
人的資本経営への注目と日本のエンゲージメントの低下について
近年、人的資本経営への注目が高まっています。人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。
人的資本経営を実現するためには、従業員のエンゲージメントを高めることが重要です。エンゲージメントとは、従業員が仕事に対して積極的に関わり、貢献意欲ややりがいを感じる状態を指します。
エンゲージメントが高い従業員は、モチベーションや生産性が高く、離職率が低い傾向があります。また、企業の業績や株価にもプラスの影響を与えることが分かっています。
日本のエンゲージメント状況
日本のエンゲージメント状況は決して良好ではありません。
2023年にギャラップが日本の会社員1,000人に行った職場の従業員意識調査によると、日本のエンゲージメントスコアは20点と、世界平均の34点を大きく下回っています。
これは、日本の多くの従業員が仕事にやりがいを感じておらず、会社に貢献したいという意欲が低いことを示しています。
具体的には、日本のエンゲージメントスコアは、以下の項目で世界平均を下回っています。
- 仕事に誇りを持っている(世界平均63%、日本33%)
- 仕事にやりがいを感じている(世界平均69%、日本37%)
- 会社に貢献したいと思っている(世界平均68%、日本37%)
- 仕事に積極的に関わっている(世界平均71%、日本39%)
また、従業員の95%が職場で生き生きと活躍できておらず、25%近くが「全くエンゲ ージしていない従業員」で、会社の評判を落とすようなふるまいをしているという調査結果も出ています。
引用・参考:2023 年版 ギャラップ職場の従業員意識調査:日本の職場の現状/従業員エンゲージメント (https://advise.gallup.com/state-of-japanese-workplace-report , https://www.gallup.com/394373/indicator-employee-engagement.aspx)
この結果は、日本のエンゲージメント状況が決して良好ではないことを示しています。
Unipos株式会社代表田中弦が2023年2月に行った「統合報告書を全部読んでわかった人的資本開示」では、人的資本の情報開示率は、現在の日本の上場企業において24%以下と1/4以下(4000社中)と出ており、エンゲージメントの低さと相関していると考えられます。
上記ウェビナーレポートはこちら
日本のエンゲージメント状況が低い原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 終身雇用制度の崩壊
- ワークライフバランスの重視
- 労働人口の減少
- マネージャーのコーチング力の低下
終身雇用制度の崩壊により、従業員は会社に依存することが難しくなり、会社への帰属意識や忠誠心が低下しています。
また、ワークライフバランスの重視により、仕事とプライベートのバランスを重視する従業員が増え、仕事にかける時間や労力を減らしています。
さらに、労働人口の減少により、企業は人材の確保が難しくなり、従業員一人ひとりの重要性が高まっています。
日本のエンゲージメント状況が低いことは、企業にとって大きな課題です。
エンゲージメントが高い従業員は、モチベーションや生産性が高く、離職率が低い傾向があります。また、企業の業績や株価にもプラスの影響を与えることが分かっています。
つまり企業は、エンゲージメント向上のための施策を検討・実施し、従業員一人ひとりが仕事にやりがいを感じ、会社に貢献したいという意欲を持てる環境を整えることが重要であり、それが人的資本経営につながると言えます。
このように日本の企業において、エンゲージメント向上が喫緊の課題となっています。 ではどのように取り組めばよいのか。以下に、エンゲージメント向上について取り組みのポイントを上げてみました。さっそく見ていきましょう
エンゲージメント向上のポイント3つ
エンゲージメントを向上させるためには、以下のポイントに取り組むことが重要です。
1.仕事の意味や目的を感じられる環境を作る
従業員が仕事の意味や目的を感じることができれば、仕事にやりがいを感じ、会社に貢献したいという意欲が高まります。そのためには、経営理念やビジョンを明確にし、従業員に共有することが重要です。また、従業員一人ひとりが自分の仕事がどのように企業に貢献するのか、具体的に理解できるような機会を提供するのも効果的です。
2.成果を認められ、評価される環境を作る
2023 年版 ギャラップ職場の従業員意識調査:日本の職場の現状(https://advise.gallup.com/state-of-japanese-workplace-report )でも、良いマネージャーとエンゲージメントの相関が結果として出ています。
従業員が自分の成果を認められ、評価されることで、仕事に対するモチベーションや自信が高まります。そのためには、適切な評価制度を導入し、成果を公正に評価することが重要です。また、上司や同僚から感謝や称賛の言葉をかけることも、従業員のモチベーションを高める効果があります。
3.仕事と生活のバランスが取れる環境を作る
仕事とプライベートのバランスが取れていれば、従業員は仕事に集中し、より高いパフォーマンスを発揮することができます。そのためには、フレックスタイム制やテレワークなどの制度を導入し、従業員が自分のライフスタイルに合わせて働ける環境を整えることが重要です。また、ワークライフバランスに関する研修やセミナーを実施し、従業員の意識を高めることも効果的です。
これらのポイントを踏まえて、企業はエンゲージメント向上のための施策を検討・実施する必要があります。
まとめ
エンゲージメントとは、従業員が仕事に対して積極的に関わり、貢献意欲ややりがいを感じる状態を指します。エンゲージメントが高い従業員は、モチベーションや生産性が高く、離職率が低い傾向があります。また、企業の業績や株価にもプラスの影響を与えることが分かっています。
しかし、日本のエンゲージメント状況は決して良好ではなく、世界平均を大きく下回っています。日本のエンゲージメント状況が低い原因としては、終身雇用制度の崩壊、ワークライフバランスの重視、労働人口の減少などが挙げられます。
エンゲージメントを向上させるためには、以下の3つのポイントに取り組むことが重要です。
- 仕事の意味や目的を感じられる環境を作る
- 成果を認められ、評価される環境を作る
- 仕事と生活のバランスが取れる環境を作る
企業は、これらのポイントを踏まえて、エンゲージメント向上のための施策を検討・実施し、従業員一人ひとりが仕事にやりがいを感じ、会社に貢献したいという意欲を持てる環境を整えることが重要です。
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