
・2020年9月17日開催
・タイトル:「分断された個を繋ぐ”体温ある組織”の作り方~震災の危機も強い連携で乗り越えたフュージョンの経営哲学に迫る~」
・登壇:フュージョン株式会社代表取締役社長・佐々木 卓也 氏、Unipos株式会社・代表取締役社長・斉藤知明
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https://unipos.peatix.com/view
「最近、組織の一体感が失われてきた。このままバラバラになってしまうのではないか…」
コロナ禍以降、そんな危機感を徐々に募らせている方も多いのではないでしょうか。
テレワークの急激な普及や先が読めない状況下での意思決定の連続など、この半年以上絶えず揺さぶられ続けてきた組織に、いま綻びが見え始めています。
そんな今こそ知っていただきたいのが、早くから職種・拠点・働き方を越え連携できる組織づくりを実践してきた、フュージョン株式会社代表取締役社長 佐々木 卓也 氏のお話です。
2018年の北海道胆振東部地震の際には、ブラックアウトした札幌本社を東京オフィスが全面サポートして危機を乗り切ったという同社。物理的な距離、職種、多様な働き方を越え、組織一番となって互いに助け合い、進んで行けるのはなぜなのか?その組織づくりの秘訣、経営哲学をたっぷりとお伺いしました。
企業を成長させるために必要なのは「風土」「制度」「ツール」
フュージョンは1991年創業のダイレクトマーケティング・エージェンシーです。同社はビッグデータ時代の到来を見据えて早くからデータ分析に取り組んでおり、数多くの企業を支援しています。札幌本社以外にも東京・福岡に拠点を展開、社員の女性比率も高く、多様な働き方にも積極的に対応してきました。
同社の飛躍のキーマンとなったのが代表の佐々木氏です。佐々木氏は大手印刷会社を経て2000年フュージョンに入社。2011年に代表取締役社長に就任し、2017年には上場を成し遂げるなど組織を大きく成長させてきました。
「創業当時のフュージョンはまさに“どベンチャー”でした。2011年に事業を承継し、人と拠点を増やしてきました。上場する意思決定をしたのは2014年で、2017年に上場しました」
企業が成長するにあたり、佐々木氏は3つの力――「風土」「制度」「ツール」が必要だと述べます。
風土とはパーパスやコアバリュー、カルチャーのこと。この風土を形成するために必要なのが「制度」であり、「ツール」を導入することによって風土形成はさらに加速されるのだといいます。
特にフュージョンはマトリクス型の複雑な業務体制をとっており、縦横だけでなく拠点間でのチーム連携も強く求められます。
「コロナ禍の前からフュージョンは複数拠点の人間が複雑にからみあって仕事をしてきました。有機的な連携が必然的に求められる組織だったのです」
フュージョンの有機的な連携を支え、強化しているのが様々なテクノロジーです。Uniposはもちろん、スケジュール管理、ビジネスチャット、ビデオ会議など、用途に応じたITツールを導入しています。
ただし、「ただツールを導入するだけではだめ」だと佐々木氏は言います。重要なのはそのツールを何のために導入するのかをしっかりとメンバーが理解し、使いこなすことです。
「たとえば弊社はUniposを導入していますが、目的はビジョンを浸透させるためです。バリュー(行動指針)をハッシュタグ化して投稿し、それをカウントすることで、もっともビジョンを体現したメンバーを選出し表彰する制度もつくりました」
北海道胆振東部地震でダメージを最小限に食い止められたのは「脱メール」と「Unipos」のおかげ
ツールと制度を組み合わせて“目指す風土”をつくりあげていったフュージョン社。その成果が表れたのが、2018年に発生した北海道胆振東部地震でした。
「震災により、数日間は携帯電話もネットも使えない状態になりました。社員との連絡もとれなくなり、すべてが止まってしまいました」
すべてがストップした状況では当然、ビジネスも動きません。そうした状況を救ったのが、これまでにつくりあげてきたフュージョンのチームワークだったのです。
佐々木氏は震災時に特に効果を発揮した施策として「脱メール」と「Unipos」を挙げます。
フュージョン社では数年前からすでに社内メールを廃止し、ビジネスチャットに切り替えていました。その理由はメールを使用すると「人に仕事がつく(属人化)」からだと佐々木氏は言います。チャットを使うと「仕事に人がつく」ため、ビジネスのプロセスがオープンになり属人化を防げるのです。
この脱メール文化が震災時に大きな役割を果たしました。札幌拠点のメンバーが動けないなか、東京拠点のメンバーがすばやくビジネスの状況を把握し、サポートすることができたのです。これはビジネスのプロセスを普段からチャットでオープンに共有していたからこそ可能な連携でした。仕事が属人化していたなら、これほどすばやくできなかったと佐々木氏は当時を振り返ります。
各拠点のメンバーが支え合い、危機を乗り越えたフュージョン社。このチームワークを可視化したのがUniposでした。
「震災から復旧したとき、札幌メンバーから東京メンバーに向けての感謝の投稿がUniposにあふれました。どれだけ東京メンバーが奔走してビジネスをリカバリしてくれていたのか、支えられていたのかがUniposを通じてはっきりと感じられました。Uniposをやっていてよかったと実感した瞬間でした」
この体験から、佐々木氏は3つの学びを得たといいます。それが、「情報のオープン化」「情報へのアクセスが容易」「情報利活用方法の認知」の大切さです。
加えて、「情報は与えられるものではなく自らつかみにいくもの」という風土が社内に根付いていたことが危機を乗り越えられた大きな要因であるとのことです。
“変化”することでコロナという困難を乗り越え、新しい生き方をつくっていく
ウェビナー後半では、佐々木氏と斎藤によるディスカッションがおこなわれました。
