。その努力は公正に評価され、リーダー達によって適切に処遇されていきます。

社員一人ひとりの小さな頑張り、地道な努力はのちに必ず日の目を見ることになるという信頼感があるため、自然と自分以外の誰かの努力に対しても積極的に激励を送り、賞賛をするようになります。

このような、信頼と思いやり溢れた関係性を通じて、社員は人としても大きく成長していきます。別の言い方をすると、働きがいのある職場では、このような総合的な人格成長なしの昇給・昇進はないと言えます。
【参照:プレスリリース GPTWジャパン 「世界で一番働きがいのある会社」

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3.働きがいのある会社に共通した4つの特徴

本章では、働きがいのある職場に共通する4つの特徴についてまとめました。

特徴1:経営理念がシェアされている

働きがいのある職場では、社員個人と企業の価値観がおおむね一致しています。

これは、社員が経営理念に納得して入社して働いているという単純なことではなく、「理念に込められた思い」や「将来のビジョン」までが社員に浸透しているという意味です。

このような特徴がある企業のトップと経営陣は、自社の社員に対して大変フレンドリーです。社員と経営陣との間に心理的な隔たり(威圧感・緊張感・劣等感)がないため、職場やカフェテラスなどで誰とでも自由に会話をしています。

様々な会話の中で、経営陣から直接

 ・なぜその理念・ビジョンなのか
 ・それが実現された先に何があるのか

などを語られると、社員たちはその理念の背景・自分たちが抱いている企業イメージ・自分たちを含めた将来の姿などを経営トップの脳内あるものと擦り合わせて共有することができるため、社員一人ひとりの中で経営理念がよりリアルなものとして息づいていきます。

特徴2:カルチャーがあり根付いている

企業カルチャー・風土・社風など様々な表現がありますが、ありていな言い方をすれば「その会社らしさ」です。働きがいのある会社では、「らしさ」が言語化されキーワードのように明示されます。

例えば、Googleでは「エンパワーメント&インディペンデンス」です。2つの単語の中には

 ・エンパワーメント:
  権限委譲・情報公開・フラットなシェア文化・毎週金曜の質疑応答時間
 ・インディペンデンス:
  失敗を恐れずにチャレンジ・セルフスターター・自分で考える・社員同志で教え合う

などが含まれています。社員は判断・行動する時にはこの2つの単語に寄り添って進んでいきます。その繰り返しの結果、Googleらしさが社内で醸されていきます。

企業によっては、このようなキーワードが社内に張り出してあるところもあります。
【参照:エリック・シュミット How Google Works 私たちの働き方とマネジメント】 

特徴3:コミュニケーションが良好な状態を保つ

働きがいのある会社は、社員同士のコミュニケーションが良好です。また、そうなるように、企業側が積極的に環境作りに取り組んでいます。社員同士のコミュニケーションが円滑だと、以下のような3つのメリットがあります。

1.職場への安心感が得られる

社員が職場を自分の居場所だと確認するためには、その場所で安心感を得る必要があります。コミュニケーションが多い場所では人は安心感を多く得ることができる為、社員同士のコミュニケーションが多い場所は安全な場所だと思え、心落ち着いて仕事をしていくことができます。

また、安心感ある場所の構成員に対しては信頼を得やすいため、職場の人間に対する信頼度合いも安定したものになります。
【参照:群馬大学教育学部附属学校教育臨床総合センター心理的居場所感が対人ストレスコーピングに与える影響
【参照:世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法:最も大切な心理的安全性

2.理念・カルチャーの伝播・醸成・共有

特徴2でも触れた「その会社らしさ」は、同じキーワードでの行動や判断を繰り返していく中で伝播・醸成・共有されていきます。例えば、家族や一族は、血脈以外にもその一族らしさがありますが、それらはその一族に受け継がれてきた独特の考え方・しきたりなどがベースにあり、それを家族や一族全員が日々、言葉や行動によりシェアしてきた結果です。

