
職場で「なかなかやる気が続かない…」と感じることはありませんか?毎日同じことの繰り返しで、仕事へのモチ ベーションが維持できず、悩んでいる方もいるかもしれません。
この記事では、社員のモチベーション低下を引き起こしがちな職場の共通点を解説します。ありがちな原因から具体的な回復策まで、事例を交えながら紹介していくので、ぜひ参考にしてください。組織全体の活性化や、あなた自身の「やる気」向上に繋がるヒントが見つかるはずです。
職場で“やる気が続かない”とき、何が起きているのか?

「やる気が続かない」という状態は、多くの職場で静かに広がっています。これは個人の気力や性格の問題と捉えられがちですが、実は職場環境に起因する組織的な課題であることが少なくありません。ギャラップ社の2023年調査では、「熱意あふれる従業員」は日本のわずか5%に留まり、125カ国中最低という結果が出ています。
こうした状況は、従業員個人の覇気がなくなる、欠勤が増えるといったサインとして現れるほか、組織全体では会議での発言が減る、新しい挑戦が生まれにくいといった形で表面化します。これらのサインを見過ごすと、生産性の低下や離職率の増加につながる深刻な問題となり得ます(モチベーションの高い企業は欠勤が41%少なく、生産性が17%高いというデータもあります)。次の章では、やる気が続かない職場に共通して見られる具体的な現象として、「言われたことだけをやる人の増加」「感情の起伏がなく成果に波が出ること」「辞めたいわけではないがやる気が出ないという声」の3つを詳しく掘り下げていきます。
「言われたことだけやる人」が増えている
やる気が続かない職場の兆候としてまず挙げられるのが、「言われたことしかやらない」従業員の増加です。指示された業務や役割はこなすものの、それ以上の改善提案や新しい課題への取り組み、自発的な行動が見られない状況が広がっています。特に若い世代にこの傾向が見られ、ある調査では20代の会社員の約4割が「上司の指示のもとで動く」指示待ち派であると回答しています。
このような「指示待ち」の状態は、従業員自身の成長機会を奪うだけでなく、組織全体の停滞を招く大きな要因となります。新しいアイデアやイノベーションが生まれにくくなり、環境変化への対応力も低下するリスクがあります。背景には「余計なことをして失敗し、評価を下げたくない」といった心理や、頑張っても適切に評価されないことへの諦め、「保守的な組織文化で自発性が抑圧される」といった要因があると考えられます。
感情の起伏がなく、成果にも波が出る
次に、感情の起伏が乏しくなる「無気力」な状態について説明します。これは仕事の成功や失敗に対し、喜びや悔しさといったポジティブ、ネガティブ両方の感情的な反応が薄れる状態を指し、「感情の平坦化」とも呼ばれます。このような状態では、仕事の重要な推進力となる感情が失われ、特に創造性や集中力が求められる業務において大きな影響が出ます。新しいアイデアを生み出したり、困難な課題に粘り強く挑戦したりする意欲が削がれてしまいます。その結果、パフォーマンスが低迷したり、成果にばらつきが出たりするなど、不安定な状態を招きます。たとえプロジェクトが成功しても達成感が薄く、淡々と次の業務に移るような様子が見られ、チーム全体の士気にも悪影響を及ぼす可能性があります。これは個人の成長機会を失わせるだけでなく、組織全体の生産性や革新性を低下させる危険な兆候と言えるでしょう。
「辞めたいわけじゃないけど、やる気が出ない」という声
職場に明確な不満があるわけではないものの、仕事への情熱や意欲が以前ほど湧かない、という声が増えています。これは「辞めたいわけではないものの、必要最低限の業務はこなす」という、従業員のアンビバレントな心理状態を表しています。「給料分の仕事はするが、それ以上の貢献意欲はない」「昔のような仕事に対するワクワク感がない」といった声に代表される状況です。
