モチベーションを上げる具体的方法9つ|リーダーが部下へできること

2.「自分」と「他人」のモチベーションを上げる具体的な方法

モチベーションを上げたいと思う時は、どんな場面でしょうか。

「勉強や仕事を頑張りたいのになんとなくやる気が出ず、なかなか進められない」

「チームにいまひとつやる気のない部下がいるが、なんとかモチベーションを上げてチーム一丸となって頑張りたい」

前者は「自分の(内発的)」モチベーションを上げられないパターン、後者は「他者の(外発的)」モチベーションを上げたいけれどどうしたらいいかわからないパターンといえるでしょう。

ケン・ブランチャードは著作の中で、「仕事」へのモチベーションを上げるための柱が3つあることを、動物になぞらえて以下のように述べています。

  • リスの精神:仕事が「重要」と理解し、「やりがい」がある仕事をする
  • ビーバーの行動:自己管理をし、「達成可能」かつ「挑戦的」な仕事をする
  • ガンの贈り物:一緒に仕事をする仲間への声援を惜しまず、祝福を贈り合う

『1分間モチベーション』 ケン・ブランチャード著より

この3つの柱を理解することで、自分自身のモチベーション(内発的モチベーション)を上げることができるだけではなく、他者のモチベーションを上げるためにはどんな「仕掛け」が必要か(外発的モチベーション)がわかるでしょう。

ここでは、「自分」と「他者」のモチベーションを上げるそれぞれの方法について、具体的に紹介します。

2-1. 「自分の(内発的)」モチベーションを上げる方法9つ

(1)目の前の目標をまずは「ひとつ」クリアする

脳科学者の池谷裕二氏が「やりはじめないと、やる気は出ません。脳の側坐核が活動するとやる気が出るのですが、側坐核は、何かをやりはじめないと活動しないので。」と述べたものがあります。

人は先にほんの少し行動し脳に刺激を与えることで、やる気が出ることがわかっています。
やる気を出してから何かをするのではなく、まずはほんの少しのことでも始めてみる、手をつけることで、モチベーションを上げることができます。

(2)たった一つのことをやり遂げる

まずは一つのことを最後までやり遂げましょう。そうすることで自分に自信がつき、さらにほかの仕事にもその自信とやる気がよい影響を生み出します。

(3)時間を区切って行う

「1時間だけ頑張る」と区切りを決めることで時間とのかかわりかたを濃密に、積極的にします。

ただし、あまりに短い時間でいくつもに区切ると大局が見えなくなり、目の前のことを片づけるだけになってしまい、逆にモチベーションが下がってしまいます。何かを行うときは時間を区切ると同時に、長期的なスパンで仕事の流れや目標を見る機会も設ける必要があります。

(4)長期的視点をもち具体的目標をかかげる、ただしがんばりすぎない

目先のやるべきことだけをただ繰り返すのではなく、自分が取り組むべき新しいことを探し出すこともモチベーションアップには必要です。
高く広い視野をもち、長期的スパンで計画をたてます。

ただし、あまりに綿密な目標は逆効果になることもあります。一方で漠然としすぎていてもモチベーションは持続しないでしょう。実現可能な目標を掲げ、そこに至るための具体的な道筋をつくることが大事です。

(5)成功をイメージする

イメージトレーニングはスポーツや様々な分野で有効とされています。成功や達成にいたるまでをイメージすることはモチベーションを上げることにも役立ち、イメージした結果を誘導しやすくなります。

例えば五輪2連覇の羽生結弦選手は、2度目のオリンピックの直前に大きなけがをしてしまいましたが、本番までの限られた時間、実際の練習ができない中で何度もジャンプのイメージトレーニングをして挑んだそうです。勝ちたいという欲求と勝つイメージを具体化することが実を結んだのでしょう。

(6)やるべきことや成果を「見える化」する

やるべきこと、目標をはっきり見えるようにする、また成果を具体化することで、実際に行動するハードルは下がります。

(7)習慣(ルーティーン)化する

時間や場所を決め、「この場合はこうする」ということをパターン化、ルーティーン化します。習慣になると一定の条件がそろうことで行動するスイッチが入ります。
上記(1)で述べたように、まず行動してしまえばモチベーションは後からついてきます。

(8)他者視点でフィードバックする

例えばスポーツにおいて、フォームを撮影しておかしいところがないか見返したり、鏡を見ながらトレーニングすることはよくあります。鏡やビデオは他者の視点です。自分だけの視点ではなく周りの人からどう見えているかを定期的に意識し、自分の行動を見返して改善点を見出すことを習慣化すると「もっと良くしていこう」というモチベーションが高まります。
このため、率直な他人の意見を求めることも必要です。

(9)ライバルや目標とする人を定める

「あの人に負けたくない」「あの人のようになりたい」という気持ちは自分を奮い立たせることに役立ちます。
数字で比較するだけでなく、ライバルを設定し、お互いに切磋琢磨することでより高めあうことができます。
また目標とする人を定め、その人の行動を「まねる」ことで、自主的に「学ぶ」ことにつながります。

2-2. 「他人の(外発的)」モチベーションを上げる方法9つ

他人のモチベーションを上げるのも、基本的には自分のモチベーションを上げる方法と同じです。

そのほかに特徴として、外発的モチベーションを上げる要素には内発的モチベーションとは異なり「集団の力を使える」ことが挙げられます。
上司は組織のたくさんの人のコミュニケーションを図り部下のモチベーションを上げる「環境」「仕組み」づくりを心がけることが大切です。

(1)「何をするか」宣言させる

目の前の目標をまずは「ひとつ」クリアさせることが内発的モチベーションのきっかけにもなると上記で述べました。
これを外発的モチベーションへ応用するために、宣言する機会を設けます。「やります!」と言ったのにやっていないとほかの人の手前恥ずかしいとなり、期日や期限までに頑張ろうという意欲になるでしょう。

