リクルート社の事例からみる心理的安全性の重要性とは

3.リクルートのエンゲージメント経営

大手企業である株式会社リクルートホールディングスが行っているエンゲージメント経営では、心理的安全性の向上が欠かせないものとして挙げられています。

リクルートが心理的安全性に注目した背景とは

リクルートは2014年に上場し、働き方改革、グローバル化などを進めた結果、異なるバックグラウンドを持つ従業員が増加しました。

「価値観の違いを埋めるためには会社の支援が必要である」という結論にたどり着いた後の行動は早く、EXD部が発足しました。

EXD部とはEmployee Experience Design部の略で、「従業員のパフォーマンスの向上」「行動指針のバリューズを有言実行するための組織づくり」を目的としています。

同時に、リクルートのバリューズのひとつ「個の尊重」を重要視するのであれば、心理的安全性は必須であるという考えに至りました。EXD部の最終目標も自社従業員の思いを最大限に実現できる組織づくりへと変化しています。

具体的な施策4選

リクルートでは、心理的安全性の向上のためにさまざまな施策を展開しています。

たとえば、社内メールマガジン「WOW通信」は社内コミュニケーションを目的としてはじめられました。その内容は3つ、内定者が従業員にインタビューをする「WOW!PEOPLE」、役員や組織長の戦略共有である「WOW!STRATEGY」、組織外との協働による成果事例を紹介する「WOW!TEAM」です。

また、従業員同士が相互理解するために月1回発表される「今月の調子さん」は各従業員がその月に心身ともにどのようなコンディションだったのかを記録し、公開しています。

ほかにも、OKRという目標管理ツールを活用して高い目標設定を行う「WOW!MISSION」、3カ月ごとに同僚同士でフィードバックを行う「ピアフィードバック」などが挙げられます。

ピアフィードバックは従業員自身が2人選び、本人についてフィードバックをするものです。誰が誰のフィードバックをしたのか、内容などもすべて従業員全員が閲覧できるようにしています。

心理的安全性の向上効果を得た後の変化

リクルートでは「IMPACT TEAM SPIRAL」という4つの流れを繰り返して課題の改善に取り組んできました。

これはミッションの提示と情熱の共有をする「Mission Making」、心理的安全性と相互理解による強い信頼関係の構築「Team Building」、自分で判断・行動し、失敗から学ぶ「Try Fast」、原点を振り返って課題を再構築し続ける「Re-design」という流れです。

その結果、ひとつの例として「従業員の身体的負担の軽減+フライトコストの大幅削減」が実現しています。失敗してもそこから学べば良いという考え方は、リクルートの従業員がまずはやってみるという行動力を育むことにもつながりました。

また、同僚同士のフィードバックについても、公開することでどのような部分まで踏み込んで発言しても良いのか判断しやすくなっています。それが安心感につながり、フィードバック自体の質が向上しました。より詳細に行われたフィードバックは本人が自身を振り返り、新たな目標を定める際にも有効です。

社内チャットも活用されており、経営陣と従業員が直接オンラインで意見交換できるオンライン座談会や経営に関する意思決定までの時間短縮といった効果も得ています。

組織づくりのカギとなる「心理的安全性」、どう高める?|構築法の詳細をご紹介!

4.エンゲージメント経営を行う上でのポイント

リクルート社が行い、実際に成果を挙げているエンゲージメント経営。こちらではエンゲージメント経営を導入するうえでどのような点に気をつけるべきなのかについて解説します。

エンゲージメント経営とは

エンゲージメント経営とは、企業と従業員がお互いに信頼関係を築いたうえで経営を行うことを指します。信頼関係が築かれていることから従業員の能力を最大限に引き出すことが期待でき、企業に貢献する人材の育成に効果的です。

少子化問題による人材不足の影響を受け、企業側が選ぶ権利を持った時代から就職活動者側が働く企業を選ぶ時代へと変化しました。そのため、自身のキャリアアップを目的に転職をすることも珍しくありません。

また、働き方改革による多様な働き方の影響もあります。エンゲージメント経営はそういった時代の流れのなかで注目されているといえるでしょう。以下で導入する際のポイントについてまとめました。

従業員のモチベーションアップにつながるものを把握する

エンゲージメント経営を導入する際には従業員のモチベーションにつながるものを見つけ、企業としての課題を改めて確認しなければなりません。

企業が成長するためには欠かせない存在、従業員の満足度とモチベーションは直接的な関係があります。そのため、たとえば、定期的にアンケート調査を実施し、従業員が望んでいるものは何かを探りましょう。アンケートでは選択ではなく、記述タイプにすれば従業員の言葉で不満点や企業としての問題点などを知ることができます。

社内コミュニケーションを活発化する

こちらは心理的安全性の向上という意味で非常に重要なポイントです。従業員が信頼関係を構築し、気軽に意見を伝えることができる環境づくりが課題です。企業が成長をするためにはすべての従業員が同じ方向を目指さなければなりません。

情報共有もひとつの方法ですが、コミュニケーション不足の環境では各部署ごとにのみ情報が共有されていたり、連携がしづらかったりといった弊害が起こりやすくなります。それを避けるには日ごろからコミュニケーションをとり、細かな情報でも伝え合える関係が重要です。

人事評価システムの見直しをする

信頼関係を築くためには、誰に対しても平等であるということがポイントになります。しかし、現状として能力が高いものを中心に評価がされていたり、長年の社内の慣習によって評価したりといった不平等な評価が行われている企業も少なくありません。

エンゲージメント経営を行うためには人事評価システムを見直し、適切に平等な評価ができる状態をつくることが大切です。適切な評価がされれば従業員の自信につながり、責任をもって業務を遂行するというやる気につながります。

管理職のマネジメントをスキルアップする

上司と部下の関係は仕事をするうえでは重要なポイントで、この間に信頼関係がなければ従業員も企業も成長しづらくなってしまいます。一般的に、多少遠慮をしてしまったり、萎縮してしまったりと、上司に本音で意見を伝えることができるという声を聞くことはそれほど多くありません。

しかし、上司と気軽に会話ができる関係性は働きやすさにつながります。また、この上司とともにプロジェクトをやり遂げたいといったやる気にも影響するので重要です。

そのため、管理職のマネジメントスキルを高めるためのセミナーや研修を定期的に行うなどの工夫が必要になります。

エンゲージメント経営で期待できるメリット

エンゲージメント経営では従業員の能力を引き出すメリットがあるとしましたが、具体的には次のようなメリットがあります。

エンゲージメント経営では従業員の不満部分を解決することで従業員の自社愛を高めることから、離職率の低下につながります。同時に、モチベーションや従業員の自社への貢献度が向上するため、結果的に自社製品やサービスの品質を高めることも可能です。

心理的安全性の向上で企業価値を高める

リクルート社が実践して実際に効果を得たことでも知られている心理的安全性の向上は、エンゲージメント経営をするうえでも重要なポイントのひとつです。

お互いに本音で意見を交換できる環境は、チームによるプロジェクト遂行や離職者の減少などにも効果を発揮します。

下記記事ではエンゲージメント経営をする際のポイントも解説しているので、参考にしてみてくださいね。

参考:正しい「心理的安全性」が組織の実行力を高める。リクルートのエンゲージメント経営

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