心理的安全性が低い職場の原因と特徴とは?リスクや対策を解説

チームの生産性向上に欠かせない要素として、いま多くの企業で注目を集める「心理的安全性」

「もしかしてうちのチームって心理的安全性が低い…?低いとしたら、チームにどんな影響があるのだろう」

そんな風に気になっている方も多いのではないでしょうか。

この記事ではチームの心理的安全性を低下させる原因と共に、心理的安全性の低い組織に見られる行動特徴を解説します。

また、その上で心理的安全性をどのように高めるか、心理的安全性が高い職場とはどのようなものなのかについてもお伝えしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。

心理的安全性が低い職場のリスク

 

心理的安全性が低い職場は、企業にさまざまなリスクをもたらします。考えられるのは、以下のようなリスクです。

  • 社員のモチベーションが低下する
  • 仕事のパフォーマンスが下がる
  • トラブルへの対応が遅れる
  • 社員のメンタルが不調になる

心理的安全性の低い職場は社員のモチベーションが低下することで、生産性が上がりません。仕事のパフォーマンスも下がり、企業の成長を阻みます。ここでは、心理的安全性が低い職場が抱える4つのリスクを解説します。

社員のモチベーションが低下する

心理的安全性の低い職場は「提案や意見をしても聞いてもらえない」という雰囲気があり、社員のモチベーションも低下しがちです。仕事の裁量権を感じられなくなり、熱意や意欲もなくなるでしょう。自ら進んで働くのではなく「仕事をしている様子を演出する」ことを重視するようになります。自分の仕事に価値を見出せず、「与えられた仕事をこなしているだけ」の状態に陥いることも少なくありません。

仕事のパフォーマンスが下がる

モチベーションが下がり、仕事への意欲をなくすことで、社員は本来の能力を発揮できません。仕事のパフォーマンスは下がり、生産性も下がるでしょう。商品・サービスのクオリティ低下にもつながり、業績の低迷を招きます。業績の悪化は社員の給与や賞与にも影響し、さらに社員のモチベーションを下げるという悪循環に陥ることにもなるでしょう。

仕事のパフォーマンスが下がる

モチベーションが下がり、仕事への意欲をなくすことで、社員は本来の能力を発揮できません。仕事のパフォーマンスは下がり、生産性も下がるでしょう。商品・サービスのクオリティ低下にもつながり、業績の低迷を招きます。業績の悪化は社員の給与や賞与にも影響し、さらに社員のモチベーションを下げるという悪循環に陥ることにもなるでしょう。

トラブルに迅速な対応ができない

心理的安全性の低い職場は情報の共有もうまくいかず、トラブルに迅速な対応ができません。ミスやトラブルを起こしても報告しづらい雰囲気があり、対応が遅れることもあります。違和感に気づいても、気軽に発言できない環境では伝えることをためらいがちになるでしょう。その結果、重大なトラブルや事故につながる可能性もあります。

社員のメンタルが不調になる

モチベーションの上がらない職場は離職者も増え、社員が定着しなくなります。既存社員は退社した社員の穴埋めをしなければならず、負担が増えるでしょう。ストレスも大きくなり、メンタルが不調になる社員も現れやすくなります。さらに離職が加速するという悪循環にも陥りかねません。心理的安全性が低い状態のままでは、企業の存続も脅かします。

心理的安全性が低くなる原因と行動特徴

なぜ、チームや組織の心理的安全性は低くなってしまうのでしょうか。心理的安全性の提唱者であるハーバード大学ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授によれば、心理的安全性を低下させる原因は職場内の「対人リスク」です。対人リスクとは何かというと、具体的には下記「4つの不安」です。

無知だと思われる不安

「こんなことを聞いたら、”この程度のこともわかっていないのか”とバカにされてしまうだろうか?」

など、他のメンバーから自分が無知であることを責められるのではないかと思う不安です。

【行動特徴】

わからないことを誰かに相談しよう、質問しようとしても不安が大きく、すぐに行動に移せません。その結果不明点を確認するために必要なコミュニケーションが取れず、仕事でミスを引き起こしてしまう可能性があります。

無能だと思われる不安

「こんなミスをして”なんて仕事ができない奴なんだ”と思われたらどうしよう…」

自分の仕事のできなさを他のメンバーから責められてしまうのではないかと思う不安です。

【行動特徴】

自分が無能であると思われないようにするのが先立ってしまい、仕事のミスをほかのメンバーに報告しなかったり、ミスをしたことを認めなかったりします。

そうすると問題が明るみに出ずにメンバーで共有できなくなりますし、後になってから大きなトラブルに発展することもありえます。

邪魔をしていると思われる不安

「ここで異論を挟んだら、せっかく意見がまとまりかけているのに、邪魔をしていると思われるだろうか」

メンバー同士で議論をしている際などに自分の発言で議論が進まなくなったら、「邪魔をしている」と思われてしまうのではないかという不安です。

【行動特徴】

議論などで発言を控えるようにります。自分から意見するメンバーが減ると新しいアイデアが生まれにくくなりますし、組織にとって有意義な意見が得られにくくなるデメリットがあります。

