組織風土とは何か?具体例を交えて意味や要素を分かりやすく解説!

「組織風土」は非常に曖昧な言葉ですが、シンプルに表現するならば「組織内の構成員で共有されている、独自のルールや価値観、考え方」を指す経営学用語です。

「個人プレーではなく、チームプレー重視」

「トップダウンで社員の自主性が低い」

「社内の風通しがよく、社員同士の仲が良い」
こうした要素も、すべて組織風土のひとつと言えます。

組織風土を理解するポイントは以下の3つです。

  • ハード要素(目に見える要素)
  • ソフト要素(目に見えない要素)
  • メンタル要素(心理面に強く影響する要素)

本記事では、組織風土の全体像をしっかり掴んでいただくため、以下の内容を解説しています。

この記事で解説している内容 

  • 組織風土の意味・具体例
  • 類似した言葉との違い
  • 組織風土を構成する3つの要素「ハード・ソフト・メンタル」
  • 組織風土の重要性
  • 組織風土のメリット
  • 組織風土を活用するにあたっての注意点

この記事を最後までご覧いただければ、組織風土を正しく理解することができるようになります。

1.組織風土とは?意味と具体例

組織風土とは、「組織において明確化されているルール」と、「組織において表面化されている価値観や考え方」の総称です。

「組織において明確化されているルール」とは、企業理念や事業計画、人事制度など
「組織において表面化されている価値観や考え方」とは、社員同士の仲の良し悪しや、仕事に対する意欲などを指します。
組織風土には、目に見えるものから目に見えないものまで、非常に幅広い要素が含まれています。

そんな組織風土は、組織で活動する人々の行動やモチベーションに大いに影響を及ぼすものです。
社内の雰囲気や人材定着率、ときには業績にまで影響を及ぼします。

とはいえ、「組織において表面化されているルールや価値観」とだけ言われても、なかなかイメージが湧きづらいですよね。
そこで、以下に組織風土の具体例を挙げてみました。
相反する2パターンの組織風土を挙げているので、それぞれの違いをご覧ください。

組織風土の具体例|成果ファーストと顧客ファースト

・パターンA(成果ファーストな組織風土)
A社では、月ごとに厳しいノルマが課せられている。
そのため、社員は数字を稼ぐことばかり考え、数字に繋がりやすい新規顧客にのみ丁寧な接客をし、そうでない既存顧客にはぞんざいな対応を取る傾向にある。
ノルマの達成率が賞与に直結するため、自分の優位を保つためには同僚の足を引っ張ることすら辞さない雰囲気があり、社員同士の間にはいつも険悪な空気が漂っている。

その結果、目標に対する達成率は高いものの、サービスの継続率は悪い。

・パターンB(顧客ファーストな組織風土)
B社では、数字目標に加え、定期的に行うアンケートによる顧客満足度も評価対象とされている。
そのため、新規顧客を開拓して数字を稼ぐことと同様に、既存顧客へのアフターサポートも丁寧に行うなど、顧客を第一に考えた対応を心がけている。
目標はチームごとに割り振られるため、社員同士で助け合う風潮ができており、チーム内の結束力が非常に高くてプライベートでも仲が良い。

その結果、サポートが丁寧であるとの口コミが広がって新規顧客の獲得がしやすくなり、サービスの継続率も向上傾向にある。

評価制度や人事制度、賞罰の在り方といった「目に見える組織風土」を受けて、社員の対応やモチベーション、社内の雰囲気といった「目に見えない組織風土」が醸成されていることがお分かりいただけたでしょうか。
それらすべてが影響し合うことで、業績や企業の評判が良くなったり、あるいは悪くなったりします。

組織風土のおおよそのイメージは掴めたでしょうか?

より深く組織風土を理解するためには、

・ハード要素(目に見える要素)
・ソフト要素(目に見えない要素)
・メンタル要素(心理面に強く影響する要素)

3つを理解することが欠かせません。

次の章では、そんな3つの要素について、詳しく解説していきます。

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2.組織風土を醸成する「ハード要素」「ソフト要素」「メンタル要素」

組織風土は、大きく分けて「ハード要素」と「ソフト要素」の2種類から醸成されます。
ソフト要素の中の一部を「メンタル要素」と呼び、「ハード要素」「ソフト要素」「メンタル要素」の3種類に分類するケースもあります。

