インナーブランディング徹底解説|効果、施策方法、導入事例まで

インナーブランディングを導入してみたい

インナーブランディングの効果が知りたい

 

あなたは今、自社のブランドの価値が、社内のスタッフ間ではいまひとつ認知や理解がしっかりとされていないような気がする……そんなことを感じていませんか。

 

スタッフ一人ひとりにしっかりと自社のブランドの価値を理解してもらうために行うのがインナーブランディングです。社内で働くスタッフがしっかりと自社のブランドを意識して働いてくれることで組織内の結束が強くなり、外の顧客に対してブランドを広めてくれる大切な役割を果たすのです。

 

そこで、この記事では、

インナーブランディングの基本的な知識から

・インナーブランディングを行わないことで予想されるデメリット

・インナーブランディングの8つの効果

・インナーブランディングの5つの施策方法

・インナーブランディングを行う際の3つのポイント

・インナーブランディングの導入事例

までご紹介します。

今後、インナーブランディングを実践している企業と実施していない企業とでは、将来的に会社の成長や業績に大きく差が出る可能性が高くなります。早めに導入の検討を始めてください。

目次

1.インナーブランディングとは?

インナーブランディングとは、社内に向けた自社のブランディング活動のことです。具体的には、自社の企業理念や将来的なビジョン等をスタッフ(社員だけでなく派遣やアルバイトも含む)に理解させ浸透させるための啓蒙活動です。

これに対して、顧客や取引先など社外に向けて行うブランディング活動は、アウターブランディングと言います。

 

近年、インナーブランディングが重要視され、注目を集めているのには理由があります。

 

「社員一人ひとりが企業ブランドの表現者となることで、最終的に企業のイメージアップや業績アップにつながる」という認識が日本のビジネス界にも浸透してきたからです。

 

ブランディングとは、単にブランド名称をつけたり、ブランドロゴを作成して終わるものではないということが理解されてきたということでしょう。

 

この認識の変化は、少子高齢化による雇用不足、企業寿命の短命化、雇用の流動化、終身雇用制度の崩壊など、さまざまな背景からもたらされたもので、社会の構造と価値観の変化が促した結果とも言えます。

 

インナーブランディングを行うことで、働くスタッフが自社ブランドに誇りや愛着を持ち、社内がひとつになって企業ブランドの価値観を共有することができれば、やがてそのブランドイメージは現場で働くスタッフから顧客へと伝わり、最終的な売上アップへと繋がっていくのです。

 

2.インナーブランディングを行わないことで予想されるデメリット

まず最初に、インナーブランディングを行わないままでいるとどんなことが起こるか、予想されるデメリットをご紹介します。

・会社に対するスタッフの不平不満が増える

・退職者が増えて人手不足に陥る

・業務に真剣に取り組むスタッフが減少する

上記3つのデメリットは、それぞれ独立したデメリットではなく、お互いが絡み合っているため、放置してしまうと、企業側にとって大きなダメージになる恐れがあります。

2-1.会社に対するスタッフの不平不満が増える

インナーブランディングを行わなかった場合、会社に対する不平不満が増加する可能性があります。なぜなら、企業理念やビジョンがしっかり共有されないので、会社がどこに向かおうとしているのかわからず、スタッフ側もどう動けばいいのかわからなくなり、不平や不満が増えてしまうのです。

2-2.退職者が増えて人手不足に陥る

インナーブランディングを行わないことで、不平不満を持ったスタッフが増えてしまうと、結果的に退職者が増えてしまいます。スタッフが減少することで社内業務が滞ってしまうと、最悪のケースは人手不足倒産に追い込まれてしまいます。

2-3.業務に真剣に取り組むスタッフが減少する

インナーブランディングを行わないと、自分が働く会社や仕事に誇りを持つことができないままになり、それが仕事に対するモチベーション低下にも繋がっていくので、業務に真剣に取り組むスタッフが減っていきます。モチベーションの下がった社員が増えてしまうと、社内全体の雰囲気も悪くなっていきます。

