
「部門間の連携をもっと良くし、製品・サービスの質を向上させたい」
「部門間連携を強化するため色々と試してはいるが、なかなか効果が出ない。何か良い方法はないのか…?」
多くの企業ではいくつかの部門同士が連携し業務を行なっていますが、部門間の連携があまり良くなく悩んでいる方は、決して少なくないようです。
部門間の連携が良くなると、新たなアイディアが生まれたり、既存の製品・サービスの質が向上したりと、企業にとって様々良いことがあるので、できることなら連携をさらに強くし、企業の成長を促進させていきたいですよね。
この記事では、部門間連携を強化するには何が必要なのか、どういった方法があるのかを
・部門間連携強化が重要な理由
・部門間が対立してしまう5つの原因
・部門間連携を円滑にする3つの方法
上記3つのパートに分けてご紹介します。
1.部門間連携強化が重要な理由
部門間連携強化なぜ企業にとって重要なのか、その理由は大まかに分けると4つです。
・組織力の強化
・社内一体感の醸成
・生産性の向上
・業績の向上
この4つのメリットは、全てが絡み合い、影響し合う関係なので、ひとつの円で表すことができます。
部門間で連携できていないと、お互いに何を考えているのか、何を目標としているのかが見えません。
たとえば営業部門は「もっと売れやすい価格を抑えた目玉になる新商品が欲しい」と思い、
生産部門は「既存の商品について、お客様の声を集めてじっくりと改良を進め、さらに高品質の商品を開発したい」と考えているのであれば、
両社の間には溝が発生し、場合によっては対立してしまうこともあり得ます。
このように部門ごとに違う方向を見ており、連携ができていない状態だと、生産性を引き起こし、ひいては会社全体にも悪い影響を与えかねません。
一方、部門間連携が上手くいっている場合には、営業部門が望む商品と生産部門が開発したい製品・サービスのすり合わせが行われ、互いが「よりよい製品・サービス」のために、それぞれの知恵を出し合い協力することができます。
たとえば、営業部門が積極的に顧客に対してアンケートを行なって生産部門へお客様の声を届けたり、生産部門からは、商品の隠れたセールスポイントを営業部門にレクチャーするなどして、売上アップの後方支援が行われるようになるのです。
好循環が生まれれば、社内の雰囲気も良くなり一体感も生まれ、生産性アップと業績向上も期待できるでしょう。
一つひとつの部門ごとに見れば優秀であっても、連携ができていなければ、本来出せるはずであった力が大きく削がれてしまい、それは非常にもったいないことです。
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2.部門間が対立してしまう5つの原因
部門間連携が大切だとわかっても、なかなかうまくいかず対立してしまう場合、以下5つの原因が考えられます。
・相互理解ができていない
・相手部門の能力・人手不足
・部門を連携させる能力を持つ人が不在
・部門間の連携を阻む制度や風土がある
・過去に連携が失敗した等の感情的なわだかまりが残っている
一つずつ解説していきます。
2-1.相互理解ができていない
1章でも例として挙げましたが、部門ごとに考えていることや目標としていること、課題が違うのは当たり前です。
よって部門間連携では相互理解が不可欠なのですが、コミュニケーションの不足等によりそうした理解が十分でない場合、互いに誤解を招き、部門間での対立を引き起こす可能性が高くなってしまいます。
他部門のミッションや価値観がわからず、自分たちのそれも相手に伝わっていなければ、行き違いが生じるのは当然と言えば当然のことです。
2-2.相手部門の能力・人手不足
最近では、企業間の合併なども多く、互いの部門の能力に差がある場合もあります。
また、人手が足りないことで両部門のバランスがうまく取れなくなり、それが対立を生む原因となることもあります。
2-3.部門を連携させる能力を持つ人が不在
部長など、部門をまとめるトップが連携に消極的など、部門をつなく能力を持つ人がいないことも、対立の原因になります。
全ての管理職が周りを巻き込んでいくような力強いタイプである必要はありませんが、部門間連携のように、難易度が高く上に立つ人間が率先してコミュニケーションをとっていかなくてはいけない場合には、
少々強引でも周りのスタッフに働きかけるパワーが必要になります。
2-4.部門間の連携を阻む制度や風土がある
強固な縦割り型組織の場合、なかなか横のつながりを持つことができません。
また、商品の研究・開発部門等は、新しい技術や特許等の事前漏えい防止策として、他部門とのコミュニケーションを控えるようにしている場合もあります。人事等の個人情報を扱う部署も同様です。
他部署同士のコミュニケーションが取りにくい、もしくは推奨されない制度がある場合、そうしたことも部門間連携を困難にする原因の一つとなります。
