
やる気のない社員の特徴とは

「うちの社員、どうしてこうもやる気がないんだろう…」
そう悩む上司の方もいるのではないでしょうか。
社員のやる気低下は、チーム全体の生産性にも影響を及ぼしかねません。
本記事では、やる気のない社員にありがちな特徴や、その原因を深掘りします。
さらに、上司が実践すべき具体的な指導法を4つご紹介。劇的な改善につながるコツも伝授いたします。
ぜひ、記事を通して、組織全体の活性化にお役立てください。
やる気のない社員の本心と原因

あなたの周りにも、以下に示すような特徴を持つ社員はいないでしょうか。
彼らの行動は、単なる「怠け」や「性格」の問題として片付けるのではなく、組織が抱える何らかの「サイン」である可能性を秘めています。もしかすると、社員が抱える課題や不満が、これらの特徴として表面化しているのかもしれません。
日本における「働きがい」と「やる気」の現状 厚生労働省の「令和5年版 労働経済の分析」によると、仕事に対して「働きがい(ワーク・エンゲージメント)」を強く感じている日本の労働者は、全体の一部に留まっているのが現状です。
働きがいを高める要素として「上司からの適切なフィードバック」や「称賛・承認」が明確に挙げられています。しかし現実には、多くの職場において「正当に評価されていない」「上司とのコミュニケーションが不足している」と感じる社員が少なくありません。
つまり、社員が「やる気がない」状態に陥るのは、個人の資質の問題だけではなく、「頑張りが認められ、フィードバックが得られる」という組織的な仕組みが不足していることが統計的にも示唆されているのです。
(出典:厚生労働省「令和5年版 労働経済の分析 -持続的な賃上げに向けて-」)
①無気力で覇気がない
やる気のない社員の特徴として、最もよく挙げられるのが、無気力で覇気がないということです。
仕事に意欲的ではなく、やる気が感じられません。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
-
仕事のスピードが遅い
-
仕事への責任感が薄い
-
積極的に仕事に取り組もうとしない
無気力で覇気がない人は、仕事に対するモチベーションが低下している可能性があります。仕事のやりがいや目標が見いだせていない、仕事の環境や人間関係に問題がある、心身の不調を抱えているなど、さまざまな原因が考えられます。
② 会社や周りの人の愚痴や文句、批判ばかり言う
やる気のない社員には、会議中や休憩時間など、折に触れて会社の方針、上司、同僚に対する不満や愚痴、批判を口にする傾向が見られます。これは単なる悪口にとどまらず、自身の現状に対する強い不満や、「承認欲求」が満たされていないことの裏返しである可能性があります。自分の努力や成果が正当に評価されていないと感じる場合、話を聞いてほしい、認めてほしいという気持ちから、否定的な発言が増えることも少なくありません。
このような愚痴や批判は、発言者自身のモチベーション低下を示すだけでなく、周囲に「ネガティブな伝染」を引き起こすリスクを伴います。職場に不機嫌な人が一人いるだけでも、その感情は周囲に広がり、チーム全体の士気を下げてしまうでしょう。その結果、他のメンバーのやる気や生産性にも悪影響を及ぼし、組織全体の活力を低下させる原因となりかねません。
③ 言われた仕事の最低限のことしかやらない
やる気のない社員は、「指示待ち人間」とも称されるように、与えられた業務の範囲を自ら超えようとはしません。自主性や創造性に乏しく、常に上司からの指示を待つ受け身の姿勢が顕著に見られます。自分の仕事はここまでと明確に線引きし、それ以上のことには関わろうとしない傾向があります。
業務の質を高めるための工夫や改善提案を行うことはなく、たとえ現状よりも効率的な方法があったとしても、自ら積極的に変革を起こそうとはしません。現代ではIT技術の活用により定型業務は容易になり、より付加価値を生み出す仕事が求められる時代です。しかし、このような社員はプラスアルファの行動を一切起こさないため、無駄な作業が温存され、結果として組織全体の生産性低下を招く恐れがあります。
自身の業務が完了すれば、他のメンバーの状況や後工程への配慮を欠くこともしばしば見受けられます。これは「自分ごと」として業務に取り組む当事者意識や責任感が欠如している状態であり、チームワークを阻害する要因ともなり得るでしょう。
