あなたの会社は大丈夫?社会心理学者スタイナーが説く社内コミュニケーションの重要性

5.社内コミュニケーション活性化を成功させる3つのコツ

社内コミュニケーションを改善し、活性化させる上で知っておいた方が良いコツを3つご紹介します。

社内コミュニケーション活性化という、全社を巻き込み、時間をかけて行うプロジェクトならではの注意点になので、ぜひ頭に入れておいてください。

キーパーソンを仲間にする

「キーパーソン」とは、役職や年代は関係なく、より良い組織にしていきたいという想いが強く、発信力・行動力があって、周囲に影響力のある社員のことです。各所でそうした「キーパーソン」を仲間にできると、その社員を軸に協力的な社員が増え、社内コミュニケーション活性化施策が浸透するスピードは一気に加速します。

長期的なスパンで行う

社内コミュニケーション活性化は、始めてすぐに効果が表れるものではありません。また、一時的なムーブメントで終わってしまっては意味がないので、活性化施策が定着し、活性状態が継続してはじめて成功したと言えるでしょう。

人事制度改革や業務改善ツールなどのようにすぐに反応・効果が出るものではないという共通認識を社内で持っておくことが重要です。

最低でも1年間は同じ施策を実行すべきという専門家もいます。

押し付けない

トップダウンで強制的に参加させるやり方は、その施策が一時的なもので終わってしまう可能性を高まるため、止めた方が良いでしょう。

先にも述べましたが、一過性のムーブメントで終わっては意味がありません。組織の活性状態が継続するようになってこそです。

そのためには社員の自発的な協力や参加を引きだすことが不可欠ですが、では強制ではなく、社員自らの協力を促すにはどうしたらよいでしょうか。大きく分けて2つのポイントがあります。

●なぜ社内コミュニケーション活性化が必要なのかを理解してもらう
自社の組織の現状、課題、それに対して社内コミュニケーション活性化がどうして必要なのか、この点を社員にしっかり理解してもらいましょう。

一人一人に納得してもらえれば、よほど自社が嫌いだったり、退職を考えている様な社員以外は、基本的には協力しようという気持ちになってくれるはずです。

この部分に関しては、プロジェクト推進担当者が全体に発信するよりも、社長や課長など、組織の上層部から社員に直接語ってもう方が適切です。

組織のトップから伝えることで、会社としての本気度、重要度が社員一人一人により強く伝わるからです。

●社員の多様性を理解する
企業で働く社員の働き方・仕事への価値観の多様化が進んでいます。

そのため社内コミュニケーション活性化施策を始めるとなった時、それを負担に感じたり、やりたくないと思う人は当然出てきます。

例えば、育児や介護などと仕事を両立させている社員は「これ以上新たな負担が増えるのは勘弁してほしい」と思うかもしれませんし、仕事とプライベートをきっちり分けたい、なるべく会社と関わりたくないと考えている社員にとっては、こうした取り組み自体気が重いものとなります。

ですので、社内コミュニケーション活性化施策を開始する際には「さまざまな背景を持った社員がいることは理解しているので、参加が難しい場合は無理をしなくても大丈夫。できる範囲で加わってください」といったメッセージも合わせて伝え、配慮ある姿勢を見せておくとよいでしょう。

6.コミュニケーション状況の良し悪しは数値化できる

施策によって社内がどのくらい・どう変わったのか、担当者なら特に気になるところです。

「社内の雰囲気が明るくなった」「仕事に前向きな社員が増えた」など、社内コミュニケーション活性化の成果は定性的なものが主となりますが、定量的にも計測が可能です。

前後変化を数値で把握したなら、「組織サーベイツール」や「アンケート」を使用しましょう。

組織サーベイツール

従業員アンケートを実施し、その結果を分析。組織が今どんな状態にあるのかを見える化してくれる、いわば組織の健康診断の様なものが、組織サーベイツールです。

代表的なサービスに「wevox」「モチベーションクラウド」などがあります。施策の前後で、社内のコミュニケーション活性に関わる診断数値がどのように変化したかを見ていくのがよいでしょう。

アンケート

施策の前後でアンケートを取ります。

●質問設計
実施する施策によって効果を測る質問は変わってきます。
たとえば全社会議などを導入する際には、

・「会社の方針・価値観は十分に伝えられていると感じるか?」
・「経営陣は現場の意見を大事にしているか?」

といった項目を設定すると、狙った部分に施策が届いたかの結果を数値で把握しやすくなるのではないでしょうか。導入した施策の効果を測るのに適切な質問を考えることが必要です。

