
4.問題点を払拭する評価制度の再検討方法
最後に、現在抱えている人事評価の問題点を払拭して評価制度を再検討する方法をご紹介します。一般的に人事評価制度を構築するには、1年~2年半ほどかかると言われています。
じっくりと検討し自社の成長と社員の成長をともに促せるような制度にするためにも、次の5つのステップに沿って実践してみてください。
STEP1.企業のビジョンや目標を明確にする
ビジョンとは、企業がこれから進んでいく方向性や社会に対する役割を提示することです。言い換えると、企業として達成したいことになります。
人事評価制度を作る上でも欠かせない指標となるビジョンは、下記のような場面でとても重要となります。
例えば、人事評価をするための目標設定は企業ビジョンを基として考えないと、社員と企業との間に価値観のずれが生じるように。
人事評価基準では「ビジョンをどれくらい達成したのか」は「企業にどれだけ貢献したか」とイコールになります。
PRO-Q編集部が2018年に実施した企業理念に関する調査では79%の企業が「企業理念を掲げている」ことが判明。まだ企業のビジョンが明確になっていない場合は、人事評価制度の見直しを機に検討してみましょう。
参考:経営PRO-Q「約8割が「経営理念」を掲げ、5割超がその浸透に積極的」
STEP2.自社に合う評価制度を検討する
現在の人事評価制度の問題点を洗い出し、自社に合う人事評価方法を検討してみましょう。人事評価制度を見直すときにチェックしたいのが下記のポイントです。
①評価方法や評価項目が曖昧な場合は明確化する
②評価項目ごとの評価基準を作る(5段階評価・点数化など)
③現在の評価方法や評価項目で不要なもの、追加するものを検討する
④評価のフィードバック方法や給与や人材配置への反映方法を明確にする
⑤評価をするためのチェックシートやツールの導入を検討する
人事評価制度を見直している段階で評価基準や評価方法が曖昧だと実際に評価をするときに平等な人事評価がしにくくなるため、どのような評価基準でどのようにフィードバックしていくのかまで検討しておきましょう。
場合によっては改正後の人事評価制度がうまく機能するかどうかをシミュレーションして、運営に支障がないか確認しておくことが大切です。
自社に合う人事評価制度を検討するときに、最新のトレンドや事例も交えて考えたい場合には、下記の記事も参考にしてみてください。
STEP3.評価制度を実践するためのスケジュールを計画する
人事評価制度を意味のあるものにするには、継続的に実践できるスケジュールを立てることが大切です。無料なスケジュールを立てると日々の業務に追われて人事評価まで手が回らなくなり、形式だけのものとなってしまいます。
どのような評価方法を採用するのかにもよりますが、管理職の負担が大きくなる場合や定期的な会議が必要となる場合は見直しをしている段階で周囲にも共有し、実行可能かどうかをチェックしてみましょう。
【自社で設計が難しい場合は外注やツール活用も視野に入れる】
冒頭でも述べたように、人事評価制度を自社で構築するには1年~2年半程度かかります。「定期的に話し合い一から構築し直す時間がなかなか取れない」という場合には、外部ぼコンサルティングを利用するのも一つの手段です。
客観的な視点が入ることで人事評価に対する課題がより明確となり、質の高い制度が完成する可能性があります。
また、人事評価を実践するためのスケジュールを検討したときにフィードバックをしている時間や集計をしている時間が確保できないと感じたら、人事評価ツールを活用してみるのもいいでしょう。すべてを自社で行おうとしないで、あくまでも精度の高い人事評価を継続して行う方法を考えてみてください。
STEP4.スムーズに実践できるよう管理職に周知する
実際に部下を管理し人事評価を行う管理職には、事前に人事評価制度の目的や評価方法、注意点を共有しておくようにしましょう。
とくに、管理職の負担が増えるような評価制度に変更した場合には事前に説明をして、運用時に起こりうる問題や疑問を払拭しておくことをおすすめします。
管理職の理解を得ることができれば、人事評価制度の導入がスムーズにできるようになります。
STEP5.社員には実施前に通達をする
社員にとって「人事評価の基準がわからない」「どのように評価されているのか不透明」という状態は、大きな不満につながります。
企業と社員が良好な関係を維持するためにも、人事評価制度の見直しが終わったら改良点や評価方法を通達するようにしましょう。
通達をするときには社員が納得できるように、
①人事評価制度の目的
②具体的な評価基準、評価の方法、スケジュール
③社員が行うこと(目標設定、ツーの設定など)
④人事評価制度は社員にとってどのようにプラスになるのか
という4つのポイントを押さえることが大切です。人事評価制度の実施までに時間がある場合は、社員からフィードバックを受け付けて随時改良するという方法を取り入れることもできます。
人事評価制度は社員のためにある制度なので、社員が納得のいく形でスタートできるよう努めましょう。
【ウェビナーでわかる】ビジネス変革に欠かせない心理的安全性のつくり方とは?
5.まとめ
いかがでしたか?
人事評価制度が抱えてる問題点を把握し、自社の人事評価制度を見直すことができるようになったと思います。
それでは、最後にこの記事の内容をまとめてみると
人事評価制度が抱えている問題点は次の4つ
1)企業側の評価基準が曖昧で、評価をする人によってばらつきがある
2)働き方改革を踏まえた人事評価制度になっていない
3)現在主流となっている相対評価自体に問題点が多い
4)社員と企業側で人事評価制度に対する理解に相違がある
人事評価制度を見直すときのポイントは次の3つ
1)人事評価をする目的を明確にする
2)人事評価制度が継続的に運用できるスケジュールになっているか
3)評価方法や評価基準が明確になっているか
人事評価制度を見直すための検討方法は次の5STEP
STEP1.企業のビジョンや目標を明確にする
STEP2.自社に合う評価制度を検討する
STEP3.評価制度を実践するためのスケジュールを計画する
STEP4.スムーズに実践できるように、管理職に周知する
STEP5.社員には実施前に通達をして不満を抱えないよう配慮する
人事評価制度の問題点を払拭できるような人事評価制度の見直しができ、社員と企業の双方の成長につながることを願っています。
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