
近年、「エンゲージメント」という言葉をよく聞くようになったと感じる方も多いのではないでしょうか。エンゲージメントの向上は生産性の向上や人材確保に役立つものであり、経営に採り入れる会社が増えています。エンゲージメントと混同されやすい言葉に、モチベーションがあります。
モチベーションとは、行動を起こすための動機や欲求のことです。エンゲージメントとモチベーションには、以下のような違いがあります。
エンゲージメント | モチベーション | |
---|---|---|
対象 | 組織 | 個人 |
視点 | 組織と個人の関係性 | 個人の心理状態 |
方向性 | 組織への貢献 | 個人の目標達成 |
この記事では、エンゲージメントとモチベーションの違いを、それぞれの周辺概念も交えて解説します。両者を向上させるメリットやその方法についても解説しているため、ぜひよりよい組織作りに役立ててください。
エンゲージメントとモチベーションの根本的な違い
エンゲージメントとモチベーションは混同されやすいものです。しかし両者には、誰のために努力するのかという点や、会社と従業員の間の方向性などについて違いがあります。
多くの場合、エンゲージメントが上がればモチベーションも上がります。しかし、モチベーションが上がったからといってエンゲージメントも上がるとは限りません。また、エンゲージメントがゼロであっても仕事そのものに熱意があれば、高いモチベーションを保てる可能性はあります。このように、エンゲージメントとモチベーションが同じ動きをするとは限らないのは、2つに根本的な違いがあるためです。
エンゲージメントとモチベーションの概要を理解し、それぞれを向上させるメリットや方法を知ることで、両者をより効果的に活用できるようになるでしょう。
エンゲージメントとは
エンゲージメントとは、「約束」「契約」などと訳される言葉です。従業員が組織に愛着心や思い入れを持ち、自らも積極的に貢献しようとしている状態を指す言葉です。
エンゲージメントの高い状態の組織は、離職率が低く、生産性が高く、組織のビジョンや理念に従業員が共感し、自らも積極的に貢献しようとします。エンゲージメントを高めるためには、従業員が組織のビジョンや理念に共感し、自分の仕事にやりがいを感じられる環境を整えることが大切です。
従業員エンゲージメントの本質
従業員エンゲージメントとは、組織と従業員が互いに信頼し合い、共に成長を目指す関係性です。
組織は明確なビジョンや理念を持ち、従業員に理解してもらうよう働きかけます。それに対して従業員は、組織の目指す姿に共感し、自分の仕事を通して貢献できることを実感することで、組織への愛着や帰属意識を高めていきます。組織の目指すべき姿に自分の目標を重ねることもあるでしょう。
このように、組織と従業員が互いに必要とし合い、共に成長していく関係性が従業員エンゲージメントの本質です。
顧客エンゲージメントの魅力〜顧客との絆を強深める〜
マーケティング領域でも、会社と顧客の関係性についてエンゲージメントという言葉が使われることがあります。
顧客エンゲージメントとは、会社と顧客の信頼関係や愛着心を測る指標です。顧客エンゲージメントが高い状態とは、顧客が会社に対して信頼感を持ち、継続的に製品やサービスを利用している状態です。
具体的には、競合と比べて価格が高い場合でも特定の会社の製品を選ぶ、製品に対する好意的な評価をSNSでシェアするなどの行動が見られます。
顧客エンゲージメントを高めると、以下のメリットが期待できます。
・リピート率の向上
・口コミの拡散
・LTVの向上
・競合との差別化
このように、顧客エンゲージメントを高めることで、企業はより多くの売り上げや利益を獲得することができます。
顧客エンゲージメントが注目される背景は、顧客の購買行動の変化や知識量の増加、競合との差別化が難しくなっていることなどがあります。顧客エンゲージメントを向上させることでリピート率が上がり、よい口コミが増えることで新規顧客を獲得できるでしょう。
以上のように、会社が顧客との絆を強めてより多くの売上や利用を促せることが顧客エンゲージメントの魅力です。
従業員の幸福と生産性〜人事におけるエンゲージメント〜
従業員の幸福度と生産性には、密接な関係があることが近年の研究で明らかになっています。近年新たに登場したのが「幸福度」という概念です。幸福度には地位財と非地位財の2つがあります。このうち、心身の健康や職場環境などを指す非地位財は、持続性のあるものとして特に注目されています。
幸福度の高い従業員は生産性や創造性も高いと言われています。
