理念浸透を実現するゲームやワークショップとは?効果と事例を解説

全社員の共通の指針となる企業理念。企業が安定的に成長していくために、そしてその企業ならではの風土を作っていくためには、企業理念に共感し、それに沿った行動ができる社員を増やしていくことが大切です。

しかし、こうした企業理念の重要性を分かっていながらも、社内浸透がなかなか上手くいかないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。

理念の浸透には、さまざまなアプローチがありますが、内容によっては社員にとって堅苦しいと感じられてしまうケースも。気軽に導入できて楽しみながら学べる方法があれば理想的ですよね。

本記事では、企業理念の浸透に効果的なゲームやワークショップをご紹介します。

ぜひ参考にしてみてください!

1.理念浸透を実現するゲームやワークショップとは?

理念浸透を実現するゲームやワークショップとは、どんなものなのでしょうか。

一般的にはグループワークを行う中で、メンバー間での目的共有の大切さを学び、ビジョンを持つことの意義を体感してもらうものが挙げられます。

ゲームやワークショップの種類

理念浸透に関するゲームやワークショップは、以下のように種類を区分することができます。

  • 理念の重要性を学ぶためのもの
  • 既にある自社の理念について理解を深めるもの

もちろん、1回のゲームやワークショップで両方の内容を盛り込むことも可能です。

しかし、時間の都合だったり、具体的に達成したい目標があったりする場合は、「理念自体の重要性に対する理解を促進したい」のか、「自社の理念を全社員が把握している状態にしたい」のかなど、より重点的に扱いたい方の内容を選ぶのが良いでしょう。

実施方法

理念浸透に関するゲームやワークショップでは、複数人のグループワークを行うことになるため、直接会話をしながら進められるという点で、現地開催できればより効果的です。

しかし、昨今ではオンラインを活用するケースもあります。オンラインであっても、参加者の主体性があれば、グループワークに支障はありません。

オンラインだからこそ場所の移動が不要となり忙しい社員でも参加できたり、遠方にいる社員も参加できたりとメリットもあります。

2.理念浸透ゲーム、ワークショップの効果、メリット

理念浸透ゲームやワークショップを行うことで、それまで机上の空論に近いと感じられていた内容も、社員自身の考えや行動に落とし込むことができるようになります。

誰が指示をするわけでもなく、社員が自然と会社の理念に沿った考え方や行動を取ることができるようになった時、理念が十分に浸透したと言えるのです。

ただ、理念の浸透に取り組んだからと言って、すぐに会社の売り上げや利益といった数字的な部分に直結するとは限らないのが難しい点。必要性を感じながらも、つい後回しになっていませんか?

ここからは、理念浸透を図ることで期待できる効果、またゲームやワークショップという形で実施するメリットについて解説していきます。

理念浸透を図ることで期待できる効果

期待できる効果としては以下の3つが挙げられます。

  • 理念に対して社員一人ひとりの当事者意識が高まる
  • 主体的に自分たちの「なりたい姿」を考えるようになる
  • 理念の実現に向けて、今後の行動が変わる

理念に対して社員一人ひとりの当事者意識が高まる

会社の理念はほとんどの企業が掲げていますが、経営者が策定することが一般的です。

よって、社員からすると、自分たちには関係のないことと感じられているケースもあります。

そういった社員に対して、気軽に参加できるゲームやワークショップを実施すると、会社の理念は他人事ではなく、自分たちに大きく関係する内容だということを身を持って感じられます。

