人的資本経営を多面的に考えてみる|田中弦のCEOBlog-vol.1

※こちらのブログは、UniposサイトのCEOblogから転載/リライトしています。

このCEOブログは、CEOの田中がこれからの企業経営について得た人的資本経営に関する情報をまとめ、見解を踏まえて投稿していくシリーズです。

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本日は、最近、日経新聞などで見ない日は無い、「人的資本経営」というものについて私なりに考えていることを述べたいと思います。

来年度からの公開企業における、人的資本に関する開示の義務化が迫っていることもありホットになってきました。

▶︎人的資本って何? 23年に開示義務化、戸惑う企業相次ぐ ※新規ウィンドウが開きます

こういった報道もいよいよ増えてきましたね。

私もお客様と対話する中で、

「田中さんは人的資本、および開示についてどう思うのか?」

「どういった開示が良いと思うか?」

「我社には影響はどうあるのか?」

と開示のことについて、聞かれることが増えてきました。

一方、人的資本経営は開示だけではないと私は思っています。

人的資本の重要性やなぜ今注目されてきているのか、は多くのメディアで解説済みです。

そこで、私なりに今回は人的資本経営をもう少し違った視点で、多面的に考えてみませんか、というアプローチでこの日記を書いてみます。

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人的資本経営に必要な、4つの視点と2つの実行のキーポイント

人的資本経営の「開示」について、来年度からの義務化が迫っていることもあり、かなり注目が増えています。

一方、私は人的資本経営には、大きく4つの視点と、2つの人的資本経営の実行のキーポイントがあると思っています。

以下の図は、リクルート社「人的資本経営の潮流と論点2022※新規ウィンドウが開きます の5ページの図を参考に、私が色々と加筆したものです。以下、この図をご覧いただきながら読んでくださるとありがたいです。

※こちらのレポート、とても素晴らしいもので筆者の津田さんとは先日ウェビナーをご一緒しました。ぜひご一読ください。

4つの視点について

1.社会的役割の視点(社会との関わりがさらに重要視されてきた

・ESGや持続的な社会づくりに向けたコミットメントの表明
・株式資本主義からステークホルダー資本主義へ

2.企業価値評価の視点(有形資産から無形資産の価値評価が重要に

・企業価値の源泉が徐々に財務資産から非財務資産へ移行
・投資判断において非財務資産・見えざる資産の評価が大きく影響

キーポイントA.
人的資本の「開示」に大きくかかわります
開示をすることによって、投資家や社会との人的資本に関する対話が進むでしょう。
一方、様々な指標が比べられることとなるので、人財獲得競争に拍車がかかる可能性はあります。よって、未上場企業であっても影響が大きいと思われます。

3.大変化時代の事業戦略の視点(有限な人的資本をいかに伸ばしていくか

・現状維持ではなく、改善、さらにはイノベーションが重要に
・人的資本は有限。所属しているすべての人を活かし切る

4.世代価値観・風土の視点(言い出しづらい組織風土をいかに変えていくか)

・海外と比べ若手がマイノリティで働く価値観が大きく異なる
・沈黙が得をしやすい風土の打破

キーポイントB.
人的資本の価値向上のための「活用・改善」
にかかわります

これら4つの視点が「人的資本経営」を押さえるうえで重要だと思います。

人的資本は伸び縮みしますから、活用改善の成否が企業の競争力に直結します。

一方、「人的資本に関する開示」がホットになっているので、視点1・2が注目されていますが、ホットになるあまり、実は視点3・4の視点が忘れがちになっているのではないでしょうか。

人的資本の活用・改善による価値向上は、企業の競争力に直結

人的資本とは「資本」ですので、人的リソース(資源)≒人材、人件費とは異なります。

リソースは資源ですので、例えば金山の埋蔵金の量は変わりません。一方「資本」は伸び縮みします。

ここが「人的リソース(資源)」と「人的資本」の大きな違いです。

古くから、「人財」という言葉もありますが、それに近いものだと思います。(なお人財、は造語なので好き嫌いがありますよね)

つまり人的資本は増減するというところがポイントです。

増減しないものであれば開示して終わり、になりますが、
人的資本経営とは、継続的に「開示」しつつ(キーポイントA)、いかに人的資本を「活用・改善」キーポイントB)するか、が重要ではないでしょうか。

人的資本の活用・改善による価値向上は、企業の競争力に直結します。

キーポイントAだけではなく、キーポイントBも今後長期に渡って開示をしていくにあたっては大事になってくると思います。

そして、さらに視点3と4に関しては、「健全な組織風土」と「心理的安全性」が土台になってきます。

心理的安全性とは、「組織の中で自分の考えや意見を、安心して発言できる状態」

心理的安全性とは、「組織の中で自分の考えや意見を、安心して発言できる状態」です。

組織の心理的安全性が無いまま、人的資本を活用・改善しようとしても、組織が「笛吹けど踊らず」状態となってしまい、開示に値するような改善や活用のスピードが落ちる要因となります。

 

まとめ

人的資本の開示について、多方面から考察してみました。

人的資本が増減するということ、その道なる可能性に気づき、いかに活用改善するかが今後の企業経営のポイントになってくると考えています。そのためにはどうやって企業風土、環境を改善していけばいいのか、具体的な方法を模索しつつ、今後もさまざまなテーマについて深掘りしていこうと思っています。

 

今後、このブログでは、以下のようなコンテンツを積極的に書いていきます。

・心理的安全性

・人的資本経営

・風土改革

・Uniposのお客様訪問記

がんばってコンテンツ出して参りますので、よろしくおねがいします。

引き続き人的資本の開示について、随時更新予定ですのでまた次の機会に。

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 代表取締役社長CEO 田中 弦
1999年にソフトバンク株式会社のインターネット部門採用第一期生としてインターネット産業に関わる。ブロードキャスト・コム(現 Yahoo!動画)の立ち上げに参加。その後ネットイヤーグループ創業に参画。 2001年経営コンサルティング会社コーポレイトディレクションに入社。 2005年ネットエイジグループ(現UNITED)執行役員。モバイル広告代理店事業の立ち上げにかかわる。2005年Fringe81株式会社を創業、代表取締役に就任。2013年3月マネジメントバイアウトにより独立。2017年8月に東証マザーズへ上場。2017年に発⾒⼤賞という社内⼈事制度から着想を得たUniposのサービスを開始。2021年10月に社名変更をし、Unipos株式会社 代表取締役社長として感情報酬の社会実装に取り組む。2022年10月に著書「心理的安全性を高めるリーダーの声かけベスト100(ダイヤモンド社刊)」を刊行。