部門を壁を越えて組織活性化に成功したNEC 成功のポイントをキーマンに聞く

・2020年9月10日開催

・タイトル:「NECで新規事業開発を手掛ける青木氏に聞く 部門の壁を越えた組織活性化の仕掛け方」

・登壇:日本電気株式会社・デジタルプラットフォーム事業部 エキスパート・青木規至 氏、Unipos株式会社・代表取締役社長・斉藤知明(役職は当時)

今後のウェビナー情報はこちらよりご確認いただけます

https://unipos.peatix.com/view

テレワークが定着し、同じ会社、同じチームであっても離れて働くことが当たり前になりました。そうしたなかで懸念されるのは、部門を越えたコミュニケーションが失われ、社内連携が難しくなることです。

物理的な距離を越えてコミュニケーションを生み出し、部門を越えて組織を活性化するためにはどのような点が重要になるのでしょうか。

今回、2020年9月10日にUniposウェビナー「NECで新規事業開発を手掛ける青木氏に聞く 部門の壁を越えた組織活性化の仕掛け方」を開催。

日本電気株式会社(以下NEC)にて複数のチームを巻き込みながら新規事業開発を手掛けてきたデジタルプラットフォーム事業部エキスパートの青木 規至氏をお招きし、部門を越えた組織活性を仕掛けるポイントをお話しいただきました。

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部門を越えた信頼関係で「理想のプロダクト」を実現

青木氏は2008年にNECに入社し、携帯端末事業の商品戦略、商品企画に従事。現在は新規事業開発部門にて事業企画を担当されています。

青木氏が「部門を越えた信頼」を構築するために普段から意識しているのが次の4点です。

・根拠となるファクト

・熱意を示す接触頻度

・相互理解を深める雑談

・相手によって変えない態度

議論ではつねに根拠となるファクトを示し、何度も声をかけて熱意を示すこと。仕事の話ばかりでなく雑談で相互理解を深め、相手によって態度を変えない誠実さを持つこと。それこそが部門を越えて信頼関係を築くポイントだといいます。

約10年前、携帯端末の商品企画をおこなっていた青木氏は“部門を超えた妥協のない対話”を心がけることで、一つの革新的なプロダクトをつくりあげました。

当時としては世界最薄の防水タブレットです。

最初からうまくいったわけではありません。「ユーザーがわくわくする尖ったプロダクトをつくりたい」という思いからタブレット端末を企画した青木氏でしたが、実際に開発メンバーから出てきたのは「厚さ10mm超え、ゴム脚付き」のタブレット。それは青木氏が思い描いていたプロダクトの姿とはまったく異なるものだったといいます。

「当時、NECにとってタブレットはチャレンジングな領域でした。そのため開発メンバーは、安全設計や品質を重視してセーフティサイドに倒した設計をおこなったのです」(青木氏)

これではユーザーがほしいプロダクトにはならない。そう考えた青木氏は開発メンバーと毎日のように議論を重ね、自身の思いを丁寧に伝えました。たとえばゴム脚は、タブレットを直接テーブル等に置いた際、背面に傷がついたりすり減って文字が消えたりするのを防ぐための予防措置ですが、多くのタブレットユーザーはケースをつけて使用するので背面を過剰に守る必要はありません。「だからデザインを優先してフルフラットにしてほしい」。そんなふうに青木氏は自らの思いを根拠と共に伝えていったといいます。

最終的に理想のプロダクトをつくることができたのは、「部門を越えて信頼関係を築けたから」だったと青木氏は振り返ります。

個人のスキルを生かしてNECの組織活性化のきっかけをつくった

青木氏はまた、「今こそ部門を越えた組織活性化が必要である」と主張します。その背景にあるのはビジネス環境の変化です。

「従来ならトップダウンで実行すればある程度モノは売れました。しかし今、世の中は激変し価値観も多様化しています。その瞬間ごとにベターなアイデアをすばやく出すことが重要になっています。そのために必要なのが『価値観を見せ合える心理的安全性』の醸成なのです」(青木氏)

組織活性化のために青木氏が取り組んだのが、「写真」というアプローチでした。それまでNECの社員の多くは自分自身の写真を更新しておらず、写真が必要な場面で困るという事態が発生していました。

それに気づいた青木氏は、個人的なスキルであった写真撮影技術を生かして社員の写真を撮る活動を始めたのです。一人を撮り、二人を撮り、続けているうちに口コミで噂が広がり、写真の輪がどんどん広がっていったといいます。

会社の昼休みの時間を利用して、仲間と共に撮影を続けた青木氏。約1年で累計2,000人を撮影したことが話題となり、2019年には社内で貢献賞も受賞しました。現在は活動を全国の拠点に広げ、地方のフォトグラファーとも連携して撮影を続けているといいます。

そんな青木氏のもとには、社員から多くの喜びの声が集まっています。青木氏は写真というツールを通して部署間の壁を越え、コミュニケーションを活性化することに成功したのです。

上司が“最強のフォロワー”になることで課題を乗り越えてきた。

ここまでに語られた新規事業開発と写真プロジェクトの成功のエピソードは、一見すると関係ないようにも思えますが、実は同じところにポイントがあります。

青木氏のお話に斉藤は「とても一貫性を感じた」と感心。「新規事業開発でも写真でも、これをやると素敵だなという気持ちがドライブしていて関係の質を高めている」と称賛しました。

