組織崩壊はなぜ起きる!? 7つの前兆と崩壊を防ぐ6つの対策を解説

「最近、社員がよく辞めていくなぁ」

 「なんだか社内の雰囲気が悪くなっている気がする……」

 もし、自社についてそう感じることがあるなら、それはもしかすると「組織崩壊」の予兆かもしれません。

 組織が崩壊する場合、必ず前兆となる出来事が起こります。そのサインを見落としてしまうと、取り返しのつかない事態になる恐れもあります。

 組織崩壊のサインとは具体的にどんなものでしょうか。そのサインを発見したら、どう対処すべきなのでしょうか。

 本記事では、組織が崩壊すると何が起きるのかを解説したうえで、組織崩壊につながる7つの前兆と、崩壊を防ぐための6つの対策について紹介します。

組織崩壊とは?

組織崩壊とは、「組織全体のパフォーマンスが低下し、1つの組織として機能しなくなった状態」を指します。

本来、企業では様々な人やチーム、部署が連携して事業活動を行い、ビジネスを成長させていくものです。

良い組織には、なんでも言い合える雰囲気と、社員がリスペクトし合う風土があります。

そうした職場では、前向きな議論が発生し、社員同士のコラボレーションにより業績はどんどん向上していきます。

このように、1人よりもチームが一丸となってビジネスに取り組む方が高いパフォーマンスを出せるからこそ、人は会社という組織に集うのです。

崩壊した組織では、その反対のことが起こります。

社員同士が対立し、「何を言っても無駄だ」というネガティブな雰囲気が蔓延します。

その結果、社員のやる気が低下し、チームや部署における連携も生まれず、業績も悪化してしまいます。

組織に見切りをつけた社員がどんどん退職し、やがて事業活動が困難な状態に陥る可能性もあります。

これが「組織崩壊」です。

組織はある日突然、崩壊するものではありません。時間をかけて少しずつ崩壊へと進んでいきます。

その崩壊のプロセスの中で、必ず起きる前兆があります。

組織崩壊を防ぐには、何よりもこの前兆を見落とさないようにするのが重要です。

ダメな組織の特徴とは?職場崩壊する7つの前兆

 

組織が崩壊する前兆とはどのようなものでしょうか。

また、崩壊しやすい組織とは、どのような特徴を持っているのでしょうか。

やっかいなのは、前兆が必ずしもわかりやすいものとは限らないことです。

ここでは、社員から見る職場が崩壊する7つの前兆について解説します。

①エース社員や危険人物などの出現

様々な社員が集う会社組織には、時として“異質なメンバー”が登場することがあります。

たとえば、飛び抜けて優秀なエース社員や、言動に問題を抱えたトラブルメーカーなどです。

こうしたメンバーが登場したからといって必ず組織が崩壊するわけではありませんが、一定の注意が必要です。

トラブルメーカーはともかく、エース社員が崩壊の前兆になり得るというのは意外に思われるかもしれません。

たしかに、エース社員の働きに影響されてチーム全体のパフォーマンスが上がることも多いでしょう。

 一方で、エース社員の働きが他のメンバーのやる気を削ぐ可能性もあります。

また、エース社員が高く評価されることに納得がいかなかったり、嫉妬したりする社員が出てくるかもしれません。

優秀な社員は組織にとって良い存在に思えますが、うまくマネジメントできないと社員の対立を招き、職場の雰囲気を悪くすることもあるのです。

②マニュアルに依存する

 

