JAL再建の立役者が語る、コロナ危機を乗り越えるために経営者がすべきこと(Uniposウェビナー)

多くの企業にとってコロナ禍の現状はまさに未曾有の危機です。コロナ禍で影響を受けるのは業績だけではありません。

従業員は不安を抱えており、経営陣が適切に対処できなければ組織自体が崩壊してしまう可能性もあります。

では、コロナ危機を乗り越えるために経営陣は何をすべきなのでしょうか。

かつて日本航空(JAL)が経営破綻した際、稲盛和夫氏と共に再建を成し遂げた大田嘉仁氏と、

ITバブルの崩壊・リーマンショック・東日本大震災と数々の危機を乗り越えてきたFringe81代表の田中弦が、

2020年5月28日開催のUniposウェビナーにて「危機に強い組織の意外な共通項とは」をテーマに緊急対談を行いました。


1. 危機の際に求められる本当のリーダーシップとは

コロナ危機において経営陣はどんな心構えで、何をすべきなのでしょうか。

大田氏はまず、「危機のときは経営者も不安ですが、一番不安を感じているのは一般社員です」と前置きし、

「経営者は社員にどうしたら安心してもらえるかを考えることが大事」と考えを述べられました。

その際に重要なのは「わかりやすく明確な方針を示す」ということ。考えすぎて使い慣れない言葉を使うと、逆に社員の不安を増幅しかねないのだそうです。

「JAL再建のときも、伝えることが重視されました」と大田氏は続けます。

「稲盛さんはJALの会長に就任した翌日、羽田空港で現場の従業員一人ひとりに声をかけてまわりました」(大田氏)

一人ひとりに直接声をかけてまわる行為は決して効率的ではありません。

トップのメッセージを伝えるだけなら、メールで全社員に送信すれば事足ります。しかし、「平時はそれでよくても、危機のときは思いが伝わらない」のだそうです。

「効率を重視するのではなく、面倒でも一人ひとりに思いを届けること。それができるのが本当のリーダーの姿なのです」(大田氏)

大田氏の言葉を受けて、田中は「リモートワークでもそれは同じですね」と同意。

「リモートワークでは物理的に声をかけるなどの行為が難しいです。だからこそ、チャットでもいいのでより積極的にコミュニケーションをとるなど、日頃から態度で表すことが大切ですね」(田中)


2. 「社員ががんばれる仕組み」をつくることで全員参加経営を実現する

稲盛会長と大田氏がJALの再建において掲げたのが「全員参加経営」でした。

全員参加経営とはすべての社員がJALのフィロソフィを共有し、異なる立場の社員についても共感しながら思いやりを持って仕事をするという方針です。

企業が危機を乗り越えようとするとき、全員参加経営による一体感が醸成されているかどうかは非常に重要だといいます。

しかし、全員参加経営やフィロソフィの共有は簡単に実現できることではありません。多くの会社では、経営層と現場に意識の乖離が発生しがちだからです。

「経営者はコストカットや成果を上げることを目標に掲げますが、そういった経営層の考えを“自分には関係ない”ととらえる社員も多くいます」(田中)

この点について大田氏は「経営者が自分ひとりでは何もできないことを自覚し、謙虚になること」が重要だと指摘。そのうえで、「社員ががんばれる仕組み」をつくるべきなのだといいます。

では、「社員ががんばれる仕組み」とは具体的にどうつくっていけばいいのでしょうか。大田氏は京セラ時代の施策を例に挙げ、次のように説明されました。

「京セラでは翌年の目標について、半年以上かけて社員自身がつくります。自分自身が関わることで社員に『がんばろう』『目標を達成しよう』という思いが生まれるのです」(大田氏)

さらに大田氏は社員に対して「なぜこの仕事をするのか」や「この仕事が世の中にどう役立っているのか」といったフィロソフィを繰り返し伝えるのだといいます。

自分自身が携わっている仕事の社会的意義を知り、目標設定などの深い部分にコミットすることで、経営層と従業員の乖離はなくなり全員参加経営が可能になるのです。


3. 危機のときこそ一体感を生むカルチャーを大事にするべき

組織としての一体感を醸成するためにカギとなるのが、企業カルチャーと相互理解です。

しかし、「カルチャー」といってもその言葉だけでは曖昧でピンとこない社員もいます

コロナ禍でリモートワークが増え、社員同士のリアルでの交流が難しい現状で、どのように企業カルチャーを育てていけばいいいのでしょうか。

田中からの質問に、大田氏は「そもそも組織とは赤の他人の集まりです。何もしないのに社長や上司に対して求心力が働くことはありえません」と指摘しつつ、

「ですが人間は寂しがりやで、仲間と一緒に働きたいと思うものです。その本質はテレワークでも変わりません」と語り、

「何のために働くのか、組織や人間の本質とは何なのかについて、丁寧に説明していけば素直に共鳴してくれるはずです」と見解を示されました。

一方で、「カルチャー」や「相互理解」は定量的に評価することが難しく、危機の際には「そんなことをしていていいのか」という意見が出ることもあります。

実際、JAL再建時にも「そんなことをしても数字につながらない」といった反対の声があったそうです。

その対応として、大田氏は「数字がすべてではありません。当時も社内で助け合うために相互理解のカルチャーが必要だと話して納得してもらいました」と振り返ります。

カルチャーや相互理解に関する施策は売上に直結しないため投資対象から外されがちですが、そこを疎かにすると組織がハレーションを起こし、危機に弱い体質になってしまうのです。