これと同じように、働きがいのある会社でも、理念・カルチャーなどが共に時間と空間を共有した職場の仲間との言葉や行動によってじわじわと伝わっていき、醸成されていき、最終的に様々なことにその会社らしいものづくりなどに繋がっていきます。
【参照:三木 佳光 文教大学国際学部 その企業らしさ”の経営とは–企業DNA(遺伝子)

3.悩みがなくなる

コミュニケーションが活発な職場は社員に悩みが無くなる傾向があります。働きがいのある会社では、役職に関係なく自由闊達に意見を述べる時間が確保されているため、社員がモヤモヤを溜め込んだまま仕事をするということが無くなります。その結果、仮にその課題が未解決で残ったとしても、悩むことでは無くなります。
例えば、サイボウズ株式会社では、働きかた改革が始まった時に、社員全員で働きかた改革に対する取り組み方法を話し合っています。社員の中にあるワークスタイルへの懸念を吐き出してもらうプロセスの中に、自分たちが本当に取り組むべき「理想の働きかた」の答えがあるかもしれないと、経営陣が考えたからです。

経営陣クラスにまで社員のモヤモヤが伝われば、その悩みは、その時点で社員が考え込まなくてはならない事柄ではなくなります。このように悩みやモヤモヤがない精神状態で仕事をしている社員が大多数になるため、必然的に明るい職場になります。
【参照:チームのことだけ、考えた。サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか

    特徴4:社員の「やりたい!」をサポートする環境

    業務命令でもないのに仕事の中で新しいことをやってみるためには、仕事への熱量が必要になります。働きがいのある会社には、このような熱い気持ちがある社員の「やりたい」をサポートできる環境があります。

    具体的には企業や職場としての柔軟性です。例えば、社員Aが総務から営業にチャレンジしたいと申し出た時、それを推奨してあげられる。またもし、社員Aが「やはり営業は合わないから、総務に戻してほしい」と願い出た時に、その希望が叶うなど、社員が自社の中で「やってみたい」「知りたい」「試してみたい」と思ったことに対して、できる限り応援する・できる環境を持っています。

    このような環境下では、社員同士はお互いのチャレンジに対して寛容であり、たとえ失敗したとしてもそれを攻めるような人は存在しません。なぜなら「その失敗をした理由は、それまでなかったことをしようとしたから」ということを、全員が理解しているからです。

    .働きがいを高めるために企業ができる9アクション

    本章では働きがいのある職場にしていくための9つの取り組むべきアクションをまとめました。これらのアクションは、日々の職場ですぐに取り入れることができる場面やチャンスがあります。

    理想は9つ全ての取り組みがされることですが、すぐにできるところから始めるのでも問題はありません。大切なのは「社員の働きがいを高める」ために、今すぐできることを、企業が今・すぐする(DO)ことです。

    「働きがいを高めるために企業ができる9アクション」 出典:Great Place to Work® Institute Japan

    4-1 チームとして働くために必要なアクション

    • 分かち合う
      利益をみんな(企業・社員・社会全体)で分かち合うための仕組みや取り組みをします。例えば、企業Aが過去最高の業績を出したにも関わらず、社員の収入が過去最高にならないのは、やはり企業としてどこか歪みがあると言えます。

      出た利益は企業・社員に還元された結果、社会にも還元され、社会全体で分かち合えるように企業が考える必要があります。そのようにして大切にされている社員は、自社の顧客や株主のことも大切に扱い、社会全体に対しても分かち合いの考えで対処をする傾向があります。
      【参照:大和証券「すべての従業員にとって働きがいのある会社へ」】 

    • 採用
      採用は、単なる作業のための人員補給ではなく、会社に新しい風を入れる目的で行いましょう。新しいメンバーが「自分が受け入れられている」と感じられるような受け入れ側の対応・体制など、新人や新入社員歓迎のための仕組みも積極的に構築しましょう。