このような状態は、「静かな退職(Quiet Quitting)」と呼ばれており、近年注目されています。エン・ジャパンが人事担当者向けに行った調査では、約5社に1社が「静かな退職状態の社員がいる」と回答しており、従業員300名以上の企業では9割以上が「いる」または「いる可能性がある」と認識しています。また、マイナビの調査では、正社員の4割以上が「静かな退職」をしている、という結果も出ています。
「静かな退職」は、すぐに離職につながるわけではありません。しかし、自発的な行動や新たな挑戦を妨げ、個人の成長機会を失わせると同時に、組織全体の生産性低下を招く危険性を内包しています。
モチベーションが下がる5つの根本原因

従業員のモチベーション低下は、しばしば個人の性格や資質の問題として捉えられがちですが、その多くは職場環境や組織の構造、仕組みに根ざしています。単に「やる気がない」と片付けるのではなく、従業員の心に深く影響を与え、働く意欲を失わせる根本的な原因に目を向けることが重要です。これらの根本原因を理解し、解消することが、持続的な組織活性化には不可欠となります。本章では、多くの企業で共通して見られる、モチベーション低下につながる5つの根本的な原因を詳しく解説していきます。それぞれの原因の特徴を知ることは、自社の潜在的な課題を特定し、改善に向けた一歩を踏み出す助けとなるでしょう。
承認の欠如:頑張っても誰にも見られていない
承認は、仕事への意欲を高める上で重要な要素であり、人が根源的に持っている欲求の一つです。心理学者のマズローが提唱した欲求5段階説でも、安全の欲求や社会的欲求が満たされた次に現れる「承認の欲求」として位置づけられています。この承認が満たされない状態が続くと、働くモチベーションの低下に直結します。
職場で「承認が欠如している」と感じる具体的な状況は、以下のようなものが挙げられます。
こうした状況が続くと、「どうせ頑張っても無駄だ」という気持ちになりやすく、自己肯定感が低下する可能性があります。結果として、新たな挑戦を避けたり、より良くするための改善行動を諦めたりするなど、自ら成長の機会を手放してしまうリスクが生じます。これは単に個人の感情的な問題にとどまらず、組織全体の生産性低下や、エンゲージメントの高い優秀な人材の離職につながる経営課題ともなり得るのです。
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項目 |
割合/人数 |
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人事評価の不満要因の1位である基準の不明確さ |
48.3% |
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人事評価でモチベーションが下がった経験がある人の割合 |
8割近く |
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自社の人事評価に不満を持つ社員の割合 |
62.3% |
不透明な評価:努力が報われる実感がない
「承認の欠如」に加え、不透明な評価制度も従業員のモチベーション低下の大きな原因です。評価基準が曖昧であったり、評価プロセスが従業員に十分に開示されないブラックボックス化している場合、自身の働きが適切に評価されているか不安を感じ、会社への不信感につながります。例えば、評価シートの項目が抽象的すぎる、評価結果に対する具体的なフィードバックがないといった状況が見られます。
こうした状況では、「何をどれだけ頑張れば評価されるか」という明確な道筋が見えません。従業員は努力の方向性を見失い、「どうせ頑張っても無駄だ」という徒労感や無力感を抱きます。ある調査では、人事評価の不満要因の1位が「基準の不明確さ」で48.3%を占めています。また、8割近くが人事評価でモチベーションが下がった経験があると回答しています。
以下は、人事評価に関する主な調査結果です。
自身の努力や成果が、給与や昇進などキャリアや生活に直結する処遇に正しく反映されないと感じることは、会社へのエンゲージメントを大きく低下させます。「承認の欠如」が日々のやりがいに関わるのに対し、これはより根深い不満を生み出し、パフォーマンスの抑制や離職のリスクを高めるのです。実際に、自社の人事評価に不満を持つ社員は62.3%に上るという調査結果もあります。
