Slack Japan×ZOZOテクノロジーズ×Uniposイベントレポート

組織内の“阿吽”を実現する鍵は情報格差を生まないオープンなコミュニケーション設計

従業員数や拠点が増え、組織体制が複雑になっていくにつれて、部署や役職を超えたコミュニケーションは難しくなっていきます。組織が拡大してもメンバー全員が一体となって生産性を高めるためには、どのようなチーム作りを実践していけばいいのでしょうか。

9月26日(水) 泉ガーデンにて、理想の組織内コミュニケーションのあり方と、それを実現するためのビジネスコラボレーションハブを活用した働き方改革について語り合うイベントを開催しました。

当日はビジネスコラボレーションハブを提供するSlack JapanからBusiness Growth Japan・藤原茂晴様、チームメンバー同士を繋ぐピアボーナスツールを提供するUnipos社から代表取締役・斉藤知明が登壇。また、ゲストスピーカーとしてZOZOテクノロジーズより代表取締役CINOの金山裕樹様にご登壇いただきました。

3社によるパネルディスカッション「世界で戦うグローバルカンパニーに求められる組織内コミュニケーションのあり方とは」をレポートします。

■重要なのは組織内に情報格差を生まないこと

はじめに、ZOZOテクノロジーズ、Slack Japan、Uniposの現在の組織体制とチームの現状が説明されました。

ZOZOテクノロジーズは開発部、デザイン部、イノベーション推進部、品質管理部、分析部、経営管理部、ZOZO研究所という7部署で構成されているとのこと。組織体制としては比較的シンプルですが、一方で組織を横断するプロジェクトが多数走っているといいます。

「理想のコミュニケーションは、コミュニケーションしなくても伝わる“阿吽(あうん)”」だと語る金山様ですが、それは簡単ではありません。そこでZOZOテクノロジーズでは逆に、「言語を徹底的に統一する」ことでコミュニケーションの齟齬が起きないようにしているそうです。

「たとえば単に“アプリ”と言ったとき、ZOZOテクノロジーズのスタッフが思い浮かべるアプリは同じ一つのものでなければなりません。これまでは部署ごとに言葉の使われ方が違っていたのですが、今は標準化を徹底しています」(金山様)

一方、冒頭で金山様が仰った“阿吽”を突き詰めていこうとしているのがUniposです。

斉藤は「阿吽とは“やってほしいことをやってくれる”こと」だと述べ、そのためには先に“give”することが重要だと強調します。

「giveして良かったと思える体験をどうつくっていくか。Uniposはその思想から生まれたサービスです。やってよかったと思えると、次のgiveにつながります。giveを繰り返して、そしてtakeする。そんな組織が理想だと考えています」(斉藤)

グローバルに多数の拠点を抱えるSlack Japanでも、コミュニケーションは重要な課題です。

Slack Japanで心がけているのは「組織として情報の格差を生まないこと」だという藤原様。従来型のコミュニケーションでは幹部から管理職、管理職から一般社員へと情報が下りていきがちですが、その結果どこに何の情報があるかがわからず、隣の部署が何をしているのかも不明という状況に陥ってしまうといいます。

「理想とするのは、組織がどういったゴールに向かっているのか、その中で各部署がどうあるべきか、組織全体が共通認識を持てる環境です。そのためには誰もが1次情報にアクセスできる環境をつくり、情報をオープンかつフラットにした上で意思決定していくことが重要です」(藤原様)

藤原様のお話に金山様も強く賛同。従来型の縦割りコミュニケーションについて「情報格差で下をマネジメントしている人がいる」と指摘し、「そういうマインドを変えていかないといけない」と語りました。

■ピアボーナスが企業活動を可視化し、情報のオープン化に繋がる

では、情報をオープンにするためにはどうしていけばいいのでしょうか。

暗黙知を徹底的になくすことが大事」だという金山様。ZOZOテクノロジーズでは人事などに関するセンシティブな情報を除き、SlackでのDMやプライベートチャンネルを禁止しているとのこと。

「実名でオープンな場で話せるだけの価値ある発言をしてほしいし、そうでなければコラボレーションも生まれません」(金山様)

ただし、単に禁止するだけでは、プライベートなやりとりが別のメッセージツールに移行するだけで意味がないと言います。

「大事なのは、結局のところマインドです。オープンなスタッフが良い仕事をして社内で評価されるようなロールモデルを、これからつくっていきたいと考えています」(金山様)

チームを超えたコミュニケーションを活性化し、イノベーションを起こすためのポイントとして金山様は「企業活動の見える化」を挙げます。

「イノベーションとは既存の知同士の新しい結合によって生み出されます。そのためにはつねにノウハウを発信し続け、企業の活動を見える化していく必要があります」(金山様)

しかし、日々のコミュニケーションの中にはなかなか記録に残らないもの、残しにくいものもあります。

そうした企業・社員の活動を可視化するためにZOZOテクノロジーズで採用されたのが、Uniposのピアボーナスシステムです。

「たとえば、ZOZOテクノロジーズのテスターはデバッグの精度が高いんです。手順書もしっかりつくるし、納期も完璧。だけどそういった定型業務はなかなか表に出ないため評価されにくいし、感謝の言葉を伝えるだけでは価値が見えにくいのです。そこで言葉と一緒にピアボーナスを贈ることで、価値を可視化しています」(金山様)

現在、ZOZOテクノロジーズ社内で活用しているコミュニケーションツールは、Slack、wevox、Uniposの3つに厳選されているといいます。

「この3つだけが定着しました。ないと仕事にならない経営の三種の神器といっていいでしょう」(金山様)

■Slack Japanが実践するグローバル企業における情報共有のポイント

多くの海外拠点を持ち、時差を乗り越えてコミュニケーションする必要があるSlack Japanもまた情報のオープン化が欠かせません。

情報はもちろんSlackで共有していますが、時差の関係でどうしてもリアルタイム性は失われるため、二度手間にならないよう必要な情報をしっかりとチャンネルで共有することが大事だと藤原様は言います。

さらに総務や経理といった一つひとつの部署にヘルプデスク用のチャンネルを設けて、そこに質問を投稿すれば回答が返ってくる仕組みをつくっているのだとか。また、スタッフが働きやすいように350以上のアプリケーションを導入しているそうですが、なかでも重要なツールに関してはSlackと連携して1次情報がつねにオープンになる仕組みを構築しているそうです。

おわりに

情報をオープンにすることの重要性と、それを実践するためのビジネスコラボレーションハブSlackやピアボーナスツールUniposの活用法などが語られた今回のパネルディスカッション。組織全体の業務効率化に悩む経営者や人事責任者、事業部長の皆様にとって、少しでも参考になれば幸いです。