ソフトバンクの事例に学ぶSDGs推進への現場の巻き込み方

実施ウェビナー概要

・2020年8月20日開催

・タイトル:「持続可能な組織を作る企業と個の繋ぎ方 ~ソフトバンクのSDGs推進事例を元に徹底対談~」

・登壇:株式会社サーキュレーション ソーシャルデベロップメント推進室代表 信澤みなみ 氏、ソフトバンク株式会社 SDGs推進室 日下部奈々 氏、Unipos株式会社・代表取締役社長・斉藤知明

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テレワークが浸透し、働き方の多様化が進んでいます。一方でコミュニケーションが不足し、組織と個の結びつきが弱まっていくことを懸念されている企業も多いのではないでしょうか。

組織と個の関係が希薄になることで特に大きな影響を受けるのが、SDGs推進のように各事業部を巻き込んで進めていく全社プロジェクトです。部署間や従業員間で互いへの理解や関心が薄れてしまった状態では協力体制を構築することもままなりません。

そうした状況のなか、全社プロジェクトを進めていくにはどうすれば良いのでしょうか。

今回、2020年8月20日にUniposウェビナー「持続可能な組織を作る企業と個の繋ぎ方 ~ソフトバンクのSDGs推進事例を元に徹底対談~」を開催。ソフトバンク株式会社にて次世代リーダーの発掘・育成やダイバーシティ推進、人材開発に携わった後、SDGs推進室にて戦略策定から社内浸透施策などの取り組みを推進されている日下部氏と、株式会社サーキュレーション ソーシャルデベロップメント推進室代表の信澤氏をお招きして、ソフトバンクのSDGs推進事例をもとにアフターコロナにおける全社的なプロジェクトの進め方について話し合いました。


SDGs推進で心がけたのは「現在の仕事との接続をわかりやすく語る」こと

ウェビナーではまず日下部氏より、ソフトバンクにおけるSDGs推進の取り組みについて説明がありました。

「2020年はコロナウイルスにより未曾有の事態を迎えました。法人のお客さまからはAIやロボットの導入といったテクノロジーの力を借りたいというご相談を多くいただき、ソフトバンクとしてはデジタルツールをフル活用してお客さまのビジネスを止めないよう力を尽くしました。また、人々にとってはスマートフォンはライフラインです。外出自粛や休校が続くなか、24時間ネットワークを支え続けました。コロナ禍はソフトバンクにとって、通信インフラとしての使命を感じた半年間でもありました」(日下部氏)

その共通体験を経て、今年5月にソフトバンクはSDGs推進を改めて宣言します。ソフトバンクのSDGsの基本的な考え方は「『課題』があるところには『機会』がある」というもの。

ソフトバンクは社員ひとりひとりが事業活動を通じてSDGsに貢献することで、社会課題を解決するとともに、企業としても成長することを目指しているといいます。

具体的に、ソフトバンクではSDGs戦略を6つのアクションとして設定しています。6つのアクションは「事業を通じた社会課題解決」と「企業活動を通じた社会課題解決」に分けられており、それらは経営戦略に組み込まれる重要な取り組みとして位置づけられています。

SDGs戦略の意義について社員に伝える際、日下部氏が強く意識したのは「SDGsが現在の仕事とどう接続しているのかをわかりやすくストーリーで語る」ことだといいます。

「SDGsは未来のことであり、抽象的な概念なので、いまここにある具体的な仕事との接続は困難です。だからこそ、それを語れることをファーストステップとしました」(日下部氏)

例として挙げられたのは、ソフトバンクが開催するスマホ教室です。ビジネス視点では「スマホ戦略の強化」につながる取り組みですが、例えば高齢のお客様がスマホを最大限活用できるようになることで、「家族とのコミュニケーションが充実する」「動画で簡単に情報を得られる」「スマホ決済ができるようになり生活が便利になる」といった変化が生まれます。クルーひとりひとりの活躍が、デジタルデバイド(情報格差)を解消し、誰でもテクノロジーを楽しめる世の中につながっていくのです。これこそがSDGs視点です。

自分たちの仕事が実はSDGsにつながっているのだということを知ってもらうするために、日下部氏はエクスターナルコミュニケーションに取り組みました。たとえば名刺やビジネスバッグといった各種ビジネスツールにSDGsへの取り組みを載せたり、対外講演や営業提案の資料にもSDGsのテンプレート展開を行ったりしたといいます。