      例えば、新入社員の研修に経営トップを巻き込んで参加させ、企業とそのトップに親しみを感じてもらい、企業と新入社員との間に距離感を感じさせないようにします。

      また、従来のような人事配置をする前に、新人には各部署を順番に体験してもらうと、将来起こりうるキャリアのつまずきやモチベーション低下時に、転職という選択肢を取らなくても、続けて働くことができることを、初期の段階で理解してもらう効果があります。
      【参照:3年がんばる? 2年で辞める? 新社会人・新入社員のための「辞め時」の見極め方

    • 祝う
      積極的に、お祝いをするチャンスとスポットを作り、成功体験・楽しい経験の中から連帯感を育んでいく仕組み、取り組みをしましょう。例えば

      ・年次の表彰制度を半期に一度にしてチャンスを増や
      ・数字以外でお祝いできることはする
      ・発案や提案が多い人を表彰する
      ・月ごとに誕生日の人を合同でお祝いする
      ・誰にとってもお祝いなイベント(クリスマス・バレンタインなど)を活発にする

      など、社内で何かあるたびに、褒め合う、称え合う、祝いあう風土・カルチャーができるのが理想的です。

      調査によれば、承認による成功体験が蓄積するとクリエイティビティが増加するというデータがあるため、積極的に企業が社員を褒め、祝う仕組み作りは、企業のイノベーションをも高める可能性があります。
      【参照:千葉工業大学工業経営学科 C-31 若者の成功体験における創造性に関する調査研究

    4-2 組織目標を達成するために必要なアクション

    • 触発
      仕事に対するモチベーションを触発する仕組み作りをしましょう。例えば、かつてソニー株式会社では、働きかたや生き方レベルでのロールモデルになる人を招聘してスピーチしてもらったり、創業者の逸話などを語る時間をとって

      ・自分も、あの人のように生きてみたい
      ・いつか、あんな大きな仕事をしてみたい

      など、社員の心を揺さぶる仕組みを多様して、VAIO・ウォークマン・MDディスクなどの数多くの秀作をこの世に出してきました。

      「自分の仕事は、ただの仕事だと思っていたけど、仕事にはもっと重要な意味があるんだ」

      ということを肌身で感じてもらい、組織全体が世の中に起こせるダイナミックな仕事の影響力を理解してもらいましょう。
      【参照:ソニー 盛田昭夫―――“時代の才能”を本気にさせたリーダー

    • 語りかける
      会社にとって重要なことは、経営陣だけで話さずに、社員にも「語りかけ」ましょう。

      トップや経営陣が社員に直接、経営理念や将来のビジョンを語ると、社員たちが普段思っている「企業イメージ」「将来のイメージ」と、経営陣のレベルの高い考えがリンクして、社員の脳内には気づきが大量に起こり、一気に経営方針や経営理念に対する理解が高まります。

      その結果、組織の目標が達成しやすくなります。
      【参照:教科書では学べない数学的思考: 「ウーン!」と「アハ!」から学ぶ

    • 傾聴
      上記の語りかけるの反対です。
      ・社員のなんでもない毎日のこと
      ・企業に対する文句やクレーム
      ・改革してほしいこと

      など、ランダムかつ総合的に社員の声を吸い上げ「傾聴」します。そして社員の声を総合的にまとめて今後のマネジメントに活かすために使います。

      従来はこれらの機会は、社内運動会・飲み会・上司との食事などで行われていましたが、時代の変化とともにその機会は失われつつありますので、企業が積極的に「傾聴」のチャンスを作り出すべきでしょう。具体的には

      ・自由に話せる時間を月に数回設ける
      ・匿名でネット投票
      ・社内共有ブログで書き込みができる
      ・社内SNS
      ・個別面談

      など、それぞれの社員がやりたい形で、自由に発言できるように企業側が受け皿を広くとる必要があります。大切なのは、これらの自由な意見が、人事評価などには一切影響しないということも理解しておいてもらう必要があります。

