
「人材育成計画をどのように立てればいいのか分からない」
「優秀な人材を育成するためには、どのような計画が必要なのだろう?」
人材育成計画を立てる時、多くの人がこのような悩みに直面しますよね。
実際に活用できる人材育成計画には、次の4つの要素が絶対に必要です。
計画にこの4つの要素が含まれていないと、育成が円滑に進まない可能性が高いので注意してください。
人材育成計画についての理解を深めたら、実際に活用できる計画書を作成しましょう。
一般的に人材育成は計画書に落とし込んで進めていくものです。
しっかりと練られた人材育成計画書があれば、業務の手を止めることなく指導を行うことも可能になります。
そのため当記事では、
- 人材育成計画の立て方
- 人材育成計画書の作成方法(事例・フォーマット・作成に役立つ情報)
を分かりやすく解説します。
人材育成計画書作成に役立つ情報として、厚生労働省が公開する職業能力評価基準やキャリアマップなどを一覧にしました。
対応する業種・職種の一部を下記に抜粋しています。詳しくは4章をご覧ください。
【職業能力評価基準】事務系9職種+56業種
建設業、製造業関係、運輸業関係、卸売・小売業関係、金融・保険業関係、サービス業関係
【キャリアマップ・職業能力評価シートなど】事務職系9種+15業種
事務職系職種、エステティック業、警備業、外食産業、スーパーマーケット業など
このように当記事では、人材を人財にするために必ず知っておきたい情報を簡潔にまとめています。
さっそく読み進めていただき、あなたの人材育成計画作成にお役立てください。
下記に当てはまる人には特にオススメです。ぜひ最後までお読みになってくださいね。
- 社内に人材育成の明確な基準がない
- 人材育成基準がかなり昔に設定されたものである
- 人材のキャリアマップがない
- 目標や指導内容の明文化が苦手
- 自社の人材育成基準に疑問を持っている
従業員の挑戦を促すためには、心理的安全性の高い環境が必須!詳細はこちら
1. 人材育成計画を立てる時に絶対に必要な4つの要素
冒頭でもお話した通り、人材育成計画には次の4つの要素が絶対に必要です。
人材育成計画にこの4つの要素が含まれていないと、
- 組織のニーズと人材がマッチしていない
- 従業員が自分の将来像をイメージしにくいため、熱心に取り組めない
- 上司と部下の間で認識がズレる
という問題が生じやすくなります。
せっかく立てた育成計画が効果を発揮しないという事態を避けるために、4つの要素をしっかり理解しておきましょう!
1-1. 組織の理念やビジョンなどが盛り込まれている
1つ目の要素は、「組織の理念やビジョンなどが盛り込まれている」ことです。
組織の理念やビジョンが盛り込まれていないと、「組織が必要とする人材が育たない」恐れがあります。
例えば、経営方針にグローバル展開を掲げている企業を例に考えていきましょう。
【グローバル展開予定の企業が必要とする人材一例】
- 国際コミュニケーション力の高い人材
- TOEIC750以上の人材
- 行動力や度胸のある人材
一方で、極端な例ですが、取引・販売先がすべて国内で今後も海外進出の予定のない企業の場合、国際力の育成はあまり重要ではないと考えられます。したがって国際力は育成の重要ポイントにはならないでしょう。
【海外進出の予定のない企業が必要とする人材一例】
- 効率良く、物事を進められる人材
- 顧客の厚い信頼を得る人材
- 企業に収益をもたらす人材
このように、組織の経営方針や理念などによって、必要となる人材が異なるのです。
また、企業の経営目標からも必要な人材を知ることができます。
例えば、企業の経営目標が「売上10%アップ」だった場合、目標達成のためには個人が少しでも売り上げを伸ばすことで貢献できますよね。
「顧客満足をアップ」を目標としている場合は、顧客満足度につながる行動が求められます。
それぞれの経営目標を個人の目標に盛り込むと下記のようになります。
このように個人が達成した目標が、組織の経営理念や経営方針に近づいているのが理想的です。
人材育成計画を作成する前には、必ず組織の理念やビジョンなどを再確認しましょう。
1-2. 将来の理想の人物像が具体化されている
2つ目の要素は、「将来の理想の人物像が具体化されている」ことです。
将来の理想の人物像が具体的になっていないと、いわゆる「計画倒れ」になる恐れがあります。
なぜなら、計画は具体的であればあるほど、実現が可能となるものだからです。
それでは、具体的な人物像と抽象的な人物像を例に見ていきましょう。
具体的な人物像の例 |
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抽象的な人物像の例 |
|
具体的な人物像の例をご覧いただくと、できることが明確になっているため、とてもイメージしやすいですよね。
その反面、抽象的な人物像の例は、受け取る人次第で解釈に差が出るものばかりです。