幸福度はエンゲージメントとも関わりの深いものです。従業員が組織に愛着心や愛社精神を持ち、自分の能力を活かして仕事をすることは、心身ともに健康で働くことにつながります。そのために職場環境を改善して働きやすいものにすることも、幸福度・エンゲージメントの両方に共通する考え方です。従業員が健康で仕事に満足していることや、組織が良好な職場環境を整えることによって、意欲的・自発的な働き方につながります。こうした働き方が定着すれば、組織の生産性も向上するでしょう。
幸福度と生産性を向上させるためには、以下の施策が有効です。
- ビジョンや理念の共有
- 仕事のやりがいの提供
- キャリアアップの機会の提供
- 適切な評価制度の導入
- 良好な人間関係の構築
これらの施策を講じることで、従業員の幸福度を高め、組織の生産性向上につなげることができます。
幸福度と生産性は、一見関連性がないようにも思えるかもしれません。しかし、エンゲージメントを向上させることは幸福度を高めることにつながっていると言えます。
エンゲージメントが注目される背景
近年、従業員の価値観の変化や少子高齢化の影響により、人材の確保や定着が企業の課題となっています。また、働き方の多様化や顧客ニーズの変化など、ビジネス環境も大きく変化しています。このような背景から、従業員が組織に愛着心や帰属意識を持ち、自発的に貢献する意欲が高い状態である「エンゲージメント」が注目を集めています。
「人的資本経営」への関心の高まりも、エンゲージメントが注目されるきっかけの一つと考えられます。人的資本経営とは、人材を会社の資本として考え、能力やパフォーマンスを最大限に発揮することで、中長期的な会社の成長につなげるという考え方です。
従来に比べると、与えられた仕事を確実に遂行することより、自発的に課題や変化に向き合い解決することが多く求められるようになりました。細エンゲージメントは、人材の確保や定着、ビジネス環境の変化に対応するために、企業が取り組むべき重要な課題です。エンゲージメントを高めることで、企業は持続的な成長を実現できます。
エンゲージメントを向上させるメリットは4つ
エンゲージメントが人事領域で注目されるのは、以下のようなメリットがあるためです。
- 企業価値の向上
- モチベーションの向上を高められる
- 離職率の低下
- 生産性の向上
エンゲージメントの向上によって、従業員の意識や職場の雰囲気や環境に好影響を与えます。その結果として、業績の向上や会社の成長も期待できます。それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
エンゲージメントメリット1.組織の活性化と業績向上
エンゲージメントが高ければ、従業員は仕事に対して熱意を持って積極的に取り組むようになります。自身や組織の成長を目指して、決まった仕事だけでなく、自ら課題を見つけて解決や改善を図るなど自発的な行動を起こすようになるでしょう。このような姿勢は周囲の従業員にもよい影響を及ぼします。一人ひとりの意識が変わることで会社の雰囲気も前向きなものとなり、組織が活性化され、業績の向上も期待できます。
エンゲージメントと利益率や生産性には相関関係があることは、研究によって明らかになっています。株式会社リンクアンドモチベーションの研究機関が、慶應義塾大学大学院経営管理研究科/ビジネス・スクール岩本研究室と共同で行った研究の結果が、2018年に公開されました。従業員エンゲージメントの向上は、会社の営業利益率や労働生産性によい影響をもたらすことがわかっています。 参照:株式会社リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」
エンゲージメントメリット2.モチベーションを高める戦略
エンゲージメントの向上はモチベーションの向上にもつながります。エンゲージメントが高い状態では、従業員は自分の仕事がどのように役に立っているのかを理解したり、新たな価値を見出したりできるでしょう。自分は価値のある仕事をしているという意識は働きがいにつながります。高いモチベーションを保ち、前向きな姿勢で仕事に望めるようになるでしょう。
エンゲージメントメリット3.離職率の低下
エンゲージメントを高めるための取り組みは、離職率を下げることにも役立ちます。エンゲージメントの向上によって、従業員が会社への共感や仕事のやりがいを持ち、良好な人間関係や職場環境を実感できていれば、転職したいと思う可能性も少なくなるでしょう。
従業員のエンゲージメントが高まり成果が上がることで、会社も従業員に対して良い待遇を提示できるでしょう。こうした流れが離職率の低下を後押しすることも考えられます。
エンゲージメントメリット4.社内の情報共有の円滑化