④ 指示待ちで自発的に動かない(言われたことしかしない)
「指示待ち社員」と呼ばれる従業員は、上司や同僚からの明確な指示がなければ自ら行動に移すことができません。与えられた業務は忠実にこなしますが、その範囲を超えて自ら次の仕事を探したり、効率化のための改善提案をしたりといった、付加価値を生む行動は見られません。業務が完了した後も、ただ次の指示を待つ受け身の姿勢が顕著です。
このような指示待ちの背景には、いくつかの心理的要因が考えられます。
-
失敗して叱られたくないという過度なリスク回避
-
責任を負いたくないという自己防衛的な思考
-
自分の意見は間違っているのではないかという自己肯定感の低さ
-
他人への無関心や損得勘定から必要最低限の業務しか行わない姿勢
指示待ちの姿勢は、個人の成長を妨げるだけでなく、チーム全体の生産性停滞や上司の負担増大に直結します。特に想定外の事態が発生した際には、自発的な判断や行動ができないため、業務の遅延を招くリスクもあります。
⑤【注意】周囲に悪影響を与える「モンスター社員」化
やる気のない社員の状態を放置すると、その社員が周囲に深刻な悪影響を及ぼす「モンスター社員」と化す危険性があります。
モンスター社員には、以下のような特徴が見られます。
-
公然と会社や上司の批判を繰り返す
-
非協力的な態度で業務を妨害する
-
自分の非を認めず他責にする
-
他の社員の意欲を削ぐような発言をする
このようなモンスター社員が一人でも職場にいると、チームの心理的安全性が著しく低下し、自由に意見を交換できる環境が損なわれます。その結果、組織全体の生産性低下や優秀な人材の離職につながりかねません。最悪の場合、「辞めていくのは優秀層、残るのはトラブルメーカーとその擁護派」という"逆選別"の構図に陥るリスクも指摘されています。
このような深刻な事態に陥る前に、上司が問題の兆候を早期に察知し、感情的にならず、客観的な事実に基づき、迅速かつ適切に対処することが不可欠です。
やる気のない社員を改善する4つの施策

社員に「やる気がない」ように見える状態は、一見すると怠慢と捉えられがちですが、その背景には複雑な心理や具体的な原因が隠されていることがほとんどです。安易に「怠けている」と決めつけるのは早計かもしれません。モチベーションの低下は、多くの場合、複数の要因が複合的に絡み合って生じます。主な原因としては、以下が挙げられます。
-
待遇や労働環境への不満
-
人間関係の悩み
-
仕事やキャリアに対する停滞感
-
目標の不明確さ
-
過度なストレス
-
人事評価への不信感
社員が置かれている状況や心理を深く理解することは、適切な解決策を見つける上で重要です。厚生労働省の調査でも、組織運営における目的の不明確さや改善サイクルの停滞は、生産性とエンゲージメントの両方を低下させる大きな要因と指摘されています。この章では、社員がやる気を失う代表的な4つの原因を詳しく掘り下げ、彼らの本心に迫るヒントを提供します。
① 目標設定が高すぎるから(または不明確)
目標設定が高すぎることは、やる気のない社員の大きな原因の一つです。
目標設定が高すぎると、以下のようなことが起こります。
・達成が困難で、達成感や自信が得られない
・目標達成のために過度な努力やストレスを強いられる
・目標達成が難しいことにより、仕事に意味を見いだせず、やる気が失われる
目標設定が高すぎると、社員は達成が難しいことに不安や焦りを感じ、やる気を失ってしまいます。
また、目標達成のために過度な努力やストレスを強いられることで、心身に不調をきたし、やる気が失われることもあります。
さらに、目標達成が難しいことにより、仕事に意味を見いだせず、やる気が失われることもあります。
目標設定が高すぎると、このようにさまざまな悪影響を及ぼすため、注意が必要です。
② 仕事で良い結果が出ないから(自己効力感の低下)
仕事で良い結果を出せないと、社員は達成感や自信が得られず、やる気を失ってしまいます。
また、自分の能力や将来に不安を感じ、周囲からの評価が得られず、仕事で良い結果を出せないと、このようにさまざまな悪影響を及ぼすため、注意が必要です。仕事で良い結果を出すためには、まず社員の能力や経験、状況などを把握し、適切な指導やサポートを行うことが重要です。