佐々木氏は情報を人間の血液に例えて「情報がオープンになっていないのは血流が悪く冷え性になっているのと同じ状態。体温を上げるためには情報という血液を流す必要がある」と指摘。「コロナでそれが難しくなっていることを実感しているが、だからこそ取り組まなければならない」と述べました。
また、ツールの導入については「トップこそ先陣を切るべき」と強調。「上がやらないと下もやらない。ビジネスチャットを導入するなら、もうそれ以外ではコミュニケーションを一切とらないくらいの覚悟でやっていかないといけない」と徹底することの重要さを説明しました。
「そこで役立つのがUinposです。普段から組織の価値観を体現した良い行動を称賛できるので、『社員の行動』という“点”をつなぎ、『カルチャー』という線にしていけるのです」(佐々木氏)
また、やみくもにビジョンだけを語っても社員はついてこないと佐々木氏は言います。
「昔の自分はビジョンを口にすれば社員がついてくると思っていました。しかし、そうではないのです。人に同じ方向を向いてもらうには、言うだけでは伝わりません。仕組みをつくり、それを支えるツールを導入する。それらを組み合わせないと人の心は動かせないのです」(佐々木氏)
佐々木氏の言葉に斎藤も同意し、ある人事担当者から聞いた言葉として「人事制度は制限ではなく権利になるべき」を紹介しました。
「Uniposも導入したから絶対に投稿してくださいと強制するのでは制限になってしまいます。そうではなく“権利”であるべきなのです。毎日使わなくてもいいし、震災のように有事につながるだけでも良いのです」(斎藤)
これを受け、佐々木氏も「場がある、ということが重要」だと語ります。
「何か思っていることがあっても、表現できる場がないというのはよくあること。その“場”は会社がつくるべきです。弊社では、感謝や称賛を伝える場としてUniposがあったのが良かったのだと思います」(佐々木氏)
最後に佐々木氏は「辛いときも理想の組織に向けて奮い立たせてくれる魔法の言葉」として「Tough times never last but tough people do.(困難な時は長く続かない。タフな人間は生き続ける)」を紹介。ここで言う「タフ」とは必ずしも肉体的な強さや精神力ではなく、「変化や弱さ、失敗を受け入れて認めること」であると強調しました。
佐々木氏の言葉に斎藤も強く同意。「コロナの影響はおそらく長く続くでしょう。しかし、その困難に対して変化することで対応できたら、困難は新しい生き方へと変わります。コロナは長く続くかもしれませんが、困難は長くは続かないのです」と語り、講演を締めくくりました。
* * *
制度とツールによってカルチャーを醸成し、拠点を越えた強い連携を実現するフュージョン社。震災という危機を乗り越えられたのは、普段から情報のオープン化に努めていたからこそでした。
コロナ禍により期せずして始まったテレワークが長期化し、物理的な距離が生じた社内コミュニケーションに多くの企業が頭を悩ませています。そうした企業にとって、有機的な連携を追求するフュージョン社の取り組みは大いに参考になるのではないでしょうか。
<登壇者プロフィール>
フュージョン株式会社代表取締役社長・佐々木 卓也 氏
北海道出身、大手印刷会社を経て2000年フュージョンに入社。2011年代表取締役社長に就任。大手ブランド、東証一部小売業、大手ECポータ ル企業など、小売業・通販業・メーカーに対するCRM支援、KPI策定の 為のデータ分析支援、リアル店舗・EC企業などオムニチャネル戦略支 援など、幅広い知見で企業のマーケティングコンサルティングを行う傍ら、自社を数名の組織からIPO企業まで成長させた。働き方についてもえるぼし認定、札幌市ワーク・ライフ・バランスplus認定、北海道働き方改革推進企業など認定受け多様化に対応し続けている。
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変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるための「Uniposウェビナー」とは
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働く仲間同士、異なる部門同士、企業と個人が相互理解を深めたら、組織はもっと強くなる。「あなたの組織を一歩前へ進めるUniposウェビナー」は、変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるためのウェビナー。コロナ危機をきっかけに2020年5月開始し、毎回数百名の方にご参加いただいています。
組織課題解決やSDGsのプロ、識者、実践者を毎回ゲストにお呼びし、予測不可能な時代を生き抜く組織のあり方を共に考え、実践のヒントをお伝えします。みなさまお誘い合わせの上、お気軽にご参加下さいませ。
▼過去ウェビナー参加者様の実際の声
「経営陣や上層部に対してのアプローチに悩みを持っておりましたが、今回の講演で素敵なヒントをいただくことができました。どうもありがとうございました。」
「今まで何度か同テーマのセミナーに参加しましたが、一番腑に落ちる内容が多いセミナーでした。 又、参加させて頂きたく思います。」
「いまプロジェクトを担当していますので本当に助かりました。」
「いくつものヒントをいただけて、同じように悩んでいる方が大勢いることもわかりました。今は、さぁどこから手をつけようか、と前向きに考えています。」
「目から鱗で感動しました。」
▼次回ウェビナー情報はこちらよりご確認いただけます
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運営メディア:「あなたの組織を一歩前へ ONE TEAM Lab」 https://media.unipos.me/
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