    4-3 個人の能力開発のために必要なアクション

    • 感謝
      社員の成し遂げた仕事・努力に対する感謝を示すための仕組み、取り組みを取り入れましょう。
      表彰制度などをしっかりと組み立て、企業が社員に感謝をしていることがきちんと伝わるように努力をしましょう。

      また、社内にツールとして取り組むことができる「褒め合い」システムを採用しておくと、トップから末端社員まで一律に、感謝したい時に自由に感謝の気持ちを送り合うことができます。

      メールや会った時でいいかな、というような日常の何気ない小さな「ありがとう」「嬉しかったです」の気持ちを、伝えたい時にすぐ伝えあえるため、感謝の言葉や行為が温度を持って社員に伝わります。肯定的な言葉の応酬は、より感謝しやすい状態を作り出します。
      【参照:貢献を見える化するツール Unipos

    • 育成
      社員の能力開発のための仕組みや取り組みを用意しましょう。企業が社員の能力開発の機会を作ることは、社員の能力に期待をすることです。大切に育ててもらったと感じられた社員は、自分の部下にも同じく、手厚く育成の機会を与えるようになります。

      すでに能力開発制度を持っているところは、さらなる充実をはかりましょう。現在、働き方改革の一環として、人材開発支援助成金など多彩な育成システムの支援がありますので、積極的に採用していきましょう。
      【参照:厚生労働省 人材開発支援助成金

    • 配慮
      社員ではありますが、その前に一人の人としての人生があります。柔軟な働きかたなどを通じて、企業ができる個人への配慮は、最大限考えてあげるべきでしょう。

      例えば、女性社員の産休・育休支援強化として、社員が育児で長期休暇を希望する際、代替人員を採用する制度を使います。営業のような忙しい部署・職種であっても人員が補填されるのであれば、配属転換をしないままでも復帰ができます。また同時に、同僚も一人の欠員が出るために過重労働を余儀なくされることもなくなります。

      また、社内結婚の場合、夫婦の場合は希望があれば夫婦揃っての移動を認めるなど、企業できる配慮はして柔軟に対応をすれば、家庭を維持するために必要のない退職を防ぐこともできます。

      これ以外にも、介護や子育て中の社員に対して積極的なリモートワーク推奨をするなど、企業側から提案できる「配慮」は多くあります。自社の社員の傾向などを踏まえて、適切なことをして挙げましょう。

    働きがい・従業員エンゲージメント向上施策に潜む7つの落とし⽳とは|詳細なポイントを徹底解説

    .働きがいのある会社2事例

    ここでは、世界の働きがいのある会社を調査しているGPTW社のアワード【2019年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング145社(480社参加)】で表彰された上位ランクされた2社を事例として紹介します。

    セールスフォースドットコム

    • 従業員数:35,000人
    • 問題点:ワークスタイルの自由化により、働き方改革はすでに完了していた。働きがいに焦点を当て、社員がやりがいを感じられる職場にしたい。
    • 施策:Ohanaグループの活動
    • 取り組みポイント:
      社員を中心に構成されたOhanaグループによる「世界をよくするミッション」に取り組んだ。Ohanaは、ハワイ語で家族。セールスフォースでは、世界全体を自分の家族として捉え、話し合い・認め合い・許し合い・愛し合うというOhana(家族)の考え方を、世界規模に広げ、起きている社会問題を自分のこととして解決する取り組みをしています。

      <Ohana取組み例>
      1)性的指向や性自認に対して平等な扱いを求める「Outforce」活動
      外部講師を招いて講演会とパネルディスカッション。その際、社内にいる同問題を持つ人も積極参加した。偏見の原因となる「無意識の偏見」に関する社内勉強会等を定期的に実施しています。セクシュアル・マイノリティのパレードイベント「東京レインボープライド」に参加し、社内でもレインボーカラーのお菓子を配り、お祝いをしている。

      そのほかにも
      2)障がいのある方やその家族を支援する「Abilityforce」活動
      3)サステナビリティを推進する「Earthforce」活動
      4)女性活躍推進を支援する「Women’sNetwork」活動
      5) 1)〜4)メンバーを応援する社員「Ally(アライ=支援者)」活動

