ティール組織とは?5つの組織タイプとメリット・事例・おすすめ書籍

3.ティール組織のデメリット

ここではティール組織のデメリットを紹介します。各項目で発生するデメリットと、その解決方法について説明します。   

1.企業メンバーの高い意識と自主性がないと成立しない 

ティール組織では組織のヒエラルキーを作らず、全メンバーに権限があることは説明しましたが、それらは全組織メンバーに「セルフマネジメント力」があってはじめて成立します。

 

ティール組織でメンバー各自が決めた生産目標を達成するためには、仕事の完成図をメンバー全員が把握し、その完成に向けてメンバー全員が責任を持って協力しながら行動する必要があります。23の組織の存在目的でも解説した通り、組織の目的が個人の目的と合致していれば、メンバー全員が目的のために邁進していくことができますが、このセルフマネジメントの質が下がってくると、生産効率が落ちていきます。

 

【デメリットの解決策】

解決策としては、パフォーマンス低下がある時点ですぐに臨時のミーティングを行い組織内での自分の存在目的を再確認してもらうサポートが必要になります。ミーティングは詰問したり責めるためではなく、

 

  • なぜ個人のセルフマネジメントが機能しないのか?
  • やる気が低下してしまうことが起きているのか?

 

のように、なぜセルフマネジメント力が低下しているのかを解明するためです。

 

セルフマネジメントの質が低下する理由は様々です。個人生活の背景などもよく把握し、やる気が下がってしまう個別の事情がある場合は暫定的に負担の少ないポジションに移動するなど、組織・メンバーともに全体の生命体として捉えれば、ラクに解決できることも多いでしょう。しかし、もしメンバーが

 

  • 個人と組織の存在目的のシンクロが少ない
  • 途中で個人の目的が変わってしまった

 

などの場合は自ら組織を去っていくことになりますが、それは結果として双方にとってのメリットになります。

 

このような齟齬は、採用の時点で十分な話し合いや、存在目的に対するすり合わせでかなり防げます。面談やプレゼンの時間・仮採用の時間をたっぷりとって、人物とその内面を観察してから採用を決定すると良いでしょう。

2.マネジメント(管理)をしない分、進捗が全然わからない 

ティール組織は管理職が存在しないため、ピラミッド型組織と比べると、仕事の進捗や達成具合が見えにくいという特徴があります。定期的に生産性会議などで確認することは可能ですが、この会議自体も合議の上ですので強制管理ができません。基本的にティール組織では「マネジメント」「管理」はできないと思っておいた方が良いでしょう。

 

【解決策】

問題の解決方法はプロジェクト開始前・後で2通りあります。

 

①プロジェクト開始前

プロジェクト開始前には必ず生産性に関したミーティングがあるので、ここでしっかりとゴール設定をし、メンバー全員が完成図・数量・時期などの生産ゴールを明確にシェアできていることが大切になります。

 

②プロジェクト開始後

プロジェクト開始後はの進捗報告ですが、そもそもティール組織には報告をすべき上司が存在しないため、現場の実情は

  • 仲良しさんならお互い知ってる
  • 話さない人の進捗は全然わからない

ということになります。実質的なマネージャーおよび全体情報を管理できる者がいない状態で、全体の利益のためになる的確な判断を個人にさせるためには、その判断材料となる情報をできる限り開示しておく必要があります。例えば

 

  • メンバーの出勤スケジュール
  • 個別の生産状態
  • 個別の売上げ状況
  • 顧客数とコストの情報
  • コミュニケーションができるボード
  • 今メンバーが組織のどこにいるかなどのGPS情報

 

など、必要な情報がいくつでも・いつでも確認できる機能やツールを組織側が用意する必要があります。

 

また、ティール組織が横つながりであることを利用し、おしゃべりやお茶ができる場所やタイミングをなるべく多く設置し、問題解決のための臨時組織結成や、人員補完のためのお願いや提案などが気軽にできるシェア・ポイントをたくさん設けておくことで、組織が拡大して行ってもマネージャーが不在である問題がクリアできます。

3.承認プロセス(稟議書・印鑑・サイン)がないリスク

ティール組織のリスク管理方法は、改めて確認する必要があります。従来型組織の場合、

・稟議書

・委員会

・役員会

・回覧資料

 

などを通じて、何人もの確認や「承認」を経ないと重要な決定や判断がされることはないので、リスク管理という点では責任の所在が組織側にあり、非常に安全性の高いものでした。

 