大田氏のお話は、Fringe81の組織づくりにおいても当てはまることが多々あります。

田中が例として挙げたのはテレワーク時にオンラインで上司から部下に送られた手紙です。上司が社員全員の前で部下に対する思いを読み上げ、その場に感動と一体感が生まれたのだといいます。

「エモーショナルな思いを伝えるためには、手紙のようなアナログな手段が効果的なんだと実感しました。そういった感情面の行動も組織マネジメントにつながります」(田中)

このエピソードに大田氏も同意を示されました。

「経営で大事なのは論理とエモーショナルを組み合わせること。エモーショナル(を経営に活かすこと)は難しいので、つい論理的経営だけに走りがちですが、うまく両方を組み合わせて共感を得る仕組みは大事ですね」(大田氏)

最後に大田氏は、コロナ危機に直面している経営者やマネージャーに向けて、

「危機にこそリーダーシップが問われます。社員を信じて、不安があるならそれを取り除いてあげてください。この危機にリーダーシップを発揮した経営者が、コロナ以降に発展できるのだと思います」

と温かいメッセージを送られました。

<登壇者プロフィール>

・大田嘉仁 氏

立命館大学卒業後、京セラ入社。ジョージワシントン大学ビジネススクール修了(MBA取得)。秘書室長、取締役執行役員常務などを経て、2010年、日本航空会長補佐・専務執行役員に就任。15年、京セラコミュニケーションシステム代表取締役会長、17年に顧問に就任(18年退任)。現在は立命館大学評議員、日本産業推進機構特別顧問、鴻池運輸社外取締役ほか、新日本科学、数社の顧問、(株)MTG取締役会長を務める。

 

・田中弦

Fringe81株式会社 代表取締役CEO Unipos、Uniposファウンダー

1999年にソフトバンク株式会社にインターネット部門採用第一期生として入社。ブロードキャスト・コム(現Yahoo!動画)の立ち上げに参加。その後ネットイヤーグループ創業に参画。 2001年コーポレイトディレクション入社。 2005年ネットエイジグループ(現UNITED)執行役員。同社のモバイル広告代理店部門立ち上げにかかわる。2005年Fringe81を創業、代表取締役に就任。2013年3月マネジメントバイアウトにより独立。2017年6月、東証マザーズへ上場を果たす。同月、自社の経営課題を解決してきた社内制度をサービス化し、ピアボーナス『Unipos』をリリース。テレワーク中も従業員同士の相互理解を深め組織の生産性を上げるwebサービスとして370社に利用されている。

 

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変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるための「Uniposウェビナー」とは

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働く仲間同士、異なる部門同士、企業と個人が相互理解を深めたら、組織はもっと強くなる。

「あなたの組織を一歩前へ進めるUniposウェビナー」は、変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるためのウェビナー。コロナ危機をきっかけに2020年5月開始し、毎回数百名の方にご参加いただいています。

組織課題解決やSDGsのプロ、識者、実践者を毎回ゲストにお呼びし、予測不可能な時代を生き抜く組織のあり方を共に考え、実践のヒントをお伝えします。みなさまお誘い合わせの上、お気軽にご参加下さいませ。

 

▼過去ウェビナー参加者様の実際の声

「経営陣や上層部に対してのアプローチに悩みを持っておりましたが、今回の講演で素敵なヒントをいただくことができました。どうもありがとうございました。​」

「今まで何度か同テーマのセミナーに参加しましたが、​一番腑に落ちる内容が多いセミナーでした。 ​又、参加させて頂きたく思います。」​

「いまプロジェクトを担当していますので本当に助かりました。」​

「いくつものヒントをいただけて、同じように悩んでいる方が大勢いることもわかりました。今は、さぁどこから手をつけようか、と前向きに考えています。」​

「目から鱗で感動しました。」​

 

▼次回ウェビナー情報はこちらよりご確認いただけます。

https://unipos.peatix.com/view

 

運営メディア:「あなたの組織を一歩前へ ONE TEAM Lab」 https://media.unipos.me/

主催社Unipos公式サイト:https://unipos.me/ja/

 

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