テレワークの導入で想定される4つのマネジメントリスクと具体的対策法

2-3.計画的人材育成のリスク対策

テレワークでは、チャットやツールの使用で情報交換は蜜になりますが、会って会話をする機会は減ります。その結果、各自が業務をどのような姿勢でやっているかなどの、人事評価に関した判断が見えづらくなります。

同時に、社員の普段の仕事ぶりから窺われる人物全体像が見えにくくなるため、今後の社内に必要な人材育成や才能の発掘が遅れる可能性があります。

これらのリスクを避けるためには、以下の方法があります。

①テレワークでの個人目標を計画させる

テレワークでは、社内で将来的に必要とされる年齢・役職ごとのロールモデル育成が遅れがちになる可能性があります。上司が現場で声かけをしながら進捗確認ができないテレワークでは

  • 何を
  • いつまでに
  • どのくらい

    という年齢・役職のロールモデルに合わせた個人目標設定を上司指導のもとで作り、その進捗に伴走する形で、直接指導ができない部分を補います。

    ②個別面談ができる機会を定期的につくりだす

    テレワークでは対面を禁止されているわけではありませんので、定期的に個別面談できる機会を作り、現場で困っていることを共に解決してあげるなど、マニュアル外で起きた事柄への指導が可能です。

    また人によっては、上司に聞くよりも横並びの同僚・年の近い先輩の方が気楽に相談しやすいケースもありますので、グループで集まれる機会作りも忘れないようにします。

    もちろん、上司に接触を求めている部下・向上意識の強い部下に対しては、テレワークでも普段からオフィス同様に声をかけ、

    • オンライン飲み会などで忌憚のない意見を交わし合う
    • 自分の過去の経験則からアドバイスをする

    など、上司の采配の範囲で、できることをしましょう。

    2-4.組織力やチーム力の低下リスク対策

    組織力やチーム力の低下リスクを避けるために、できることは以下の3つです。

    【ウェビナーで分かる】従業員エンゲージメントの強化と定着を実現するポイント

    ①ビジネスコミュニケーションツールの利用

    チャットなどのビジネスコミュニケーションツールを使って「チームの一員」であることを自覚させましょう。基本的には今まで社内で行なっていたコミュニケーションをネットで行います。

    例)
    ・部署ごとの朝礼をチャットで行う
    ・プロジェクトごとのチームチャットを作る
    ・雑談ができるチャットを作る

    などグループまたは1:1での小さなコミュニケーションを積み重ねます。

    成果主義寄りの仕事スタイルになるテレワークでは、どうしても個人目標の達成に意識が行きますが、あくまで自分のタスクは全体の仕事の一部であるという意識を持ってもらうと「自分はこのチームの一員なんだ」という仲間意識の維持ができます。

    ビジネスコミュニケーションツールには様々なスタイルのものがあります。例えば、

    • チャットワーク
    • Slack

    などは無料なため、外注や在宅業務者の急な増減に影響されずにビジネス上のやりとり・共同作業ができるので、普段使いのコミュニケーションツールとして適しています。

    組織やチームとして、もう少し踏み込んだコミュニケーションの必要性を感じた場合には、「ありがとう」などの言葉にピアボーナス(ポイント)*をつけて気持ちを送りあえるuniposを使う方法があります。

    チャット画面で伝える「ありがとうございました」の文字だけでも感謝は伝わりますが、チャット画面上でボーナス(ポイント)をつけると、仲間が行ったチームへの貢献を視覚化できます。例えば、

    「いつも花の水を変えてくれてありがとう」(1ポイント)
    「昨日、会議室のコーヒー片付けてくれて助かりました!」(5ポイント)
    「今日のプレゼン資料、本当に役立ちました。感謝です!!!」(100ポイント)

    などのように、社内にいたら伝えるであろう気持ちの深度に合わせて、お互いにポイントで自由に表現ができます。これらの小さな感謝・賞賛・承認をお互いに日々繰り返すことにより、テレワークで物理的な距離があっても「仲間」であることが体感できるので、コミュニケーション不足によるモチベーション低下や、帰属意識の低下による人材流出を防ぐ助けにもなります。

    これらのコミュニケーションツールは、マネジメント側である企業が吟味・選択して用意しましょう。
    【参照:文教大学情報学部2013・7月「組織レベル社会関係資本:モチベーション効果と組織全体の理解」
    【参照:unipos
    【参照:チャットワーク
    【参照:Slack
    *ピアボーナス(ポイント)は企業ごとに決めたレートで円換算され、月次の給与で振込も可能。

    ②進捗管理ツールの利用

    進捗管理ツールを使うと、仕事の進捗率などが一目でわかるので、各自に自分のペース配分を意識させることができます。テレワーク中は人の仕事の状態がわからないので、共同作業をするグループでは、進捗管理が視覚的に確認できるものは必要です。

