組織はどのように崩壊する!?危険な7つの予兆と崩壊を防ぐ5つの対策

「組織が崩壊するのはどんな場合だろう?」
「うちの会社も最近ギスギスしていて心配だけれど、崩壊を食い止める方法はないだろうか?」

自分が属する会社や組織について、そんな不安や疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。

実は崩壊する組織にはかならずその前兆があります。
例えば、
「今までは上司の指示が的確に部下に伝わっていたのに、食い違いや誤解が増えてうまく伝わらなくなってきた」
「このところ優秀な社員が立て続けに退職していった」
「チームワークがよかった部署が、最近なぜか対立してばかりで雰囲気が悪い」
など、なんだかおかしい、ものごとがうまく回らない……と感じることがあれば、すでに組織は崩壊し始めているかもしれません。

それに気づいたら、なるべく早くに状況を改善して、崩壊を食い止める必要があるのです。

そこでこの記事では、

組織が崩壊する7つの予兆

を挙げて、どんな状況が危険なのか、なぜそれが崩壊につながるのかを説明します。
さらに、

組織を崩壊させない5つの対処法

も提案します。

ここで提案する対処法は、アメリカ・CIA(中央情報局)の前身であるOSS(米国戦略諜報局)がつくったSIMPLE SABOTAGE FIELD MANUAL」(通称「サボタージュ・マニュアル」)」を参考にしたものです。
「サボタージュ・マニュアル」は、組織を破壊するための妨害工作について書かれた機密文書ですが、そこで「妨害工作」として挙げられている内容が、「ダメな企業でよく行われていることと同じだ」ということで話題になりました。

例えば「どんなことも決められた手続き通りに進める」「指示は(口頭ではなく)文書で出すようにする」などは、多くの企業で普通に守られているルールだと思いますが、このマニュアルによると妨害工作になりうるというのです。
つまり、企業で日常的に行われていることの中に、組織の成長を妨害し、破壊する要因が隠されているというわけです。

そこで、この「サボタージュ・マニュアル」から日本の企業でよく見かける事柄をピックアップして改善すれば、逆に崩壊を防げるはずだと考え、「崩壊を防ぐ方法」を提案してみました。

最後まで読めば、組織なぜどのように崩壊するのか、それを食い止めるためには何をすべきかがわかるはずです。

この記事で、あなたの会社が崩壊の危機から救われることを願っています!

1 組織が崩壊する7つの予兆

そもそも組織はどんなときに崩壊するのでしょうか?
崩壊しやすい組織の特徴とは何でしょうか?

実は、組織が崩壊する前には、かならずいくつかの予兆、アラートが出現します。
まずはそれらを挙げて、「なぜそれが組織崩壊につながるのか」を説明していきましょう。
以下の7つの予兆が現われ始めたら、「このままだと崩壊するぞ!」という危機感を持ってください。

1-1 エース社員や危険人物の出現

まずごく初期の兆候として、社内に目立って異質なメンバーが登場することがあります。
それは、非常に優秀なエース社員かもしれませんし、前代未聞のトラブルメイカーである場合もあります。

もちろん、彼らがかならず組織を崩壊させるとは限りません。
エースの働きに感化された他の社員も成長して企業の業績がぐんぐん伸びたり、トラブルメイカーの行動が改善されたりすれば問題ないでしょう。

が、以下のような流れになると、組織に悪影響を及ぼしてしまうのです。

◾️エース社員の場合

飛び抜けて優秀なメンバーが登場すると、その存在を快く思わない者も出てきます。
彼がライバルとしてエースと切磋琢磨するのではなく、やる気をなくしてしまったらどうなるでしょうか?
怠惰な雰囲気が徐々に職場に広がっていき、他の社員も熱意を失ってしまうかもしれません。
あるいは陰で中傷する、足を引っ張るなどの攻撃的な行動に出ると、社内の雰囲気はよどんでしまいます。

一方でエース社員の方も、仕事や責任が集中しすぎて不満を感じたり、対立する同僚たちの態度にうんざりするなど、会社に対してネガティブな感情を抱くようになります。
その結果、エース社員は退社してしまい、やる気のない社員だけが残されるのです。

◾️トラブルメイカーの場合

問題社員がたびたびトラブルを起こすと、上司や会社はその解決のために疲弊していきます。
最悪の場合、問題社員に感化されて、「あいつが仕事しなくてもいいなら、自分もしたくない」などと、まともだったメンバーまでが問題を起こすようになるケースもあります。