また、社員が仕事に意欲的に取り組めるように、仕事のやりがいや意味を感じられるようにすることも大切です。仕事で良い結果を出すことで、社員のやる気を引き出し、モチベーションの向上につなげることができます。
③ 心理的安全性が低く、発言や挑戦が怖い
心理的安全性とは、ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念であり、「チームのメンバー一人ひとりが、そのチームに対して気兼ねなく発言し、本来の自分を安心してさらけ出せるような、場の雰囲気や状態」と定義されます。これは、対人関係上のリスクを負っても安全だと信じられる職場環境を指すものです。心理的安全性が低い職場では、社員は「失敗したら能力がないと思われるのではないか」「質問したら無知だと思われるのではないか」といった不安から、新しい挑戦や積極的な発言をためらうようになります。
このような環境では、「どうせ言っても無駄だ」「また怒られるだろう」といった諦めが生じ、自分の意見やアイデアを積極的に表明する意欲が失われます。その結果、指示待ちの状態に陥り、自発的な行動が妨げられ、やる気の低下を招きます。例えば、上司が常に高圧的な態度を取り続けたり、些細なミスを過度に追求したりするような職場環境では、社員は萎縮してしまい、挑戦する意欲を失いがちです。このような状況は、組織全体の「沈黙」と「知の損失」を生み出すことにもつながりかねません。
④ 評価されず、待遇が悪いから
評価されず、待遇が悪いことも、やる気のない社員の大きな原因の一つです。社員は自分の能力や貢献が認められないことに不満や無力感を感じ、仕事に対するモチベーションが下がりやる気を失ってしまいます。
例えば、以下のようなことが起こります。
-
自分の能力や貢献が認められず、やる気が失われる
-
自分の将来に不安を感じ、やる気が失われる
-
仕事に対するモチベーションが下がり、やる気が失われる
評価されず、待遇が悪いと、このようにさまざまな悪影響を及ぼすため、注意が必要です。
あなたの部下はどのタイプ?「やる気低下」のタイプ別診断と処方箋
社員が「やる気がない」状態に陥る背景はさまざまです。原因がわかったところで、あなたの部下が今どの状態にあるのか、以下の診断リストでチェックしてみましょう。タイプを見極めることで、次章で紹介する指導法をより効果的に活用できます。

|
タイプ名 |
特徴・サイン |
おすすめの対処法 |
|
① スキル空回り型 |
「頑張りたいけどやり方がわからない」「ミスを恐れて動けない」 |
具体的な手順のレクチャーと、小さな成功への称賛 |
|
② 燃え尽き・停滞型 |
「以前は優秀だったが急に覇気がなくなった」「今の仕事に飽きている」 |
キャリアパスの再提示や、新しい役割への挑戦 |
|
③ 心理的リスク回避型 |
「発言しても無駄だと思っている」「上司の顔色を伺って指示待ちになる」 |
心理的安全性の確保。否定せずに話を聞く1on1 |
|
④ ミスマッチ型 |
「業務が自分の強みと合っていない」「やりがいを感じられない」 |
適性に基づいた配置換案の検討や、業務の意味付け |
上司ができる!劇的に変わる4つの「指導法」と改善策
これまでの章で見てきたように、社員のやる気低下には複合的な背景が存在します。単なる「怠慢」として片付けるのではなく、その根本的な原因に働きかけることが不可欠です。一方的に叱責したり、マニュアル通りの指示を与えるだけでは、社員の真の意欲を引き出すことは困難でしょう。
重要なのは、上司からの一方的な指導ではなく、社員の内面的な動機付けを促す双方向のコミュニケーションです。社員一人ひとりが抱える悩みや不安、目標や願望を丁寧に聞き出し、解決に向けて共に考える姿勢が求められます。本章では、社員のやる気を劇的に向上させるための具体的な4つの指導法と改善策を紹介します。これらの施策を通じて、社員の潜在能力を引き出し、組織全体の活性化を目指しましょう。
① 一方的な指導ではなく「対話」重視のコミュニケーションへ
