フリーアドレスとは?メリット・デメリット、事例をもとに失敗しない導入4ステップを解説

フリーアドレスを導入してみようかとお考えですか? 働き方改革の流れの中、様々な企業がオフィスをフリーアドレス化することに前向きです。

ですが、企業によってはランディングに失敗している話もあり、果たして自社にフリーアドレスをするような社風や土壌があるのか、調べてもわからないことが多いですよね。

そこで今回は

1.フリーアドレスとは

2.フリーアドレス導入で得られるメリット

3.フリーアドレス導入で想定されるデメリット

4.フリーアドレス導入前にしておくべき対応策

5.フリーアドレス導入に向いている会社・向いていない会社

6.フリーアドレスの導入事例

7.フリーアドレス導入フロー4ステップ

をまとめました。最後までお読みいただければ、御社にとってフリーアドレス導入した際のイメージが掴め、自社がフリーアドレスの導入に向いている・向いていないが理解できます。

また、新しいスタイルにチャレンジしてみたい場合、導入前に何に気をつけるべきなのかがわかり、どういうステップで計画を運べばよいのかもわかります。

1.フリーアドレスとは

フリーアドレスとは、従来のオフィスのように社員が自分の固定席を持たず、仕事内容や状況に応じて、社内の空いている席を自由に使って仕事をするやり方です。

たとえ業務内容が今までと同じでも、固定席を持たないことで、場所や会議室の空き時間などに縛られず

  • 必要な場所で
  • 必要なことを
  • 必要なだけ
  • 必要な人と

仕事をすることができる、色々な意味で「フリー(自由)」なオフィスのスタイルです。

このようなフリーアドレスという仕事のスタイルを導入する企業が増えてきたベースには、現代経営学者として有名なピーター・ドラッガーが提唱した「ナレッジワーク」(知識経営)という考え方があります。

ドラッガーは、従来のようなマニュアルによって決められた仕事だけではなく、より知的でより創造的な仕事をして市場に価値を作り出す人をナレッジワーカー、その仕事をナレッジワークと呼んでいます。

ナレッジワーカーがナレッジワークをするためには、社内の様々な垣根や制限を超え、テリトリー意識のない自由な空気の職場環境が必要であり、その考えをオフィスに反映するとフリーアドレスとなります。

オフイスをフリーな状態にすると、社員同士の偶発的な出会いや個別の接触を生み出す効果があり、社員同士のコミュニケーションやパフォーマンスが活性化します。自社の保有する人材を含めた潜在能力を最大限に活用し、サポートする為には、オフィスをフリーアドレスする必要性があります。

【参照:ピーター・ドラッガー「マネジメント」

【参照:ナレッジワーク ウィキペディア

2.フリーアドレス導入で得られるメリット

ここでは、フリーアドレス化したことで得られるメリットを説明します。

①コミュニケーションの活性化

フリーアドレスによって、これまで関わる機会のなかった他部署上司や社員と隣り合わせになり、全く新しいコミュニケーションが生まれて来ます。

何気ない会話での知識や情報の共有によって新しいアイデアが生まれ、社内で人脈が広がり「今までにない新しい何か」を一緒にする機会やチャンスが期待できます。

②ペーパーレス化促進とセキュリティ向上のきっかけになる

フリーアドレスの導入を機にペーパーレス化が進み、印刷コスト削減・オフィス省スペース化が成功しやすくなります。

情報は常に電子化してネットワーク共有し、情報管理が一元化されると、ビジネスの迅速化にもつながります。

また、情報レベルに応じてアクセス権を設定し、必要に応じた情報セキュリティ対策を行うことで、セキュリティを向上することができます。

③働き方改革も進む

フリーアドレスにより、社内のあらゆる人とのコミュニケーションが可能になっていきます。

固定席だと、相談や会話をする相手も固定されてしまう傾向にあり、その働きかたも部署の「慣習」のようなものがありますが、フリーアドレスになるとそのようなこともなくなっていきます。