PCが問題なく使える |
×問題なく使えるとはどの程度を指すのか分からない |
営業部で優秀な成績をキープする |
×優秀な成績の基準が分からない |
顧客満足度の高い社員となる |
×顧客満足度の高い社員の判断基準が不明で、目指すレベルも分からない |
このように、ついツッコミを入れたくなる書き方はNGと心得ましょう。
将来の理想像の具体化が難しいと感じたら、ターゲットの先輩にあたる社員で優秀とされる人は、どのようなスキルを持っているか考えると良いでしょう。
それだけではなく、育成ターゲット本人へのヒアリングを行うことで、育成者と育成ターゲット間の認識の違いを埋めることができます。
例えば、不動産営業の場合、
①マネジメントスキルを身に付けて、管理職へ
②現場第一主義で活躍したい
という2種類の将来像が想像できます。
育成ターゲット自身は②の現場第一主義で活躍したいと考えているのに、育成者が独断で①の管理職へのステップアップを盛り込んだ育成プランを作成した場合、熱心に達成を目指せるでしょうか?
企業の理想の人材像、育成ターゲット本人の理想の将来像が乖離していては、育成はうまく進みません。育成計画を立てる前に、両者のミゾをあらかじめ埋めておく必要があります。
実際に計画書の目標を達成するのは、育成ターゲット自身ですから、本人が「達成したい」「将来の自分の役に立つ」と納得できるものを目指しましょう。
1-3. 現在の人材レベルに合致している
3つ目の要素は、「現在の人材レベルに合致している」ことです。
現在の人材レベルと育成計画が合致していると、次のようなメリットが期待できます。
- モチベーションが維持しやすい
- やりがいを感じやすい
- 持ち味を業務に生かしやすい
人材レベルとは、単に個人が持つ能力(スキル)だけではなく、「強み」や「弱み」といった部分も含まれます。
強みや弱みは、いわば部下の持ち味です。
この持ち味を正しく把握して、計画に盛り込むことができれば、部下は業務にやりやすさを感じるでしょう。
部下の持ち味の見つけ方は、とても簡単です。
業務を遂行する際に「他のメンバーと異なる部分があるか」に着目しましょう。
一例として挙げると次の通りです。
スキル(技能力) |
強み(持ち味) |
|
|
自分なりのこだわりがあると、他者とは違う視点で仕事のチェックができます。
他者よりも時間をかけて取り組むことで、誰も気づかないミスを見つけることもあるでしょう。
持ち味を意識して業務に生かすことができれば、これまで見られなかった新たな力を発揮することが期待できます。
人材レベルを正確に把握するためには、現在の業務状況だけで判断するのではなく、部下を広い視点で俯瞰することが求められます。
1-4. 目標が段階ごとに設定されている
最後4つ目の要素は、「目標が段階ごとに設定されている」ことです。
段階ごとに設定された目標だと「これならできそう!」と取り組む意欲がわくもの。
目標をひとつずつ達成することで、「やればできる」「理想の将来像に近づいている」と自信にもなります。
この時、理想とする将来の姿と現在の状態がつながるように設定しましょう。
部下に求める能力と現在の能力のギャップが、必然的に身に付ける能力となります。
分かりやすく公式化すると次のようになります。
- 部下に求める能力-現在の能力=身に付ける能力
身に付けるべき能力が明らかになったら、段階ごとに目標を立てていきます。
無理な目標や実力以上のハイパフォーマンスが期待される目標では、決して良い結果は生まれません。
手を伸ばせば届くような、実力よりも少し上の目標を設定することがポイントです。
経営目標 |
売上10%アップ |
個人目標 |
新規顧客獲得(月2件) |
目標達成に必要な能力 |
|
目標は必ず「計画はスモールステップで達成する」という意識を持ちましょう。
この時、さらに段階ごとの目標をできるだけ具体的にすると、より実践しやすい計画となります。
NG例 |
具体例(「何を」「どれだけ」「いつまで」を明確に) |
効率化する |
|
向上する |
|
抽象的な表現を使うと、イメージの共有がしづらく、ゴールをまっすぐ目指せません。
「何をすべきか」が明確に分かるように、しっかりと書き込むことで、部下との認識エラーを防止します。
現在の状態からスモールステップで最終目標(ゴール)に到達するように、いくつかのルートを考えましょう。
ただし目標を実現するルートは必ずしも1つであるとは限りません。複数の方法が考えられる時には、可能であれば複数案を提示すると親切です。
いずれにせよ、最終目標が高いのは問題ありませんが、必ずフェーズごとの目標を設定するようにしましょう。
2. 人材育成の成功には、育成計画を「計画書」に落とし込む必要がある
人材育成計画を立てただけで満足していたのでは、本来の役割を果たしていません。
部下への指導を円滑に進めるためには、人材育成計画を「人材育成計画書」に落とし込む必要があります。