2-5.過去に連携が失敗した等の感情的なわだかまりが残っている
設立してまもない会社でない限り、一度や二度は部門間で連携を試みているケースは多いはずです。
しかし何度が挑戦したが上手くいかず、なんとなくの「気まずさ」だけが残ってしまうと、それも積極的な部門間連携を阻む原因となります。
一度失敗しているものに再度挑戦するのは気が重いので、なんとか業務が回っているならそのままでいいと放置してしまいがちになるのです。
3.部門間連携を円滑にする3つの方法
では、いったいどうしたら部門間連携を強化できるのか?3つの方法をご紹介します。
1.部門間でコミュニケーションを増やす施策を実施する
2.部門間連携を阻んでいる社内の制度改革を行う
3.部門間で利害が一致するポイントをはっきりさせる
まず、1、2を行なって社内の風通しを良くしてから、3の部門間連携を阻んでいる本質的な原因を取り除く施策を行うよう、ステップを踏んで進めていくのがオススメです。
3-1.部門間でコミュニケーションを増やす施策を実施する
まず最初にしなくてはならないのは、部門間でコミュニケーションを増やすことです。
すでに敵対してしまっているような場合は、改めてコミュニケーションを取ることは気まずいことも多く、合同でミーティングを開いても、最初はあまりコミュニケーション生まれない可能性があります。
それでも「膿を出す」気持ちで、コミュニケーションを増やすことから始めましょう。
ある程度、お互いの思いが共有できるようになるまでは、時間を決めて週に何回か定期ミーティングを行うなど、顔を合わせる頻度を高くしておくことがコツです。
小規模な会社の場合は、部門関係なく定期的に座る席をシャッフルするなどして、コミュニケーションの活性化を図るという方法もあります。
カルビー株式会社では、自分の固定席はなく、毎朝出社すると自動で席替えされる「オフィスダーツ」制度を取り入れています。
また、部門間のコミュニケーションを増やし連携を強化する効果があるとして、このところ注目を集めているのかが「ピアボーナスⓇ」です。
株式会社シンサナミでは、ピアボーナス導入後、社内に世代や事業部を超えた協力関係が生まれたそうです。
3-2.部門間連携を阻んでいる社内の制度改革を行う
縦の繋がりは強いが、横の組織・部門間の接点がなかなか作りづらい、支社や拠点が各地に分散しており、物理的に顔を合わせる機会が少ないなど、
社内の組織構成が部門間の連携を阻んでいるケースもあります。
こういった場合には、年に数回、組織・部門等関係なくフラットな状態で参加できる全社イベントを開催したり、社員旅行に行くなどして、フラットでオープンなコミュニケーションを育んでいきましょう。
Sansan株式会社の「Know Me」制度は、他部署で、過去に飲んだことがないメンバーと、3名の飲み会の費用に対し、会社から一定金額の補助が出る制度です。もちろんお酒を飲まないメンバーも利用できます。
┗参考:部門を越えたつながりを生む社内制度「Know Me」
3-3.部門間で利害が一致するポイントをはっきりさせる
コミュニケーション量が増え、互いの思いが共有できるようになったら、部門間で利害が一致するポイントを探っていきます。
利害が一致していないことが、部門間が対立してしまう大きな原因です。
たとえば、営業部門は売上を上げることが最大の目標となりますが、後方支援を行う部署の負担は増えます。
伝票処理等を行う事務方からしたら、売上アップは喜ばしいことだと理解していても、連日の深夜残業となれば、やはり営業部門に対して不平不満が出てしまうことでしょう。
こういったケースも、しっかりと部門間で連携しておけば、年間を通した売上の計画に合わせて、後方支援スタッフの数を季節ごとに増減するなどの対応ができます。
部門間連携の課題を明確化すれば、互いがアイデアを出し合い、残務処理を効率化させるより画期的なアイデアが出るかもしれません。
全ての部署・部門のスタッフがWIN-WINの関係になる方法はないかを考え、試行錯誤し続けることが、部門間連携を徐々に強化していくのです。
根本的な社内コミュニケーション不足の問題は、心理的安全性にあり?!コミュニケーション活性のためにすべきこととは
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
部門間連携の重要性、とはえいそれがなかなか難しい理由、連携を強化する方法について解説をしてきました。
最後にとても大切なことなので、企業が部門間連携で得られるメリット4つを、改めてまとめておきます。どれも非常に大きなメリットばかりです。
・組織力の強化
・社内一体感の醸成
・生産性の向上
・業績の向上
連携を強くするためには、まずコミュニケーション量を増やすことからです。1つでも良いのでここで紹介した方法を実行して、部門間連携向上を一歩一歩進めていってくださいね!