業務を平準化するためにも、マニュアルを活用することは重要です。

一方で、何でもマニュアルに頼る「マニュアル依存」や、どんな場合でもマニュアル以外の行動を許さない「マニュアル至上主義」は、決して良い状態とはいえません。

 すべてがマニュアル中心になると、社員の自発的な行動や挑戦が起きづらくなるからです。

結果として、本来なら独創的なアイデアでビジネスに貢献してくれたはずの優秀な社員を腐らせてしまうかもしれません。

> そうなると、「この職場では何を言っても無駄だ」というネガティブな空気が生まれてしまい、いずれ職場崩壊につながってしまう恐れもあります。

③情報伝達や指揮系統が乱れる

組織が拡大してメンバーが増えると、新しい部署や業務も生まれます。

その結果、組織が小さかった頃には想定していなかったリスクが生じることがあります。

 たとえば、情報や指示が伝わりにくくなったり、「誰が誰に指示を出すのか」という指揮系統が乱れたり、「この仕事は誰の担当か」という職域が曖昧になったりします。

 リーダーによって言うことが変わったり、担当がはっきりしないまま業務を押し付けられたりすると、社員のモチベーションは下がってしまいます。

また、指揮系統が乱れると職場の秩序も失われていくでしょう。

 このような状態が続くと、いずれは組織が崩壊する恐れがあります。

④イエスマンが増える

イエスマンとは、自分の信念を持たず目上の人に対して無批判に従う人のことです。こうしたイエスマンが目立ってくると、組織崩壊の危険性は高まっていると言えます。

 なぜなら、イエスマンを生み出す組織状態と、崩壊間近の組織状態はとても似ているからです。

 たとえば、イエスマンが多いということは、やる気のない社員が多いということでもあります。また、社員がイエスマンになってしまうのは、自分の意見を主張すると周りから叩かれたり、主張しても相手にされなかったりした経験があるからかもしれません。つまり、「何を言っても無駄だ」という空気がイエスマンを生むのです。

 このような職場の雰囲気が組織崩壊の前兆であることは言うまでもありません。

⑤離職率が上昇する(特に優秀な社員)

メンバーが次々と退職し、離職率が上がってきたら要注意です。退職者が増えるのは組織に問題があるからだと考えられるからです。

 つまり、ここまでに挙げたような様々な問題を放置した結果として、退職ラッシュという現象が起きるのです。その意味で、離職率の上昇は組織崩壊の第2段階といってもいいでしょう。

 さらに深刻なのは、たいていの場合において優秀な人から先に辞めていくことです。なぜなら、優秀な人には業務が集中しやすく、不公平感や閉塞感が生まれがちだからです。

 また、優秀な人は転職先も見つけやすいので、崩壊間近の組織にしがみつく理由はありません。そうなると、優秀な人が去ってやる気のないメンバーだけが残されます

 そんな状態で採用を進めても、新人を正しく教育してくれる人がいないので、組織を立て直すのは容易ではありません。

⑥1人あたりのタスク量が増えて残業が増える

 