 

3.インナーブランディングの8つの効果

インナーブランディングを導入することによって、さまざまな効果が期待できます。

さまざまな分野に対して効果を上げていくことで、相乗的な効果となり、最終的に社内がひとつになって、顧客満足度の上昇、売上アップ、業績アップと、大きなメリットが生まれるようになります。

3-1.社員の会社に対する満足度アップと愛社精神発揚

働くスタッフの会社に対する満足度が上がることにより、愛社精神がアップします。自社のブランド価値を理解することで、「こんな素晴らしい会社で私は働いているのだ」という自己尊重の意識も高まり、会社に対する愛着も強くなります。

3-2.社員自らブランド価値を積極的に社外発信する

自分が働く会社に対する誇りや愛着があるので、顧客にも自社製品やサービスを積極的に勧めますし、アピールします。いわゆる売上アップのための無理をした付け焼き刃のアピールではなく、内側から自然に滲み出るような自社への思いが、顧客に伝わるのです。

3-3.仕事への誇りとモチベーションの向上

社員は自社の将来的なビジョンに対する理解度が深い状態で仕事をするようになり、やりがいを感じやすくなります。また、誇りを持って仕事を行うようにもなり、高いモチベーションで業務をこなすようにもなります。

3-4.若手社員・中途採用社員の離職率を下げる

インナーブランディングには、特に若手社員や中途採用社員の離職率を下げる効果があります。自分の手がける仕事に満足でき、仕事に対する誇りがあれば、安易に退職するようなことはありません。

3-5.目指す姿の一元化による一体感の醸成

インナーブランディングにより、自社の目指す方向やビジョンが全社で共有されるので、自然な一体感が生まれます。仮に業績が落ち込んだりした時でも、向かう方向がはっきりとわかっていれば、「今は試練の時、踏ん張る時だ」と感じるので、社内の雰囲気が暗くなったりモチベーションが極端に下がったりしません。

3-6.業務の効率と質の向上

非常にモチベーションの高い状態で業務を行うスタッフが増えることで、業務効率や質の向上も期待できます。インナーブランディングによって、もっとよい製品・もっとよいサービスを顧客に提供したいと、自然に思えるようになるからです。

3-7.社員の顧客志向を上げ、顧客視点の新製品・サービス開発ができる

インナーブランディングによって、顧客志向が高まります。自社のブランドに対するイメージをスタッフがはっきり把握できているので、顧客の声を積極的に拾い上げることができ、商品やサービスの改善や新商品開発にも力をいれます。

3-8.顧客満足度の向上

インナーブランディングによって、これまで挙げてきた7つの効果が相乗的に大きなメリットとなり、最終的には、顧客満足度を上げることになります。顧客は、自社の製品やサービスを愛しているスタッフから購入したいと無意識に考えています。なぜなら、社員自身が誇りを持ち愛着ある製品やサービスであれば、品質は間違いないだろうと思うからです。

 

4.インナーブランディングの5つの施策方法

インナーブランディングの施策方法をご紹介します。初めてインナーブランディングを行う企業の場合、どこから手をつければいいか迷うかもしれません。

まずは、アンケートを実施するところからスタートしましょう。アンケートの結果から課題を可視化することが先決です。

 

また、インナーブランディングは1回やって終わりではないので、長期的な施策の計画と予算計画を行うことも大切です。ここでは、まずどんな施策方法があるのかを知ってください。

 

この章では、施策の優先度が高い順にご紹介します。

4-1.社員へのアンケート実施

まずは現状の把握のため、会社で働く人たちに対してアンケートを行います。役職は関係なく、できれば派遣スタッフやアルバイトなどにもアンケートに協力してもらうほうがいいでしょう。現時点において、企業の理念やビジョン、経営方針等が社内でどの程度浸透しているのか、また現場で抱えている課題は何なのか、会社に対する不満や意見がないか、等について具体的に質問し把握します。