企業に属していても

  • 自分の仕事に適したワークスタイルで働く
  • 仕事内容と場所に限定されない自由がある

ことが理解でき、自由な働き方の習慣化が進むと、自然と個人レベルでの働き方そのものを見直す機会になります。

その結果、モバイルワーク・テレワーク・フレックス・フルフレックス・短時間勤務など、新しいワークスタイルへの理解も進み、社員全員の働き方改革が進みます。

3.フリーアドレス導入で想定されるデメリット

ここでは、フリーアドレスを導入した際に起こるデメリットについて説明します。

①コストと労力がかかる

フリーアドレスの導入には、費用に加えて時間や労力も掛かります。例えば、

  • フリーアドレスに適した家具の購入と配置
  • オフィスレイアウト変更に伴う工事一般
  • ネットワークLAN無線化と増設
  • 様々なツール購入
  • 個人用キャビネットなどの設備導入

があり、それらの工事に伴い、部署ごとに一時的な移動や移転が必要となる場合もあります。

また、フリーアドレス化すると、今までのように固定席に大量の書類を並べておくことができなくなりますので、それらの管理に関しても、新しく場所と保管方法・管理方法などのルールが必要になり、その管理と遂行のためのチームも必要になります。

最終的には省オフィス化になりますが、フリーアドレス化するためのコストはかかりますので、導入前に調査とシミュレーションをして予算とリソースを把握しておく必要があります。

②従来の組織マネジメント方法が通用しない

フリーアドレスにして一番最初に困るのは「誰がどこにいるのかわからなくなる」ことです。

従来の組織図と座席表、それにまつわる内線番号は、フリーアドレス化後には、ほぼ機能しなくなります。

また、同じ部署内に上司と部下が一緒にいない時間が増えるので、部下とのコミュニケーションが減り、マネジメントに支障が生じてくる可能性があります。

これらのトラブル回避策としては、社内コミュニケーションツール(SNS)と社内スマホなどを活用して

  • スマホで連絡がすぐにつけられるようにすること
  • コミュニケーションツールSNSで連絡が可能
  • 社内地図で居場所の確認ができること
  • 決められた曜日に同部署のチームメンバーで集まる

などの方法を用意し、業務の効率低下を防ぎます。

③業務効率が下がる場合もある

フリーアドレスにして、業務効率が悪くなる可能性もあります。例えば、

  • 周りの会話やザワザワした空気が気になる
  • 話を人に聞かれているようで気になる、
  • 隣で電話する声が気になる

など、業務に集中できなくなったことが原因で生産性の低下、精神的なストレスを抱える可能性がありま

これらを回避するには、

  • 仕事に集中するための「集中ブース」を設ける
  • 電話しながら仕事ができる電話ブース以外での電話は禁止する

などがあります。どのような対処法も、最も自社のスタイルに合ったものを採用することで、効率低下を避けることは可能です。

④新人教育にも不向き

フリーアドレスは新人教育にも不向きです。固定席では、新人は先輩や上司のそばに席が用意され、なんでもすぐに相談でき、先輩から手厚く面倒を見てもらえる環境下にありましたが、フリーアドレスにするとそのような前提がなくなってしまいます。

新人には完全フリーではなく、半フリー程度(同じフロアに存在する)などの取り決めをし、効率よく部下が育つようにすると、フリーアドレスのデメリットを減らすことができます。

また、先輩と上司に頻繁に質問などができるように、チームメール・グループチャットなどを作成し、離れていても頻繁にコミュニケーションが取れるようにしましょう。

4.フリーアドレス導入前にしておくべき対応策

本章では、フリーアドレスを導入する前にやっておくべきことをおしらせします。

①明確な導入目標を持つ

フリーアドレスの導入に成功している企業は、明確な導入目的を持ち、その目的をクリアできているかを確認するために指標を設け、常に改善を行いながら、段階的にフリーアドレスを社内に定着させています。

導入の検討がなされた段階で、自社の風土やワークスタイルがフリーアドレスに向いているのかを十分検討し、フリーアドレス導入の最終的な目的を明確にしておきましょう

フリーアドレスの目的としてよく設定されるのに、以下のものがあります。

社員が長く安定して働く職場作りのために

ムーブメント主導は働き方改革です。社員が妊娠・育児・怪我・病気・介護などのライフイベントに大きく左右されずに企業に帰属したまま長く働くためには、そのための環境が必要です。