やる気を失っている社員に対し、上司が一方的に指示を出したり、あるいは叱責を繰り返したりするアプローチは、逆効果となる可能性が高いでしょう。このような指導は、社員の反発心や萎縮を招き、「思考停止」の状態に陥らせることが少なくありません。結果として、社員が自ら考え、行動する機会を奪ってしまうため、根本的なモチベーションの向上にはつながりにくいのです。
真の指導の目的は、社員が仕事に対して納得感を得て、自律的に行動できるよう促すことです。そのためには、上司が一方的に答えを与えるのではなく、「対話」を通じて社員自身に課題やその原因を深く考えさせることが不可欠です。社員が自身の状況を客観的に見つめ直し、解決策を内省することで、主体的な行動への第一歩が踏み出せるようになります。
対話を実践する上では、以下の点を意識することが重要です。
-
傾聴の姿勢: 部下の意見を途中で否定せず、最後まで耳を傾けましょう。
-
オープンクエスチョンの活用: 「なぜそのように考えるのか」「具体的にどうしたいのか」といった開かれた質問を投げかけ、部下の本音や潜在的なニーズを引き出しましょう。
このような丁寧なコミュニケーションを通じて、上司と部下の信頼関係を再構築し、心理的安全性を確保することが、社員のやる気を引き出すための最初のステップとなるのです。
②「1on1」で本音を引き出す(質問テンプレート付)
社員の本音を引き出し、やる気を高めるために、1on1ミーティングは非常に効果的な手法です。普段の業務では話しにくい悩みや課題も、1対1の閉じた環境であれば、部下は安心して本音を打ち明けやすくなります。この機会を単なる業務報告や進捗確認の場ではなく、部下が抱える不満や要望を深く理解するための貴重な時間と捉えましょう。
上司が一方的に話すのではなく、部下の話を「傾聴」する姿勢が何よりも大切です。1on1の主役はあくまで部下です。この場は評価や詰問のためではなく、課題解決やキャリア形成を上司がサポートするための対話の場として位置づけましょう。
部下のやる気低下の原因を探り、本音を引き出すために、次のような質問を参考にしてください。
-
最近の業務でやりがいを感じた瞬間はありますか?
-
現在の仕事で、もし何か一つ改善できるとしたら何を変えたいですか?
-
今後のキャリアで挑戦したいことや、目指す姿はありますか?
-
業務量や人間関係で困っていることはありませんか?
-
プライベートを含め、最近のコンディションはどうですか?
1on1で出た部下の意見や本音に対し、上司は決して否定せず、まずは「受け止める」姿勢が信頼関係構築の第一歩となります。その上で、具体的な解決策や次の行動を一緒に考えるプロセスを通じて、部下の主体性を引き出し、やる気の改善につなげていきましょう。
③ ITツールを活用し、ポジティブなフィードバックを増やす
口頭でのポジティブなフィードバックは、上司が「照れくさい」と感じたり、適切な機会を逸したりすることで、なかなか実践されにくい傾向があります。このような心理的・状況的な障壁を下げる有効な手段として、ITツールの活用が挙げられます。
例えば、ビジネスチャットツールのスタンプやリアクション機能を使えば、手軽に感謝や称賛の気持ちを伝えることができます。さらに効果的なのは、「Unipos(ユニポス)」のようなピアボーナスツールです。これは、従業員同士が感謝や称賛のメッセージに少額のインセンティブを添えて贈り合う仕組みで、日々の小さな貢献にも光を当てることが可能です。
ピアボーナスツールは、以下の点でポジティブなフィードバックの促進に貢献します。
-
送られたフィードバックがオープンなタイムラインで可視化され、蓄積されます。
-
フィードバックが本人だけでなく、他のメンバーの目にも触れる機会が増えます。
-
若手社員の挑戦が、成功の有無にかかわらず称賛されやすくなります。
-
普段は目立たない「縁の下の力持ち」的な業務への貢献も可視化されます。
これらの効果により、誰もが気軽にポジティブなフィードバックを贈り合える環境が整い、組織全体の「称賛文化」の醸成に繋がり、社員のやる気を自然と引き出すことができます。
④ 結果だけでなく「プロセス(行動)」を称賛する
