
3.チームワークを高められるリーダー像とは
では、そうしたリーダーシップを発揮できるリーダーとは、どのような資質を持った人なのでしょうか。本章では、チームワークを高められるリーダー像について考えていきます。
カリスマは必要ない
チームワークを高められるリーダーには、カリスマ性や人を惹きつける能力などが求められているわけではありません。
もちろん、そういう能力があることがマイナスにはならないでしょうが、チームワークを高められるリーダー像とは、むしろ他人を尊重できる懐の深い人といった人物像のほうが当てはまります。
たとえば、いくらカリスマ性のあるリーダーだったとしても、その人に近寄りがたい雰囲気があったら、むしろチームワークは瓦解してしまうかもしれません。
リーダーひとりの存在感が強すぎて、部下が委縮してしまい、メンバーそれぞれの実力が発揮できなくなってしまう恐れがあるからです。
チームが機能するためには、近寄りがたいリーダーより、メンバーとの距離が近いリーダーのほうが部下もやりやすいはずです。
とりわけ、チームワークを高めるためには、リーダーが部下の意見を尊重し、メンバー全員が価値観を共有する雰囲気を構築しておかなければなりません。
そのような雰囲気づくりのためには、とっつきにくいリーダーより、むしろ懐に入る隙を作っておけるようなリーダー像が求められるのです。
メンバーを尊重できる
また、自分中心の考え方を先行させるやり方では、チームワークを高めることにはつながりにくいので、チームを率いるリーダーには自分以外のメンバーを尊重できる素養が求められます。
組織において他人を尊重するためには、周囲の人の個性や能力を見抜く目を持っていなければなりません。
そういう目利きの力があるからこそ、チーム内のメンバーに適材適所で役割を分担させながら配置することができるのです。
コミュニケーション能力
チームワークを安定して持続させるためには、リーダーの高いコミュニケーション能力も必要です。
コミュニケーション能力は、部下との意見交換の際にも求められ、メンバーが安心してアイデアを発信できる雰囲気づくりにも欠かせません。
また、リーダーにはメンバーのやる気を引き出し、仕事に向き合わせる役割も求められます。その役割を行使するにもコミュニケーション能力は不可欠です。
部下の心理状態を把握して、やる気を出させるような一言が言える人物こそ、リーダーの資質を備えているといえるのです。
4.リーダーがいないチームはどうなる? リーダー不在の組織の特徴
チーム内に組織をまとめるリーダーがいなかったら、そのチームの行く末はどうなってしまうのでしょうか。
リーダーのいない組織の特徴から、リーダー不在のチームが陥る状況やその行く末を考察してみましょう。
リーダーのいない組織の特徴その1:作業効率が悪い
リーダー不在の組織は、まずメンバー同士が協力関係を築けません。
チームをまとめる潤滑油のようなリーダーがいないと、チーム内のコミュニケーションそのものが不足しがちになります。
メンバー間のやり取りが減るため、横の連携が取れないのはもちろん、上司と部下などの縦の連携もうまく取れなくなります。
連携が取れなくなれば、メンバー同士が業務の進捗状況を共有することもままなりません。すると、無駄な仕事が増え、作業効率が著しく悪化します。
リーダーのいない組織の特徴その2:モチベーションが低い
リーダーの役割は、メンバーの心理状態を把握し、そのときの状況に合わせてやる気を引き出すことにあります。
しかし、リーダー不在の組織では、メンバーの心理状態を把握している人がおらず、皆を鼓舞する人もいません。
その結果、チーム全体のモチベーションが低く、仕事に取り組む姿勢がだらけたような状態になります。リーダー不在の組織は、チーム内全体の雰囲気が暗く、活気のない状況に陥ってしまうことが多いです。
リーダーのいない組織の特徴その3:メンバー同士の仲が悪い
異なる背景や価値観を持った人が集まれば、そこにはどうしても反目や不和が生まれてしまうものです。
それを見越して、チームの方針を定め、人材を適材適所に振り分けることで、組織の統一と協力関係を築いていくのがリーダーの役割です。
それがなければ、当然チーム内の不和もそのままに放置されます。価値観の共有ができず、チームがひとつの目標に向かって進むことも難しく、組織は内側から瓦解してしまうでしょう。
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