出社をしないでもできる業務はPCがあればできる職場環境作りの1つとして、フリーアドレスがあります。

経費削減のために

オフィスを構えていても、日中は営業でほとんど人がいないオフィスも多々あります。

このようなオフィス維持という固定費の無駄を省き、より快適で、よりローコストで健全な経営ができる方法の1つに、フリーアドレスという選択肢があります。

人間関係のトラブルを減らすために

会社には、1つの場所に多数の人間が「業務」を目的に集まっていますので、複雑な人間関係が生まれます。

このような人間関係の「しがらみ」が元で体調を崩したり、心の状態を崩したりする人もクローズアップされつつあります。

社内での不要な摩擦を減らしつつ、必要な業務の生産性をアップする方法として、フリーアドレスがあります。

フリーアドレスは日本企業にとってはかなり斬新な取り組みであるため、反対をする人も多数いるかもしれません。フリーアドレスの導入を推進・定着させるためには、トップが導入宣言をし、役員クラスにも積極的に関与して働きかけてもらうと、円滑に進みます。

②ネット環境を改善しておく

業務に合わせて席を自由に移動できるフリーアドレスでは、

  • LAN無線化・増設
  • 電源プラグ・電源ハックの確保
  • PCをノートパソコン化
  • 社内用スマホまたはタブレット
  • ITインフラの整備と設計
  • ツールやデバイス準備と導入
  • ペーパーレスによる管理システム変更

などの改善や変更が必要です。また、変更に伴い、使い方マニュアルやルールなどの準備、場合によっては説明会も必要になります。

上記のような仕事に必要なシステム・ツール・ネット環境が不十分だと、業務そのものに支障が生じ、せっかくのフリーアドレスが社内で定着しなくなる可能性があります。現場の状況を入念に調査した上で検討・シミュレーションを行いましょう。

③フリーアドレスに適した家具・レイアウトに変える

フリーアドレスは、自社の目的に合ったオフィス・レイアウトにしましょう。

フリーアドレスの導入範囲や規模は、部門のみ、フロアの一部、全社対応など、企業の考え方によって異なります。導入に必要な整備やレイアウト変更は、どの程度の規模が必要なのかを事前に調査し、リストアップしておく必要があります。

フリーアドレス導入に伴い、見直しや導入が必要な項目として、以下のようなものがあります。

  • 個人用キャビネットが必要になる
  • 共有用キャビネットが必要になる
  • ペーパーレス化で、不要になる資料・キャビネット撤去・共有キャビネットの整備
  • ネット回線の無線化、有線と無線の併用など
  • グループ席・会議ブース・共用スペースなど、レイアウトや配分について考える
  • ノートパソコンあるいはタブレット端末に適したプラグやケーブルが必要
  • 固定電話を取りやめる場合、代わりの電話をどうするのか
  • 会議室の存在について検討をする

    ⑤ツールとセキュリティを見直す

    フリーアドレスを取り入れたオフィスは、ノートパソコンやスマホ・タブレットがオフィス内のどこでも使えることが必須条件になります。社員一人が所有・使用するデバイスも複数台、共有機器も複数になるため、セキュリティ面も含めて管理体制を見直す必要があります。

    例えば

    • MDM(モバイルデバイス管理ツール)

    モバイル端末・スマホに関した情報セキュリティ管理

    • グループウエアの導入

    社内管理できる社員同士のコミュニケーション用ツール

    • 入退室管理システムの導入

    固定した場所がなくなる分、誰が・いつ・どこに・誰と・どうしていたのかを把握・追跡できるように、

    入退室の管理も必要になる。

    など、移動も出入りも自由な故に、強固にしなくてはならないセキュリティが増えます。

    ⑥ロッカールーム完備

    個人・共有ともロッカールームの完備が必要になります。フリーアドレスでは基本、デスクに私物を置かないのがルールで、別名「クリーンデスク」といい、デスクはシェアをするものであるという発想がベースです。

    シェアをしているものなので、個人の占有は許されません。移動時・ランチ・退社時には、すべての私物をロッカーに入れて自己管理するというルールを徹底します。仕事に関した書類は、都度、共有スペースの棚から出し入れをします。

    これらの負担を軽くするためには、ペーパレス化が役立ちます。

    また、オフィスで共有できるものは共有スペースのロッカーに十分に用意をして、「本当に、社内のどこでも仕事ができる」安心感を提供します。

    例えば

    • 共有備品(文具・USB・ラインとニングケーブル類)
    • 無線LANの数
    • 十分な数の電源
    • 画像・動画編集作業などに用いるデバイス類

    など、必要なものは、そこでなんでも揃うようにしておく必要があります。

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