労働環境改善で取り組むべき3問題とその対策 改善3ステップも紹介

.労働環境改善をするアイデア

本章では、自社の労働環境のより良く改善をするためのアイデアをまとめました。本記事で取り扱っている労働環境は、主に企業が用意するハード環境を指し、オフィスデザインやインテリアを整えるなどのソフト環境とは違います。

もちろん、オフィス家具などを明るくナチュラルなものに変化させれば一時的に気分は変わるかもしれませんが、根本の労働環境(ハード)が変わらない限りは対処療法となります。

自社の労働環境を根本からよくするためには、以下の4ステップを踏む必要があります。

2-1.自社の分析をする

自社分析とは、要するに現状把握です。自社の労働環境を把握するには

①就業規則チェック

長時間労働を強いる規則になっていないか、子育てなどと両立できる柔軟な働き方ができているのかを確認。

 

②就労時間チェック

就業規則に問題がないのに長時間労働をしている社員を見つけるためにチェックします。目立って多い場合は、職場での「無言の強制」または「業務過多」の可能性があります。

 

③有給消化率チェック

就労記録から全社員の有給消化率を把握します。現在は36協定がありますので、その基準以下の場合はやはり「無言の強制」または「業務過多」を疑います。

 

④労災比率のチェック

業務内容と関わらず、例年よりも労災申請がどのように変化しているかを見ます。

  • 業績が上昇して労災が増えている:作業環境における事故率・疾病率を減らす方法を考えます。
  • 業績が下降して労災が増えている:作業環境における業務過多・人員不足を疑います。

厚生労働省が提供する「働き方・休み方改善ポータルサイト」で企業向け・社員向けともに労働環境を診断できます。診断は下記のように労働環境がわかりやすく把握でき、なおかつ具体的に取り組むべき改善策などの提案があります。また、事例案として厚生労働省が推薦できる労働環境整備に成功した企業例PDFがあります。

【参考:厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト企業向け 診断結果例】

【 ポータルサイトで表示される参考企業の添付PDF例】

状況が許すのであれば、上記のポータルサイトの診断結果を各社員にも回答してもらったものを印刷かPDF化してもらい、企業が管理している数値と、実際の現場から見た労働環境に関した数値の乖離も把握しましょう。

以下は、個人の診断結果サンプル画像です。個人レベルで即導入できる内容であり、なおかつ、有休消化取得を促し、長時間労働を自主的に控えるように構成されています。

2-2.改善策のアイデアを集める

ステップ1.で大まかな改善策の方向性と改善ポイントはわかりましたが、実際にどう改善してほしいかは、現場の意見を社内アンケートで吸い上げた方が、より適切な改善ができます。

無記名で答えられるウェブアンケートで、社員の生声を元に、自社の社員の希望に沿った改善策を集めます。このアンケートで、実際に長時間労働や有給が取れない原因がわかるように、心情的な面もアンケート内容に含めると良いでしょう。

<アンケート例>

以下に当てはまるものをチェックしてください。

  • 定時に帰ると職場が嫌な空気になるか
    • 無言になる
    • 上司の顔色を伺う
    • 挨拶などがなくなる
    • 無視をされる
  • 時間外労働を断った場合、上司は不機嫌になるか
    • 言動が荒々しくなる
    • 無視をする
    • 仲間外れにする
    • 大量の急ぎ出ない仕事を言い渡される
    • 転勤などをほのめかす
  • 有給申請をした時、ネガティブな発言をされたことがあるか

(言われたことを書いてください:            )

  • 有給をとることに気兼ねがあるか、それはなぜか
    • 同僚に悪いから
    • 周りに何か言われるから
    • 周りに迷惑がかかるから
    • 遊んでいると思われる
    • その他
  • 職場のことで相談したいが相談できる人がいない

など、普段、社員がうまく言語化できない「空気」がどのような形であるのかも把握しましょう。

2-3.解決策を検討する

2-1.2-2.の結果を合わせて改善策を採択していきます。その際、

  • 社則レベルでいじる必要があるもの
  • 職場ルールにすべきもの
  • ポスターやメールなどで喚起するもの

にわけ、やりやすいものはすぐに実行しましょう。これらのスタップ1〜3つを組み合わせたものは、自社オリジナルの改善案となり、より自社の環境と状況に沿ったものになります。

2-3-1.アイデア例

以下は、労働問題になりがちな部分を劇的に改善するためのアイデア例です。参考にしてください。

2-3-2.労働時間

長時間労働削減をするための対策法6つ

①人事評価制度などの見直し

人事評価で、労働時間の長さが評価される仕組みになっていないかを見直します。

 

②ITシステムやアプリの導入

残業時間の可視化をするアプリ導入などを検討しましょう。月間・四半期ごとに労働が超過しやすい時期やタイミングを把握して、労働時間の延長が本当に必要な場合のみ、人員調整や労働時間調整ができるようにします。

【参照:残業時間管理アプリ キングオブタイム 30日間無料体験あり】

 

③給与制度と人事制度の見直し

多くの人は給与のために仕事に来ています。企業として従前のような昇給制度が続けられないのであれば、人事制度に手を加え、働くスタイルそのものを変えていく必要があります。

