スーパーフレックスとは?導入すべきケースとそうでないケースも解説

スーパーフレックスの導入事例

日本の大企業で、すでにスーパーフレックスを取り入れている企業の具体例を2社、紹介します。

味の素株式会社

  • 従業員数:3,484
  • 取り組みイメージ:「一人ひとりの成長と企業の継続的な発展を通じて、企業を構成するすべての従業員の豊かで実りある人生の実現と、社会の発展に貢献する」

導入時期>

2008年から独自の取り組みを開始し、今年で10年目。最初は労働時間の短縮から始まり、徐々にペーパーレス化・フリーアドレスなどによる「どこでもオフィス」化に成功しており、現在では、完全リモートワーク・テレワークが定着しています。

気をつけたこと>

味の素では組織内でスーパーフレックス定着のために、主に新しい制度と習慣に対する、心理的な抵抗を大きく取り除くことに力を入れました。例えば、

  • 上席は週一回、社外で仕事をすることを義務化し、部下が制度を利用する心理抵抗をなくした
  • 全社で一斉にテレワーク・リモートワークを実施し「みんながやってる空気」を出した
  • 社宅オフィスの設置し「本当に会社に行かないでもいい」ことを体験で理解させた
  • 社外サテライトオフィスを設置し、会社まで来なくても仕事ができることを証明した
  • 社内サイトを立ち上げ、常に書き込み意見を吸い上げ、反応を見ている

このように、新しい制度を導入する時にもたつきがないよう、「こうするんだよ」という具体例と環境を用意して、実際にやらせることで、社内に迅速にスーパーフレックスが定着していきました。現在も、「速く決めて速くやる」ことをモットーに、改革を続けています。

【参考:味の素株式会社 人事部 働き方改革~味の素流「働き方改革」】【参考:味の素株式会社 常務執行役員 藤江 太郎 働きがいと生産性向上への取り組み

ソフトバンク株式会社

  • 従業員数:約10,000
  • 取り組みイメージ:「ソフトバンクでは働き方に関するスローガンとして「Smart & Fun!」を掲げており、ITAI(人工知能)を駆使して、全社員がスマートに楽しく働くことを目指す。スーパーフレックスという人事制度導入は、その実現に向けて実施するもの。

導入時期>

スーパーフレックスへの取り組みは2017年からです。働く時間を自由にする試みとして、「組織・個人としてより効率的な時間帯で働くことで成果の最大化出すことが目的」であり、社員のパフォーマンスを最大化することを狙っています。

気をつけたこと>

典型的なトップダウン型組織のため、今日までも新しい取り組みが頻繁に行われて来た経緯があります。

そのため、ソフトバンクの場合は1万人の社員に一斉にドン!とスーパーフレックスを即日から使わせており、事前告知はあっても、ソフトランディング期間などは特に設けていません。別の言い方をすれば、導入された制度を躊躇なく使える「自由な空気感」がすでに社内にあります。

また、スーパーフレックス導入に伴い、現在、子育て・介護の人が使える週一回在宅勤務を、試験後、在宅回数の増加と対象社員の範囲を広げる予定があり、社員が自分の生活を崩さずに、仕事に集中できる環境作りに力を入れています。

これらの制度を社員が躊躇なく使っていることから、ソフトバンクには、より自由な働き方を求めている人材が集まる傾向のある企業であることが伺えます。IT企業らしい、スーパーフレックスを含めたあらゆる「働き方の自由化」を追求しています。

【参考:ソフトバンクテクノロジー 働き方改革(メリハリある勤務・休暇制度)】【参考:プレスリリース 新たな人事制度の導入により働き方改革を推進

スーパーフレックス制度QA

本章では、スーパーフレックス導入に関してよくある質問をQA形式でまとめました。

Q1:スーパーフレックスになると残業代はつかないの?

A:つきます。スーパーフレックス は月間で規定労働時間を働くという働き方ですので、残業時間は、規定労働時間を過ぎた部分からになります。

 

Q2:スーパーフレックスは社員は全員使わないとならないの?

A:いいえ、利用は自由です。スーパーフレックスは制度として就業規則になるだけで、今まで通りの働き方や時間サイクルのままでいるのも「自由」です。

 

Q3:パートや派遣社員・契約社員はスーパーフレックス使えるの?

A:就業規則によりますが、原則、雇用形態による決まりはありませんので、どのような雇用形態でも適用はできます。ただし、18歳以下には適用ができません。詳細は、就業規則を確認しましょう。

 

Q4:ノー残業デーはどうなるの?

A:スーパーフレックスを採用すると、ノー残業デーは無くなります。スーパーフレックスは「この時間内は会社にいてね」という概念がない働き方ですので、全員が同条件で「残業」になる時間帯が会社に存在しなくなります。

 

Q5:毎日在宅勤務なら、もう出社しなくてもよくない?

A:全ては就業規則によります。ただし、テレワークは国家推進事業なので、そのような働き方を採用する企業も出てくる可能性があります。ただし、会議などには出席要請・企業によっては就業規則がありますので、それに従うことになります。

 

Q6:もしかして出社しないでお洒落なカフェでテレワークでもいいの?

A:企業の就業規則によりますが、禁止されていなければOKです。

 

Q7:労働者の時間管理は会社側はどうやって把握するの?