      など夢の実現に向けて、社員一丸となって意見交換や啓蒙活動をしています。

    • 結果:
      上記のような多様性のある活動を企業ぐるみで支援したことにより、社員の一人ひとりが
      「普段、自分が考えていたこと」
      「社会に対してモヤっとしていたこと」
      などを会社員のまま仕事を通じて解決していけることを理解し、よりイノベーティブで熱意のある仕事ができるようになった結果、今回、大企業部門として「働きがい」のある会社として1位を獲得した。
      【参照:セールスフォース 会社概要
      【参照:Ohana

      ②サイボウズ

      • 従業員数:516名
      • 問題点:激務のため、人が次々と辞めていく。当時、100人以下の会社で30人が辞めていくという事態。
      • 施策:新・働き方宣言制度
        モチベーション維持のための制度を多数採用した
      • 取り組みポイント
        テーマ「100人いれば、100通りの人事制度」
        社長・経営陣が、会社に残っている社員に一人ひとり話を聞いて行った結果、100人いたら100人の働く理由があることがわかり、一律に「やる気」を求めても意味がないことを理解した。思いっきり働きたい人と、ほどほどに働きたい人が求めるモチベーションは違う。そこで、多数の社員の働き方に対応できる制度を多彩に採用することに決定しました。

        例>
        1)長い育休制度
        最大6年間もの育休が、制度として取れます。これにより、今まで結婚や子育てで退職を余儀なくされていた女性社員を引き止めることに成功しました。また、早くから在宅での仕事も許可しました。制度として、申請義務があります。

        2)ワークスタイルの自由化
        リモート・在宅・時短などを採用し、働きかたへの選択肢を増やし、作業効率をあげることにシフトしています。これらは上司への申請義務があります。

        3)ウルトラワーク制度
        生産性や効率だけ重要視するウルトラワーク制度を採用。約束事は「生産性を下げない」「連絡が取れる」の2点だけ、それ以外はどのような働き方をしていても自由という、今まである自社の制度に当てはまらないものは、全てウルトラワークに入ります。

        例えば
        ・検査がある場合、その前後に落ち着いた場所で仕事したい
        ・子供の親子行事の前後に近所のカフェで業務をこなす
        ・深夜、自宅で海外のクライアントとWEB会議をする
        ・激しい腰痛のため、通勤ラッシュ時を避けた時間に出勤

        など、個人の生活で起きる大小様々な事情に合わせ、柔軟に働き方を選択できる方法です。申請には前日の夕方までに報告があればいいだけなので、気兼ねなくウルトラワークに入れます。

      • 結果:
        2005年度には28%あった離職率が、2018年には4%台まで下がっています。サイボウズの制度は、一般的な企業の基準と照らし合わせると、企業が個人を縛る要素がはるかに少ないため、非常に「会社に気兼ねなく辞めやすい会社」とも言えます。

        辞めようと思えば簡単に辞めることができる会社。しかし、その結果、離職率は下がり、やる気のある社員とそこそこ働きたい社員が共存しつつ、違いに納得のいく形で仕事をしながら、企業目標を着々と達成しています。2019年度、中小企業部門で「働きがい」のある会社2位を獲得しました。
        【参照:チームのことだけ、考えた。サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか

      まとめ

      いかがでしたでしょうか。働きがいについて以下のようにまとめました。

      1.「働きがい」とはどういうものか
      2.働きがいが上がると得られる4大メリット
      3.働きがいのある会社に共通した4つの特徴
      4.働きがいを高めるために企業ができる9アクション
      5.働きがいのある会社2事例

      自社の社員が働きがいを持って働いてくれるかを含め、働きがいに対する理解が深まったかと思います。また、具体的な対応策ですぐできるものも紹介しましたので、働きがいに関してマネジメントを検討しているならば、ぜひ、取り入れていただきたいと思います。