心理的安全性の欠如:発言や挑戦がしづらい
承認の欠如や不透明な評価に加え、職場の心理的安全性が低いことも、従業員のモチベーションを著しく低下させる原因となります。心理的安全性とは、「この組織では、自分の考えや気持ちを安心して発言したり、新しいことに挑戦したりできる」という、チームや組織に対する信頼感や安心感のことです。これが欠如した職場では、「何か発言したら馬鹿にされるのではないか」「失敗したら評価が下がるのではないか」といった不安が常に付きまといます。
このような環境下では、従業員は自身の立場や評価を守るため、リスクを伴う行動を避けるようになります。新しいアイデアの提案や難易度の高い業務への挑戦といった「失敗する可能性のある行動」が抑制され、会議での発言が減る、イノベーションが生まれにくくなるといった影響が出ます。最も安全な選択肢は「言われたことだけを正確にこなすこと」となり、それ以上の当事者意識や貢献意欲が失われます。自分の能力を発揮したり、仕事を通じて成長を実感したりする機会が奪われるため、次第に仕事そのものへの興味ややる気が薄れていくのです。
孤立:相談相手がいない/つながりを感じない
業務上の課題や悩みを気軽に相談できる相手がいないことも、モチベーション低下の大きな原因です。問題を一人で抱え込み、解決の糸口が見えない状況が続くと、業務が滞るだけでなく、「自分には解決できない」という無力感を抱き、自己効力感が低下する悪循環に陥ってしまう可能性があります。
また、チームや組織との心理的な「つながり」が希薄化することも深刻な問題です。自分が組織の一員であるという帰属意識が失われると、自身の仕事が組織にどのような価値や貢献をもたらしているのかが見えにくくなります。結果として、「何のために働いているのだろう」と感じるようになり、働く意欲が失われてしまうことにつながります。
特に近年、リモートワークの普及により、オフィスでの偶発的な雑談やちょっとした相談といったコミュニケーションが減少しました。これにより、孤立感を深めやすい環境になっています。ある調査結果では、以下の点が明らかになっています。
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テレワーク経験者の22.1%が孤独感を感じている。
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テレワーカーの28.8%が「孤立していると思う」と回答している。
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テレワークの頻度が高いほど孤独感が高まる傾向がある。
孤立感は、精神的なストレスを増大させ、エンゲージメントを低下させるだけでなく、最終的には「この会社に自分の居場所がない」と感じさせ、離職につながる重要な要因です。東京大学の研究グループの調査でも、仕事における孤独感が6ヶ月後の離職を増加させることが示されています。孤立は単なる個人的な感情ではなく、組織全体で取り組むべき課題と言えます。
“目的”の喪失:なぜ働くのかが見えなくなる
モチベーション低下の根源的な原因の一つに、“目的”の喪失が挙げられます。これは、会社が掲げるビジョンやミッション、あるいは部門の目標と、自身の担当する日々の業務との間に明確なつながりが見えなくなる状態を指します。自分の仕事が「誰かの役に立っているのか」「会社の成長にどう貢献しているのか」といった実感を得られなくなると、働くことへの意義ややりがいを見失いかねません。
特に、経営層が語る壮大な目標や戦略と、現場で行われているタスクとの間に「乖離」がある場合、従業員はその目標に共感したり、自分の仕事がそれにどう繋がるのかを理解したりすることが難しくなります。結果として、日々の業務が単なる「作業」のように感じられ、働くことへの熱意が薄れていくのです。何のために働いているのかという根本的な疑問が生じ、会社へのエンゲージメントが低下していくプロセスへと繋がります。この状態が続くと、個人の成長意欲だけでなく、組織全体の推進力も弱まってしまうでしょう。