ティール組織ではヒエラルキーが存在しないため「承認のための縦のプロセス」が存在しません。つまり、1人がやる!と決めたら通ってしまう企画がいくらでもあります。企画の遂行にはお金がかかりますし、場合によっては投資に近いような内容もあります。

 

ティール組織では組織の存在目的が個人の存在目的と大きくシンクロするとは言っても、組織のリソースを個人の思惑通りに動かすこととは違います。

 

【解決策】

まずは、組織メンバー全員の良識と判断力を全面的に信頼します。性善説的な考えではありますが、人は動物の本能として、自分が所属する場所で不利益が生じることを嫌います。同時に、ティール組織のような高次な組織目的と個人目的がシンクロするような場所では、自分の組織が損失を被るような事態は誰も望まないことも共通認識であると言えます。よって、信頼が最もリスクを遠ざけることになります。

 

その上で、2章で説明したティール組織の特徴であるセルフマネジメントを取り入れた承認方法を採用しましょう。具体的には、誰かが企画を立てた時点で、すぐにそれを全員に公開します。稟議を回す必要がないのですから、一斉公開してもなんら問題はありません。

 

その際、メンバーはその企画の良し悪し・採用不採用をジャッジするのではなく

 

  • 自分たちの目的達成のために必要かどうか
  • 専門知識のあるものは惜しみなく情報提供をする
  • 自分の知っている情報がある場合は、提供をする
  • 他に似たような企画があった場合は、それを開示する

 

のように、問題解決策をみんなで作り上げた時と同じような方法で、みんなで企画を育てていきます。メンバー全員のサポートを受けながら成長した企画書は、最終的により多くの人が納得した内容となり、通過をします。

 

これがティール組織では事実上の稟議になると言えます。これらのプロセスは臨時のミーティングを開いても良いし、ネット環境が良好なのであれば、スレッドを立てて自由に意見を交換しあうことも可能です。

部下の貢献に逃さず感謝・称賛を伝え、成長を劇的にサポート「Unipos(ユニポス)」の詳細はこちら

4.組織がティールになるまでの5段階意識フェーズ

ここではティール組織の各成長段階を説明します。の赤を起点として、もっとも階層が高い状態がティールになるように、組織の発達段階を5つの段階で表現しています。この階層はあくまで「ティール組織」の著者フレデリック・ラルー氏が提唱するものです、世界的な基準とは違います。しかし、どのようにして組織が各意識の発達段階に到達するかの理解に役立ちます。

 

全ての階層組織は、単一で存在しているわけではなく

 

  • レッドとアンバーの間にあるがアンバー寄り
  • グリーンとティールを大きくまたがっているが、まだグリーン的
  • この仕事に関しては、オレンジ、あの作業はグリーンだ

 

など、いろんな側面が混ざりっているのが普通です。その中で、総合的に見る「うちの組織はオレンジに近いかな」などの見立てをするために使います。

名前

特徴

比喩

価値基準

得られるもの

①レッド

衝動的

狼の群れ

ヤンキー

欲求を満たす

目の前の成果獲得

②アンバー

順応的

軍隊

官僚

集団規範

スケールメリット

③オレンジ

達成的

マシン

大企業

成果の追求

成果主義による結果・承認

④グリーン

多元的

家族

スタバ

人として大切に

団体・個人として強くなる

⑤ティール

進化的

生態系

内なるものに従う

セルフマネジメント・全体性

 

 

①レッド(衝動型)組織

①レッド

衝動的

狼の群れ

ヤンキー

欲求を満たす

目の前の成果獲得

世界最古の組織モデルです。10000年前からある古い形式であり、現在でもヤクザ・ヤンキー・チーマー・暴走族などはレッド組織を自然と構成します。海外ではスラム街などに多く見られます。

レッド組織のメンバーは「力こそが全て」という思考パターンを持ちます。そのため、この組織で自分の欲求を満たすためには、他のものよりも強くなければならないと考えます。この意識段階にいる組織メンバーは

 

  • 組織メンバーは、常に「自分」の欲求のみを求める(欲しい→奪う など)
  • 自分以外の全ての存在を脅威と見る(やるか・やられるか)
  • 脅威を取り除くために力による支配をする(強い奴が正義)
  • 1人の長が圧倒的な力で他を支配する(オヤジ・組長など)
  • 恐怖と服従により組織の崩壊を防ぐ(脱会・脱チームへの制裁など)
  • 常に自分より強いものに従うことで、安全な環境を確保する
  • よそ者は脅威である可能性があるので、排除する

 

というパターンをとります。

 