こうして社員一人ひとりが会社の理念の存在を認識し「自分ゴト」として捉えるようになれば、大きな前進と言えるでしょう。

主体的に自分たちの「なりたい姿」を考えるようになる

会社の理念に対して共感を覚えると、今度はそれに対して「自分たちがどうありたいか」を考えるようになります。

会社の理念は、高い目標であり時に壮大な内容なこともあります。ゲームやワークショップを通して、より具体的に自分たちのなりたい姿について考えることができます。

また、自分が心から思う「なりたい姿」を描けると、どんな場面でも主体的に仕事に取り組むことができるようになり、仕事に対するモチベーションの向上にもつながります。

理念の実現に向けて、今後の行動が変わる

先述のとおり、社員が自身のなりたい姿を描きながら、会社の理念の実現を目指すようになると自然と行動も変わってきます。

そして、仕事をする中で何か判断に迷うようなことがあっても、常に立ち戻ることのできる理念があれば、取るべき行動を明確にすることができます。

理念に基づく判断軸を一人ひとりが持っていることで、社内の一体感も高まっていきます。

ゲームやワークショップで理念浸透を図るメリット

理念浸透を図るには、さまざまな方法がありますが、あえてゲームやワークショップを活用することにどんなメリットがあるのでしょうか。

以下の3つが参考になるでしょう。

  • 誰もがフラットに参加できる
  • ボトムアップで意見を発信できる
  • 組織への不平・不満を取り払う機会になる

誰もがフラットに参加できる

堅苦しい研修ではなく、ゲームやワークショップという形を取ることで、誰もがフラットに参加することができます。

ゲームやワークショップ中は、仕事ではないので通常の階層などは関係なく、純粋に一社員の立場で取り組めるという点に大きなメリットがあります。

また、長時間の研修となるとどうしても拘束時間が長く感じたり、忙しいのに面倒だというネガティブな感情を生みやすいですが、ゲームやワークショップであれば比較的短時間で行うことができます。

内容についても、楽しいと感じられれば、忙しい中参加して良かったという満足感を与えることができるでしょう。

ボトムアップで意見を発信できる

ゲームやワークショップは、意見を戦わせたり、何か正解と言える答えを探すのではなく、互いの意見を認め合いながら盛り上げていくもの。

基本的には相手の意見を否定することなく、色々な意見を集めていくことが主旨となります。

組織によっては、仕事中だとトップダウンで物事を進めていくこともあるかもしれませんが、ゲームやワークショップの場ではボトムアップでの意見の発信が歓迎され、どんな立場の社員も主体的に参加できるメリットがあります。

組織への不平・不満を取り払う機会になる

理念浸透のテーマに限らずですが、社員どうしで業務内容やビジネスに関して会話をする機会は多くあれど、組織のあり方などに特化して話し合う機会はそう多くはないでしょう。

ゲームやワークショップなど、普段の業務から少し離れた環境で、自分たちの働く会社について真剣に向き合う経験はとても貴重なものです。

こうしたコミュニケーションのあり方自体が社員にとっては新鮮なはず。日頃感じているモヤモヤした感情すらも吐き出せる、言わば組織としての“デトックス効果”が得られるでしょう。

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3.理念浸透ゲーム、ワークショップの選び方

理念浸透が重要であることは分かっても、どんなものを導入したら良いのか迷うこともあります。

ゲームやワークショップは、体系立った研修などよりも気軽にチャレンジしやすい要素がたくさんあるので、まずは以下の観点を参考に検討してみてはいかがでしょうか。

  • 内容

 :ゲームやワークショップを通じて達成したい目的に沿っているか、社員が楽しんで取り

  組めそうか、ルールは分かりやすく誰もが理解できるか

  • 形式

 :現地開催でないとできないのか、オンラインでもできるのか

  • 料金

 :外部委託が必要かどうか、委託する場合は予算内で実施できそうか

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4.理念浸透を進めるゲーム・ワークショップ紹介

では、実際にゲームやワークショップにはどんなものがあるのか、具体的な事例をご紹介します。

先ほどご紹介した選び方の観点に沿って、見ていきましょう。

ゲームの事例

理念浸透ゲームは、企業理念の大切さを学ぶためのものと、自社の企業理念の認知度を上げるためのものがあります。

ここでは、「NASAゲーム」と「パズルゲーム」をご紹介します。

NASAゲーム

ゲームの内容

NASAゲームは、企業理念の大切さ学ぶことを目的としたゲームで、「コンセンサスゲーム」の1種です。与えられた課題に対して、チームメンバーとコミュニケーションを取りながら合意形成を取っていく過程を体験できる内容になっています。

ゲームの中で、チームメンバーそれぞれの意見が異なる理由を皆で考え、組織で課題を解決する際は「ビジョン(目的・ゴール)」「ミッション(価値観・存在意義)」「バリュー(解釈・判断)」が判断軸になることを理解してもらいます。

また、それと同時に「ビジョン」「ミッション」「バリュー」が共有できていない組織では何が起きるのかについても体感してもらい、企業にとってこれらが大切であることを学びます。

ゲームのルール

NASAゲームでは、チームメンバーを月で遭難した宇宙飛行士役とし、元いた基地に帰ることを目指す設定です。

遭難後、手元には15個のアイテムがある想定で、無事帰還するために1〜15までのアイテムの優先順位をつけてもらいます。

優先順位について個人の考えを持ち寄り、最終的にチームとしての意見にまとめます。

ゲーム終了後は、振り返りとして理念浸透についての解説を入れ、合意形成のポイントとは何かを解説していきます。

ゲームの形式

通常は、カードなどを使用しながらオフラインで実施されることが多いですが、もちろんオンラインでも可能です。

オンラインの場合は、初対面どうしのメンバーで開催する場合は、予めファシリテーターを決めておくなど、進行がスムーズにできるような工夫をすると良いでしょう。

ゲームの料金

NASAゲームのストーリーや最終的な正解は、NASAが公式に公表しているものが存在します。そのため準備がしやすく、自社で無料で実施することができます。

参考:「NASAゲームを用いた理念浸透研修」https://heart-quake.com/article.php?p=8658

パズルゲーム

ゲームの内容

ウェディングのプロデュースを手がける株式会社スペサンでは、オリジナルのパズルゲームを用いて理念浸透を図った事例があります。

パズルゲームを通じて、企業理念の定義や概念についての理解を深めることを第一の目的としていますが、ゲームを通して社員同士の積極的なコミュニケーションを促すのもポイントです。