いずれにしろ、まわりのメンバーや組織全体の雰囲気を悪くする可能性を秘めているわけです。

1-2 マニュアルに依存する

業務の平準化のために、マニュアルを多用している組織は多いでしょう。
しかし、何でもマニュアルに頼り切る「マニュアル依存」や、どんな場合でもマニュアル以外の行動を許さない「マニュアル至上主義」に陥ってしまうと危険です。

メンバーは、指示がなければ何もできず、自分の判断では動けなくなってしまうのです。
そうなれば新しい発想も生まれず、メンバーも組織も膠着化していくでしょう。

1-3 情報伝達や指揮系統が乱れる

組織が大きくなっていくとメンバーが増え、新しい部署や業務も加わってきます。
その過程で、以下のような現象が起こることがあります。

  • 情報や指示が伝わりづらくなる
  • 「誰が誰に指示を出すのか」という指揮系統が乱れる
  • 「この仕事は誰の担当か」という職域があいまいになる

これもまた、組織崩壊につながる大きな要因です。
「リーダーはAの仕事をしろと言ったが、サブリーダーはBをしろと言う」、「新しい業務を誰が担当するのかきちんと決めないまま、何となくCさんがやっているが業務超過している」など、混乱が生じるからです。
秩序は失われ、メンバーの一体感や帰属意識も薄まっていき、組織が脆弱化していくのです。

1-4 イエスマンが増える

組織のリーダーのまわりにイエスマンが増え始めるのも危険な兆候です。

そもそもイエスマンとは、自分の意見を言えず強い者に従い、責任は追わずにいい目だけは見たいという人です。
そんな保身ばかり考える人が増えるのは、組織に根本的な問題があるからです。

  • やる気のない社員が多い
  • 自分の意見を主張するとまわりから叩かれる、もしくは主張しても取り上げてもらえない
  • 仕事の成果が正しく評価されず、リーダーの感情や意向に左右される
  • 評価はされないのに、ミスがあれば責任は追及される

などの可能性が考えられます。

リーダーがこれらの問題に気づかず、イエスマンに持ち上げられるままであれば、やがて組織は崩壊するでしょう。

1-5 離職率が上昇する(特に優秀な社員)

メンバーが次々と退職し、離職率が上がってきたらそれも要注意です。
前項で挙げたような組織の問題点が背景にあると考えられるからです。

そもそも離職率が高い組織において、退職するのは優秀な人が多いと言われています。
優秀な人には業務が集中して負担が大きくなりがちなため、不公平感や「この組織ではこれ以上成長できない」という閉塞感が生まれ、「ここを離れたい」と感じさせてしまうのです。
また、優秀であれば転職先も見つかりやすいので、この組織にしがみつく理由はありません。

そうなると、優秀な人が去ってやる気のないメンバーが残されます。
新しい人材を採用しても、正しく教育・指導してくれる人がいなくなってしまったので人が育たず、組織はますます停滞していくのです。

1-6 ひとり当たりのタスク量が増えて残業が増える

メンバーひとり当たりのタスク量が増えてくると、「組織が順調に成長しているんだ」と感じるでしょう。
が、その結果残業時間もどんどん長くなるようであれば、それは崩壊へのサインです。

タスクが多すぎたり残業が続いたりすると、メンバーの業務効率もモチベーションも下がってきます。
その結果、ひとつの仕事を終えるのにも以前より時間がかかるようになり、ますます残業が増える……と、まさに負のスパイラルです。
すみやかに業務量を適正に戻さなければ、組織はもちろんメンバーの心身も崩壊していくでしょう。

1-7 社内で対立や不信感が蔓延

組織の中にメンバーの対立構造や不信感がはびこるようになったら、もう末期症状です。
ここまで挙げてきたさまざまな兆候が水面下で進行し、ネガティブな雰囲気として表面化しているからです。
メンバーは業務よりも社内政治に汲々とし、成果は上がらなくなります。
そこで上司は部下に厳しいノルマを課し、それを受けた部下は不満や反発心を溜め込んでいくのです。
組織にはもう一体感や連帯感はなく、崩壊は目前です。

ここに至る前に、小さな前兆を見逃さず組織の立て直しに取り組めれば、崩壊を未然に防ぐことができます。
そこで次の章では、崩壊を食い止めるためにすべきことを挙げていきましょう。