なぜそう言えるのかを次項より具体的に解説していきます。
2-1. 人材育成計画書の必要性
人材育成計画書は、人材を育成するための基本となる最重要アイテムです。
この計画書がしっかり練られていると、育成する側・される側の双方でイメージの共有がしやすく、スムーズに取り組めます。
反対に、人材計画書がなかったり、適当に作成されたりしたものだと、肝心の人材育成でつまずく可能性が大きくなります。
ほとんどの場合、人材育成は通常業務と並行して行われます。
しっかりとした計画書をあらかじめ作成しておくことで、育成の負担を減らすことができるでしょう。
人材育成計画書がある場合・ない場合の違いは次の通りです。
人材育成計画書あり |
人材育成計画書なし |
|
|
また、計画書を作ることで、「どのように指導すればいいのか分からない」という問題から解放されます。
2-2. 計画書があるとPDCAが実践しやすい
人材育成の成功のコツは、PDCAのサイクルで実践することです。
PDCAとは、業務の効率化を目指す方法論のひとつで、「Plan( 計画)」「Do(実行)」「Check(進捗確認)」「Action(改善)」の頭文字を取ったものです。
①Plan :計画を立てる
②Do :計画に基づいて仕事に取り組む→経験をし、能力を身に付ける
③Check:定期的に進捗を確認し、達成・未達成の部分を明確にする
④Action:未達成部分の原因を探り、達成できるように改善する
このPDCAのサイクルを繰り返すことで、継続的に人材育成の質を上げることができます。
人材育成計画書がない場合は、PDCAのサイクルでの指導を意識的に行う必要があります。
しかし、育成計画書がある場合は、定期的に計画書を確認するだけで、C(進捗確認)とA(改善)が実施可能です。
このように人材育成計画書があると、人材育成が成功しやすいPDCAに劇的に取り組みやすくなります。
3. 人材育成計画書のサンプル【フォーマットのテンプレート付き】
「人材育成計画書の必要性は分かったけれど、実際にはどのように作ればいいのだろう?」
このようにイメージがわかないという人もいるのではないでしょうか?
本章では実例をもとに「人材育成書とはどのようなものか」を考えていきます。
さらに無料でダウンロードできるフォーマットを2パターンご用意しました。
あなたの人材育成計画書作成にぜひお役立てください。
3-1. 人材育成計画書の事例
人材育成計画書とは、その名の通り「人材を育成するための計画書」です。
一般的には、「成長するためにはどのような行動をすべきか」が段階的に計画され、指導する側・される側の双方が内容を共有できるものとされています。
ここで実際の人材育成計画書を見ていきましょう。
下記は高知県庁が公開している「新規採用者育成計画(簡易的な計画の例)」です。
上記の人材育成計画は簡易的とはいえ、
- 目標達成の目安となる期間
- 目標を達成するために必要な行動(習得方法)
がしっかり書かれていますね。
特に目標を達成するためのOJTの手段が具体的に書かれていますから、上司・部下共にイメージしやすい計画書となっています。
この育成計画書をより実践的なものにするには、
①育成目標を具体化する
②目標の達成条件を明確にする
の2点を意識したフォーマットがおすすめです。
フォーマットについては次の項でご紹介しますね。
3-2. 人材育成計画書のフォーマット
下記に育成計画書のサンプルを2パターンご紹介します。いずれもダウンロードが可能ですので、必要に応じてカスタマイズしてお役立てください。
【育成計画書サンプル①】
育成計画書サンプル①は、育成期間を短期間に設定した場合の計画書です。
それぞれの目標に対してのスケジュールを設定することで、確実なステップアップを目指します。
★ダウンロードはコチラから
【育成計画書サンプル②】
育成計画書サンプル②は、育成期間を中・長期間に設定した場合の計画書です。
フェーズごとのテーマや目標を設定し、段階を踏んで将来の目指す姿(ゴール)を目指します。目指すべき姿が明確になっているため、モチベーションを維持にも役立つでしょう。
4. 参考にすべき!人材育成計画を立てる時に役立つ情報まとめ
「人材育成計画書の参考となるキャリアマップや能力基準が社内にない」
「イメージを具体化できない」
という悩みを抱えていると、計画書の作成がスムーズに進みません。
何となくイメージがつかめても、そのイメージを計画書に落とし込むのは案外難しいものです。イメージの明文化には膨大な労力がかかります。
そんな時に非常に有益なのが、厚生労働省が公開している人材育成のための情報です。
厚生労働省のサイトは、人材育成の資料の宝庫!人材育成をサポートするための情報が多数あります。
本章では、厚生労働省が公開している
- 職業能力評価基準
- キャリアマップ
- 職業能力評価シート及び導入・活用マニュアル
について詳しく解説していきます。
下記に当てはまる方はぜひチェックしてみてくださいね!
