
3.風通しの良い職場づくりのための6つの施策
風通しの良い職場にしたいが、何から手をつけたらいいかわからないという会社も多いかもしれません。
そこで本章では、取り入れやすく他社で効果が出ている施策を6つご紹介します。
1.サンクスメッセージを送り合う
2.上司と部下で1on1ミーティングを行う
3.メンター制度、ブラザーシスター制度は新入社員の早期離職防止になる
4.フリーアドレス制度を導入
5.定期的に社内イベントを開催する
6.ウェルカムランチ開催も効果的
6つ全てを導入するのは難しいですが、1つからでもかまいませんので、自分の職場に合った取り入れやすいものから試してみましょう。
3-1.サンクスメッセージを送り合う
比較的手軽に導入できるのが「サンクスカードを送り合う」という施策です。
サンクスカードとは、日々の仕事の感謝のメッセージを名刺大のカードに書き、社員同士で送り合う仕組みです。
ザ・リッツ・カールトン東京や東京ディズニーリゾートが取り入れていることで有名ですが、最近では、ネット環境を利用してもっと手軽にメッセージを送り合うことができるサンクスカードアプリも登場しています。
社員同士の感謝のメッセージにプラスして、少額のインセンティブを送り合える「Unipos(ユニポス)」というwebサービスもあります。
「差し込み案件が入り大変だった時、さっと仕事を巻き取ってくれてありがとう!」「契約書作成を急ぎで行ってくれたおかげで、顧客との商談がスムーズ運びました」
などなど、日々の仕事での感謝に、ありがとうのメッセージとともに少額のインセンティブを添えて送るのです。ちょっとしたインセンティブを添えることで送る側の「気恥ずかしさ」を軽減できること、
もらった側もインセンティブを会社が定めた賞品と交換できる楽しみがあることなどから、感謝し合う習慣が楽しく根付いていきます。
3-2.上司と部下で1on1ミーティングを行う
「1on1ミーティング」とは、上司と部下が30分程度の短いミーティングを定期的に行うものです。
通常は直属の上司と行いますが、役員との短い面談や他部署の上司クラスとの面談を行う場合もあります。
短い時間であっても、定期的に上司と部下が顔を突き合わせてミーティングを行うことで、上司は部下のストレス状況を把握したりメンタルの不調を早期に発見できるほか、部下も上司と密なコミニュケーションが取れる場が定期的にあることで、安心感を得ることができます。
3-3.メンター制度、ブラザーシスター制度は新入社員の早期離職防止になる
メンター制度、ブラザーシスター制度とは、新入社員一人一人に対して、先輩の社員がメンター(助言者・指導者)またはブラザーもしくはシスター(兄・姉)役となり、新入社員に対して仕事の進め方や仕事への姿勢をアドバイスしたり、社会人生活の不安や心配事を聞くなどしてサポートする教育制度です。
新入社員の入社後の緊張感や心細さを解消することができるので、早期離職防止対策になります。
3-4.フリーアドレス制度を導入する
会社におけるフリーアドレス制度とは、様々な部署の人同士の交流を目的として、社員1人ひとりの固定席を設けずに、好きな席に座って業務を行う制度です。
やり方は企業ごとにさまざまあり、毎日座る席をシャッフルする企業もあれば、数ヶ月ごとに定期的な席替えを行う企業もあります。
3-5.定期的に社内イベントを開催する
定期的に行われる歓送迎会などの他にも、さらに社内の親睦を深めるために定期的に社内イベントを開催しましょう。
規模の大きい会社であれば、普段なかなか話すきっかけがない支店や他店舗の人たちと交流でき、社内のコミュニケーション活性化が期待できます。
社内旅行や社内運動会、夏場ならバーベキュー大会などが一般的ですが、企業ごとにオリジナルのイベントを企画してみることもいいでしょう。
強制的に参加をさせるのではなく、こんなイベントなら参加してみたい!と思わせる企画を立てることが大切です。
3-6.ウェルカムランチ開催も効果的
「ウェルカムランチ」とは、新たに社員が入社したタイミングで、先輩社員が新入社員と一緒にランチに行く制度です。
新卒の社員だけでなく中途入社したスタッフに対してもウェルカムランチを開催し、温かい雰囲気で迎え入れましょう。
ウェルカムランチだけでなく、他部署との交流を目的とした「ランチ会」を定期的行うのも効果的です。
ウェルカムランチには会社から補助を出しているケースが多く、補助が出ることで気軽に開催することが可能になります。
4.風通しの良い職場づくりの4つの事例
すでに風通しの良い職場づくりに成功している4つの事例もご紹介します。
どの企業も「あれもこれも」と一度に取り入れるのではなく、ひとつの施策をしっかりと行うことで成果を挙げていることに注目してください。
4-1.ヤフー株式会社(1on1ミーティング)
ヤフーの社内施策として有名なのが、1on1ミーティングです。ヤフーが行なっている「1on1」は「週に1度30分間、場所を確保し、部下の話を聞く」というシンプルなもので、あくまでも部下のためのミーティングとして行われています。