2 組織を崩壊させない5つの対処法

冒頭でも触れましたが、組織崩壊について、数年前に話題になったひとつのマニュアルがあるのを知っていますか?
アメリカ・CIA(中央情報局)の前身であるOSS(米国戦略諜報局)がつくったSIMPLE SABOTAGE FIELD MANUAL」(通称「サボタージュ・マニュアル」)」です。
第二次世界大戦末期の1944年、諜報活動の一環として敵の組織に潜入し妨害工作をする際のマニュアルとしてつくられ、長年にわたって機密資料とされていたのが、近年公開されたものです。

ではなぜこれが話題になったのでしょうか?
それは、この「妨害工作」の中に、日本の組織ではよく見られる「日本企業あるある」がたくさん書かれていたからです。

例えば以下のようなことは、あなたの会社でもあるのではないでしょうか?

  • ペーパーワークや手続きをなるべく増やす
  • 会議はできるだけ大人数で行う
  • 一度決まったことを再度持ち出して検討したがる
  • 仕事のできない者を昇進させ、できる者を冷遇する

「サボタージュ・マニュアル」では、これらは「妨害工作」とされています。
つまりこれらを行なっていると、組織は崩壊するというわけです。

言いかえれば、日本の組織の中には正常な運営を妨げる「妨害工作」のような悪習がはびこっているということです。
が、一方で視点を逆にすると、「その妨害要因を食い止めることさえできれば、組織が崩壊するのを阻止し、正常な運営に戻すことができる」とも言えます。

そこで、この章ではこの「サボタージュ・マニュアル」を参考に、組織崩壊への対処法を逆説的に考えていきたいと思います。

※引用はすべてSIMPLE SABOTAGE FIELD MANUAL5. SPECIFIC SUGGESTIONS FOR SIMPLE SABOTAGE からで、翻訳部分はこちらで追記したものです。

2-1 「手続き」やペーパーワークを簡略化する

まず最初の対処法は、煩雑な手続きや多すぎるペーパーワークを簡略化することです。
具体的には以下のような改善をしましょう。

決裁や事務手続きはできるだけ簡略にする
必要書類の数を減らし、事務作業を最少化する

というのも、「サボタージュ・マニュアル」に「手続きやペーパーワークを増やして煩雑にする」ことが「妨害工作」として指示されているからです。
翻訳しましたので、原文とともに見てみましょう。

【サボタージュ・マニュアルの妨害工作】

a-1Insist on doing everything through “channels.”
Never permit short-cuts to be taken in order to expedite decisions.

 どんなことでも正しい行程を通して行うよう主張しましょう。
 迅速な決定を行うためにショートカット(=近道)することを許可してはいけません。

b-1 Demand written orders.

 文書による指示を要求しましょう。

b-12 Multiply paper work in plausible ways.
Start duplicate files.

 もっともらしいやり方で、ペーパーワークを増やしましょう。
 ファイルの写しを作るところから始めましょう。

b-13 Multiply the procedures and clearances involved in issuing instructions, pay checks, and so on.
See that three people have to approve everything where one would do.

 指示出しや小切手の支払いなどに関する認可手続きを増やしましょう。
 ひとりの許可でいいものも、すべて3人の承認が必要だとして確認しましょう。

出典:「SIMPLE SABOTAGE FIELD MANUAL

まさに旧態依然とした組織ではよくある事柄ばかりですよね。

▼何をするにも手続き厳守で柔軟性がなく、例えば「急いで見積もりを出さないと、大きな取引を逃してしまう」「今回はこの書類は業務に関係ないので、提出しなくてもいいのでは?」などと訴えても、「規則なので所定の手続き・書類を守って申請してください」と差し戻されてしまう
▼サインペン1本をもらうだけでも、申請書類を提出して担当者と上長からの許可が必要
▼報告書や申請書が多く書類仕事で何時間も取られてしまうため、本来の業務を圧迫している
▼細かいことでも部長まで3人の決裁をもらわなければならず、時間がかかりすぎる

などという状況は、「うちの会社でもあるある!」と共感する人も多いでしょう。
ですが、これらのことが、組織崩壊の一因になるというのです。

確かに、煩雑な手続きや何枚もの申請書類は、組織のメンバーの貴重な時間を奪い、業務効率を下げ、仕事のスピード感を失わせます。
何もいいことはありません。

「ペーパーレスならいいだろう」と、各種手続きをウェブ上に移行する会社も増えていますが、蓋を開けてみればモニター画面で以前と同じ手順を行なっているだけ、という残念なケースもあります。