写真プロジェクトの成功要因の一つが「社長に宣言した」ことです。2018年、NECの社長が各事業所をまわり「何でも提言してほしい」と社員に意見を募った出来事がありました。そのとき、青木氏は「社長はもっと良い写真をお持ちなので、プロフィール画像をそちらに変えてほしい」と提案し、その流れで写真プロジェクトについて提案。社長も青木氏の案に賛成してくれたといいます。

この行動が社内に広まったことも写真プロジェクトの拡大に一役買ったのではないかと青木氏は振り返ります。「社長が“最強のフォロワー”になってくれた」ことが青木氏の活動を強力にサポートしたのです。

「ムーブメントが起きるフローとは、まず大きな宣言があり、個人の小さな工夫があり、そこから周りに展開されていくという流れです。青木さんの写真プロジェクトはまさにその好例です」(斉藤)

青木氏の活動は社内でも好意的に受け止められていましたが、事務手続きで小さなトラブルもありました。

「当時、昼休みに会議室で撮影していたのですが、だんだん撮る人数が増えてきたので敷地内に場所を移して撮影していました。ところが、その場所は撮影にその都度申請が必要だったのです。毎日の撮影をするのにその申請はかなり大変で、執行役員に相談したところ、なんと総務部にかけあってくれて撮影許可をもらうことができたのです」(青木氏)

この件もまた、「上の立場の者が“最強のフォロワー”になる」ことで課題を解決した例だといえます。

上司や役員にそのような依頼をすることはハードルが高いと感じる人もいるかもしれませんが、青木氏は「実現したい世界のためなら、執行役員にお願いすることのハードルは高くない」とコメント。これに斉藤は「役員が(社員の活動を)引き上げて、ムーブメントが起きて会社の雰囲気が変わっていく。そういうことがNECの規模で起こったのがすごい」と、あらためて称賛の言葉を送りました。

 

Uniposの導入で部門を越えたコミュニケーションがさらに活性化

そんなNECの「部門を越えたコミュニケーション活性」に貢献しているのがUniposです。NECでは社員行動規範となる5つの「バリュー」を策定していますが、このバリューをUnipos上でハッシュタグ化して使用。感謝や称賛の投稿と共に送り合うことで、バリューを体現する行動を明確化しています。

「これまで見えなかった貢献をUniposで可視化できています。社員からも『仕事で接点がない人でも何をしているのかがわかります』『同年代のメンバーの活躍をUniposで見られるのでやる気が出ます』などの声が挙がっています」(青木氏)

昨今ではコロナ対策でテレワークを実践しているNEC。離れて働くことで組織の一体感の欠如が懸念されますが、そうしたなかでもUniposは部門を越えたコミュニケーション活性に貢献しているといいます。

さらに最後に青木氏はテレワークのなかでも信頼関係を築くために「ビデオ会議4つのポイント」を実践すべきと説明しました。

そのポイントとは、まず1つ目はプロフィール写真を本人らしく、体温が伝わるようなものにすること。そしてスピーカーや静音キーボードを導入して音声体験を向上すること。また、カメラの角度を調整して上から撮るようにし、威圧感が出ないようにすること。最後に意思疎通をスムーズにするため、時にはホワイトボードなどを活用することを挙げました。

こうしたちょっとしたポイントをおさえることで、テレワークでのコミュニケーションはグッと円滑になるとのことです。

* * *

部門の壁を越えた連携を生み出し、組織を活性化するためには、青木氏のようにまず行動し、共感してくれる仲間をつくり、上司を“最強のフォロワー”にすることが重要です。

青木氏のお話は、まさにこれから会社を変えようとしている方にとって大きなヒントになったのではないでしょうか。

<登壇者プロフィール>

日本電気株式会社・デジタルプラットフォーム事業部 エキスパート・青木 規至 氏

2008年4月、日本電気株式会社(NEC)に入社し、携帯端末事業の商品戦略、商品企画に従事。その後はいくつかの製品企画業務を経て、現在は新規事業開発部門にて事業企画を担当。2018年4月に、自らが企画した社内文化改革活動では、活動を支援する仲間を次々と巻き込み、2019年にはその活動が全社的にも認められ、社長賞を受賞。

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変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるための「Uniposウェビナー」とは

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働く仲間同士、異なる部門同士、企業と個人が相互理解を深めたら、組織はもっと強くなる。「あなたの組織を一歩前へ進めるUniposウェビナー」は、変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるためのウェビナー。コロナ危機をきっかけに2020年5月開始し、毎回数百名の方にご参加いただいています。

組織課題解決やSDGsのプロ、識者、実践者を毎回ゲストにお呼びし、予測不可能な時代を生き抜く組織のあり方を共に考え、実践のヒントをお伝えします。みなさまお誘い合わせの上、お気軽にご参加下さいませ。

 

▼過去ウェビナー参加者様の実際の声

「経営陣や上層部に対してのアプローチに悩みを持っておりましたが、今回の講演で素敵なヒントをいただくことができました。どうもありがとうございました。​」

「今まで何度か同テーマのセミナーに参加しましたが、​一番腑に落ちる内容が多いセミナーでした。 ​又、参加させて頂きたく思います。」​

「いまプロジェクトを担当していますので本当に助かりました。」​

「いくつものヒントをいただけて、同じように悩んでいる方が大勢いることもわかりました。今は、さぁどこから手をつけようか、と前向きに考えています。」​

「目から鱗で感動しました。」​

 

▼次回ウェビナー情報はこちらよりご確認いただけます

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