心理的安全性に「責任」が伴うことで、組織は強くなる

3.心理的安全性についての4つの誤解

心理的安全性の概要を把握した際に生じやすい、いくつかの誤解があります。一見、心理的安全性が高そうな組織に感じますが、実はそうではないケースも多々あるのです。

心理的安全性の理解をさらに深めるためにも、ここでそれらの誤解をしっかりと解いておきましょう。

①メンバーの仲がよいだけの状態ではない

ただ馴れ合っているだけの状態は、決して心理的安全性が高い組織とは言えません。メンバーの仲が良いことは重要であるものの、関係性がよいだけでは活発な意見交換や議論は行われず、イノベーションが生まれることもないでしょう。

企業やチームはサークルや友人同士の集まりとは異なるため、メンバーの仲がよいだけの状態が心理的安全性が保たれている組織だと勘違いしてはいけません。親睦を深めたり良好な関係性を保つためにレクリエーションや旅行などを積極的に行う企業があります。

それ自体は問題なく、ときには重要な意味を持つものの、心理的安全性とは、そうした娯楽などで安易に構築できるものではないと理解することも経営者やリーダーには求められます。

②礼節を欠いてもよいわけではない

なんでも意見が言える環境と聞くと、立場や役職を超えて、どのようなことを言っても構わないと勘違いしてしまう人もいるかもしれません。しかし、心理的安全性の高い状態とは、礼節を欠いても問題のない状態というわけではないため注意が必要です。

上司やリーダーであっても、部下などのプライベートに関して安易に踏み込むことや、セクハラなどにつながる発言は当然避けなければいけません。他者への罵倒や差別的発言、軽蔑するような言動は言語道断です。

また、心理的安全性を担保しようと、上司や先輩に対して失礼な物言いなどをするメンバーを見過ごしてしまうことも避ける必要があります。相手を尊重した上で、自分の意見を述べることができる環境や雰囲気作りが重要になるでしょう。

③すべての意見や提案が採用・反映されるわけではない

立場や役職に左右されず発言や発信が行えることは、心理的安全性の高い組織の最大の特徴であり魅力です。しかし、心理的安全性が高いからといって、すべての人の意見や提案が必ずしも採用・反映されるわけではありません。

突拍子もないアイデアや、目的・ビジョンから大幅に外れた提案を受け入れていては、組織を保つことは難しくなるでしょう。

むしろ、そうしたアイデアや提案をチーム内での丁寧な議論の中で、「ここが間違っている」「それはおかしい」といった率直な意見や反対の考えを臆することなく言える環境こそが、組織が目指すべき心理的安全性の高い状態といえます。

④プレッシャーや責任が弱い状態ではない

心理的安全性の高い組織では、パワハラやノルマといったもので責任を負わせプレッシャーをかけることはしません。一方で、プレッシャーや責任が一切ない、あるいは弱い状態というわけでもない点には注意が必要です。

プレッシャーや責任のない環境では、やはりイノベーションを巻き起こすことは難しいでしょう。人は、追い込まれることで能力を発揮するケースがしばしばあります。プレッシャーや責任を利用し新しい価値観を生み出す、あるいは最後までやりきるなど、自立して主体的に業務やプロジェクトへと取り組める環境を整えることこそが重要です。

お互いが競争し合い、切磋琢磨できる環境ともいえるでしょう。管理職やリーダーはそれを理解した上で、部下やメンバーがよい結果が出せるよう適切なプレッシャーをかけ、必要な責任を負わせなければいけません。

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4.協同し学習するチームにするためには

心理的安全性を確保した上で、協同・学習し成果を出し続けるチームを組織するためには、「責任」が重要な役割を持ちます。すでに説明したように、心理的安全性の高い状態とは、決して責任がない、あるいは弱い状態というわけではありません。

責任が伴ってこそ、心理的安全性の効果がさらに発揮され、お互いに高め合いながら成長していけるチームとなるのです。

注意したい心理的安全性と責任の関係性

それぞれの組織やチームごとで、心理的安全性と責任の関係性は異なります。もし心理的安全性が高く、一方で責任が弱い組織であれば、そこで働く人たちはとても“快適”に過ごすことができるでしょう。

しかし、責任が弱いことにより、業務やプロジェクトをやり抜く意欲に欠け、新たな価値観やイノベーションを生まないリスクが高まると考えられます。責任を課せられなければ、むしろあらゆることにチャレンジするのではないかという考え方もできますが、それでは無謀な挑戦となる可能性が増え、大きな失敗を繰り返すだけの結果となってしまうでしょう。

心理的安全性が低く、しかし、責任が重い組織の場合はどうでしょうか。これは経営者やリーダーがワンマンの状態であると考えられます。

重いノルマを課すなどし、ミスや問題が生じれば強く叱責することで、働く人たちは“不安”を抱えてしまうはずです。当然イノベーションは起こらず、企業としての成長も見込めないでしょう。

心理的安全性も責任も低ければ、それは“無関心”の状態となる恐れがあります。

責任を課せられることはないものの、意見を言うことが認められず提案などもできなければ、ただただオフィスにいるだけの状態となりかねません。やはり意欲が湧くこともなく、企業や組織としての成長は見込めるはずもないでしょう。

理想は心理的安全性と責任の両方が高い状態

組織やチームが目指すべきは、心理的安全性も責任も高い状態です。このような状態で生み出されるのは“学習”です。

自らの意見を堂々と言える環境があれば主体的に取り組むことができるようになり、また、その取り組みに責任が生じることで、どのように遂行すれば目標が達成でき成果が出せるのか自ずと考えるようになります。能動的に学習する習慣が身につき、それが組織やチームを活性化させることは間違いありません。

こうした活性化が協同にもつながり、さらにチームワークの向上も実現させることができるでしょう。

この学習効果を高めるためには、例えば、目標と目標達成に必要な成果指標(OKR)の設定や、リーダーとメンバーとの1対1の対話(1on1ミーティング)の機会を設けるなど、さまざまな取り組みを導入する必要があります。

部署や役職の垣根を超えて、メンバー同士で報酬やメッセージを送り合える「ピアボーナス」の導入や、必ず平等に発言・発信の機会を与えることも、心理的安全性と責任を両立させるためには有効となるでしょう。

責任の所在を曖昧にせず、業務に沿った責任を各メンバーへと適切に与えるからこそ、心理的安全性が大きな効果を発揮すると理解することが何よりも重要です。

心理的安全性の確保や向上によるメリットは計り知れない恩恵をもたらす

心理的安全性を高めることで得られるメリットは非常に多く、企業に多大な恩恵をもたらすことは間違いありません。一方で、責任と両立させることも不可欠です。

心理的安全性と責任の間に相関関係はないため、経営者やリーダーが中心となり、どちらとも意識的に高める必要があります。どちらも高い状態を作り出し維持することができれば、協同し学習する組織やチームとなり、大きな成果や企業の繁栄へとつながるでしょう。

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