では、これらの問題を解決し、組織を崩壊から守るにはどうすればいいのでしょうか?
自明ですよね、このマニュアルの指摘とは反対のこと、つまり手続きや事務仕事の簡略化をするだけです。
各種の申請手続きが効率化されれば、メンバーのストレスも減り、成果につながるはずです。

2-2 プロジェクトやチームは少人数にする

次の対応策は以下です。

プロジェクトやチームの人数は、少数精鋭の必要最小限にとどめる
提案や意見を出しやすく、リーダーまで通りやすい仕組み、環境を作る

逆に「サボタージュ・マニュアル」では、何でも大人数の会議で話し合うようにと指示しています。

【サボタージュ・マニュアルの妨害工作】

a-3) When possible, refer all matters to committees, for “further study and consideration.”
Attempt to make the committees as large as possible — never less than five.

 可能であれば、「さらなる研究と検討」のためとして、すべての事項を委員会に付託しましょう。
 委員会はできる限り大人数にし、決して5人以下にはしないように。

d-8 If possible, join or help organize a group for presenting employee problems to the management.
See that the procedures adopted are as inconvenient as possible for the management, involving the presence of a large number of employees at each presentation, entailing more than one meeting for each grievance, bringing up problems which are largely imaginary, and so on.

 可能であれば、従業員の問題を経営陣に提示するためのグループに参加するか、そのようなグループを組織するようにしましょう。
 そこで採用する手順は、経営陣にとってできるだけ不便なものにします。
 プレゼンには多数の従業員が出席する、苦情があるごとに複数の会議が必要、ほぼ想像上だけの問題を取り上げる、などです。

出典:「SIMPLE SABOTAGE FIELD MANUAL

ここで言う「委員会」とは、現代の組織ではプロジェクトなどに当てはめてもいいでしょう。

▼やたらと「◯◯プロジェクト」「◯◯検討委員会」などを作って、何でも集団で検討したがる
▼会議の人数と回数が多すぎて、いつも意見がまとまらない
▼新しい提案をしたくても、まずプロジェクト全体で検討した上で全員の同意が必要なので、いつも途中で頓挫してしまう

など、「大人数が寄り集まって決める」ことの弊害には、心当たりがあるのではないでしょうか。

だいたい「三人寄れば文殊の知恵」と言いますが、果たしてそれは組織においても正しく当てはまるのでしょうか?
それはケースバイケースですよね。
人が多すぎると意見がまとまらないだけでなく、ひとり当たりの発言のボリュームも少ないので議論が深まらない恐れもあります。

「役員全員に周知して承認をうける必要がある」という場合などは、もちろん全員参加が当然です。
が、新しいことを始めるときや仕組みを作るとき、すぐに解決しなければならない問題があるときなどは、意見を出し尽くして思考を深める必要があるため、少数精鋭が望ましいでしょう。

2-3 会議やミーティングを効率化する

3つめの対処法は、2つめと同様に会議に関する改善ですが、前項が会議の人数の問題だったのに対して、会議の内容や進行についてです。

会議ごとに議題と「今日は何を決めるか」というゴールを定める
リーダー以外のメンバーから司会を決め、司会は発言のバランスや時間、方向をコントロールする
「議題には全員が自分の意見を述べる」「反論する際にはかならず解決策・対案も提示する」など、会議のルールを決めておく

以上のように会議を風通しよく効率的なものにし、かならず毎回何らかの結論にたどり着くように進行する必要があります。

というのも、「サボタージュ・マニュアル」では会議の信仰を妨げる言動が奨励されているからです。

【サボタージュ・マニュアルの妨害工作】

a-2 Make “speeches.”
Talk as frequently as possible and at great length.
Illustrate your “points” by long anecdotes and accounts of personal experiences.
Never hesitate to make a few appropriate “patriotic” comments.

 「演説」をしましょう。
 できるだけ頻繁に、長々と話してください。
 「要点」を説明する例として、逸話や個人的な経験を長々と説明します。
 ためらわずに適当なところで「愛国心が強い」コメントをいくつか挟みましょう。

a-4 Bring up irrelevant issues as frequently as possible.

 関係ない問題をできるだけ頻繁に持ち出しましょう。

a-6 Refer back to matters decided upon at the last meeting and attempt to re-open the question of the advisability of that decision.

 前回の会議で決まった事項に戻って言及し、その決定が妥当だったかという疑問を蒸し返しましょう。

a-7 Advocate “caution.”
Be “reasonable” and urge your fellow-conferees to be “reasonable” and avoid haste which might result in embarrassments or difficulties later on.