前章では、従業員のモチベーションを低下させる5つの根本的な原因として、「承認の欠如」「不透明な評価」「心理的安全性の欠如」「孤立」「目的の喪失」を解説しました。これらの原因からわかるように、やる気が出ないという状態は、個人の資質の問題ではなく、組織の「仕組み」や「環境」によって引き起こされる側面が大きいと言えます。したがって、モチベーションを回復・維持するためには、企業側が主体的にこれらの課題に対処するための具体的な対策を講じることが不可欠です。これからご紹介するのは、単なる対症療法ではなく、従業員一人ひとりが自律的に働きがいを感じられるような文化や環境を育むための本質的なアプローチです。次からの項目では、モチベーション低下の根本原因に効果的に働きかける、企業が今すぐできる5つの具体的な施策について詳しく見ていきましょう。
「感謝」が飛び交う称賛文化をつくる
従業員のモチベーションが低下する根本原因の一つに、「頑張っても誰にも見られていない」という承認の欠如があることは前述の通りです。この状況を改善し、従業員の働く意欲を高めるためには、日々の貢献を「見える化」し、互いに感謝や称賛を伝え合う文化を醸成することが非常に重要です。自身の働きが周囲に認められているという実感は、従業員の承認欲求を満たし、さらなるモチベーション向上につながります。
感謝や称賛を伝える具体的な仕組みとしては、従業員同士が少額のボーナスポイントなどを送り合う「ピアボーナス」制度や、社内SNSやチャットツールに称賛専用のチャンネルを設けるといった方法があります。これらのツールや制度を活用することで、上司から部下への一方的な評価だけでなく、同僚同士での日常的な感謝のやり取りが活発になります。称賛の対象は、大きな成果や結果だけでなく、日々の地道な努力や他者へのサポートといった「小さな貢献」にも焦点を当てることが重要です。例えば、「〇〇さんの〇〇のサポートのおかげで、滞りなく業務が進みました、ありがとうございます」のように、具体的な行動に対する感謝を伝えることで、受け取った側は「自分の働きは誰かの役に立っている」という実感を得やすくなります。
このような称賛文化を一時的な取り組みで終わらせず、組織に深く根付かせるためには、経営層や管理職が率先して感謝や称賛を伝える姿勢を示すことが不可欠です。リーダー層の手本が、従業員全体の行動を促し、感謝が自然に飛び交うポジティブな職場環境を作り上げていくのです。
心理的安全性を高める対話の設計
承認の欠如や不透明な評価に加え、職場の心理的安全性が低いことも、従業員のモチベーションを著しく低下させる原因です。これらの問題を解消し、従業員が安心して「何を言っても大丈夫」だと感じられる環境を作るには、「対話」の設計が不可欠となります。そのための有効な手段の一つが、定期的な1on1ミーティングの導入です。特に、上司が一方的に話すのではなく、部下の話にじっくりと耳を傾ける「傾聴」の姿勢を意識することが極めて重要です。これにより、部下は「自分を受け入れてもらえている」と感じ、本音を話しやすくなります。
また、チームミーティングにおける対話の促進も欠かせません。会議の冒頭で参加者全員が近況やテーマへの関心事を簡単に話す「チェックイン」を取り入れたり、「他者の意見を頭ごなしに否定しない」といった基本的なグラウンドルールを設定したりすることが、意見が出やすい雰囲気づくりにつながります。さらに、対話の質を高めるためには、管理職向けのコーチングやアクティブリスニングといったスキル研修を実施し、組織として対話の設計をサポートすることも有効です。従業員が安心して意見を交換できる対話の場を意識的に設計することで、心理的安全性が高まり、結果としてモチベーション向上やチーム力強化が期待できます。
小さな貢献を拾い上げるフィードバック導線