エンゲージメントを向上させることで職場の雰囲気や人間関係の向上が期待でき、社内のコミュニケーションも豊かになるでしょう。日頃から話をしやすい雰囲気があれば、従業員同士のよりスムーズな情報共有や協力も期待できます。わからないことや確認したいことも気軽に確認できる関係の中では、認識の齟齬や伝達ミスも減らせるでしょう。従業員同士の信頼関係を強化することにもつながります。
モチベーションとは
モチベーションとは、従業員が仕事に対して持つ「やる気」を意味します。モチベーションを上げるには、自分自身や他の従業員、チームなどに対する「動機付け」が必要です。動機付けを行う方法には、以下のものが挙げられます。
- 仕事の意味を理解する・させる
- 情熱を持って仕事に取り組む
- 組織やチームを活性化させるよう働きかける
これらの取り組みによって、従業員は仕事にやりがいを感じ、意欲的に取り組むようになります。動機付けによってやる気に満ちており、意欲的に仕事に取り組んでいる状態を「モチベーションが高い」と表します。
モチベーションが下がる主な原因は、仕事や会社、人間関係などへの不満です。待遇や職場環境に関する不満は、会社が改善に向けて施策を行うことで解消でき、従業員のモチベーションを上げられるでしょう。
モチベーションを向上させるメリットは2つ
モチベーションを高めることで期待できるメリットには、以下のものがあります。
- 生産性の向上
- 職場の雰囲気の改善
- 離職率の低下
これらはエンゲージメントを向上させるメリットにも含まれます。会社への愛着心であるエンゲージメントに加えて、仕事へのやる気であるモチベーションを高めることで、より大きな効果が期待できるでしょう。モチベーションの面から、2つのメリットについて見ていきましょう。
モチベーションメリット1.生産性が向上する
従業員のモチベーションが上がることによって、生産性の向上が期待可能です。モチベーションが高い状態であれば、従業員は仕事に意欲的に取り組めます。
仕事に積極的に取り組むことで課題を発見し、課題を解決する中でコスト削減による効率化が実行可能です。さらに、短時間でより多くの仕事をよりこなせるようにもなります。結果的に、生産性の向上により高品質な仕事を期待できるようになり、会社も成長できるでしょう。
モチベーションメリット2.職場の雰囲気が改善される
モチベーションが高く前向きな職場は、人間関係も良好になりやすく雰囲気もいいものです。一人のモチベーションが上がると、周りの従業員にも影響を及ぼします。モチベーションの高い従業員に触発されて、「自分も頑張ろう」という気持ちになる従業員もいるでしょう。
職場全体の士気が上がれば雰囲気も良くなり、職場の風土として前向きで明るい雰囲気が定着してきます。さらに生産性が上がって成果が出るようになれば、職場の結束や信頼関係がより強固なものとなり、職場の雰囲気がさらに良くなるというサイクルができるでしょう。
エンゲージメント・モチベーションを理解するために知っておきたい2つの概念
エンゲージメントやモチベーションのほかにも、会社と従業員の関係性を表す言葉があります。ここでは、混同されやすい2つの概念「従業員満足度」と「ロイヤリティ」について解説します。
異なる概念を知ることで、エンゲージメントやモチベーションを正しくとらえることにつながるでしょう。「エンゲージメントを高めたいのに、現在の取り組みは従業員満足度を上げるだけのものだった」などの気付きを得られれば、目指すべき方向へ軌道修正するためにも役立ちます。会社と従業員の間にある概念を明確に区別しておきましょう。
エンゲージメントと従業員満足度の違いとは
従業員満足度とは、その会社で働くことに対する従業員の満足度のことです。報酬や福利厚生、職場環境や人間関係、業務内容ややりがいなど、会社に属することで生じるあらゆるものについての満足度を表します。
エンゲージメントは、会社と従業員との間に双方向性のある関係のことでした。一方で従業員満足度とは、従業員が会社や仕事に対して抱く満足度のことです。具体的には、給与や福利厚生、仕事内容、職場環境などに対する満足度を示します。従業員満足度を向上させるためには、会社の取り組みが重要なカギとなります。ただし、従業員満足度が高いからといって、エンゲージメントが高いとは限りません。給与や福利厚生などの条件が整っていても、仕事内容や職場環境に不満があれば、エンゲージメントは高まりません。
エンゲージメントとロイヤリティの違いとは
ロイヤリティとは、「忠誠」「愛着」などの意味を持つ言葉です。ビジネスにおいては、従業員の会社に対する「忠誠心」や「帰属意識」を表します。