組織風土を解説する本やウェブサイトでは、よく組織風土を氷山モデルで表しています。

海面の上に突き出た、目に見える部分がハード要素
海面の下に潜む、目に見えない部分がソフト要素
ソフト要素の中でも、とりわけ心理面に大きな影響を与えるものがメンタル要素です。

この章では、組織風土におけるハード要素とソフト要素、およびメンタル要素について解説します。
それぞれの具体例も交えて解説しますので、この章を読めば、より深いレイヤーで組織風土を理解することが可能ですよ。

それでは、早速見ていきましょう。

2-1.目に見える組織風土「ハード要素」

組織風土を醸成する要素のうち、目に見えるものを「ハード要素」と呼びます。
組織の中で明文化されたルールであり、組織側が主体的に整理・実行することが可能です。

ハード要素の例 

  • 企業理念
  • 就業規則
  • 人事制度
  • 組織構造
  • 業務内容や業務プロセス
  • 明文化されたコンプライアンス etc…

こうしたハード要素に従って、組織はさまざまな意思決定を下します。
その意思決定が社員の行動や考え方、モチベーションに影響を与え、新たな組織風土が醸成されます。

たとえば、「残業は原則禁止とする就業規則(ハード要素)」があれば、「仕事とプライベートのメリハリを大事にする風潮(ソフト要素)」が芽生えますし、「チームへの貢献率を重視する人事制度(ハード要素)」があれば、「チーム間で積極的に助け合う環境(ソフト要素)」が芽生えるでしょう。

ハード要素とは、人の手によって設定される明文化されたルールであり、その内容に応じてさまざまなソフト要素を醸成するものなのです。

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2-2.目に見えない組織風土「ソフト要素」

組織風土を醸成する要素のうち、目に見えないものを「ソフト要素」と呼びます。
ソフト要素は、行動や考え方、人間関係など多岐に渡って存在し、暗黙のルールや、従業員の価値観などがこれにあたります。

改めて、氷山モデルのイラストを見てみましょう。

イラストを見ても分かるとおり、ソフト要素はハード要素よりもずっと膨大で、組織風土において非常に重要な要素となります。

そんなソフト要素には、以下のようなものが挙げられます。

ソフト要素の例 

  • 組織内のローカルルール
  • 信頼関係
  • 責任の所在
  • チームワーク力
  • コミュニケーション
  • 人間関係
  • 個人のモチベーション etc…

これだけでは少し分かりづらいので、より踏み込んだ具体例を見てみましょう。
各要素に対し、AパターンとBパターンの具体例を挙げています。

ソフト要素の具体例

・組織内のローカルルールの具体例
A:役職に関わらず、すべての従業員が定時時間ぴったりに出社するのが当たり前
B:新入社員は定時30分前には出社し、デスク周りの掃除をしておくのが当たり前

・信頼関係
A:上司の機嫌によっては理不尽な叱責を受けることも多く、報連相が疎かになっている
B:いつも正しい気付きをもらえるので、積極的に報連相を行っている

・チームワーク力
A:チーム全体の達成率が評価されるので、困った人がいれば助け合う雰囲気がある
B:個人の達成率が評価されるので、助け合いよりもライバル関係の雰囲気がある

・コミュニケーション
A:業務関係の報告は行っているが、困った時やつまづく前に相談できる雰囲気ではない
B:業務関係の報告はもちろん、業務の進め方なども気軽に相談できる環境がある etc… 

このように、表面化しているものの明文化はされていない暗黙のルールや、雰囲気や環境といった「目には見えない要素」がソフト要素です。
目に見えないことと、その量が膨大であることから、すべてを洗い出すのが非常に難しい要素であるといえます。

2-3.ソフト要素の中でも特に心理面に働きかける「メンタル要素」

目に見えない要素であるソフト要素の中でも、とりわけ従業員の精神や心理面に大きな影響を及ぼす要素を「メンタル要素」と呼びます。
感情という、容易にコントロールすることのできない要素が関わるため、メンタル要素の改革には時間と労力を要しますが、従業員のモチベーションを大きく左右するとても重要な要素です。

メンタル要素をはかる指標としては、以下のようなものが挙げられます。

メンタル要素をはかる指標の例 

  • 役職に関わらず、しっかりとコミュニケーションを取れているかどうか
  • 言われたことをただこなすのではなく、自発的な言動があるかどうか
  • 従業員同士が互いを思いやり、積極的に助け合っているかどうか
  • トップダウンに終始するのではなく、ボトムアップの姿勢も盛んかどうか
  • チーム間で活発に意見交換をできる環境かどうか etc…