A:スーパーフレックスはフレックス制度からコアタイムを抜いたものなので、基本の管理方法は従来と同じです。細かな時間管理は個人でしてもらい、月間労働時間の管理を会社が把握します。半休の扱い、有休消化の扱いなどに関しては、就業規則が決まる前に、労使協定で話し合う必要があるでしょう。

エンゲージメント向上施策に潜む7つの落とし⽳とは|社内施策を進める上でのポイントを徹底解説

スーパーフレックスの導入方法

本章では、スーパーフレックスの導入方法を説明します。

基本は、フレックス制度の導入方法と同じです。以下を、ほぼ同時に行います。労使での話し合い

まずは、会社側からスーパーフレックスを導入する旨を労働組合に持ちかけます。主な話し合いの内容は

  • 対象となる労働者の範囲
  • 清算期間
  • 総合労働時間
  • 1日の労働時間

になります。

その他、企業によって独自の取り決めが必要な場合があります。現場責任者および、前任者・以前にフレックス制度を取り入れた時の経緯なども含め、労使間でよく話し合いましょう。

労使協定の締結

1を元に、労使協定を明確に取り決め、締結します。

就業規則と届出

就業規則を作り労働基準局へ提出します。

【参照:厚生労働省 変形労働時間の概要】【参照・厚生労働省 フレックスタイム制導入の手引き

7.スーパーフレックス導入の注意点

本章では、スーパーフレックスを導入する場合の注意点について触れたいと思います。

労使で揉める可能性アリ

労使協定の前段階で揉める可能性があります。かつてフレックス制度を取り入れた企業は多いかと思いますが、今回は国をあげての「働きかた改革」という点が以前と大きく違うところで、企業としても「採用」に向けて強く推していく必要性があります。

しかし、現場の社員からすれば、従来の就業規則の概念そのものが変更されるわけですから、混乱をしたり、自分の将来にどういうことが起きるのか把握できずに、大いに戸惑いを感じるのは当然です。

対応策としては

  1. 会社からの事前説明会による説明と、質疑応答の時間などを設ける
  2. 個別での制度に関して詳細な相談・説明などのケアをする
  3. 労働組合の幹部を通じ、何度でも説明をしてもらう
  4. 専用サイトを開設し、自由に質問や書き込みをさせ、社員の状態を把握する

など、「本制度が自分たちにとってメリットのあることである」ことが納得・理解されるまで、根気よく、丁寧な対応が必要になるでしょう。この辺りの手間を省いて強引にことを進めると、労使協定に入る前の段階で、過半数が取れずに進捗が遅れる恐れがありますので、十分な準備をしましょう。

鶴の一声ないと難しい場合も

社長・会長などの鶴の一声が必要な場合があります。長い歴史を持つ企業ほど「風習」「慣習」「社風」にこだわりがあり、変えることへの抵抗も強いものです。

スーパーフレックスという完全に自由な働きかたを取り入れることへ、頭で理解しても、強い心理的な抵抗がある古参社員も多くいた場合、鶴の一声がないと採用が難しくなるケースがあります。

現場のもたつき

2章でも触れましたが、しばらくは現場がもたつきます。スーパーフレックスなりのやり方が現場で定着するまでは、「同じ時間に同じ場所に全員がいない」ことが原因で起きる、小さなトラブルの連続です。

可能な限りシミュレーションをして事前の対応策を考えておくことと、その穴を埋めるためのツールなどを積極的に活用するようにしましょう。

導入前には、あらかじめ

  • メール⇒ネット環境の整備⇒メールや添付書類をいつでも見られるネット環境と共有設定を準備する
  • チャット⇒社内ツールなどでカンタンな質問にはすぐ対応ができる状態にする。グループチャットなどで情報共有を兼ねたコミュニケーションが随時取れ、その場にいない人もオンタイムで情報更新ができること
  • スマホ⇒社外にいても、必ず連絡が取れる社用スマホを持たせる

など、オンタイムな「情報共有」と「連絡が取れる」仕組みを万全にしておく必要があります。また、想定されるトラブルは企業の社風やビルの構造によっても異なります。企業内の専門部署などと連携を取り、綿密なシミュレーションをしておくことをお勧めします。

恩恵が全員なわけではない

こちらも2章のデメリットで説明した通り、万人向けの制度とは言えません。ただ、大きな視野に立った上での「働き方改革」ですので、日本人の働き方の潮流はフレックスからスーパーフレックスへと移動しつつあります。

全員が率先して「生産性をあげる」ことを目的にする

スーパーフレックスは、働く人を応援していく制度ではありますが、最終的には働きかたの変化により、社員の負荷が減って、長期的生産性が上がっていくことが目的です。このことは、社員全員がよく理解しておく必要性があります。

性善説の考えであることも頭に入れておく

スーパーフレックスは性善説的な考えです。日本人が勤勉で約束を守り、拘束をせずとも自分の業務を全う出来る、という前提での制度です。ですが、中には、これを悪用して怠慢な勤務態度になる社員がいることも否定はできません。

従前の勤務時間と違い、リモートの状態で何をしているかは把握ができず、かといって社内に拘束をすることもできませんので、「サボる人間もいる」ということは頭に入れておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。スーパーフレックス について下記のように調べてまとめました。

  1. スーパースレックス制度の概要
  2. スーパーフレックス導入に伴うメリットデメリット
  3. スーパーフレックスを導入すべきケース・すべきでないケース
  4. スーパーフレックスの導入事例
  5. スーパーフレックス制度QA
  6. スーパーフレックスの導入方法
  7. スーパーフレックス導入の注意点

働き方改革を推進している日本政府の大きな潮流の中、社員個人のライフイベントに合わせ、自在に働き方を変えられるスーパーフレックス制度は、少子高齢化を前提にした日本において、労働人口を確保しながら生産性をあげられる方法の1つとして、注目すべき制度であることがお判りいただけたかと思います。

今後は、より多くの企業が、その企業風土にあった方法で取り入れていくかと思われます。ご検討の一助になれば幸いです。

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