社員のやる気を引き出すには、最終的な結果だけでなく、そこに至るまでの「プロセス(行動)」に焦点を当てた称賛が極めて重要です。特に、すぐに成果が出にくい業務や、失敗が続いて自己効力感が低下している社員にとって、このアプローチは大きな効果をもたらします。努力や工夫、前向きな挑戦といった行動が認められることで、「自分はできる」という自信、すなわち自己効力感が回復し、モチベーションを維持しやすくなるでしょう。
心理学者のバンデューラが提唱した自己効力感の源泉の一つに「言語的説得」があります。他者からの前向きな言葉による励ましや承認は、自信を育む大きな力となるものです。上司がプロセスを具体的に称賛することで、社員は「自分の行動を正しく見てくれている」と感じ、上司への信頼感や組織へのエンゲージメントを高める効果も期待できます。
具体的な声かけの例は以下の通りです。
-
〇〇の準備は大変だったと思いますが、あなたのおかげでスムーズに進みました。
-
今回の結果は残念でしたが、〇〇に挑戦したことは素晴らしいことです。
-
細部まで気を配った資料作成、本当に助かりました。
-
顧客への丁寧なヒアリング姿勢は、次につながる大切な行動です。
このような具体的なフィードバックは、社員の成長を促し、さらなる挑戦への意欲を引き出すきっかけとなるでしょう。
やる気が自然と生まれる「心理的安全性」の高い組織づくり

上司による個別の指導も重要ですが、社員のやる気を根本的に引き出し、持続させるためには、組織全体の環境づくりが不可欠です。その鍵となるのが「心理的安全性」です。
ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授が提唱した心理的安全性とは、「チームのメンバーが対人関係上のリスクを負っても安全だと信じられる職場環境」を指します。Googleが実施した「プロジェクト・アリストテレス」でも、生産性の高いチームを構成する最も重要な要素として、この心理的安全性が挙げられました。
なぜ「心理的安全性」がやる気に直結するのか
心理的安全性が高い環境では、社員は失敗を恐れることなく新しいアイデアを発言し、挑戦できます。「こんなことを言ったら無知だと思われるかも」という不安がなくなるため、本音での意見交換が活発になり、結果として社員のエンゲージメント(貢献意欲)は大幅に向上します。
【導入事例】心理的安全性の向上が生んだ「自発的な組織」への変革
実際に、心理的安全性を高めることで組織を劇的に変えた事例をご紹介します。
新卒採用支援などを行う株式会社リーディングマークでは、組織の急拡大に伴い、部署間の壁(セクショナリズム)が生じ、お互いの業務が見えにくくなるという課題を抱えていました。
そこで同社は、ピアボーナス®「Unipos」を導入。日々の小さな貢献を「称賛」として可視化する仕組みを作りました。その結果、以下のような変化が生まれました。
-
「助けて」が言える文化: 称賛文化が浸透したことで、心理的安全性が高まり、困った時に他部署のメンバーにも気軽に相談できる環境が整いました。
-
隠れた貢献の可視化: 普段は見えにくいバックオフィスの努力やサポートが全社に共有されるようになり、社員の「認められている」という実感が向上。
-
自発的な行動の増加: 「失敗しても認められる」「挑戦が称賛される」という安心感が、指示待ちではない自律的な動きへと繋がりました。
このように、**「お互いを認め合う仕組み」**があることで、心理的安全性が育まれ、結果として社員のやる気が自然と湧き出る組織へと進化を遂げたのです。
心理的安全性の高い職場がもたらす具体的な効果
以下の表は、心理的安全性が組織に与えるポジティブな影響をまとめたものです。
|
項目 |
効果・特徴 |
|
働きがいスコア |
83.4%(心理的安全性の低い職場は57.4%) |
|
新しい挑戦の機会 |
55.6%と高い水準 |
|
離職率 |
59%低下した事例あり |
① 心理的安全性を高める「称賛文化」の醸成
心理的安全性は、社員が自分の意見や行動を受け入れてもらえると感じることで育まれます。特に称賛は、社員に承認されているという実感を与え、失敗を恐れずに新しい挑戦や発言ができる土台を築きます。ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授の研究でも、心理的安全性が高いチームは問題解決能力が向上し、革新的なアイデアが生まれやすいとされています。社員が安心して自己開示できる環境は、組織全体のパフォーマンス向上に直結するでしょう。