従業員のモチベーションを維持するには、大きな成果だけでなく、日々の小さな貢献にも光を当てることが不可欠です。見過ごされがちな努力や他者へのサポートが認められない状況は、承認欲求の不満や不公平感につながり、働く意欲を低下させてしまいます。
これを解消するには、多角的なフィードバックの仕組みを構築することが有効です。例えば、上司との1対1での面談だけでなく、従業員同士が感謝や称賛のメッセージと共にポイントなどを送り合うピアボーナスツール、日報や週報で自身の「貢献したこと」を共有する習慣、チームの定例会でのサンクス共有タイムなどが挙げられます。
これらの仕組みを通じて「自分の働きを誰かが見てくれている」という実感を得ることは、従業員の自己肯定感や自己効力感を高め、組織への帰属意識を強めます。日々の頑張りが認められる安心感は、新たな挑戦へのハードルを下げ、結果として組織全体の生産性向上やイノベーションにつながる好循環を生み出すでしょう。
エンゲージメントを可視化し、PDCAで育てる
従業員の「やる気」やモチベーションは、目に見えない感情的な側面が強く、その状態を正確に把握することは容易ではありません。しかし、勘や感覚だけに頼っていては、組織の抱える真の課題を見つけ、効果的な改善策を講じることは難しいでしょう。そこで不可欠となるのが、エンゲージメントサーベイなどのツールを活用し、従業員の意識や組織の状態をデータとして「可視化」することです。データで現状を把握することで、従業員のニーズや不満を客観的に捉え、優先的に取り組むべき組織課題を明確にできます。
可視化されたデータを基に、課題特定(Plan)、改善施策の実行(Do)、効果測定(Check)、そして次の施策への反映(Action)というPDCAサイクルを継続的に回すことが、組織を改善し育てる上で重要です。エンゲージメントサーベイは一度きりではなく、定期的に、できれば短いサイクルで実施することで、施策の効果を測り、変化に素早く対応することが可能です。また、全社平均だけでなく、部署やチームといった単位でデータを深掘り分析することで、現場レベルでの具体的なアクションに繋げやすくなるでしょう。データに基づいた継続的な取り組みが、モチベーションが維持される強い組織をつくります。
離職を防ぐ“職場の空気”づくり
モチベーションの低下は、従業員が組織への貢献意欲を失うだけでなく、やがて離職へとつながる重要なサインとなり得ます。特に、意欲と能力の高い優秀な人材ほど、組織に見切りをつけ、より良い環境を求めて早期に離職する傾向が見られます。企業がコストをかけて採用し、育成した人材を失うことは大きな損失です。
離職を防ぐためには、単に給与や福利厚生といった制度面の整備だけでは不十分です。従業員が「この組織の一員でいたい」「ここに自分の居場所がある」と心から感じられるような「職場の空気」づくりが不可欠です。良好な「空気」は、従業員の会社への強い帰属意識を育み、「ここに貢献したい」というポジティブな意欲を引き出します。
これまでご紹介した「感謝が飛び交う称賛文化」「心理的安全性を高める対話の設計」「小さな貢献を拾い上げるフィードバック」といった施策は、個別の取り組みとしてだけでなく、組織全体に深く浸透し、文化として根付くことで、結果として離職を未然に防ぐ強固な組織の土台となる「良い職場の空気」を作り出すことにつながるでしょう。これは、単なる福利厚生の充実以上に、従業員が定着したいと思える理由となります。
【実例】職場のモチベーションを改善した企業のストーリー

ここまで、社員のモチベーション低下を引き起こす根本原因と、それを改善するための理論的な対策について解説してきました。では、これらの対策は実際の現場でどのように機能し、組織を変化させてきたのでしょうか。理論だけでは掴みきれない実践のヒントは、企業の成功事例の中に多く隠されています。
この章では、従業員のやる気を高め、定着率向上や生産性アップといった成果につなげた企業の成功事例を3社ご紹介します。各事例では、「どのような課題を抱えていたか」「具体的にどのような施策を実行したか」「その結果、組織や従業員がどう変わったか」という点に焦点を当てて解説します。