 

アンケートはインナーブランディングを導入後、ある程度経過したタイミングにも行うと良いでしょう。どの程度インナーブランディングの効果が出ているかを把握するためです。

4-2.社員向けサイト制作

社員だけが見ることができる企業サイトを作成します。内容は、会社のビジョンや社長の思い、創業からの歴史などがわかるようなコンテンツを用意します。

 

固定した内容しかないサイトでは、何度もアクセスしてもらえないので、できるだけ頻繁にアクセスしてもらえるような工夫が必要です。

 

社内報代わりとなるような、直近の社内の話題、イベント告知などが掲載され毎日のように更新されるページを用意するのもひとつの手です。毎日日替わりで社長の一言メッセージを掲載するのもいいでしょう。

サイト内に社員同士で交流できる掲示板などを設置したり、さまざまな工夫をすることで社内の士気を高めます。

4-3.社内啓発ポスター作成

経費もそれほどかからず、取りかかることが容易なのは、社内向けの啓発ポスターを作って貼り出すことです。社内にイラストやマンガを描くのが得意なスタッフがいれば、協力してもらうといいでしょう。

 

著名なデザイナーやイラストレーター、写真家に依頼する方法もありますが、著名だからいいというわけではなく、しっかりと自社の企業理念を理解して表現してくれる人を選ばないと効果が出せません。

4-5.社内ワークショップを開催する

自社の経営理念から、ビジョン、ブランド価値について、スタッフが直接向き合って考える場としてワークショップを開催します。

 

インナーブランディングは会社側からの一方通行になりやすく、受け手によって、理解の深さにどうしても差が生まれてしまいます。理解度がバラバラのままでは、社内に一体感が出てきません。

 

双方向で意見を出し合えるワークショップを開催し、スタッフが参加することで、会社の理念やビジョンを「自分ゴト」として捉えることができるようになります。

4-4.本や動画制作

本や動画を作成します。内容は自社の創業からの歴史を振り返ったり、社長の思いやビジョンを映像化したものなど、かなり自由に作り込めます。

 

制作するタイミングとしては、創立記念日、新商品発表等に合わせてリリースし、記念品として贈呈すれば社内的にも盛り上がるはずです。

 

ポスター作成等と比べて、コンセプトやコンテンツをしっかりと練って作成しなくてはならないので、時間も費用もかかります。手作り感を出した自社制作、専門の出版社や映像制作会社へ依頼した他社制作、どちらがいいかは、制作予算や完成するまでの時間などを考慮したうえで決めましょう。

 

5.インナーブランディングを行う際の3つのポイント

インナーブランディング導入の前に、気をつけていただきたい3つのポイントをご紹介します。

 

インナーブランディングはピンポイントで行うものではなく、長期的な視野を持って行うものですので、地道に行うものであるという認識をしっかり持ってから導入するようにしてください。

3-1.社員に強要・強制しない

インナーブランディングは社員に強要や強制して行うものではありません。インナーブランディングは、スタッフ側から自発的に会社に興味や関心を持ってもらうために行うべきです。そのためにも、トップダウン型のブランディングの押し付けをしないように気をつけてください。

3-2.短期間で効果を出そうとしない(効果が出るまで時間がかかる)

インナーブランディングを導入したからといって、即日結果が出るわけではありません。特に、企業理念、将来ビジョンといった抽象的な概念は、スタッフに浸透し、定着するまである程度の時間がかかります。

 

だからこそ、1回だけやって終わりにせず、定期的に何度も行うことが大切ですし、長期計画を立てて、さまざまなメディアを使ってインナーブランディングを行うことが大切です。

3-3.導入したら定期的に効果測定を行う

インナーブランディングがどの程度、スタッフに浸透しているかを定期的に測定することも大切です。

 