- 自社に人材育成のマニュアルがない
- 自社の人材育成マニュアルに不満がある
- 同業種の人材育成マニュアルが知りたい
- キャリアアップのイメージを持ちたい
- 育成計画書の文章化に悩んでいる
4-1. 職業能力評価基準
職業能力評価基準は、仕事の内容を細分化し、「職務遂行のための基準」や「必要な知識」を体系化したものです。
職業能力評価基準は、業種横断的な事務系9職種をはじめ、製造業やホテル業、在宅介護業など56業種を網羅しています。
それぞれの業種について、仕事内容を、
「職種」→「職務」→「能力ユニット」→「能力細目」という単位で細分化しているのが特徴的です。
人材のレベルを4段階に区分(下記図参照)し、それぞれのレベルに応じた基準が設けられているため、新人から管理職まで適応ができます。
例として、事務系職種の中から、営業・マーケティング・広告より、「マーケティング戦略基礎」のレベル1区分に該当する能力及び基準をご紹介します。
【能力細目①】担当業務に関する作業方法・作業手順の検討 |
【職務遂行のための基準・一部抜粋】 |
【能力細目②】マーケティング戦略の推進 |
【職務遂行のための基準・一部抜粋】 |
【能力細目③】担当業務に関する創意工夫の推進 |
【職務遂行のための基準・一部抜粋】 |
上記のように、職業評価基準には「具体的にどのような行動ができれば良いのか」が明文化されているため、人材育成計画書作成にとても参考になるでしょう。
職業能力評価基準は下記よりダウンロード可能です。
職業能力評価基準の策定業種一覧|厚生労働省
4-2. キャリアマップ
キャリアマップとは、職業能力評価基準のレベルをもとに、それぞれの職種の標準的なキャリアを示したものです。
①キャリアまでのステップ
②各レベルの習熟目安の標準年数
が一目瞭然になっており、キャリアに関する目的意識を高めるのに役立ちます。
もちろん、各レベルの習熟目安年数は、企業の特性(企業規模や業務内容など)によって異なります。あくまで参考として考えましょう。
キャリアマップは事務職系に加えて、外食業やホテル業、警備業など15業種が用意されています。
キャリアマップが用意されていない業種については、比較的近い業種のキャリアマップを参考にしても良いでしょう。
キャリアマップは下記よりダウンロード可能です。
キャリアマップ、職業能力評価シート及び 導入・活用マニュアルのダウンロード|厚生労働省
4-3. 職業能力評価シート及び導入・活用マニュアル
職業能力評価シートは、各レベルに求められる職務遂行の基準がクリアできているかをチェックできるシートです。
評価シートは、
①簡単にチェックできる評価基準の概要
②具体的な必要な知識や能力基準
の2つで構成されています。
このシートを使用することで、人材育成ターゲットの能力レベルや不足部分を詳細に把握することができるでしょう。
現在用意されている評価シートは、事務系職種のほか、スーパーマーケット業、電気通信工事業など15業種です。
それぞれの職業能力評価シートには、導入・活用マニュアルが付属していますので、誰でもすぐに利用できます。
職業能力評価シートは下記よりダウンロード可能です。
キャリアマップ、職業能力評価シート及び 導入・活用マニュアルのダウンロード|厚生労働省
4-4. 【業種一覧付き】人材育成計画書に役立つ資料まとめ
上記でご紹介した厚生労働省の資料はいずれも無料でダウンロードできる上、カスタマイズが可能です。
文章の書き方や基準設定に大変役立ちますので、自社に合致するものがあれば一度目を通しておくといいでしょう。
合致するものがない場合は、似た業種・職種のものをご覧いただき、参考にしてくださいね。
利用可能な業種の一覧は下記の通りです。下記リンクよりダウンロードしてください。
【職業能力評価基準】事務系9職種+56業種
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建設業関係(7種) |