 「慎重さ」を訴えましょう。
 (自分が)「合理的」になり、会議参加者たちにも、「合理的」になってあとで恥ずかしい思いをしたり面倒なことになる可能性がある軽率な行動は避けよう、と訴えかけましょう。

a-8 Be worried about the propriety of any decision — raise the question of whether such action as is contemplated lies within the jurisdiction of the group or whether it might conflict with the policy of some higher echelon.

 どんな決定に対しても、それが妥当なのかを不安視しましょう — 想定した行動がグループの管轄内にあるのか、それとも上層部のいずれかの方針と矛盾する可能性があるのか、という疑問を提起しましょう。

出典:「SIMPLE SABOTAGE FIELD MANUAL

こんなことをされたら、議論は進まないしいつまで経っても結論は出ませんよね。
現代の組織に置き換えると、以下のようなケースが当てはまるでしょうか。

▼会議中、上司の関係ない話が長すぎて議題が進まず、何も決まらないまま終わってしまった
▼ひとつの議題を話し合っている途中に、いつも「そういえばあれはどうなった?」と別の議題を持ち出す人がいて話が脱線する
▼前回の会議に欠席していた上司のひとりが、「◯◯が決まったみたいだが、こういう問題が起きる可能性があると思うので再検討しよう」と言い出し、反論したかったが誰も言い出せなくて結局話が前回の振り出しまで戻ってしまった
▼どんな提案をしても、「でもそれは、◯◯じゃない?」「◯◯になったらどうするの?」とネガティブな反論ばかりしてくる人がいるせいで、何も決められないしみんなのモチベーションが下がる

実際、会議の進め方というのは難しいものです。
なんとなくリーダーが進行役を務める形になりがちですが、そうすると他のメンバーは意見が言いづらくなってしまいます。
ましてや反論するのはハードルが高く、結局リーダーの独擅場で終わるケースも多いでしょう。

議論が深まらず、ひとりの意見だけで終始してしまうのであれば、ミーティングの意味はありません。
ただ時間と労力を奪われるだけで、やる気はどんどん失われていきます。
そんな無駄な会議に時間を費やさずに、効率的で風通しよく、かならず結論が出る会議を目指してください。

2-4 指揮系統を整理し的確な指示が出せるようにする

次は、組織形成についての改善策です。

組織の全員が載った組織図を作成する
組織図にのっとって指揮系統を整理し、そこから逸れた指示はしない・従わない
各人の職域を明確に決め、それ以外の業務はさせない・しない
「誰の仕事かわからない」という業務をなくすため、すべての業務に担当者を決める
指示の出し方、内容はわかりやすく、必要であればマニュアル作成などで明文化する
以上を組織の全員が守る

というように、組織の形を整理し直してください。
指示や仕事の割り振りについては、「サボタージュ・マニュアル」には以下のような妨害工作があります。

【サボタージュ・マニュアルの妨害工作】

b-2 “Misunderstand” orders. Ask endless questions or engage in long correspondence about such orders.
Quibble over them when you can.

 指示を「誤解」しましょう。
 その指示について、延々と質問をするか、長々しい連絡のやりとりに引き込みます。
 もしできれば、それについてへりくつをこねましょう。

b-6 In making work assignments, always sign out the unimportant jobs first.
See that the important jobs are assigned to inefficient workers of poor machines.

 仕事の割り当てを決める際には、つねに重要でない業務から最初に割り振りましょう。
 重要な業務は、貧弱な機器で非効率な仕事をしている者に割り当てられるようにしてください。

b-9 When training new workers, give incomplete or misleading instructions.

 新人を訓練するときは、不完全な指示または誤解を招く指示を与えましょう。

出典:「SIMPLE SABOTAGE FIELD MANUAL

仕事の指示が適切でない、業務の割り当てのバランスがおかしい、という問題は、ある意味組織形成の失敗と言えます。

▼上司の指示がいつもあいまいで、いくつも質問をしてやっと理解できるレベル
▼部下が指示を最後まで聞かず、思い込みで仕事をしてミスをする
▼新人教育のマニュアルが整っておらず、みんなが勝手に自己流で指導するので、食い違いなどが生じて新人が困っている
▼会社が新事業を始めたが、いくつか「この仕事は誰の担当か」が明確でないものがあり、いつも自分に押し付けられるせいで通常業務が圧迫されつつある
▼自分の担当でない仕事を、「ついでにやっといて」と頼んでくる人がいて迷惑