メンバー1人あたりのタスク量が増えるのは、必ずしも悪いことではありません。

適切な範囲でのタスク増加は、組織が順調に成長している証でもあるからです。

 ですが、その結果残業時間もどんどん長くなるなら、それは組織崩壊の前兆といえます。

 なぜなら、タスクが多すぎて残業が続くと、業務効率やメンバーのモチベーションが低下してしまうからです。

 社員のモチベーション低下は職場全体の雰囲気に大きな影響を与えます。

また、業務効率が落ちると、同じ仕事でも以前より時間がかかるようになり、さらに残業時間が増えるという負のスパイラルが起きてしまいます。

 そのような職場に魅力はありませんから、退職率が上がり組織崩壊が進んでしまうのです。

⑦社内で対立や不信感が蔓延

組織崩壊の第3段階ともいえるのが、社内での対立や不信感の蔓延です。

これまで挙げてきたさまざまな問題が水面下で進行した結果、末期症状として表面化しているからです。

 誰にでもわかるほど対立や不信感が見える組織に、優秀な社員は残りません。

離職率はさらに上昇し、1人あたりの業務負荷が増大、業務が回らなくなります。新人を採用しても満足に育成できず、組織力は目に見えて落ちていきます。

 ここまでくると、組織崩壊は深刻なレベルにまで進んでおり、立て直すことは簡単ではありません。

 そうならないためには、小さな前兆を見逃さず、なるべく早く手を打つことが重要です。

 次の章では、崩壊を食い止めるためにすべきことを挙げていきましょう。

組織崩壊を防ぐ6つの対策

一度、組織崩壊を起こすと立て直すには長い時間がかかります。最悪の場合、立て直せずにそのまま組織が破綻してしまう可能性もあります。

では、組織崩壊を防ぐには具体的にどうすればいいのでしょうか。

普段から心がけるべき6つの対策について紹介します。

①煩雑な手続きを簡略化する

組織崩壊の一因となるのが、業務効率の低下によりタスク量や残業時間が増大することです。

ということは、業務効率を上げて無駄なタスクや残業を減らせば、組織崩壊を防ぐことにつながります

 そのためにも、煩雑な手続きは簡略化するよう心がけましょう。

具体的には決裁や承認などの事務手続きのプロセスを見直し、必要な書類を減らすなどの対策が必要です。

 注意したいのは、「ペーパーレスにすればいいだろう」と各種手続きをWebに移行すること。それで手続きが簡略化されるならいいのですが、

なかには以前と同じ手順をモニター画面で行っているだけというケースもあります。単にペーパーレスにするのではなく、根本的な手続きの見直しが必要なのです。 

②プロジェクトやチームは少人数にする

 プロジェクトやチームの人数は、必要最小限にとどめることが重要です。

なぜなら、メンバーが多すぎると意見がまとまらず、スピード感が失われるからです。

会議での1人あたりの発言も減りますし、そうなるとプロジェクトを自分ごととして捉えず、“参加しているだけ”になるメンバーも出てくるでしょう。

 メンバーが多いからといって、より良い意見がたくさん出るわけではありません。

むしろ、少数精鋭に絞った方がうまくいくケースの方が多いのです。

少人数であれば物事を決めるスピードも上がり、提案や意見がリーダーまで通りやすくなります。

結果としてメンバーのモチベーションも向上し、組織が良い状態になります。

> もちろん、なかには大勢が参加するべきプロジェクトもありますが、そうでない場合は必要最小限のメンバーで取り組むことが望ましいといえます。

③会議やミーティングを効率化する

 