こうした要素は、経営者や人事担当者といった立場から把握することが難しいため、現場の声を漏れなく拾い上げることが重要です。

また、部署やチームによっては、まるで異なるメンタル要素が存在することも多いもの。
メンタル要素を洗い出すためには、現場の従業員一人ひとりの声に耳を傾けることから始めましょう

3.組織風土と類似する言葉との違い

組織風土と似た言葉に「企業風土」「組織文化」「社風」が挙げられます。
どれも似たようなニュアンスで使われることも多い言葉ですが、それぞれの区分や定義には細かな違いがあります。

言葉ごとの違いを見ていきましょう。

3-1.企業風土とは「企業全体における明確なルールや価値観」

組織風土と企業風土は、一緒くたにされることも多い言葉ですが、その違いは読んで字のごとくです。
組織風土は「組織における明確なルールや価値観」であり、企業風土は「企業全体における明確なルールや価値観」を指します。

同じ企業であっても、部署が違えばまるで雰囲気が異なることがしばしばありますよね。
ある部署では革新的な手法を積極的に取り入れ、活気が溢れている一方で、ある部署では従来のやり方を踏襲し続ける傾向にある、といったこともあります。
もしかすると、別部署の同僚と飲みに出かけた際、「そっちの部署はいつも和気あいあいと楽しそうでいいよな」なんて愚痴を聞いたこともあるかもしれません。

このように、組織(部署やチームなど)によって異なるものは「組織風土」
企業全体に浸透しているものは「企業風土」となります。

企業風土がマクロ的な要素であるのに対し、組織風土はよりミクロ的な要素であるといえます。

3-2.組織文化は「価値観」、社風は「人柄」

組織文化と社風は、どちらも組織風土の一部として捉えられます。
それぞれの言葉の意味としては以下のとおりです。

  • 組織文化:従業員の行動原理となる価値観(ソフト要素の一部)
  • 社風:従業員が感じる組織の雰囲気や考え方(メンタル要素の一部)

これだけでは理解が進みませんので、分かりやすいように、組織をひとりの人として例えてみましょう。

組織風土は、組織が長い時間をかけて築き上げてきた「性格」そのもの。
組織文化は、組織の性格と、時代の流れを反映して築かれた「価値観」。
社風は、組織の性格と価値観が合わさって生み出された「人柄」です。

よりイメージしやすくするために、具体的な例を挙げてみましょう。

「性格」「価値観」「人柄」の違いと関係性

社交的で、誰に対しても気さくに話しかけられる「性格」の人がいます。
その性格で多数の人と触れ合ってきた経験から、人と関わることは自身の成長を助けるとの「価値観」を持つようになりました。

気さくな性格と、自身の成長のためにもより人と積極的に関わろうという価値観が影響し、周囲の人は彼の「人柄」を『話しかけやすい人』と感じています。

「性格」「価値観」「人柄」の違いと関係性が分かったところで、改めて「組織風土」「組織文化」「社風」の違いと関係性を見てみましょう。
こちらも具体的な例を取って説明します。

「組織風土」「組織文化」「社風」の違いと関係性

会社創立メンバーの存在感が強く、意思決定の権限は創立メンバーが掌握するという「組織風土」の企業があります。
その組織風土を受けて、従業員らは、創立メンバーが難色を示しやすい革新的なアイデアよりも、安定性の高い保守的なアイデアを提案した方が良いという「組織文化」を持つようになりました。

意思決定は創立メンバーが行うという組織風土と、保守的なアイデアばかり提案するという価値観から、新しいことを受け入れづらい「社風」が社内に蔓延しています。

このように見ると、それぞれの言葉の違いと関係性を理解しやすいのではないでしょうか。

改めて、それぞれの言葉をおさらいしてみましょう。

組織風土は、組織が長い時間をかけて築き上げてきた「性格」そのもの。
組織文化は、組織の性格と、時代の流れを反映して築かれた「価値観」。
社風は、組織の性格と価値観が合わさって生み出された「人柄」。

「性格(組織風土)」と「人柄(社風)」は長い時間をかけて築き上げたものであり、一朝一夕では変わりません。
ある日突然新しい性格(組織風土)・人柄(社風)が芽生えることも、まずありえないでしょう。
「価値観(組織文化)」は、基本的には性格(組織風土)に基づいて構成されるものですが、時代の流れを受けて新たな価値観(組織文化)が芽生えることもあります。

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