ネガティブだと思われる不安

「プロジェクトに懸念があるから指摘したいけど、ネガティブな奴だと思われたどうしよう」

考え方がネガティブでいつも否定してばかりだとか、否定的な発言で和が乱れる、などと思われてしまうのではないかという不安です。

【行動特徴】

本来ならほかのメンバーに指摘すべき場面でも躊躇してしまいます。

業務の改善などを目指した前向きな指摘だったとしても、少しでもネガティブな要素があるだけで発言しなくなってしまいますので、組織の問題や課題の解決に遅れが出てしまう可能性があります。

以上、自分のチームの心理的安全性が低いのかどうか気になった方は、まず上記4つの行動がどの程度見られるかを改めて振り返ってみるとよいのではないでしょうか。

心理的安全性を測定する方法

自分のチーム・組織の心理的安全性の状態を知りたい場合、何か有効な方法はあるのでしょうか。

前章で解説した4つの不安に基づく行動がどの程度見られるかを振り返るのもよいのですが、ここではエドモンドソン教授が考案した「心理的安全性を測る7つの質問」をご紹介します。

メンバーの回答を集計することで、組織全体の心理的安全性の目安を把握できます。

7つの質問で心理的安全性を測定する

エドモンドソン教授が提案した7つの質問をメンバーに投げかけ、自分に強く当てはまるかどうかを尋ねることで、心理的安全性の程度を測定できます。

7つの質問を記したアンケートをメンバーに渡して記入してもらいそれを集計する、あるいは上司と部下との普段からのやりとりや面談時に、上司から7つの質問について聞いてみる、といった形でもよいでしょう。

▼心理的安全性を測る7つの質問

  1. チームの中でミスをすると、たいてい非難される。
  2. チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。
  3. チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。
  4. チームに対してリスクのある行動をしても安全である。
  5. チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。
  6. チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。
  7. チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。

出典:「「効果的なチームとは何か」を知る」(https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/)

1、3、5の程度が低く、2、4、6、7の程度が高いメンバーが多いほど、組織の心理的安全性が高いとわかります。

心理的安全性を高める6つの方法

心理的安全性を高めるためには、社員の不安を解消することが大切です。社員が周囲に気兼ねをすることなく自由に意見を言えることが、心理的安全性が高い状態といえるでしょう。心理的安全性を高めるには、会社や各部門の管理職による積極的な取り組みが不可欠です。ここでは、不安を解消して心理的安全性を高めるために会社や管理職ができる方法について、詳しく解説します。

定期的に面談を行う

職場では、上司が率先して部下とコミュニケーションをとる工夫が求められます。コミュニケーションの機会を増やすために有効なのが、定期的な面談です。定期的に面談の機会をつくることで関係性を構築でき、部下の仕事の悩みを聞き出せます。

特に効果的なのが、1on1ミーティングです。上司と部下が1対1で行う定期的なミーティングのことで、1回あたり15分~30分程度の短い時間で行います。

毎週・毎月などできるだけ高い頻度で繰り返し行うことで、話しやすい雰囲気をつくります。上司は社員の本音を引き出せるよう、傾聴の姿勢で対応することが大切です。上司が話を聞いてくれることで社員は安心し、心理的安全性を高められるでしょう。

1on1は双方の心構え、やり方が非常に重要なので、効果的な1on1についてはぜひこちらの記事も参照してみてください。

★合わせて読みたい★

1on1とは?意味や目的、進め方のルールを解説

効果が上がる!1on1ミーティングの進め方と6つのポイント

完璧ではなくてもOKと伝える

日本人は世界的に見ても「完璧主義だ」などと言われることがよくありますが、

実際職場で「完璧なものをつくってからでないと、上司に相談できない」「完璧に自分の考えをまとめてからでないと、人に話を聞いてもらうなんてできない」

そう思い込んで納期ギリギリまで粘り、いざ提出したら求められていたものと異なり修正が間に合わない、といった経験をしたことがある人も少なくないのではないでしょうか。

「完璧なものを出さないと怒られる、恥をかく」そうした恐れが社員の心理的安全性を低下させ、会社の生産性を低下させます。

こんな時は「完璧は必要ないから、6割でできた段階で一度見せてね!」など、上司自らが声をかけ、粗削りでも煮詰まったら気軽に相談して大丈夫だよ、

という姿勢を見せるとよいでしょう。

意見を出し合える場をつくる

年齢や役職を問わず、安心して意見を出し合える場をつくりましょう。自分より立場が上の人に意見をいうのは勇気がいることです。「受け入れてもらえないのではないか」と思うことも多いでしょう。