以下のような部分に手を加えることにより、長時間労働になる要因が減っていきます。

例えば

  • 給与制度を変える

<企業事例> IKEA 

同一賃金同一労働制度採用により、日々の仕事量と職務の内容に大きな差が出ないようにしました。

これにより、同じ職務は一律給与となりました。代わりに労働時間を3タイプに分けて賃金差を出し、個人の希望するライフワークバランスを選択できるように変更しました。

同一賃金で同一の労働スタイルですので、早く帰りたい人は短いシフトを選択、たくさん働きたい人は長いシフトを選びます。人生で起きるイベントにより、職場を変えずに労働時間だけを変えていける、新しい考え方です。

【参照:同一労働・同一賃金、全従業員正社員化だけではない、働きがいのある職場を創り出すイケアの理念経営 記事

  • 給与以外に福利厚生を手厚くする

<企業事例> 株式会社ランクアップ

女性の多い企業では子供がいる社員が半数以上です。子供の送り迎えや急な発熱などで仕事を休むと、子供のいない社員へ負担がかかり、大変居ずらい環境になります。

なおかつ、残業の際にはベビーシッター代金や保育所の延長料金がかかり、残業代があっても赤字になり、なんのために働いているのかわからない労働環境がありました。

株式会社ランクアップでは、ベビーシッターを企業が雇い、従業員負担を300円にしました。この金額ならば子供が連日で熱を出していても安心して働き続けていけます。残業ゼロで10年連続増収増益を続けています。

似たような件で、介護の問題もありますので、同じく、ハウスキーパーなどの手当を積極的に福利厚生に入れる、家事代行業を企業で採用するなどがあります。

【参照:日経情報ストラテジー 記事PDF

 

④裁量労働制やフレックスタイム制などの導入

全社向けに裁量制度とフレックスタイプ制度を全面的に取り入れ、各自が必要な時期に必要な集中ができるように「働き方の自由度」を上げる必要があります。

また、仕事が特にない時期には早く(15時など)帰っても良いようにし、年間を通じた労働時間の観点で各自調整をしてもらうようにします。

【参照:厚生労働省 変形労働時間制

 

⑤リモートワーク・テレワーク

リモートワーク・リモートオフィスにより、住んでいる場所に左右されずに仕事ができる環境作りをします。

このような柔軟な働き方の選択肢が増えることにより、疾病・怪我・家族の問題・介護・結婚・引っ越しなどによる退職をする必要がなくなり、大切な人材流出を防ぐことができます。

【参照:厚生労働省 テレワーク

2-3-3.有給消化率の向上

有給消化率をあげるためには、職場の休めない「空気」をなくす制度にするのが近道です。例えば、逆の罰則を課する

など、有給を取らないことに対した罰則(罰金・日間の掃除奉仕など)を設けるなど「有給とは、何がなんでも取るべきもの」にしていく必要があります。

これであれば「有給を取れない空気」を作っていた上司本人も自ら有給を取るようになります。また、同僚への気兼ねは、有給を取らせなかったことで「罰則を課させてしまった」に変わりますので、同僚への気遣いも無用になります。

年間休日の中に強制的に有給を組み込んでいる企業もありますが、本来、有給休暇は個人が好きな時に取るものです。今日まで続いた「取りにくい雰囲気」が誰かの決めた規則ではない以上、「取るのが当然なく雰囲気」も自社で醸造できる点に注目しましょう。

【参照:厚生労働省 PDF

2-3-4.労災を減らす

労災は職種によって起きる事故や疾病も違いますが、以下の5つに注意すると労災につながるトラブルを減らせます。

①危険な動線をなくす

職場に危険な場所がないかを確認します。事務系オフィスでもダンボールの山積やカート類の整理されていないために起きる事故が多くあります。

このような動線は、職場内事故(軽度のものでも)があった箇所に注意書きの張り紙をするだけでも抑制効果があります。

【参照:朝日新聞デジタル記事 カラス侵入禁止の警告文の効果

 

②整理整頓できる環境にする

オフィスで整理整頓ができるだけの十分な広さを確保します。また、そのためのロッカーなども整備します。

 

③適正な仕事量にする

肉体的・精神的とも、過重労働はトラブルの主たる原因になります。法で定められた労働時間内で仕事が終わるように、適切な生産プランと仕事量の平準化をします。

 

④カウンセリングなどによる訴えができる

職場でさまざまな困ったことが起きた時に、一人で抱え込むのではなく相談できるセーフティネットを多数設けます。このような機能があるだけで怪我・疾病などの労災トラブルを遠ざけられます。

<例>

  • スマホによる相談申し込みができる
  • チャット相談ができる
  • 24時間体制の電話カウンセリングなどが受けられる
  • 定期的にメンタル診断が受けられる

など、最初のハードルを低く設定してあげる必要があります。

【参照:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

 

⑤医師の問診

働き方改革により、労働者の健康確保措置として、長時間労働をした従業員に対して、医師による面接指導を基準変更と産業医の機能強化が平成31年4月から導入開始が予定されています。

現時点では、長時間労働が100時間を超えた場合に面接が適応されていますが、これを80時間に変更予定です。いずれにしても、長時間労働に起因した労災削減対策は、各企業の急務となっていますので、本人から早期に・自発的に申し出ができるように、上記4と合わせた「相談しやすい環境つくり」が必要です。

【参照:厚生労働省 長時間労働者への医師による面接指導制度について

労働環境改善の土台となる、組織風土改革のプロセスやポイントなど実践術を徹底解説!無料ウェビナー開催中

次ページ「労働環境改善の2事例」

本質的な課題と向き合える

メールマガジン登録

気づきを得られる、試してみたくなる、動きたくなる。 組織改革や人材育成に関するヒントが詰まった、管理職や人事のための無料メールマガジンです。