
4.理念浸透を成功させる4つのポイント
ここまで、4社の理念浸透への取り組みを紹介しました。その中でも、特に理念浸透を成功に導く4つのポイントを紹介します。
3-1.トップの協力を引き出す
理念の浸透を図るのにトップの協力は重要です。理念とは企業の目指す方向やあるべき姿を示すものであり、トップの協力なくしては浸透はありません。いくらマネージャー層ががんばって現場に理念を浸透させようとしても、組織のトップが我関せずでは現場はしらけてしまうでしょう。
たとえばJALの場合は、稲森会長や大西社長といった当時の経営陣が積極的にコミットしたからこそ、現場も本気でフィロソフィーに向き合えたのです。
理念浸透に成功している企業はいずれもトップが本気でコミットしています。理念浸透を目指すのであれば、トップの協力を引き出すことは不可欠といえます。
3-2.必要なら理念の再定義を行う
理念が浸透しない理由の1つに「理念が時代に合っていない」ことを挙げました。
理念は不変ではなく、時代の変化や自社の状況に応じて再定義するべきものです。いくら理念を浸透させようとしても、現場が「ふさわしくない」と感じてしまうような内容では受け入れられるはずがありません。
1990年に最初の理念を定めたスターバックスも、その後理念の見直しを行っています。
また、クラウド名刺管理サービスを提供するSansanでは、なんと2018年から毎年、理念のアップデートを行ってきたといいます。その際、理念の策定には全社員が関わることで、“自分ごと化”にも成功しています。
3-3.日々の仕事の中で理念を目にする機会を増やす
せっかく理念を定めても、そのまま目にする機会がなければいずれ忘れ去られてしまいます。そうならないためには、日々の仕事の中で理念を目にする機会を持つことが大切です。
たとえばリッツ・カールトンのスタッフが理念の書かれたカードを常に身につけているように、JALフィロソフィーが記された手帳を全社員に配布したように、いつでも理念に立ち戻れる環境を作っておくことが重要です。
3-4.従業員一人ひとりが理念について自分の頭で考え、言葉にできるようになる
理念は、ただ作って放置するだけでは意味がありません。大事なのは従業員一人ひとりが理念を腹落ちさせ、自分の頭で考え、自分の言葉で語れるようになることです。
そこまでできてはじめて、理念が浸透したといえるのです。
たとえばスターバックスが定期的に行っているヒアリングは、まさに従業員が理念と自分を結びつける場として機能しています。自分の人生観やキャリア設計を理念と紐付けることで、理念が自分ごと化している好例といえます。
【コラム】スタッフが理念に触れる機会を増やすUnipos(ユニポス)
理念浸透を加速させるのに最適なソリューションがUniposです。Uniposは従業員同士が感謝や称賛をポイントとともに送り合うピアボーナスサービスです。理念を体現した行動を称賛すると、「どんな行動が理念を体現しているのか」がほかの従業員にも伝わり、理念の浸透が加速します。
たとえばメディカルアパレル企業のクラシコでは、理念をハッシュタグ化してUniposの投稿につけることで理念浸透に成功しています。こちらのページでは、Uniposを活用して理念浸透を実現している事例を豊富にご紹介しています。
5.現場浸透を進める際の注意点
理念の現場浸透を進める際、注意すべき点について説明します。
4-1.経営・人事の独りよがりにならない
理念を作るのは経営層や人事であることが多いのですが、それが現場への押しつけや独りよがりにならないよう注意しなければいけません。
理念や行動指針の内容が現場の感覚にそぐわないものであったり、経営層や人事だけが盛り上がったりしていると、現場の従業員は「上が何か勝手にやっているだけ」というしらけた目で見るようになってしまいます。
そうならないためにも、しっかりと現場を巻き込み、組織全体で取り組んでいくことが重要なのです。
4-2.短期的に効果が出ないからといってすぐにやめない
理念浸透は長期的な目線で見なければなりません。
理念を作ったからといってすぐに浸透するものでもなく、また理念が浸透してきたからといってすぐに業績に好影響が出るものでもないのです。
重要なのは途中でやめずにやり続けること。理念の浸透は、少なくとも半年、あるいは年単位で見ておく必要があります。
まとめ
ほとんどの企業が理念浸透の必要性について実感しているにも関わらず、理念浸透に成功している企業はそれほど多くないのが現状です。
理念浸透がうまくいかない理由は様々で、どの企業にもあてはまる特効薬はありません。
だからこそ、理念浸透を目指すのであれば、成功事例から学ぶことがおすすめです。今回紹介した4社の事例はまさに理念浸透のお手本であり、得るものも多いのではないでしょうか。
今回解説した成功のポイントを踏まえて、理念の浸透を目指してみてください。