ティール組織とは?5つの組織タイプとメリット・事例・おすすめ書籍

.ティール組織に関した3大勘違い

この章では、ティール組織に関した誤解・勘違いについて説明します。2015年に翻訳本が発売され日本でも流行りだしたティール組織ですが、いまだにこれと言ったビジネスモデルがない上に、ファシリテーターも著者本人しかいないため、世界各地でいろんな勘違いがされている状態です。今回はその中でもとくに世界共通の3大勘違いを紹介します。

1.ティール組織は小型組織向きである

ティール組織の最も多いのが「小規模なところでしか使えないんでしょ?」という誤解です。著者のラルー氏が来日講演時にも「全然そんなことはない!」と言い切っているところから、あらゆる業種に適応できることが明らかになっています。

 

これらの誤解は、小規模オフィスや出来立てのベンチャー組織などでは、業務遂行のため、計らずも組織がティール組織化することが原因で、それが最もイメージしやすいからです。しかし、どのような規模であれ、仮に事務所に2人しかいなかっとしても、トップと部下という役職が存在する組織はティールではありません

 

実際、著者が行った調査対象になった組織の従業員数は90人から4万人と幅広く、業種だけでなく規模についてもティール組織を構築する上では問題にはなっていないことが判明しています。

【参照:フレデリック・ラルー 「ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現」】

2.ティール組織という確立したビジネスモデルがある

これも誤解です。そのようなパチッとはめこむタイプのビジネスモデルは存在しません。

 

書籍『ティール組織』の中で事例として取り上げられた組織メンバーは全員、著者・ラルー氏から他組織の話を聞くまで、お互いの組織の存在すら知りませんでした。つまり、ティール組織というのは、ラルー氏をはじめとしたコーチやファシリテーターなどによってあらかじめセットされて施行したビジネスモデルなのではなく、それぞれの組織が自分たちにとって最善のことを考えて突き詰めて行った結果、似たような組織形態になったというわけです。

 

これだけ世界的に流行っているティール組織論ですが、発売から5年経過した2019年現在でも、「ティール組織とはこうあるべき」というビジネスモデルは存在していません。また、ティール組織論のなかで取り上げられた組織たちは、組織のティール化を目指していたわけではなく、自分たちの理想的な組織の在り方を目指してやり続けた結果、ラルー氏により「ティール組織」として取り上げられたことにも留意すべき点です。

3.現存する組織マネジメントの中で最も優れている

違います。階層式になっているので誤解しやすいのですが、ティール組織がその前の階層よりも優れていて、それよりも前の階層が劣っているというわけではありません。組織をどのように機能させて結果を出すかは、その取り扱う商品や環境によっても違います。

 

例えば、国内に内乱が起きている場合などは、5段階のレッド組織が最も良く機能して結果をだします。大規模な戦争が起きた場合はのアンバーが機能しないと負けてしまいます。部品生産や工業製品を画一的に素早く世界に行き渡らせたい場合にはオレンジ組織が最適です。このように、その組織が置かれている環境など様々な条件に組織を最適化することが大事なのです。

 

また、ティール組織は完璧なティールの条件を揃えている必要はなく、その組織イメージを決定付ける風土や組織構造がティール的かどうかで呼ぶ名称に過ぎません。どのような組織にも、オレンジやグリーン的な部分は残っていますし、たとえティール組織の中でも、オレンジ的、グリーン的な性質を持つメンバーは存在しています。

 

ティールは組織論とその考え方は大変に優れたものではありますが、全ての組織に対してベストというわけではありません。また、そのような完璧な組織モデルというのは、この世に存在しないと思っておいた方が良いでしょう。組織の変革や変容を希望する場合は、各カラー階層が持つ長所と短所を理解し、適宜に組み合わせて、強靭かつしなやかな組織に育てていく方が、結果的には他社の追随を許さない、オンリーワンの組織を構築することになります。

部下の貢献に逃さず感謝・称賛を伝え、成長を劇的にサポート「Unipos(ユニポス)」の詳細はこちら

6.ティール組織を取り入れている企業事例

この章では、ティール組織として紹介されている12組織の中から2社を事例として紹介します。

 

【オランダ介護組織ビューゾルフ】

  • 国:オランダ
  • 運営内容:

高齢者の地域ケアをメインとした在宅介護ケアの団体

  • 課題:

政府の財政難による資金圧迫で介護事業の細分化と分業化が進んだ。介護依頼者は毎回、新しい看護師に病状などを説明する必要がありケアそのものが成立しなくなった。このような背景の中、激務と対応人数の多さ、低賃金から、看護師離職率が激増した。

  • 取り組み:

看護師が介護ケアの全プロセスを把握して責任担当をしたら、これ以上賃金を下げないでも必要なケアができるのではないか?という発案からスタートした。

  • 成果:

現在、メンバー10,000人でマネージャー職ゼロ。構成員はバックオフィスと看護師。成功の鍵となったのは自社開発の専用アプリで

 

  • 業務日誌
  • 利用者の様子やケアの内容
  • 作業内容と時間の自動計算と公開
  • メンバーの生産性の自動計算と公開
  • ケアプランの改定やその変更点の発表
  • シフト作成
  • メンバーの連絡

 