会社に対する従業員の思いや意識が関係する点では、エンゲージメントとロイヤリティは共通しています。しかし、2つの意味合いは異なるものです。ロイヤリティは従業員が会社に対して忠誠心や愛着心を持つことです。一方で、エンゲージメントは業員が会社に対して積極的に貢献する意欲の高さを表します。
エンゲージメントが高い従業員は、会社に対して積極的に貢献したいという意欲を持っており、仕事にやりがいを感じています。一方、ロイヤリティが高い従業員は、会社に対して忠誠心や愛着心を持っており、貢献したいと考えています。
エンゲージメントを向上させる4つの方法
従業員の会社へのエンゲージメントを高めるためには、会社の取り組みが必要です。具体的には以下の4つの方法があります。
- 会社の理念やビジョンを明確にする
- コミュニケーションを活発にする
- 働きやすい環境をつくる
- こまめに感謝を伝える
会社全体で理念やビジョンを共有し、より前向きな風土や職場環境をつくることが大切です。一つひとつの方法について見ていきましょう。
1.会社の理念やビジョンを明確にする
従業員が会社に貢献したいと思うためには、会社の理念やビジョンを理解し、共感することが重要です。従業員が会社の取り組みの意味や在り方を理解していなければ、会社に共感することは難しいでしょう。従業員が会社の目指すものを知ることで、自分の仕事がどのような意味を持つのかがわかり、価値を実感できます。
会社の理念やビジョンは、会社の目指す姿や価値観を示しています。従業員がこれらのことを理解することで、自分の仕事が会社の目標達成にどのように貢献するのか、そして自分の仕事にどのような意味や価値があるのかを理解することができます。そのため、会社は理念やビジョンを従業員に正しく伝え、理解や共感を得ることが重要です。また、状況に応じて会社の目指すものが変わることもあるため、理念やビジョンの達成状況や現状について、従業員に対して継続的に伝え、全体に浸透させていくことも必要です。
2.コミュニケーションを活発にする
従業員のエンゲージメントを上げるには、スムーズなコミュニケーションが大切です。周囲の人と気軽にコミュニケーションが取れることや、自分が参加している・認められているという感覚は、エンゲージメントの向上に役立つでしょう。
コミュニケーションが活発に行われることで、従業員は自分の意見や考えを自由に伝えることができ、仕事に対するモチベーションややりがいが高まります。また、コミュニケーションを通して、衆院も人との関係を築き、会社への帰属意識を高めることにもつながります。
会社は従業員同士のコミュニケーションを促進する取り組みを積極的に行うことが重要です。具体的には、社内イベントやミーティングを開催する、上司と部下が定期的に面談するなどの方法が挙げられます。また、コミュニケションは一方通行ではなく双方向で行われることが大切です。従業員の意見やアイデアを積極的に聞き、それらを反映した取り組みを行うことにより、従業員のエンゲージメントをさらに高められるでしょう。
3.働きやすい環境をつくる
心身共に働きやすい職場環境をつくることも、エンゲージメントの向上のためには必要です。いくら価値のある仕事をしていても、心身が疲弊してしまえば働き続けることはできません。
そのため、会社は従業員一人ひとりに合ったゆとりのある柔軟な働き方や、ワークライフバランスの実現を考えることが大切です。具体的には、以下の取り組みが挙げられます。
- 残業時間の削減や有給取得の促進
- テレワークや時差出勤などの柔軟な働き方の導入
- 福利厚生の充実
- メンタルヘルス対策の実施
従業員の働きやすさに対するサポートを行うことで、エンゲージメントの向上が期待できます。
4.こまめに感謝を伝える
感謝や称賛を気軽に送り合える環境が職場にあれば、従業員のエンゲージメントも高まります。自分の仕事の価値や努力が認められれば誰しも嬉しいものです。お互いに認め合い、感謝や称賛などの前向きなコミュニケーションのできる環境を整備することが大切です。
こうした環境があれば営業はもちろん、バックオフィス業務などの成果が目立ちにくい業務にもスポットが当てられます。正当に評価されていると感じられれば、エンゲージメントだけでなくモチベーションの向上にもつながります。会社全体のコミュニケーションもより前向きになり、活発化するでしょう。
組織のカルチャーを変革させるためのプラットフォームであるUniposでは、従業員同士がオープンな場で感謝や称賛を送り合えます。たとえば、株式会社ホワイトプラスではUniposの導入によって、従来なら個人間で感謝を伝えるだけで終わっていたやり取りがオープンに行われるようになりました。些細な行いや感謝の気持ちが他の人にも自然と伝わるようになり、バリューの浸透にも役立っています。