●実施のスパン
導入前後でアンケートを行った後、施策を継続するならば、定期的に取っていくと社内の変化が追えてよいでしょう。社内コミュニケーション施策はじわじわと効果を発揮するものが多く、またアンケート実施の負荷も考えると、だいたい3ヵ月に1度くらいのスパンで実施するのが適切です。

7.社内コミュニケーション向上の取り組み事例2選

サカタ製作所「サカタ復活プロジェクト」

サカタ製作所は、産業用屋根の取り付け金具専業メーカーです。

新潟県長岡市にある従業員約150名ほどの中小企業ですが、ここ数の年社内改革によって「健康経営」「ホワイト企業」など様々な切り口で評価され、2019年には「ホワイト企業アワード」で最優秀賞(2019年)を受賞、注目を集めています。

社内変革で最も重視されたのは「コミュニケーション活性化」

2008年、リーマンショックの影響で一時は休業状態にまで追い込まれた同社でしたが、それが変革のきっかけとなりました。通常業務ができなくなっていた同社で、若手社員が奮起。

「サカタ復活プロジェクト」を立ち上げます。そして会社を立て直すべく取り組んだのが「社風の醸成」でした。

社員が心身ともに健康で成長し続けられる環境を用意し、トップダウンではなく、一人一人が自ら考え行動できる組織にしていこうというものです。そしてその「社風の醸成」をするため最も重視されたのが「コミュニケーション活性化」でした。

「パーソナリティ診断」とコミュニケーションボード「見聞録」が相互理解を深めた

コミュニケーション活性化のため、サカタでは大きく以下2つの施策に取り組んだそうです。

-「パーソナリティ診断」
社員のパーソナリティを診断する適性検査を導入し、役員を含む全社員が受験。それぞれの結果を共有することで、相互理解を深める。

-コミュニケーションボード「見聞録」
リーダーが「休日は何をしましたか?」などの答えやすいテーマを投げかけ、メンバーがメモパッドに回答を書いて貼るという、コミュニケーションボード「見聞録」を設置。
初めはなかなか浸透せず「特になし」などそっけない回答を各社員もいたそうですが、リーダー社員が積極的に突っ込みをいれるなどして日常のコミュニケーションにつなげていくことで、しだいに浸透。半年後には業務上の悩み相談も書かれるほどになり、現在ではボードが必要ないほど、自然に会話が生まれるようになったそうです。

取り組みの結果

現在サカタで「社風の醸成」は達成されつつあり、社内コミュニケーション活性化とともに推進した働き方改革施策が成功し、従業員満足度は95%以上にまで高まっているそうです。

リコー「社内限定版NewsPicks」

全世界約200の国・地域で販売・サービスを展開するリコー。

全社で220のグループ企業、約9万人の社員を抱えているため、どうしてもグループ会社・部門ごとに情報が閉じがちになり、イノベーションが起きにくい状態となっていたそうです。

現場の社員からは閉塞感があるとの声も届くようになり、立ち上げたのが「3 LOVE PROJECT」という組織風土改革プロジェクト。

その一環として、グループ会社・部門ごとのサイロ化を打ち破るべく取り入れたのが「社内限定版NewsPicks」 でした。

サイロ化を打破するため、双方向のコミュニケーションを生み出すSNSを導入

社内限定版NewsPicks とは、NewsPicks内に社内限定の空間をつくり、その中で社内報や、会社や社員が社内に向けて発信したい情報を投稿できるというサービスです。

通常のNewsPicks内に社内限定のタブが追加されるといった形なので、日常の情報収集の延長で、社内のニュースに触れることができます。
社内限定タブでは、自社の広報が公式に出す社内報があったり、社内のメンバーがキュレーションしたニュースが並んだり、一般社員が記事を投稿したりと、自由な発信ができるようになっています。

投稿に対していいね!やコメントをすることが可能なので、グループ会社・部門を越えたコミュニケーション機会が生まれます。

取り組みの結果

当初、グループ全体500人の社員に2か月間の試験導入を行ったところ、まずはエンゲージメントの測定基準であるeNPS(推進者の割合-批判者の割合)の改善に成功。さらに想像以上の社員の発信や反応が社員同士のコミュニケーションの機会を増やし、発信内容から専門性に富む社員を発見することもできたそうです。

(参考:広報会議  2019年8月号)

サイロ化にお悩みの方におすすめ:部署間のコミュニケーションを活性化させるUnipos(ユニポス)

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