「1on1」を行うベースとなるコンセプトとして、①「経験学習」というスキームの導入 ②社員の才能と情熱を解き放つことを挙げており、1on1を受ける部下自身がまだ気づいていない潜在力を引き出すために行うとしています。
1on1を導入する際に「そんな時間は捻出できない」「部下の愚痴を聞くはけ口で終わりそう」などの声が上がったようですが、外部の専門家にアドバイスを受けつつカリキュラムをヤフーに合うものにブラッシュアップしたり、管理職が行う1on1のスキルやフォーマットに磨きをかけていき、徐々に文化として浸透させることに成功しました。
4-2.ヤマハ発動機株式会社(社内報)
ヤマハ発動機株式会社は、2016年1月から社内報のイメージを大きくリニューアルしました。
リニューアルした社内報『Reves(レヴズ)』は、社員がバックに入れて家に持ち帰りやすく、読みやすくするという狙いからコンパクトなB5サイズを採用しています。
フルカラーで写真やインタビューを多く盛り込んでおり、従来の社内報のイメージではありません。
よくある社内報は、経営者クラスからのメッセージや製品紹介、決算発表など無難なコンテンツで占められているものですが、
『Reves』の場合、例えば職人たちの物語、社史をブランドの視点からとらえ直したブランドストーリーなど、古参の社員だけでなく若手社員の興味や関心を引くコンテンツを盛り込んで作られています。
この社内報のリニューアルによって、社内報の閲読率は年々増加し、2018年には84.8%となっています。(社内アンケートの結果)
実際の『Reves(レヴズ)』の紙面はこちらで確認できます。→ヤマハ発動機社内報Revs[レヴズ]- Yamaha Motor Co., Ltd.
4-3.ライフネット生命保険株式会社(相互理解・関係性の可視化)
ライフネット生命保険株式会社は、「社内の信頼関係強化」を目的として、1人ひとりの仕事の貢献を可視化する『Unipos』というwebサービスを活用しています。
専門性の高い業務のため、職場でのコミュニケーションが、時に1人ひとりの内に閉じてしまうことがあったというライフネット社。
どんな仕事をしているかを互いがもっと知り合うことで、オープンなコミュニケーションが促進され、もともとあった「信頼の文化」を更に強固にすることができるのではと、
社員同士が日々の仕事の感謝をオープンに送り合う『Unipos』を導入したそうです。
閉じた環境での感謝のし合いの可視化はずっと必要だと感じていたんですよね。
私が以前にいたお客さまの保険の申し込みの審査を行う部署では、すべての審査が終わらないと退勤ができない。
だから誰かが会議で離席して進められなかった分はほかのメンバーが補うなど、チーム作業が日常となっていました。こうしたチームワークに対する感謝を、相手にはもちろん、もっと社内にも日常的に表せるようにしたかったんです。
詳しい活用事例はこちらで確認できます。→社内に溢れる「ありがとう」をリアルタイムに可視化ー信頼の文化がより一層強まった
4-4.日本マイクロソフト株式会社(フリーアドレス制度)
日本マイクロソフト(株)が取り入れているのは、フリーアドレス制度です。
契機となったのは、2011年2月の本社移転です。それまでは、部署ごとに各人のデスクがパーテーションで区切られているような日本企業によくある座席の配置がされており、コミュニケーションの範囲は限られている状態でした。
品川に本社移転後は、フリーアドレス制度を取り入れ、本社で働く約2500人のうちの60%は自分のデスクを持たず、好きな場所で業務を行なっています。
フリーアドレス制度を取り入れたことで、部署や上下関係の壁を超えたコミニュケーションが可能になり、以前よりもコミュニケーションが活発に行われるようになりました。
2011年3月の東日本大震災発生をきっかけにしてテレワークも推進されるようになり、さらに自由度の高い働き方を実現しています。
社内の風通しを良くし、従業員の生産性を上げるカギとなる”心理的安全性”について徹底解説!
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。デメリットは一部ありつつも、風通しの良い職場をつくるメリットの方がずっと大きいこと、ご理解いただけたのではないでしょうか。
できることからでもいいので取り入れて、会社の成長を左右する風通しの良い職場へと、一歩ずつ近づいていきたいものですね。
最後に、風通しの良い職場づくりのための6つの施策を復習しておきましょう。
1.サンクスメッセージを送り合う
2.上司と部下で1on1ミーティングを行う
3.メンター制度、ブラザーシスター制度は新入社員の早期離職防止になる
4.フリーアドレス制度を導入
5.定期的に社内イベントを開催する
6.ウェルカムランチ開催も効果的
ご自身の職場に合ったもので始めやすいものから、まずは初めの一歩を踏み出していってくださいね。