マネジメントとリーダーシップの違いとは?学ぶための本や研修も紹介

3.マネジメントとリーダーシップの違い

それでは、一見混同しやすいマネジメントとリーダーシップの違いをまとめていきましょう。

ネジメントとリーダーシップの定義の違い

先に紹介した両者の定義の違いを噛み砕いてまとめると、マネジメントはどちらかといえば、管理・調整・修正など「現在」の状況をやりくりする視点に基づいて行われます。

そのため、短期的な見通しを重んじ、現実志向の意思決定を繰り返していくのがマネジメントです。

一方、リーダーシップにおいては、戦略やビジョンといった企業が「将来」進むべき道を示すことが最大の焦点となります。つまり、一定のリスクを負いつつ、中長期的な視点で常に先を見据えた意思決定を行っていくのがリーダーシップです。

チームで果たす役割としての違い

マネジメントは、目標達成のために集団活動の維持・調整を担い、チーム全体の推進力へとつなげていきます。

リーダーが示した方向性を実現するため、戦術面の細かな策定を行うのがマネジメントにおける主な役割です。具体的には、業務の進捗状況からメンバーのパフォーマンス・健康状態・規則や秩序の遵守に至るまで包括的な視点で管理することが求められます。

プロジェクト進行の遅延、人員不足やその他トラブルなどが発生した際は、臨機応変に調整を行い、チーム活動全体を支えなければなりません。

このように、リーダーシップに求められる役割と比べ、具体的かつ実務的な側面が強くなっています。

リーダーシップは、中長期的に何を目指すのかというビジョン設定の段階で重要な役割を果たします。

「どうするか」に主眼を置くマネジメントに対して、リーダーシップでは「何をするか」をメインに発案します。

また、マネジメントは「維持」「調整」という言葉に代表されるように、業務活動や秩序の保持に注力しますが、リーダーシップは将来を見据え、既存のやり方やシステムを変革する役割を担うことも少なくありません。

さらに、チームの士気を高め鼓舞する、メンバーのモチベーションに気を配るといった定性的な役割が求められるのもリーダーシップならではの特徴です。

求められる能力の違い

まず、マネジメントにおいて特に求められる能力や特徴は、客観的・論理的思考力、計画策定力、観察力、管理調整能力、人材育成力などが挙げられます。

適切なマネジメントを実践するには、あまり遠くの目標ばかりに気を取られるのではなく、現実的思考に基づき現状の組織運営に何らかの歪みや課題が見られないか注視しなければなりません。

また、各メンバーから上がってくる報告やアイディアを公平な視点で捉え、集団全体の利を考慮できる冷静な思考力が求められます。

さらに、こうした論理的判断をベースとしながら、チーム全体の雰囲気や各メンバーとの信頼関係を良好に保つコミュニケーション能力も大切な要素となります。

そして、優れたマネジメントにおいては、各メンバーの業務を評価するだけでなく、数年後を視野に入れた各々のキャリア開発支援に前向きに関わっていく姿勢が必要です。

リーダーシップに必要な能力や特徴としては、目標設定力、意志力、先見性、決断力、行動力、誠実さ、カリスマ性(人間的魅力)、創造性などが挙げられます。

まずリーダーは、ビジョン設定において、経済や業界の動向、これから企業が進むべき方向性などを適切に把握し(先見性)、チームメンバーのモチベーションを十分引き出せる最適な目標を示す必要があります。

また、予期せぬ事態や困難な状況に直面した際には、チーム全体で方向性を再確認し、力強く先導していく意志力や行動力が問われるケースも少なくありません。

「このリーダーなら信用できる」とメンバーに思わせるだけの人望や誠実な人柄もリーダーシップには求められます。

そして、優秀なリーダーは既存の枠組みを打破し、新たな価値を創造するきっかけをも作り出します。単に自身の発想のみに頼るのではなく、チームメンバーの創造性を見出し、適切に育んでいく姿勢も重要です。

4.マネジメントとリーダーシップの違いを学べる本

ここでは、マネジメントとリーダーシップの違いを学ぶために、おすすめの書籍を紹介していきます。

「リーダーシップとマネジメントの違い」/ジョン P. コッター著(ダイヤモンド社)

1つ目は、ハーバードビジネススクール名誉教授ジョン P. コッターが執筆した論文をまとめた電子書籍です。

著者のジョン・コッターは、リーダーシップ論の権威として世界的評価を集めている人物で、数多くの経営者が彼の理論を学び実践に役立てているといわれています。

元々は「DIAMONDハーバードビジネス・レビュー(2011年9月号)」に掲載された論文を、ダイヤモンド社が翻訳・編集し2015年に電子書籍版として発売しています。

サブタイトルには「両者は補完関係にある」と記されており、まさに本文で扱っているリーダーシップとマネジメントの関係性を理解するうえで最適な1冊です。

著者は「複雑な状況」にうまく対処できる「冷めた」要素を含むのがマネジメント、「変化」に動じずうまく乗り越える「熱い」要素を伴うのがリーダーシップだと説いています。

そして、新しい環境への適応と競争の激化が避けられず、大規模な変革が求められる状況下ならば、より一層リーダーシップが求められるようになると主張しています。

過去に雑誌の一部に掲載されていた論文のため、ページ分量も少なく、短時間でリーダーシップとマネジメントの相違点と補完関係を体系的に学びたい人に最適です。

「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと」/マーカス・バッキンガム著(日本経済新聞出版)

フリーのコンサルタント兼作家で、リーダー及びマネジャーの実践における世界的権威として知られるマーカス・バッキンガムが執筆した本作。

2006年に日本経済新聞出版より発売され、国内でもベストセラービジネス書籍としての地位を確立しています。リーダーとマネジャーの「たったひとつの本質的違い」を追求、調査と科学的アプローチに基づいた核心部分を提示した一冊です。

著者は、まず「よりよい未来に向けて人々を一致団結させること」がリーダーの考えるべき要点だと指摘しています。リーダーたる者、未来へのイメージを明確化したら、決して情熱的で弁舌に長けている必要もなく、とにかくアイディアが相手に明確に伝わるよう説得することがすべてだと説きます。

一方、マネジャーが唯一考慮すべきポイントは「部下の一人ひとりの特色を発見し、それを有効活用する」ことに限ると提示。マネジャーは、各々の部下の個性や強みをしっかり観察し、それらを活かして将来成功できる計画立案に専念すべきと著者は述べています。

一見、抽象的な印象を抱くかもしれませんが、本著は具体的にどのように行動すればいいのかも含めてわかりやすくまとめられているので、理解度が深まりやすいのが特徴です。

本著で示されたシンプルな法則に則れば、誰もが局面に応じてリーダーとマネジャーの特質を賢く使い分けることができるでしょう。

また、学術論文のようなタイプとは異なるので、堅苦しい文体に抵抗がある人でもスムーズに読み進めることが可能です。リーダーやマネジャーの立場にある人以外でも、有益な発見を得られそうな一冊となっています。

次ページ「マネジメントとリーダーシップそれぞれの必要性」

組織に関する悩みを解消しませんか?改善するためのヒントや実践方法をご紹介!

テスト