業務をすすめる上で欠かせないのが会議やミーティングです。ただ、ともすれば会議はだらだらと長くなりがちで、しかもたいした成果が得られないことも少なくありません

こうした会議を続けていては、メンバーのモチベーションも低下しますし、長い目で見ると組織崩壊につながるリスクもあります。

会議はなるべく効率化し、毎回何らかの結論にたどり着くように進行しましょう具体的には、次の点を意識することが大切です。

◎会議ごとに議題と「今日は何を決めるか」というゴールを定める

◎リーダー以外のメンバーから司会を決め、司会は発言のバランスや時間、方向をコントロールする

◎「議題には全員が自分の意見を述べる」「反論する際にはかならず解決策・対案も提示する」など、会議のルールを決めておく

 会議で多いのが、リーダーが進行役を務めるパターンですが、そうすると他のメンバーが意見や反論をしにくくなることもあります。

結局、リーダーが1人で話すだけになることも珍しくありません。

 そうならないように、会議やミーティングの進め方をしっかりと定めておきましょう。

④指揮系統を整理し的確な指示が出せるようにする

 指揮系統の乱れが組織崩壊を招くことは前段で述べた通りです。それを防ぐには、指揮系統の整理が必要です。

具体的には次のように改善するとよいでしょう。

 ◎組織の全員が載った組織図を作成する

◎組織図にのっとって指揮系統を整理し、そこから逸れた指示はしない・従わない

◎各人の職域を明確に決め、それ以外の業務はさせない・しない

◎「誰の仕事かわからない」という業務をなくすため、すべての業務に担当者を決める

◎指示の出し方、内容はわかりやすく、必要であればマニュアル作成などで明文化する

 重要なのは、指揮系統、指示の出し方、職域の区別などをきちんと整理することです。

指揮系統とは「誰が誰に指示を出すのか」ということであり、職域とは「この人が担当する仕事は何か」ということです。

 この点を明確にしないと、組織は混乱していずれ崩壊へと進んでしまいます。

 また、指揮系統や職域がきちんと定まっていても、守られなければ意味がありません。メンバー全員が指揮系統や職域をしっかりと守って行動することが重要です。

5.「感情報酬」を活用し、納得できる評価基準を作る

 組織崩壊の主な原因は「人」です。ということは、人事評価は組織崩壊を防ぐ大事な役割を担っているといえます。

 とはいえ、人が人を評価することは簡単ではありません。全員を100%満足させることは困難です。

そのなかで、できるだけメンバーの満足感を高めるためには、下記を意識して制度を設計しましょう。

◎評価項目と評価基準を明確に定めて組織内全員に公表する

◎評価する側に「公平な評価をする能力があるか」を見極め、能力不足であれば教育する

◎同僚や部下なども含めた多人数からの評価を集める「360度評価」なども取り入れ、公平性を担保する

◎かならず面談をして、項目ごとの評価やその理由などをフィードバックする

 それでも、職種や部署によってはどうしても不公平感は出てしまうものです。

たとえば、会社に直接的な利益をもたらす営業と、それをサポートするバックオフィスでは、多くの場合前者が評価されがちです。

 そこで活用したいのが「感情報酬」です。感情報酬とは、給与など通常の報酬とは別に得られる「承認」や「称賛」などの感情面での報酬を言います。

 感情報酬を活用するための方法としては、メンバー同士がお礼を伝え合うサンクスカードや、感情報酬を仕組み化したピアボーナスなどのシステムがあります。

6.心理的安全性を高める

 近年注目を集める「心理的安全性」には、組織崩壊を予防・食い止める効果が期待できます。

 心理的安全性とは「チームや組織のなかで、個々人が恐れや不安を感じることなく、思ったことを率直に発言できる。

自分の能力や個性を安心して発揮できる状態」のこと。心理的安全性の高い組織は風通しがよく硬直しにくいため、自然と組織改善が進み、事業にも良い影響が生まれます。

 心理的安全性を高めるために、まず取り組むべき2つの事柄を紹介します。

 リーダーのあり方を見直す

 心理的安全性を高めるには、リーダーのあり方が非常に重要です。たとえメンバー同士良い関係が築けていたとしても、チームや組織を束ねるリーダーが威圧的で、他者の発言を圧迫するような雰囲気をつくり出していたら、心理的安全性は高まりません。

 心理的安全性を重視するGoogleでは、「心理的安全性を高めるためにマネージャーができること」として下記5つのポイントをあげています。

①積極的な姿勢を示す

②理解していることを示す

③対人関係において相手を受け入れる姿勢を示す

④意思決定において相手を受け入れる姿勢を示す

⑤強情にならない範囲で自信や信念を持つ

Google re:Workより

ポジティブなコミュニケーションを増やす

 心理的安全性が高い職場では、思ったことを臆せず言い合える関係性が構築できています。

しかし、まだそこまで達していないのであれば、まずは信頼関係を築くためにポジティブなコミュニケーションを増やすことから始めるとよいでしょう。

 信頼関係を醸成するポジティブなコミュニケーションとして特におすすめなのは「日々の仕事の感謝をオープンに伝え合う」ことです。

ただ、感謝を伝えるのは意外に難しいもの。対面では気恥ずかしさがありますし、メールではかしこまってしまいます。

 そこで活用したいのが、ピアボーナスです。

 【ピアボーナスとは?】

 従業員同士が、日々の仕事の感謝・称賛のメッセージに少額のインセンティブを添え、送り合う制度です。

インセンティブが“口実”となり、気恥ずかしさを感じずに感謝や称賛を送れます。

 ピアボーナス制度を社内に構築するためには、Unipos(ユニポス)Hey!Taco(ヘイタコ)、TUNAGRECOGなどのピアボーナスサービスを導入するとよいでしょう。

 中でも国内におけるピアボーナスのパイオニアであり、トップシェアを誇るのがUniposです。

Uniposで送られたメッセージはタイムライン形式で全社員が閲覧でき、バックオフィス業務など他部署からは見えにくい貢献が可視化業務理解や組織の一体感の醸成につながります。

 メッセージとともに送られたポイントを給与としてわたすことも可能で、Uniposを福利厚生の1つとして導入している企業も多くあります。

 心理的安全性を向上させ、組織崩壊を防ぐためにおすすめの施策といえます。

まとめ

 組織崩壊とは、職場にネガティブな雰囲気が蔓延し、社員同士が対立、離職率が上がって業務が滞り、事業にも影響が出るような状態を言います。

組織崩壊には様々な前兆があり、放置すると取り返しがつかない事態になる可能性もあります。

 組織崩壊を防ぐにはいくつかの対策が有効ですが、なかでも意識したいのが「心理的安全性」を向上させること。

そのためにはリーダーのあり方を見直し、ピアボーナスなどの仕組みを活用してポジティブなコミュニケーションを増やすことが重要です。

 良い組織を作るための魔法の杖は存在しません。本記事で挙げた施策を着実に実施し、組織崩壊を防ぎましょう。