社内向けのブランド発信はただ発信しただけでは意味がありません。自己満足で終わっていないか、チェックする必要があります。

 

スタッフひとりひとりにしっかりと受け止めてもらえているか、定期的にアンケートなどを行なって測定し、その結果から課題が上がれば、都度修正していくことで、インナーブランディングの効果を高めていきましょう。

 

6.インナーブランディングの導入事例

すでにインナーブランディングを導入して成功している企業の事例を紹介します。

 

ここでご紹介する企業は、「アウターブランディング」の王者といっても過言ではない有名な2企業ですが、外側の圧倒的なブランディング成功の裏には、地道なインナーブランディングが行われていることがわかります。

6-1.スターバックス

テレビCMなどを行わずに、抜群の知名度・人気を誇るスターバックスコーヒー。

創業者ハワード・シュルツの「従業員に誇りをもって働いてもらいたい」という強い思いはビジネス書などで頻繁に取り上げられているので非常に有名ですし、スターバックスコーヒー・ジャパンの元CEO・岩田松雄氏も「CS(顧客満足)よりES(従業員満足)が大事」という言葉を残しています。

 

このような考えから、スターバックスは、アルバイトの人材育成に年間80時間の研修を行なっています。研修といってもマニュアルはなく、一人ひとりのスタッフが顧客満足のために自主的に行動することが求められます。スタッフ一人ひとりが「お客様を満足させる接客」を考えることで、主体性が育まれ、満足度の高いサービスの提供が行われています。

 

また、週20時間以上勤務するパートタイマーも含めた全社員に対して、健康保険とストックオプションを付与するなど、福利厚生の充実にも力を入れています。全てのスタッフを大切にする姿勢が、企業とスタッフとの結びつきを強め、ブランド価値を高めているのです。

6-2.オリエンタルランド

オリエンタルランドは、東京ディズニーリゾートを運営している企業です。

ディズニーリゾートではパークを「ステージ」とみなし、働くスタッフは「キャスト」と呼ばれています。ダンサーも販売スタッフも清掃員も、ディーズニーリゾートで働く人すべてが夢の国を演出するキャストであると意識してもらうためです。

 

サービスの行動基準は「The Four Keys4つの鍵~」にまとめられています。これは、「SCSESafety:安全性、Courtesy:礼儀正しさ、Show:ショー、Efficacy:効率)」の4つでできており、マニュアルにない対応が求められた場合でも、キャスト自身が判断して、望ましい行動が取れるようになっています。

 

さらに同社では、年に一度、サンクスデーと呼ばれる、普段上司である役職社員がキャストになり、準社員をゲストとして閉園後の施設でおもてなしをする日が設けられています。ミッキーとフレンズたちも駆け付けて出迎える特別なイベントです。

 

サンクスデーを行うことによって、役職社員がキャストに日頃の感謝の気持ちを伝えるのはもちろんのこと、企業使命である「夢、感動、喜び、やすらぎ」を体現することで、全社の一体感を高めることに成功しています。

 

このようなインナーブランディングによって、ディズニーのフィロソフィーを身につけたキャストたちが感動的なサービスを生み出し、多くのファンを魅了し続けているのです。

 

7.まとめ

インナーブランディングとは、自社の企業理念や将来的なビジョン等をスタッフ(社員だけでなく派遣やアルバイトも含む)に理解させ浸透させるための啓蒙活動です。

 

ここで、インナーブランディングの8つ効果を復習しておきましょう。

1.社員の会社に対する満足度アップと愛社精神発揚

2.社員自らブランド価値を積極的に社外発信する

3.仕事への誇りとモチベーションの向上

4.若手社員・中途採用社員の離職率を下げる

5.目指す姿の一元化による一体感の醸成

6.業務の効率と質の向上

7.社員の顧客志向を上げ、顧客視点の新製品・サービス開発ができる

8.顧客満足度の向上

インナーブランディングは効果が出るまでに時間がかかりますので、早めに検討を始めてください。