ゲームのルール

ルールは非常に簡単で、架空の会社のVMVIC(Vision,Mission,Value,Identity,Concept)をランダムに並べ、それぞれの定義と照らし合わせながら、VMVICに対応させて並び替えるというもの。

そもそもVMVICの定義が分かっていないと意外と難しいということから、想像よりも議論が生まれ、場が盛り上がりやすい内容になっています。

また、本ゲームでは架空の会社の設定で行われていますが、理念の定着を図るという意味では、実際に自社のケースで行ってみるのも良いでしょう。

ゲームの形式

株式会社スペサンでは、Googleスライドを使用したようですが、Googleスライド以外にも方法は工夫できるでしょう。

もちろん、Googleスライドで行うメリットは、オンライン時により発揮されるため、リアル開催だけでなく、オンライン開催も可能になります。

料金

こちらもNASAゲームと同様、社内で準備が完結するため、無料で行うことができます。

参考:「ビジョン浸透ワークレポ「パズルゲームでVMVICについての理解を深める」

    https://note.com/spthanks_cho/n/n65587af93b0d

ワークショップの事例

ワークショップは、研修のように体系立てた内容のものから、ゲームと同じように楽しみながら取り組めるものまで、さまざまなものがあります。

どちらのパターンであっても、実際に自分の手を動かしたり、メンバーと意見を共有しながら参加者が主体的に参加することで、有意義なワークショップを実現することができるでしょう。

ここでは、「おえかきコミュニケーションワークショップ」と「パーパス浸透プロジェクト」をご紹介します。

おえかきコミュニケーションワークショップ

ワークショップの内容

オンラインでのチームビルディングサービスを展開するプレイライフ株式会社は、おえかきを通じて会社のビジョンを考えるワークショップを開催しています。

「おえかきコミュニケーションワークショップ」では、自社のミッション・ビジョン・バリューを絵で表現し、自身の想いや感情を参加者どうしで共有することで、企業理念を自分ゴト化することを目的としています。

ワークショップのルール

「おえかき」というと、絵の得意・不得意が気になるかもしれません。

しかし、本ワークショップでは、上手に絵を描くことが大切なのではなく、描くこと・言語化することを重視しています。

企業理念に改めて向き合い、文章ではなく絵を使って直感的に理解することを目指します。

ワークショップの形式

本ワークショップは、オンラインでの開催となります。

よって、参加者には事前に準備をしていただく必要があるので注意しましょう。事前準備物は、コピー用紙10枚とカラーの筆記用具です。

参考:「会社のビジョンを考える!おえかきコミュニケーションワークショップ(TZK4)」   https://buzzkuri.com/programs/21

ワークショップの料金

ワークショップの料金は、実施規模によって異なります。

詳細はサイトをご確認いただき、見積もり依頼をしてみましょう。

https://buzzkuri.com/prices#prices-all)。

パーパス浸透プロジェクト

ワークショップの内容

研修や講演活動を通じて人材育成を支援する株式会社ピグマリオンは、企業理念としての「パーパス」を効果的に組織に浸透させていくためのワークショップを展開しています。

ワークショップのプログラムは、前半は理念の理解を、後半は理念を自分ゴト化することを目的として設計されています。

また、営業部とそれ以外で内容をカスタマイズされているのもポイントです(営業はより数字達成のサポートになるような内容に)。

ワークショップのルール

一般的な座学を中心とした研修ではなく、ワークショップのプログラムになるため、必ず自分の頭で考えてみる時間や手を動かす時間が設けられています。

例えば、プログラムの前半は「つまりどういうこと会議」と銘打ち、理念を暗記するのではなく、その背景について考えていきます。

また、後半は実際に企業理念をもとに、自分自身が成長していくための方法を考える内容になっています。

ワークショップの形式

本ワークショップは、オンラインでの開催となります。

オンライン開催であっても、株式会社ピグマリオンの代表、柏さんのスムーズなファシリテーションも好評のようです。

ワークショップの料金

料金については公表されていないため、サイトのお問い合わせフォームから見積もり依頼をしてみましょう(https://pygmalion-hrd.com/contactus/)。

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