をし、可能な限りメンバーが自分の裁量で判断できるだけの情報開示をしたことにありました。もともとセルフマネジメント力が高い看護師という職業適正もあったと思いますが、以下の最低限の決まりごとだけで組織10,000人がトラブルもなく稼働しているという事実は、驚愕すべきでしょう。

  1. チームは最大12人で独立制。チームメンバーは利用者の介護ケア・採用・教育・財務等チームで発生する作業の全てに裁量と責任がある
  2. 1チームで約4060人の利用者をサポートすること
  3. 定例ミーティングで役割と責任の確認・再確認すること
  4. 40〜45チームに1人のコーチを配置(売上目標管理・収益責任を担当)
  5. バックオフィスは事務作業のみ(請求、契約、支払い等)

 

ちなみに、一万人規模の企業というのは、日本だと商船三井や日立造船などの規模になります。また、ビューゾルフはメンバー満足度も高く、全オランダ企業の中で業種を超えて最も働きやすい職場として最優秀雇用者賞を受賞しています。

 

日本にはこのビューゾルフをモデルにした「ビューゾルフ柏」という介護ケア施設があり、それらの活動内容は日本の医療機関でもティール組織の事例としても注目をされています。

【参考:ビューゾルフ オランダ

【参考:ビューゾルフ柏 ネイバーフッドケア

【参考:ビューゾルフ柏 フェイスブック

【参照:吉江悟 ビューゾルフ柏業績報告

 

 

【アメリカ パタゴニア】

  • 国:アメリカ合衆国
  • 運営内容:

山岳・スポーツ用品をはじめとした世界的衣料メーカー

  • 課題:

企業理念に沿った事業をするために日々、変革と革新をする。

*ティールを目指した結果に大企業になったわけではなく、ラルー氏の著書でティール組織であると紹介された。

  • 取り組み:

開業当初は理念はなく、ただ衣料品を作る世界の下請けメーカーとして運営をしていました。途中から、時代に合わせて企業理念を変えていく企業風土にシフトします。パタゴニアは今までに3回、企業理念を変えています。

1994年 「環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」

2002年 「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、環境危機     に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」

2018年 「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」

 

パタゴニアは企業理念が変わるたび、新しい企業理念に沿った商品開発と事業戦略に刷新し、自ら組織を生き物のように新陳代謝して来ています。

 

また、経営の透明性としてオープンブックポリシーが徹底しており、ほんとんど全ての数字が公開されています。また、資本主義の総本山であるアメリカ企業の中で、談合入札などを徹底拒否する会社としても国内外で評価をされています。

 

  • 成果:
    • コストがかかっても、地球のためになる綿花を育てて生地を作り、その賛同者による衣料品の購買で売り上げが落ちないなど、企業理念を支える根強いファン作りに成功
    • 店舗で修繕と再利用をするリサイクルを推奨。新商品は持っているなら買わなくてもいい!という「Don’t buy this jacket」という自社製品の不買運動は有名。ファンと新規の賛同者たちに支持をされ、リサイクルユーズという新しい概念が消費大国アメリカに根付くきっかけとなり、「もったいない」「サスティナブル」の概念を衣料業界でいち早く行動に移している。
    • 社内に保育園と幼稚園があり、家庭と仕事が分断されることなく長く働ける環境構築がある

【参考:パタゴニア 日本

 

ティール組織を理解するためのオススメ書籍

【ティール組織 提唱者】

 1.フレデリック・ラルー 「ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

最も最初に出版されたティール組織論。概念的であったり、心理学や神話、宗教など西洋の世界観全体と基礎知識がないと日本人には理解できない部分も多い。中盤からのティール組織論そのものから見る方がわかりやすい。

 

 2.フレデリック・ラルー「[イラスト解説]ティール組織――新しい働き方のスタイル

イラストによりわかりやすく解説が入ったもの。内容は1と同じだが、語り口調が多いのでよりわかりやすい部分が増えた。

 

 3.吉原史郎 「実務でつかむ! ティール組織 “成果も人も大切にする”次世代型組織へのアプローチ

日本で出されているティール理論の説明では、最もわかりやすく実践的。どうやったらティールが組織に根付くか、という視点からティール理論を解説している。

 

 4.武井浩三 「自然経営 ダイヤモンドメディアが開拓した次世代ティール組織

日本の企業にティール的な要素を入れた「自然(じねん)経営」という独自の概念を、セミナーでの対話形式で展開。ダイアモンドメディア内の一部で実際に採択された経緯などもあり、ティール組織論の採用を検討している担当者にとっては一読すべき価値がある。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。ティール組織はまだ世界的にも新しい組織論として、非常に注目されていることがお分かりいただけたかと思います。

1.ティール組織とは?

2.ティール組織が成功するための3大要素

3.ティール組織のデメリット

4.組織がティールになるまでの5段階意識フェーズ

5.ティール組織に関した3大勘違い

6.ティール組織を取り入れている企業事例

の全項を通じて、ティールがなぜ世界で注目されるのか、取り入れてみる価値があるかどうかの手応えは感じていただけたと思います。自社の環境や人材の特徴などを鑑み、採択の検討の一助になれば幸いです。

部下の貢献に逃さず感謝・称賛を伝え、成長を劇的にサポート「Unipos(ユニポス)」の詳細はこちら

組織に関する悩みを解消しませんか?改善するためのヒントや実践方法をご紹介!

テスト