これからご紹介するケップル株式会社、アサヒグループジャパン、中外製薬の取り組み事例を通じて、自社の状況に合わせた課題解決や施策検討の具体的なヒントを得られるはずです。ぜひ、自社の組織づくりに活かせる視点を見つけてください。
ケップル株式会社:リモート環境でも承認がリアルタイムに伝わる文化を構築
スタートアップ企業であるケップル株式会社では、働き方の多様化が進み、特にリモートワークへ移行したことで、社員同士の貢献や感謝が見えにくくなるという課題に直面していました。オフィス勤務が中心だった頃に比べ、偶発的な会話や称賛の機会が減少し、一体感の醸成が難しくなっている状況でした。
この課題を解決するため、同社はリアルタイムで感謝や称賛を送り合えるツールを導入しました。これにより、「誰がどのような場面で貢献しているか」が全社で可視化される仕組みを構築しました。導入後、部署や役職を超えたコミュニケーションが活発になり、日々の小さな貢献に対しても感謝のメッセージが飛び交うようになったそうです。
この施策によって、社員一人ひとりのモチベーション向上や心理的安全性の向上に繋がる具体的な変化が見られました。特に、経営陣が率先してツールを活用し、積極的に感謝を伝える姿勢を見せたことが、承認文化が組織に定着する大きな成功要因の一つとなったと言えます。
アサヒグループジャパン:部署間・上下間のコミュニケーション活性化で挑戦できる環境を整備
飲料・食品業界を牽引するアサヒグループジャパンでは、コロナ禍以降のリモートワーク普及など働き方の変化に伴い、社内のコミュニケーションに課題が生じていました。組織規模が大きいこともあり、部署や役職の垣根を越えた互いの働きが見えにくくなり、一体感の醸成や新たな挑戦を後押しする風土づくりに難しさを感じていたのです。
この課題解決に向け、同社は2023年2月より「ピアボーナス® Unipos」を全社員に導入しました。Uniposの導入により、Web上でリアルタイムに社員間で仕事への感謝や称賛を送り合える仕組みを構築しました。これにより、これまで見えにくかった他部署の貢献や個人の頑張りが可視化され、部署や上下関係を超えた心理的なつながりが強化されました。
こうしたコミュニケーションの活性化は、「頑張りが見られている」「安心して発言できる」といった心理的安全性の向上につながっています。結果として、社員がリスクを恐れずに新たなアイデアを発信したり、難易度の高い業務に挑戦したりしやすい環境が整備され、組織全体のイノベーション創出に貢献する成功事例となりました。
中外製薬:大規模(約8,000名)組織における“自律人財”育成の土壌づくり
医薬品業界大手の中外製薬では、約8,000名という大規模な組織であるため、部門間の連携が希薄になりがちで、社員一人ひとりの日々の貢献や挑戦が見えにくくなるという課題を抱えていました。このような状況は、社員が自律的に行動したり、活発なイノベーションを生み出したりすることへの障壁となり得ます。
同社は、持続的な成長には社員の「自律」が不可欠であると考え、「自律した人財」の育成を経営課題として掲げました。社員が主体的に考え、互いに協力し合う文化を醸成することが、個々のモチベーション維持と組織全体の活性化につながるという強い意思がありました。
この課題に対し、「自律型人財」が育つ「土壌づくり」として、同社は「1on1を軸とした自律支援型マネジメント」や「キャリア開発の仕組み刷新」など、社員の貢献や挑戦を支援し、それを適切にフィードバックする取り組みを推進しました。これらの施策を通じて、部門や役職を超えて互いの働きを認め合い、ポジティブなフィードバックが自然に行われる文化の醸成を目指しました。
結果として、大規模組織でありながらも、社員が自らの貢献を実感しやすくなり、積極的な行動を促す組織風土の醸成につながっています。これは、個々のモチベーション向上だけでなく、組織全体の活性化、ひいては「自律した人財」が育つ強固な基盤構築に成功した好事例と言えるでしょう。