レッドのメンバーにとって最も重要なのは「今」であるため、戦略性が低く、短期決戦でものを片付ける傾向があります。例えば、強さを証明するために戦略を練って長い戦いをするよりも、「今・この瞬間」に目があったもの同士で闘争をして勝つことの方が重要で価値があります。たとえ戦略を組む場合でも、23日〜数週間が限界で、長期的・戦略的な視野で取り組んでも成功しません。

 

 

②アンバー(順応型)組織

②アンバー

順応的

軍隊

官僚

集団規範

スケールメリット

アンバー組織は、権力と階級制度、官僚制度、秩序と統制などの概念を組織モデルに組み込んだもので、いわゆるヒエラルキー型・ピラミッド型組織のことです。世界の大半の政府機関・公立学校・宗教団体・軍隊がこのアンバー組織になります。

 

レッドでは「自分」にしか興味がなかった意識が、アンバーにくると「集団」にシフトしますが、自分たちの所属する組織以外には意識が及ばないため、組織メンバー(身内)以外に強い対抗心と敵愾心を抱く傾向があります。そのため、アンバー組織では

 

  • 組織が個人の世界観になる
  • 世の中は不変であるという前提がある
  • リーダーには家父長的な権威がある(政治党のリーダー・宗教の教祖)
  • ルールと規範で組織を維持する(戒律・法律など)
  • 階級があり、階級は権力である(称号・勲章など)
  • トップが考え、組織構成員が従う構図
  • 組織ルールに従うことにより、安心と安定をえることができる
  • 設定されたルールは固定され、踏襲する必要がある
  • 構成員以外はルールを乱す可能性があるため、排除する傾向

 

などのパターンがあります。

 

アンバーでは、段階的な階級の確保=自分の安全なポジションとなるため、より安全な自分になるためには、自分より権威のある存在から承認をされる必要があります。これは承認欲求という行為につながり、人はこの欲求を満たすために組織が設けた基準やルールを積極的に守り、秩序ある行動を取るようになります。アンバーでは、これ以外の方法で承認がされることはありません。

また、ルールが踏襲されるという特徴があるため、100年単位で中・長期戦略を立てて運用することができます。ただし、この戦略を立てた時点から「世界が不変である」ことが前提なため、変化への対応は不得意です。

 

 

③オレンジ(達成型)組織

③オレンジ

達成的

マシン

大企業

成果の追求

成果主義による結果・承認

オレンジ組織は、プロセス・プロジェクト・研究開発・マーケティング・生産管理という工学的な視点を経営学に組み込み、社会的な成功を最終ゴールとする組織です。世界的に名の通ったグローバル企業や、国内大企業などに多く見られます。

 

レッド「個人」、アンバー「集団」からオレンジの階層までくると、基本的なピラミッド組織の形態は残しつつ、意識が「世界」に向くようになります。世界の中での自分、世界の中での仕事、世界の中での組織が発生し、その中で成功をしたいという意識と発想が出てくるため、世界的ビジネスリーダーが多く生まれる階層です。そのためオレンジ組織では

 

  • リーダーは経営を工学的な視点から眺めている
  • 組織そのものも工学的な視点で見ているため、人をパーツと見る傾向がある
  • そのため、組織メンバーはマシンのように働く傾向がある
  • 組織ゴールはトップが決める
  • 組織目標達成と株主の利益分配が最重要課題
  • ピラミッド型ではあるが、縦横に柔軟に伸びる形態
  • 組織メンバーは自己目標を自由に決められる
  • 実力主義なので階級突破が可能
  • 物資的成功が最も評価される(金額・所有物・規模など)

 

トップが決めたゴールに向かい、中短期目標と長期目標を織り交ぜながら柔軟に達成を目指します。また物事には変化が起きることを理論的・体系的に受け入れているため、特定の成功パターンに固執しません。現状にとどまることよりも、リスクを恐れずにチャンレジをして、新しい発見をすることに対して高い評価をする傾向にあります。

 

 

④グリーン(多元型)組織

④グリーン

多元的

家族

スタバ

人として大切に

団体・個人として強くなる

グリーン組織は、オレンジ組織に多様性とステークホルダーの存在を加えたもので、組織の能力の最大化を目的とした組織です。ステークホルダーには様々な解釈方法がありますが、おおよそ組織メンバー以外の次のような存在を指します。

 

  • 投資家
  • 株主
  • 債権者
  • 顧客(消費者)
  • 取引先
  • 地域社会
  • 行政・国民

 