「従業員のモチベーションを保てない」「従業員の活躍を把握できない」というお悩みにもUniposは役立つでしょう。事例の記事やエンゲージメント向上への活用例をぜひ参考にご検討ください。
エンゲージメント向上には、現場に埋もれた「ありがとう」の可視化が効く | 導入事例
チベーションを向上させる4つの方法
モチベーションはエンゲージメントと密接な関係があります。1つの方法を試すことで、エンゲージメントとモチベーションの両方が向上することもあります。そのため、エンゲージメントの向上を目指すならモチベーションを向上させるための方法も押さえておくといいでしょう。具体的な方法には以下の4つがあります。
- 待遇を改善する
- 人事制度を見直す
- 挑戦できる環境をつくる
- インセンティブを導入する
モこれらの方法を組み合わせることで、より効果的にモチベーションを向上できます。また、モチベーションの向上は、エンゲージメントの向上にもつながります。そのため、モチベーションの向上を目指すことで、相乗効果によるエンゲージメントの向上も狙えるでしょう。
1.待遇を改善する
モチベーションを向上させるために有効な方法の一つに、待遇の改善があります。待遇への不満はモチベーションの低下につながりやすいものです。同年代や同業他社と比べて、自分の待遇が良くないと感じれば、モチベーションは下がるでしょう。報酬や手当、福利厚生などについて、ヒアリングなども行いながら従業員の不満は何かを確認することが大切です。加えて、従業員一人ひとりが柔軟に働けるように、ワーク・ライフ・バランスを整えることも、モチベーションの向上に役立ちます。
具体的には、以下の取り組みを行うとよいでしょう。
- 給与や賞与の見直し
- 福利厚生の充実
- ワークライフバランスの整備
これらの取り組みを行うことで、従業員は会社に貢献しているという実感を得られ、モチベーションの向上につながります。
2.人事制度を見直す
明確な人事制度があれば、従業員はどのように努力すればいいかがわかり、モチベーションの向上につながります。そのため、自分の目標を定め、それに向けて努力しやすくなります。また、評価が待遇にどのようにつながるのかも明確にすることで、従業員はより前向きに業務を行えるでしょう。
人事制度があっても、透明性がなく正当な評価を受けられなければ、従業員は会社への不信感を抱いてしまいます。そのため、人事制度の整備と透明性のある運用はセットで行わなければなりません。従業員が納得できるような人事制度に改善し、周知することが大切です。
3.挑戦できる環境をつくる
従業員がやりがいを持って仕事に取り組むためには、挑戦できる環境を整えることが大切です。型にはまった作業やルーチンワークばかりでは、従業員のモチベーションが下がり、創意工夫も期待できません。「もっと頑張りたいのに思うような仕事ができない」という不満のもとにもなり、転職を考える可能性もあります。
希望する部署への異動や新たな挑戦となるプロジェクト、従業員のアイディアを活用する取り組みなどを採り入れると、従業員は意欲的に仕事に取り組めるでしょう。もし失敗しても過剰に責められないという安心感も必要です。ある程度の失敗は許容し、試行錯誤しながら前進するサイクルができるといいでしょう。
4.インセンティブを導入する
給与はモチベーションの向上に有効ですが、それだけでは不十分です。給与以外の非金銭的インセンティブを導入することで、従業員のモチベーションをさらに向上させられます。たとえば、表彰やオープンな場での称賛などが挙げられます。自分の仕事や努力が多くの人に認められた、誰かの役に立てたという実感はモチベーションにつながります。
表彰や称賛を受けていないほかの従業員も、努力や見えない頑張りが評価してもらえるとわかることで「自分も頑張ろう」という気持ちになるものです。インセンティブが当たり前のものとして会社に定着すれば、一人ひとりの意識の変革から会社の風土も一新されるでしょう。
まとめ
エンゲージメントとモチベーションの概念は異なりますが、エンゲージメントが高ければモチベーションも上がるなどの関連性があります。
モチベーションは仕事そのものに熱意があれば上がる場合もあります。しかし、会社への愛着や思い入れがなければ、モチベーションは下がりやすくなるでしょう。モチベーションを底上げして強化するためにも、エンゲージメントを向上させる取り組みは大切です。さらに、従業員満足度やロイヤリティについても理解し、従業員と会社との関係性はどのような状態なのか把握することも、正しくエンゲージメント向上を図るために役立つでしょう。
エンゲージメントとモチベーションの概念や違いを理解し、両方の向上を目指すことで、生産性を高めて変化に柔軟に対応できる会社の体質を作っていきましょう。