    1章で紹介したツールにセットで含まれている場合もありますが、ない場合は、無料や安価なものでも優秀なツールがあります。

    • REMINDME(無料・100名以上の大型プロジェクト向け)
      大規模なプロジェクトの進捗管理ができる無料ツールです。世界で最も認知度が高い進捗管理専用ツールで、日本語版ができています。
      もともとシステム開発者向けに作られたものなので、煩雑で膨大な作業スケジュールでもわかりやすくタスク管理ができます。ダウンロード版・無料版・クラウド版(有料)があります。
    • エクセル ガントチャート(無料)
      ガントチャートを使ったエクセルのプロジェクト進捗管理です。すでに企業でマイクロソフトエクセルを使用していれば、テンプレートが使えます。
      マイクロソフトクラウドにあげて、全員でリアルタイム閲覧ができます。また、テレワーカーがマイクロソフト製品を使用していなくても、ドキュメント化すれば利用・閲覧ができます。
      【参照:ガントチャート

    • Group Task(無料・有料)
      画面がシンプルで使いやすく、学習する必要がほとんどないほどカンタンな国産ツールです。タスクの数で料金が決まるので、30タスクまでは無料で使えます。
      有料の場合でも、一人当たりの月額が23〜80円と格安なため、そのまま有料版で使い続ける企業がほとんどです。チームごとにタスクの画面切り替えができるので、類似案件の進捗でもミスが起きません。

    ③グループウエアの利用

    グループウェアとは

    • メール
    • スケジュール
    • 掲示板
    • ファイル共有
    • ワークフロー

    などの、日々の業務で使用するアプリ機能を一箇所にまとめたツールです。

    ①で説明したチャットだけでもコミュニケーションは維持できますが、「チャット」画面の性質上、大切な情報でもどんどんと後ろに流れてしまいます。

    グループウェアは総合情報を出すポータルとしての機能が強いので、大切な情報を見失わないような作りになっています。また、情報共有機能も強いので、

    • チャットで話してた内容に対して個別でスレッドを立てる(公開・非公開)
    • 他メンバーの共有事項に対してコメントが残せる
    • 自分が残したい情報だけを個別管理できる

    など、より深いコミュニケーションや正確な情報管理をしたい場合は、社内SNSツールとしてグループウエアの採用をするほうが適しています。以下は、無料または有料で使える、導入しやすいグループウエアです。

    ・LINEビジネス(無料・有料)
    普段使っているLINEがビジネスでも使用できます。LINEの新規ビジネスアカウントを取り、仕事の時のみビジネスアカウントで対応をします。

    • 既読管理
    • スケジュール管理
    • グループ通話
    • グループビデオ通話


    など、便利な機能が多く、使い慣れたスマホをそのまま利用できるので、コミュニケーションへの抵抗感が少なめです。

    また、LINEはすでに利用者が多いため、操作説明の必要がないので、すぐにグループウエアとして機能します。

    有料版(月額300〜500円/人)はPCでも同じ操作ができるようになります。プレミアム版(月額1,000円/人)は、セキュリティ強化と管理者閲覧権限などが出てくる、本格的な管理ツールとしても使えます。

    ・GRIDY(グリッディ)
    初期費用と月額費用が一切かからず、ユーザーも無制限に登録できるクラウド型の無料グループウェアです。従来のグループウエアと違う点は、社内外両方のメンバーが使える部分です。

    ツールの設定を変えれば、他企業ともグループ形成ができるので、他社とのコラボレーション企画などの進捗がスムースに進みます。アクセス制限機能、データ通信暗号化など、セキュアな利用環境が整っていますので、クラウドで懸念される情報漏洩やアクセス制限の心配がありません。

    基本機能に加えて

    • 社内業務と情報共有
    • スケジュール管理

    を効率化するための機能が23種類搭載され、グループごとに必要な情報共有をカスタマイズできます。スマホ版アプリもあるため、外出先でも利用できます。

    不測の事態にも対応できるテレワーク(2020年新型コロナウイルス対策としてのテレワーク)

    2020年春に起きた新型コロナウイルスのパンデミック宣言により、日本でもテレワークによる勤務が余儀なくされました。各企業、急ごしらえのテレワーク対策をしながらの対応でしたが

    • 出産や育児
    • 介護
    • 怪我病気

    などの理由以外にも、テレワークが「不測の事態」でも自在に対応できる働き方であることが明らかになりました。

    不測の状況下であっても、テレワークマネジメントの難しさと課題には変わりがありませんが、災害大国日本では、今回のパンデミック以外でも

    • 地震
    • 大雨
    • 火山
    • 台風

    など、自然災害でも非常事態が起こる可能性があります。そんな時でも、自社の運営を停止せずに、かつ社員を安全に勤務させながら経済活動を続け、社員の給与保証もできるテレワークは、今後も「働き方改革」基盤になることを実体験できたのではないでしょうか。
    【参照:厚生労働省 働き方改革推進支援 テレワークコース

    まとめ

    いかがでしたでしょうか。テレワークのマネジメントに関して

    1. テレワークで想定される4つのマネジメントリスク
    2. テレワーク4つのマネジメントリスクの具体的な対応策

      をまとめました。テレワークのマネジメントリスクは、起きてからよりも、先に準備ができていれば回避しやすいことがご理解いただけたと思います。無料・有料の優秀なツールを利用しながら、自社のテレワーク導入と運用が進むことを応援します。

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