といったトラブルを経験したことがある人も多いでしょう。

ここで問題なのは、指揮系統、指示の出し方、職域の区別などをきちんと整理していないことです。

組織にはまず、人員すべてが掲載された組織図が必要です。
さらに、以下のことを明確に決めます。

  • 指揮系統:誰が誰に指示を出すのか
  • 職域:この人が担当する仕事は何か

これがないと、組織は混乱して崩壊へと進んでしまうのです。

「うちはちゃんと組織図もあるし、誰が誰の上司かはっきりしているけれど、こういう問題が起きている」という場合もあるでしょう。
それは、形は決まっていても守られていないからです。
指揮系統と職域が整理され、指示が正しく伝わるようになれば、組織のメンバーの不満が解消され、効率もアップするでしょう。

2-5 納得できる評価基準を作る

最後は、人事評価についてです。
以下のことができていなければ、すみやかに改善しましょう。

評価項目と評価基準を明確に定めて組織内全員に公表する
評価する側に「公平な評価をする能力があるか」を見極め、能力不足であれば教育する
同僚や部下なども含めた多人数からの評価を集める「360度評価」なども取り入れ、公平性を担保する
かならず面談をして、項目ごとの評価やその理由などをフィードバックする

というのも、「サボタージュ・マニュアル」には不当な人事をすることが指示されているからです。

【サボタージュ・マニュアルの妨害工作】

b-10 To lower morale and with it, production, be pleasant to inefficient workers; give them undeserved promotions.
Discriminate against efficient workers; complain unjustly about their work.

 士気を下げ、生産性も下げるために、非効率的な職員に分不相応な昇進をさせて喜ばせましょう。
 効率的な労働者に対しては差別をし、その仕事ぶりについて不当に咎め立てしましょう。

出典:「SIMPLE SABOTAGE FIELD MANUAL

これは、不当な人事によってモチベーションが下がってしまうという話で、共感できる人はかなり多いのではないでしょうか。

▼営業成績は自分の方がいいのに、上司に気に入られている同期の方が出世が早くて不満
▼前期はたくさん売り上げたのでボーナスを期待していたが、思ったより少なくてがっかり、来期のやる気が出ない
▼年功序列がまだ残っているせいで、仕事ができない人でも勤続が長いと給与が高いことに不公平感がある
▼自分がずっと希望していた部署に同僚Aが異動になったが、まわりから「能力的にはあなたの方がふさわしい、Aは何か裏で動いたのではないか」と言われて疑念が湧いている
▼長年携わって成果も上げてきた業務から外され、慣れない仕事に回されたがまったく合わずに悩んでいたところ、同業他社から「うちでやりたい仕事をしないか」と誘われた、転職を検討している

など、人事や評価に対する不満はさまざまです。

人事評価は、人が人を評価するものです。
絶対的な正解があるわけではなく、ともすれば人の感情や好悪に左右されがちなのは否めません。
最近では、仕事の成果やまわりからの評価などをスコアリングして、人事評価に反映させている企業も増えているようですが、それでも「全員が100%満足」となるのは困難でしょう。

それでもできるだけ、みんなが納得する評価制度をつくるように努めることが、組織の崩壊を未然に防ぐことにつながります。

組織のメンバーそれぞれに、「自分がこの組織の中で正しく認められている」という実感があれば、長く働き続ける人が増えるでしょう。
そうなれば崩壊を免れ、むしろ組織力が強まることも期待できそうです。

3 まとめ

いかがでしたか?
組織がどう崩壊するのか、それを阻止するには何をすべきかがよくわかったことと思います。

では最後にもう一度、この記事の要点をまとめてみましょう。

組織が崩壊する7つの予兆は、
1)エース社員や危険人物の出現
2)マニュアルに依存する
3)情報伝達や指揮系統が乱れる
4)イエスマンが増える
5)離職率が上昇する(特に優秀な社員)
6)ひとりあたりのタスク量が増えて残業が増える
7)社内で対立や不信感が蔓延

組織を崩壊させない5つの対処法は、
1)「手続き」やペーパーワークを簡略化する
2)プロジェクトやチームは少人数にする
3)会議やミーティングを効率化する
4)指揮系統を整理し的確な指示が出せるようにする
5)納得できる評価基準を作る

ここで得た知識を活用して、あなたの会社が崩壊を免れ、強い組織力を身につけられることを願っています!