製造業関係(13業種) |
運輸業関係(2業種) |
卸売・小売業関係(6業種) |
金融・保険業関係(2業種) |
サービス業関係(16業種) |
その他(10業種) |
【キャリアマップ・職業能力評価シートなど】事務職系9種+15業種
キャリアマップ、職業能力評価シート、導入・活用マニュアルは、コチラからダウンロードできます。
該当する業種は下記の通りです。
事務職系職種
|
その他の業種
|
5. 人材育成計画書を作成する時の注意点
これまで人材育成の計画の立て方、人材育成計画書の作成方法についてお話してきましたが、最後に作成時に注意すべき点をおさえておきましょう。
【人材育成計画を作成する時の注意点】
①計画は必要に応じてアップデートする
②仕事への意味付けをしっかり行う
上記の2点をおさえておくことで、計画書倒れになることを防げます。
結果として人材育成を成功へ導くことが期待できるでしょう。
5-1. 計画は必要に応じてアップデートする
1つ目の注意点は、「計画は必要に応じてアップデートする」ことです。
必ずしも物事は計画通りにはいかないもの。
「何らかのトラブルにより目標が達成できそうもない」
「育成ターゲットの成長が計画よりも早い」
こんな時には、計画を適宜修正する必要があります。
トラブルなどによって目標達成が不可能な場合、そのまま放置しておくことで育成ターゲットは「どうせ達成できないから、やりたくない」「自分はダメだ」とやる気を失いかねません。
反対に、育成ターゲットが目標を楽々と達成している場合は、どんどんステップアップしないと時間が無駄になる可能性があります。
人材育成計画書はあくまで計画書であり、すべてを計画書通りに進めなければいけないわけではありません。適宜見直しをし、必要に応じて変更していくべきでしょう。
極論ですが、最終目標さえ達成できていれば問題ないのです。
ですから、緻密な計画を立てるよりも、計画にゆとりを持たせたり、「このような場合はどんな対応が良いか」をイメージすると良いでしょう。
5-2. 仕事への意味付けをしっかり行う
2つ目の注意点は「仕事への意味付けをしっかり行う」ことです。
仕事への意味付けは次の3つに集約されます。
- なぜその仕事が必要なのか
- その仕事はどのようなやり方で行うのか
- 仕事の全体像
この3つの意味付けがあいまいなままだと、部下の成長に欠かせないモチベーションが低下する恐れがあります。
部下のモチベーションを維持するためには、計画書に記載された目標を達成することで身に付くスキルに満足するかがポイントです。
育成計画書を作成する時には、この3点がイメージできるかを再確認しましょう。
上記の3点がしっかりイメージできると、育成ターゲットは「この仕事は大変そうだが、やり遂げると〇〇のスキルが向上する。頑張ってみよう」と仕事にやりがいを感じることができるでしょう。
従業員の挑戦を促すためには、心理的安全性の高い環境が必須!詳細はこちら
6. まとめ
人材育成計画は育成ターゲットの成長に欠かせない重要なものです。
人材育成を成功させるポイントは、業務の効率化を目指す方法論のひとつ・PDCA(Plan: 計画、Do:実行、Check:進捗確認、Action:改善)で行うことでしたよね。
人材育成計画書は、
- 会社の理念やビジョンなどを再確認する
- 将来の理想の人物像を具体化する
- 現在の人材レベルを把握する
- フェーズごとの目標を立てる
を盛り込んで作成しましょう。
当記事でご紹介したテンプレートを利用してもいいですし、厚生労働省のサイトでダウンロードしてカスタマイズするのも便利です。
人材育成計画書はできるだけ具体的に、複数の選択肢を用意して作成すると、育成時の負担がぐんと減ります。
人材育成は、育成ターゲットの心に響かなければ思うようには進みません。
育成ターゲットの心を動かし、「頑張ってみよう!」と思わせるような計画書が出来上がることを祈っています!