Uniposが支援する“モチベーションが続く組織”のつくり方

ここまで、従業員のモチベーションを維持・向上させるための様々な施策、特に「感謝」や「称賛」が飛び交う文化の醸成、そして心理的安全性の確保の重要性について解説してきました。しかし、これらの取り組みを単なる一時的な施策に留めず、組織に根付く「仕組み」として定着させることは、多くの企業にとって容易ではないのが実情です。
この課題に対し、具体的なソリューションとなるのが、従業員同士が日々の仕事への感謝や貢献に対する称賛を送り合うピアボーナス®ツール「Unipos」です。Uniposは、組織内で見過ごされがちな「隠れた貢献」に光を当て、互いの「承認」や「つながり」を自然に育むことを目的としたサービスです。
Uniposを組織に導入することで、本記事で解説したモチベーション低下の根本原因(承認の欠如、孤立など)に効果的にアプローチし、従業員エンゲージメントを高めることで、継続的な組織改善を支援することが可能になります。続く3つのポイントでは、Uniposが具体的にどのようにモチベーションが続く組織づくりに貢献するのかを詳しくご説明します。
感謝・称賛の見える化が、心理的安全性を育む
従業員同士が互いの日々の貢献に対し、感謝や称賛のメッセージを送り合う文化を醸成することは、組織の心理的安全性を高める上で非常に有効です。Uniposのようなツールを活用し、こうしたポジティブなやり取りをオープンな場で「見える化」することで、「自分の頑張りは誰かに見られている」「貢献が認められている」という承認の実感が得られます。この承認は、「ここにいても良いんだ」「自分はチームの一員として受け入れられている」という安心感に繋がり、心理的安全性の基盤を育みます。
感謝や称賛が可視化されることで、組織全体に尊敬と尊重に基づいたポジティブな雰囲気が生まれます。これにより、従業員は「こんな意見を言っても大丈夫だろうか」「失敗を恐れずに新しいことに挑戦してみよう」と感じられるようになります。他者の貢献や称賛される行動を知ることは、組織としてどのような行動が価値とされるのかを明確にし、従業員の自律的な行動を促します。この好循環が、さらに心理的安全性の高い、安心して働ける環境へと繋がっていくでしょう。
“つながり”と“承認”を日常にするインフラ
従業員間の「つながり」や「承認」を特別なイベントではなく、日々のコミュニケーションの中に溶け込ませるためには、日常的に利用するツールとの連携が有効です。UniposはSlackやTeamsといった多くの企業で使われているチャットツールと連携し、従業員が普段の業務導線から離れることなく、手軽に感謝や称賛のメッセージと共に少額のピアボーナスを贈り合うことができます。これにより、感謝を伝える行為が特別な手間ではなくなり、日常的な習慣として組織に根付きやすくなります。
また、Uniposに投稿された感謝・称賛のメッセージは、全社のタイムラインに流れるように設定することが可能です。これにより、普段業務で直接関わらない部署や役職が異なるメンバーの日々の貢献や、その人柄に触れる機会が生まれます。各自の活動が「見える化」されることで、組織全体の「横のつながり」や一体感が自然と醸成されていきます。
さらに、メッセージに少額のピアボーナスを添える機能は、「ありがとう」という気持ちを具体的に伝える心理的なハードルを下げ、ポジティブなコミュニケーションを促進します。承認が「年に一度の評価」といった形式的なものではなく、日々の行動に対するリアルタイムな反応として得られることで、従業員は自身の貢献が正当に評価されているという実感を得やすくなり、モチベーションの維持・向上につながります。
データでわかるエンゲージメントの変化と行動
Uniposでは、従業員間の投稿や拍手といった日々のコミュニケーションデータを収集し、組織のエンゲージメント状態を数値として可視化します。これにより、これまで感覚的に捉えられがちだった「職場の雰囲気」を、客観的なデータに基づいて正確に把握することが可能になります。