ただし、あまりに理不尽な目標を宣言させてしまうと逆効果になるので、目の前の小さなひとつ、小さなステップになる宣言をさせることがポイントです。

内発的モチベーション(2)で述べたとおり、一つのことを最後までやり遂げることで自信がつき、ほかの仕事にもよい影響を生み出します。そのためのきっかけとして「宣言」は有効です。

(2)目標は短期と長期で立てさせる

これも内発的モチベーション(3)(4)の、他者への応用です。
短期的な目標と長期的な見通しを立てさせます。
またこれを(1)の「宣言」に使うとよいでしょう。

(3)目標や成果を「見える化」する

内発的モチベーション(6)の応用となります。
例えば営業ならば、朝に何をすべきかミーティングで確認しあう、毎日または週に1回など定期的に個人の成果をまとめて全員に配る、などの方法があります。

ただし、自分の(あまり良くない)成績が他者に「見える」ことで劣等感をもち、モチベーションを下げてしまう人もいます。
全体だけではなく個々人の伸び具合がわかるようにするなど、やる気を出させる工夫をするのが上司の仕事です。

(4)習慣(ルーティーン)化する

内発的モチベーション(7)の応用です。
時間や場所を特定して、「△△(場所)で週に〇回、何時には〇〇をする」「1か月のうち〇日を過ぎたらこの作業に手を付ける」などをパターン化、ルーティーン化します。
社員が習慣化するうちに慣れてきて、「今月、まだあれやってないな」「今日いつもならあれをするのにできていない、終わらせなきゃ」と、なんとなく落ち着かないように自発的に感じられれれば大成功でしょう。

全体を統括する上司としては、無理のあるスケジュールを押し付けないようにするのがポイントです。

(5)フィードバックする

ここから、組織や集団など、内発的モチベーションではほとんどきっかけにならなかったものからよい影響を与える方法になります。

フィードバックは、内発的モチベーション(8)の応用です。
ただし、自分で見る、身近な人にアドバイスをもらうだけでなく、組織や仕事のチーム全体でお互いを見て意見を述べ合います。
よいところ、悪いところなど、忌憚なく発言できる、メッセージを送れる環境、そしてそれができる社風(文化)が必要となります。

(6)ロールモデルを設定する

内発的モチベーション(9)の応用です。

ライバルや目標を定めて切磋琢磨し身近でまねる(学ぶ)ことは内発的モチベーションを上げるのに有効だと述べました。
これを組織にあてはめ外発的モチベーションのきっかけにするには、誰かひとりの全体をモデルにするのではなく、お手本となる各人のスキルを分解し、それぞれをロールモデルとして設定することになります。
例えば、事務処理のマルチタスク能力はAさん、営業でのトーク力はBさん、資料をまとめプレゼンする力はCさん、職場内をよい雰囲気にするDさんなど、各人のよいところを取り出して、不足している社員はそれをモデルとして学ぶことになります。

これは一部署や一チームではモデルとなる人物がいない場合もあるため、上司は他部署や他部門、ときには協力会社などとのつながりを使って、よいロールモデル(の能力をもつ人物)との接点をつくる必要があります。

(7)失敗を恐れる必要のない環境をつくる

一人だけなら、大きなことに挑戦して失敗した場合のリスクを考え、挑戦をあきらめてしまうかもしれません。
そんなとき、集団で責任を担い、一緒に同じ目標に向かって支えあいながら進むことでモチベーションをアップさせられます。

また、共感しあえる仲間がいることも重要です。仕事でつらいときも「わかるよ」「私もだよ」とお互いに声を掛け合うことでモチベーションが上がり、解決するための新しい考えも一緒に考え出せるでしょう。

上司は円滑なコミュニケーションがとれる環境、組織をつくることに注力する必要があります。コミュニケーションがとれなければ、この「外発的モチベーション」のとても長所となる点を活かせません。

(8)互いの仕事を認め、感謝し合う文化をつくる

「ありがとう」これは外発的・内発的両モチベーションにつながる貴重な「報酬」です。

「ありがとう」などの感謝を受け取ることで、人は自分の行動や仕事が誰かの役に立っている、組織のためになっていることを実感できます。

一方、そうした貢献が認められず「やって当たり前」といった環境の中にいると、仕事の意義や意味を見失い、モチベーションは低下しやすくなります。更に組織の細分化、分業化が進んでいる場合「どうぜ私の仕事は歯車のひとつ、自分がいなくなっても何も変わらない…」などという考えに陥り、更に状況を悪化させてしまいがちです。

「やって当たり前」ではなく、日々職場の中で生まれる一人ひとりの「貢献」を認め合うことが、モチベーションの高い職場づくりには欠かせないのです。

例えば「サンクスカード」など、従業員同士が「○○さん、○○をしてくれて助かりました!ありがとう」といった具合に、日々の感謝をカードに書き送り合う仕組みは、お金を掛けず気軽に始められ職場の雰囲気が良くなる、従業員のモチベーションアップにつながるなど、おすすめの施策の一つです。アナログなので人数規模が多いほど運用が負担にはなりますが、導入している企業も数多く存在します。

サンクスカードのデメリットとメリット|導入のおすすめポイント紹介

また、現在はこうした「サンクスカード」をweb上で送り合えるようなサービスも登場しています。カードよりも社内運用が楽、思い立った時すぐにパソコンやスマホからメッセージを送れるため感謝の送り合いが更に活発になる、などのメリットで注目を集めているようです。

(9)まずは自分自身のモチベーションを上げる

上司自身が、モチベーションを上げ、頼ってくる部下のモチベーションを上げられるようにしましょう。

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