心理的安全性の高い職場を目指す場合は、すべての社員が誰にでも安心して自分の意見を発信できる環境にしなければなりません。いきなり意見や提案を求めるのではなく、自由に発言できる場をつくり、さまざまな立場の者同士が気軽に話し合うようにするとよいでしょう。

その際は、上司や先輩社員も部下・後輩の話を否定せず、じっくり耳を傾けることが大切です。発言に慣れることにより、会議などで意見を述べるときの不安も減ってくるでしょう。

仕事が忙しくてコミュニケーションできないといった場合には、ビジネスチャットを使って意見交換する方法もあります。出張の多い上司でもビデオチャットで会話することによって、コミュニケーション不足を解消でき、仕事の課題も共有できるようになるでしょう。

多様な価値観を受け入れる

心理的安全性を高めるには、すべての社員が「自分の存在が受け入れられている」と感じられなければなりません。そのためには、多様な価値観を受け入れることが大切です。

まずは多様な価値観が存在することを認め、自分と異なる価値観を否定することを避けましょう。「いろいろな考え方がある」ぐらいに受け止めて、意見交換を行ってください。自分が受け入れられていると感じた社員は、心理的安全性を高められます。

問題はポジティブに捉えて行動する

上司が否定的な意見を出す職場は、ネガティブな雰囲気が漂いがちです。ネガティブな雰囲気は社員のモチベーションを下げ、自分も誰かの意見に否定的になりやすくなります。

特に上司の言動や雰囲気は職場に影響をおよぼすため、意識してポジティブに努めることが必要です。問題が起きたときも、できるだけポジティブに捉えて行動するようにした方がよいでしょう。

上司がポジティブに動いていれば、社員も物事をポジティブに捉えられるようになり、心理的安全性の高い職場に変化していきます。

称賛し合う文化をつくる

心理的安全性を高めるために役立つのが、ピアボーナスです。ピアボーナスとは、社員同士が成果や貢献を評価・称賛し、報酬をプレゼントし合うシステムを指します。

アプリや社内チャットツールから、称賛をおくりたい相手にポイントやメッセージを送信します。集まったポイントは景品などと交換でき、称賛を受けた社員は多くの報酬を獲得できるという仕組みです。

ピアボーナスをおくられた社員は職場で必要とされていると感じ、心理的安全性を高められます。お互いを認め合う環境がつくられ、称賛し合う文化を醸成できるでしょう。

おすすめは「Unipos(ユニポス)」

ピアボーナスはさまざまなサービスが提供されていますが、特におすすめなのは「Unipos(ユニポス)」です。

おくり合ったメッセージは全社員がリアルタイムに閲覧できるため、社員同士の相互理解が高まります。隠れた貢献が可視化されることで、社員のモチベーションも高まるでしょう。

称賛をおくり合うことが習慣となり、社員は日々の仕事が認められているという実感を得られます。心理的安全性の高い状態になり、モチベーションも向上するでしょう。

心理的安全性を高める「Unipos」の詳細はこちら

「心理的安全性が高い=馴れ合い職場」は間違い!チームづくりの注意点

心理的安全性とは「安心して自分の意見を言える状態」のこと

「心理的安全性」とは、ハーバード大学ビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が提唱したサイコロジカル・セーフティ(psychological safety)を日本語訳した言葉です。

心理的安全性とは、組織のメンバーの誰もが不安や恐れを感じることなく、自分の率直な意見を自由に言えて、行動できる状態を指します。

そして心理的安全性とは、メンバー同士が何でも言い合える関係性ですが、単なる仲良しグループや馴れ合いではありません。

空気を読んで行動や発言をするのとはむしろ真逆で、それまでの通例や伝統を否定するようなことであっても不安を感じることなく自分の意見が言えるので、健全な対立やディスカッションが頻発することになります。表面的にはざっくばらんに何でもモノが言い合えるが、対立や食い違いは避ける。これはいわゆる「ヌルい組織」で、心理的安全性があるとは言えません。

関連記事:心理的安全性とは?高める5つの方法とメリットを解説

まとめ

以上みてきたように「心理的安全性」とは、チーム内の誰もが不安や恐れを感じることなく自由に発言・行動できるので、個々の力を最大限発揮しやすい状態といえます。

一方で心理的安全性がない組織/チームでは、1人ひとりが4つの不安に支配され自由に発言・行動ができないため、個々人の力が発揮されにくくなっている状態といえるでしょう。

心理的安全性の浸透は多くの職場でまだまだこれからといえますが、今後企業の生産性向上のカギを握ることは間違いありません。

本記事で紹介した心理的安全性の測定方法や高めるための実践方法などをぜひ取り入れ、明日からのチームづくりに役立てていただければ幸いです。

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