部署ごとや時系列での利用状況の変化を追跡できるため、特定のチームが活性化しているか、あるいは停滞していないかといった状態を把握できます。また、全社で実施したエンゲージメント向上施策がどの程度効果を上げているかを、データから具体的に測定することも可能です。まるで組織の健康診断のように、定期的に状態を診断し、適切な対応を検討できます。
さらに、どのような言葉やハッシュタグが称賛とともに使われているかを分析することで、企業理念やバリューが組織にどれだけ浸透しているかを測定できます。データに基づき、次に取るべき文化醸成施策や改善の方向性を明確にし、継続的なPDCAサイクルを回せる点が大きな利点と言えるでしょう。
まとめ|やる気は“感情”ではなく“構造”で守るもの

本記事では、職場で従業員のモチベーションが低下する根本原因を探り、それに対して組織が講じるべき具体的な対策について解説しました。承認の欠如や不透明な評価、心理的安全性の低さ、孤立、そして目的の喪失といった課題は、決して個人の「やる気」や「感情」の問題として片付けられるものではありません。これらは、組織の構造や仕組みが生み出す問題であり、従業員の働く意欲に深く根ざす要因となります。
したがって、やる気を回復させ、維持するためには、従業員個人の意識改革に期待するのではなく、企業が主体となって組織の「構造」そのものを見直すことが不可欠です。感謝や称賛が飛び交う文化の醸成、心理的安全性を高める対話、小さな貢献を拾い上げるフィードバック、そしてエンゲージメントの可視化といった施策は、この「構造」を改善するための有効な手段です。
ぜひ本記事で紹介した内容や企業の成功事例を参考に、自社の現状を振り返り、より多くの従業員が活き活きと働ける組織づくりに向けた第一歩を踏み出してください。
モチベーション低下は“仕組み”で予防できる
これまで見てきたように、職場で従業員のモチベーションが低下する主な原因は、個人の資質や感情に起因するものではなく、組織の仕組みや構造に深く根差しています。承認の欠如、不透明な評価、心理的安全性の低さ、孤立といった問題は、組織が生み出す環境によって引き起こされる側面が強いと言えます。これらの問題が放置されれば、働く意欲は失われ、生産性低下や離職率増加といったリスクを招くことになります。
そこで重要となるのが、記事でご紹介した「称賛文化の醸成」「心理的安全性の確保」「小さな貢献を拾い上げるフィードバック」といった、組織が講じるべき「予防策」です。称賛文化は従業員の承認欲求を満たし、心理的安全性の確保は発言や挑戦を促し、適切なフィードバックは日々の努力を可視化します。これらは、個々の従業員に一時的に働きかける対症療法的なアプローチではなく、誰もが自然とモチベーションを維持し、活き活きと働ける組織の「構造」そのものを構築するための本質的な取り組みです。組織全体でこれらの仕組みを整えることが、持続的な組織活性化につながる鍵となるでしょう。
自社でできることから始めたい方へ──事例資料のご案内
本記事では、従業員のモチベーション低下の根本原因や、組織で取り組むべき対策、企業の成功事例をご紹介しました。記事の内容を踏まえ、「まずは自社でできることから着手したい」「具体的に何から始めれば良いか判断したい」と検討を進めている人事・マネジメント層の方もいらっしゃるでしょう。組織の課題は企業ごとに異なり、自社に最適な施策を見つけるには、他社の具体的な取り組みや成功事例から多くのヒントを得ることが非常に有効です。
そこで、本記事で紹介しきれなかったものも含め、様々な企業の取り組みや、モチベーション向上・組織改善に成功した事例をより詳細に解説した資料をご用意しました。この資料では、多様な業界・規模の企業がどのような課題を抱え、どのように具体的な施策を実行して成果を出したのかを深く知ることができます。貴社の現状と照らし合わせながら、最適なアクションプランを検討する上で、きっと大いに役立つ情報が満載です。組織のモチベーション向上に向けた重要な最初の一歩として、この資料を無料でダウンロードし、ぜひ貴社の組織改善活動にご活用ください。