組織全体で称賛文化を醸成するには、具体的な施策の導入が効果的です。以下に、その例を挙げます。
称賛文化を醸成するための施策例
-
社員同士が感謝や称賛のメッセージを贈り合う「サンクスカード」や「ピアボーナス制度」(UniposやTUNAGといったITツールを活用することで、これらの取り組みをより活発化させることが可能です)
-
毎週の定例会議で「グッドジョブミーティング」のような称賛タイムを設ける
称賛する際には、単に結果だけを評価するのではなく、そこに至るまでのプロセスや、困難な状況でも挑戦した姿勢を具体的に褒めることが重要です。上司が率先して部下の良い点を見つけ、具体的な言葉で伝えることが、組織に称賛文化を根付かせる第一歩となるでしょう。
② 強みを活かす人材配置と目標設定
社員のやる気を引き出すためには、個々の強みを最大限に生かす人材配置は極めて重要です。社員が自身の得意な領域や関心の高い業務に携わることで、自己肯定感の向上や仕事へのモチベーションアップにつながります。その結果、組織全体の生産性向上や業績拡大にも貢献します。成功している企業では、従業員のキャリアプランを明確化し、個人の目標と会社のビジョンを一致させることで、高いエンゲージメントと成長を達成しています。
上司が部下の強みを把握するためには、丁寧な1on1ミーティングを通じたヒアリングが効果的です。例えば丸井グループでは、1on1を導入することで、社員一人ひとりの強みを生かした業務アサインをサポートしています。また、客観的なデータを得るためには、適性診断などのアセスメントツールの活用も有効です。
これらの強みに基づき、社員が最もパフォーマンスを発揮できる部署や役割への配置転換を検討することが重要です。金銭的な学習補助のみならず、社員の成長を促す育成も必要です。株式会社山岡製作所の「マンパワーUP活動」のように、社員が「技能検定1級合格」といった具体的な目標を設定し、約1年かけて取り組むことで、主体的な行動と成長が促される事例も見られます。個々の強みに合わせた目標設定と、専門性を深めるキャリアパスの提示は、社員が将来を見据え、自律的に行動するための大きな後押しとなります。
よくある質問(Q&A)
これまでに、「やる気のない社員」に対する具体的な指導法や改善策を解説してきました。しかし、これらの施策を実践するにあたり、上司や管理者の皆様には、さまざまな疑問や不安が生じることと存じます。特に、社員のパフォーマンス不良やメンタルヘルス不調といったデリケートな問題に直面した際には、「どのように対応すべきか」「法的に問題はないか」といった複雑な判断が必要となるでしょう。
本章では、そうした皆様が抱えるであろう疑問や懸念に対し、Q&A形式で分かりやすく解説します。社員の解雇の可否、指導しても変化がない場合の対応、そしてメンタル不調の可能性への配慮など、具体的なケースを想定した質問にお答えすることで、実践的なヒントを提供し、皆様が安心して問題解決に取り組めるようサポートいたします。
Q1. やる気のない社員を解雇(クビ)にすることはできますか?
A. 日本の法律では、単に「やる気がない」という理由だけで解雇することは非常に困難であり、不当解雇として訴訟リスクを抱えることになります。まずは本記事で紹介した指導や1on1を行い、改善の機会を与えることが不可欠です。それでも改善が見られない場合の手順については、『モンスター社員の対処法』の記事を参考にしてください。
Q2. 指導しても変わらない場合、放置してもいいですか?
A. 放置は推奨されません。やる気のない社員を放置すると、「サボっても許される」という悪しき風土が広がり、真面目に働いている周囲の社員のモチベーションまで低下させる「腐ったミカン現象」を引き起こすリスクがあるためです。
Q3. ただの怠慢ではなく、メンタル不調(うつ)の可能性はありませんか?
A. その可能性もあります。「以前は意欲的だったのに急に覇気がなくなった」「遅刻が増えた」といった変化が見られる場合は、怠慢と決めつけず、産業医への相談やストレスチェックの結果を確認するなど、メンタルヘルス面のケアを検討してください。