このように、グリーンは、オレンジ組織のピラミッド構造を残したまま、より多様な特徴や技能を持つ様々な立ち位置のメンバーを内包させ、この関係者全員が幸せになることを希求する組織です。具体的にはダイバーシティを標榜する団体やその関連団体や組織がこれに当たります。

 

グリーンの意識発達段階までくると、人は「人生には仕事の成功や失敗以上に、もっと重要なものがあるのではないか?」と考るようになります。そのため、グリーン組織では

 

  • 性別・人種・宗教・思想などのあらゆる違いを不自然に感じる
  • あらゆる考えは平等に尊重されるべき
  • 組織では従業員や社員のことを家族として大切にする(パーツから人へ)
  • 組織は互いに支え合うことが自然だと考える(私たちは家族だから)
  • みんなの組織だから、みんなで考えるようになる(権限委譲)
  • 全ては話し合いで決める(コンセンサス)
  • グリーン組織のリーダーは、サポート型になる

 

などの特徴が出てきます。

 

このような特徴を持つ組織に、スターバックスがあります。著書内にも紹介がありますが、スターバックスのテーマカラーはまさにグリーンです。スターバックスはスタッフとお客様の「居場所」であり、快適で心地よい空間として「ずっとここに居たいな」と思える場所であるべきだという理念があります。それがスタバ独特の「雰囲気」として愛され受け入れられ、今や世界中に帰るべき家(店舗)があります。スターバックスの理念の延長線上には「個人の人生を尊重し、企業の目標と重なりあう場所をお互いに探る」という特徴もあり、ティール的な要素も含まれたグリーンであることがわかります。【参照:スターバックス Our Mission Our Value

 

良いことづくめのように見えるグリーン組織ですが、グリーン組織にある平等の概念が関係者全員の合意(コンセンサス)を取り付けるための障害になることもあります。その結果、貴重なビジネスチャンスを逃したり、問題の解決が遅延する傾向もあるため、企業の健全経営をするための障害にもなるのが事実です。この部分も、基本は組織メンバーでコンセンサスを取りながら、その組織独自の解決方法を生み出すことが課題になります。

 

 

⑤ティール(進化型)組織

⑤ティール

進化的

生態系

内なるものに従う

セルフマネジメント・全体性

ティール組織は「大志を抱いているが、野心的ではない人たち」の集団です。彼らの内側にある「大志」は様々ですが、それは彼ら自身の存在目的として、社会行動へと駆り立てる原動力(エネルギー)となります。この原動力(エネルギー)を最大限に発揮させて組織の力としても活用し、組織が社会ミッションを達成する原動力として使うというのがティール組織です。メンバーは組織を1つの生命体とみなし、その生命体の持つ集団の知・共同体としての知性に対して信を置きます。

 

ティール組織にはヒエラルキーが存在しないため、上司や部下といった概念がありません。組織の構成員は「メンバー」または「仲間」呼ばれ、創設者ですらも並列するメンバーの1人です。そのためティール組織では、

 

  • メンバーは組織全体を1つの生命体とみなす
  • メンバー全員が自立的で主体的で並列的ある
  • メンバーは組織の存在目的を軸に、自分にできる最善の行動をする
  • 仕事は常に、本当に自分がしたいことなのかを軸に考える
  • やるべきことと、やりたいことが一致した時に全身全霊で仕事をする
  • 自分がやると決めた仕事には権限と責任が発生する
  • 必要な場合はアメーバ的に組織が出来、不要になったら解消する
  • 問題解決は「当然するべきこと」であるため、合意は不要(反対者が存在しない)
  • 合意ではなく、サポート・シェア・賛同により問題解決をする

 

など、今日まで多くの人が当たり前に信じてきた「組織」の概念を覆す事柄の連続です。

 

これほど多くの組織的構造からの解放と自由が与えられていても、ティール組織には出世や派閥の概念も存在しないため、争いが起きません。また、仕事には権利と責任がセットでメンバー全員に付帯しているため、権利の乱用もできません。

 

オレンジ組織では発見のようなイノベーションが評価されましたが、ティール組織では意識や概念そのものがより高次の階層へと次元上昇する「パラダイムシフト」が高い評価をされる傾向にあります。しかしながら、まだこの世に出てきたばかりの組織概念ですので、これといったビジネスモデルもなく、導入しても組織内で意識のシフトが起きるかどうかは未知数の状態です。ティール組織の事例に関しては6章で紹介をしています。

次ページ「ティール組織に関した3大勘違い」

組織に関する悩みを解消しませんか?改善するためのヒントや実践方法をご紹介!

テスト