「たとえば営業部の社員なら、SDGsのことが書かれた名刺を使ったり提案資料でSDGsの説明をしたりすることで、お客さまとSDGsの話題が生まれます。そうやってSDGsの取り組みを自分自身で話しているうちに、社員自身もSDGsについて自分の言葉として話してもらえると考えています」(日下部氏)


社員大会や勉強会を通してSDGsへの理解を促進、現場の意識も大きく高まった

一方で社内向けのインターナルコミュニケーションも積極的に進めていったといいます。たとえばオンラインで実施した社員大会では経営層からSDGsへのコミットメントを語り、7,424名もの社員がリアルタイムで視聴。アーカイブも含めると視聴数は13,634回にも達したといいます。

また、勉強会やワークショップを開催してSDGsへの理解を深めたり、ソフトバンクイノベンチャー(社内事業提案制度)でSDGsをテーマにした事業アイディア成長戦略を募集したりもしました。

そうした活動の結果、社員のSDGsへの意識は大きく高まってきたといいます。

「社員大会のアンケートを見ると、驚くほどSDGsに対するコメントがありました。特に販売職の社員から『SDGsの重要性を再認識し、日々の業務で一つでも多く貢献していきたい』という言葉をもらえたのは本当に嬉しかったです」(日下部氏)

日下部氏は今後、SDGsの取り組みを様々な指標で評価していくことも検討しているといいます。自社ではKPIの進捗トレースに加えて従業員がSDGsをどう思っているのかというサーベイ調査を行い、外部からはESG格付けや報道機関調査、消費者調査による評価を行っていくとのことです。さらに大学等教育機関と共同でSDGsの社会インパクトの評価を研究していくとしています。

SDGsに関して非常に洗練された取り組みを進めるソフトバンクですが、実はSDGsの推進が決まってからはたったの半年しかたっていません。SDGs推進委員会が設置されたのは2020年4月であり、社員に対してSDGs戦略をしっかり伝えたのは7月です。

これほどのスピードでSDGsを推進できたポイントは「各部門・主要グループ企業にSDGsの推進責任者をアサインしてもらった」ことだといいます。それぞれのキーマンを責任者としてアサインし、SDGsに関する戦略会議を行ったことで、前述の6アクションを全社横断する形で策定できたのだそうです。


全社プロジェクトを成功させるポイントは現場に寄り添い、価値を丁寧に伝えること

ウェビナー後半では、SDGs推進に向けた成功の鍵についてさらに掘り下げた対談を行いました。

ソフトバンクの成功例について斉藤は「スピード感がすごい」と称賛し、「SDGsはよく“未来×抽象”で議論されるが、それでは話が抽象的になってしまう。ソフトバンクではそれを“現在×具体”として進めることで、社員にとってもわかりやすいところに落とすことができた」と成功要因を分析しました。

これを受けて日下部氏は、「会社としてリソースをかけてやる以上、数値目標など具体的に(成果が)見えることは大事。ただ、数字として出すだけでなく、社会にどれだけインパクトを与えられるかといった本質的なところにも取り組んでいく必要がある」と説明。抽象性と具体性の両輪で進めていくことがポイントだと語りました。

ソフトバンクのSDGs推進事例について、信澤氏も「スピード感と全体のストーリーがすばらしい」と絶賛。

「ここまでつめこんでやっている会社は数えるほどしかありません。SDGs推進室のメンバーは少人数かもしれませんが、全社を巻き込むことで大きな体制を実現できています」(信澤氏)

もっとも、ソフトバンクのSDGs推進も常に順風満帆だったわけではないと日下部氏は振り返ります。SDGs宣言への反響は部署によっても差があり、中には理解を得られるまでに時間がかかったケースもあったといいます。

そんなとき、ヒントになったのが株式会社アワシャーレ代表取締役でありダイバーシティ推進に取り組む小嶋美代子氏の言葉でした。

「私がまだ人事としてダイバーシティ推進に悩んでいたとき、小嶋さんに『あなたは自分がダース・ベイダーだということに気づかなきゃダメよ』と言われたんです」(日下部氏)

ダース・ベイダーとは、“自分の中の大義をもとに主人公の邪魔をしにくる人”の比喩です。SDGsやダイバーシティはたしかに「正しいこと」ではありますが、だからこそ現場への伝え方によっては煙たがられることにもなりかねないのです。

「事業部のリーダーから『それでユーザーが増えるのか』と問われて気づきました。現場にとってはSDGsもダイバーシティも綺麗事の話なんです。彼らにSDGsを活用してもらうためには彼らの文脈に沿わないといけません」(日下部氏)

SDGsを推進することで現場にどんな価値が生まれるのか。たとえば「クルーがロイヤリティを持って働ける」「新たなビジネスチャンスにつながる」――そういった価値を、日下部氏は各事業部ごとに丁寧に伝えることを心がけているといいます。

日下部氏の話を受けて信澤氏は「ソフトバンクを含めSDGs推進がうまくいっている会社に共通しているのは、SDGs推進を目的にコミュニケーションしていないこと」だと言います。

「たとえばマネージャーが社員と一緒にSDGsを通して自分たちの仕事の価値を考える場を作ったり、あるいは社会視点を持って戦略を立てられるマネージャーを育成するための研修を行ったりと、日常業務にどうSDGsを組み込むかを考えていくことが大事です」(信澤氏)

* * *

組織と個の結びつきが希薄になりがちなコロナ禍においても、全社を巻き込んだSDGs推進プロジェクトをスピーディーに進めてきたソフトバンク。現場への伝え方や推進体制の構築方法など、多くの企業にとって参考になる事例だったのではないでしょうか。

 

<登壇者プロフィール>

■株式会社サーキュレーション ソーシャルデベロップメント推進室代表 信澤みなみ 氏

2014年サーキュレーションの創業に参画。成長ベンチャー企業に特化した経営基盤構築、採用人事・広報体制の構築、新規事業創出を担うコンサルタントとして活躍後、人事部の立ち上げ責任者、経済産業省委託事業の責任者として従事。

「プロシェアリングで社会課題解決する」ために、企業のサスティナビリティ推進支援・ NPO/公益法人との連携による社会課題解決事業を行うソーシャルデベロップメント推進室を設立。企業のSDGs推進支援、自治体・ソーシャルセクター とのコレクティブインパクトを目的としたプロジェクト企画〜運営実績多数。

■ソフトバンク株式会社 SDGs推進室 日下部奈々 氏

ソフトバンク株式会社で、新卒・中途採用、グループ人材育成機関「ソフトバンクユニバーシティ」立ち上げ、「ソフトバンクアカデミア」をはじめとしたグループ次世代リーダーの発掘・育成、タレントマネジメントを担う。
二度の出産を経て、各世代のキャリア開発や組織のダイバーシティ推進、人材開発コンサルティング、ワークショップ開催など、社内外の幅広い年代に対し「自分らしく働く」支援に従事。

現在は、SDGs推進室へ着任し、 戦略策定や対外コミュニケーション、社内浸透施策などの取り組みを推進。
米国CCE,Inc.認定GCDFキャリアカウンセラー、MBTI認定ユーザー、BCS認定ビジネスコーチ。

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変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるための「Uniposウェビナー」とは
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働く仲間同士、異なる部門同士、企業と個人が相互理解を深めたら、組織はもっと強くなる。「あなたの組織を一歩前へ進めるUniposウェビナー」は、変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるためのウェビナー。コロナ危機をきっかけに2020年5月開始し、毎回数百名の方にご参加いただいています。

組織課題解決やSDGsのプロ、識者、実践者を毎回ゲストにお呼びし、予測不可能な時代を生き抜く組織のあり方を共に考え、実践のヒントをお伝えします。みなさまお誘い合わせの上、お気軽にご参加下さいませ。

 

▼過去ウェビナー参加者様の実際の声

「経営陣や上層部に対してのアプローチに悩みを持っておりましたが、今回の講演で素敵なヒントをいただくことができました。どうもありがとうございました。​」

「今まで何度か同テーマのセミナーに参加しましたが、​一番腑に落ちる内容が多いセミナーでした。 ​又、参加させて頂きたく思います。」​

「いまプロジェクトを担当していますので本当に助かりました。」​

「いくつものヒントをいただけて、同じように悩んでいる方が大勢いることもわかりました。今は、さぁどこから手をつけようか、と前向きに考えています。」​

「目から鱗で感動しました。」

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運営メディア:「あなたの組織を一歩前へ ONE TEAM Lab」 https://media.unipos.me/

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