テレワークで生まれる”見えない組織” マネジメントのポイントは(ウェビナーレポート)

・2020年11月6日開催

・タイトル:「”見えない組織”のマネジメント~エンゲージメント低下の対応策~」

・登壇:株式会社NEWONE 代表取締役社長 上林 周平 氏、Fringe81株式会社 執行役員 兼 Uniposカンパニー社長 斉藤知明

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テレワークが定常化したことで、組織に様々な変化が訪れています。オフィスで全員が仕事をしていたときは把握できていた組織の状態や隣の人の仕事ぶりなどがわかりにくくなり、会社の”見えない組織化”が急速に進行しているのです。

そうした中で課題となるのが組織マネジメントです。これまでと同じやり方ではマネジメントがうまくいかず、従業員のエンゲージメントが低下してしまう恐れもあります。エンゲージメント・クライシスに陥らないためには、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。

今回、11月6日にUniposウェビナー「”見えない組織”のマネジメント~エンゲージメント低下の対応策~」を開催。大企業を中心にエンゲージメント向上をセンターピンに置いた組織開発・人材育成コンサルティング支援を行っている株式会社NEWONE 代表取締役社長の上林氏をお招きし、見えない組織をマネジメントする上でのポイントについてお話いただきました。

テレワークで低下しがちなエンゲージメントを向上するには”発信機会”を増やすのが重要

テレワークの普及によりコミュニケーションのあり方は大きく変化しています。

2020年3月にリクルートマネジメントソリューションズが行った調査によると、テレワーク環境で「感謝の言葉をかけたりかけられたりする機会」や、「同僚とお互いの仕事の進捗を気にかけ助け合う機会」が減少したという回答が目立つ結果に。

ウェビナーではこのアンケート結果をもとに、上林氏と斉藤によるディスカッションが行われました。

斉藤はまず、企業と従業員のつながりの強さを意味する言葉である「エンゲージメント」に着目しました。

「エンゲージメント」はもともとはマーケティング用語で、企業や商品、ブランドなどに対してユーザーが「愛着を持っている」状態を指す言葉です。企業とユーザーの「つながりの強さ」ともいえます。

転じて企業の組織・人事領域では、企業と従業員、仕事と従業員のつながりの強さや組織に対する自発的な貢献意欲、主体的に仕事に取り組んでいる心理状態などを意味する言葉として用いられています。「ワーク・エンゲージメント」や「従業員エンゲージメント」とも呼ばれます。

よく誤解されがちなのが、従業員満足度との違いです。従業員満足度は会社が従業員に与える給与や福利厚生などに従業員がどれだけ満足しているかという指標です。待遇には満足していても、従業員が組織に対して貢献意欲を持ち、主体的に仕事に取り組める状態にあるかどうかはまた別の問題なのです。

 

エンゲージメントについて、斉藤は「テレワークでは様々な”見えない”が発生する。たとえば上司にとって部下の行動が見えないとか、従業員にとって会社の方向性が見えないとか、メンバーにとってチームの困りごとが見えないといったことが挙げられる」と述べた上で、「組織状態が見えない環境においては、意図的に”つながり”を感じられるようなきっかけを作っていかなければエンゲージメントは低下するのではないか」と問題提起しました。

これに上林氏は「経営層や管理職は会社サイドとして”従業員に何を与えるか”を考えがち。そうではなく、会社と従業員が対等につながるためには、いかにメンバーが自発的に発信する機会を作るかが重要」と述べました。

エンゲージメントの低下にはテレワークによる環境の変化が大きく影響していると斉藤は分析します。

「今までの職場では、チームメンバーが隣にいるのが当たり前の環境でした。隣にいればその人が何をしているかが見えますが、テレワークでオンライン化したことで見えなくなってしまったのです」(斉藤)

テレワークによりコミュニケーションが減少すると共に情報量が減り、オフラインでは伝わっていた思いやりやリスペクトが伝わりにくい状況になってしまったのです。

こうした状況を打破するには、「最初は強制的にでもいいので、従業員が発信する機会を作ることが大事」だと上林氏は言います。

「弊社ではテレワークになったときから、全員が日報を書くようにしました。日報といっても内容は問いません。一行だけでもいいし、プライベートなことを書いても構いません。大事なのは発信機会を与えること。メンバーが発信することで、組織が今どういう状況にあるのかが見えてくるのです」(上林氏)

ここで注意すべきは「発信機会は対等であること」です。管理職からすると、どうしても日報を”部下からの報告”と捉えてしまい、聞き役に徹してしまいがち。しかし、それでは組織と従業員は対等とはいえません。管理職も従業員と同様、日報を書くなどして発信しなければならないと上林氏は言います。

ビジョンの共有と感情的コミュニケーションで一体感を醸成する

次に斉藤が着目したのが、コミュニケーションの種類です。コミュニケーションには論理的なものと雑談など感情的なものがありますが、テレワークになったことで業務上のやりとり――論理的コミュニケーションに偏っているのではないかと斉藤は述べます。

 

これに対して上林氏は「感情的コミュニケーションの場作りが大事」とした上で、「弊社ではオンライン会議の最初にアイスブレイクを入れることにしており、入れることでメンバー間の距離が近づく」とコメント。ただし、注意すべきは「なぜアイスブレイクをする必要があるのか」をリーダーがメンバーにきちんと伝えておくことであり、そうしないと雑談を”面倒”だと感じてしまうメンバーも出てくる可能性があるのだと言います。

「リモートハラスメントも問題として出てきています。誤解を避けるためにも、(何かを新たに始めるときは)何のためにそれをするのかをしっかりと伝えることが大事です」(上林氏)

一方で、「コミュニケーションがオンラインになったことで、論理的コミュニケーションと感情的コミュニケーションを分けられるようになったのはメリットでもある」と斉藤は述べます。

かつてのオフィスワークのように、論理的コミュニケーションと感情的コミュニケーションが区別なく入り混じっているような状態だと、本来なら論理的コミュニケーションに終始すべき会議に感情的コミュニケーション(雑談など)が混ざることで、会議が無駄に長引いてしまうような事態も見受けられたからです。

オンラインになると論理的コミュニケーションと感情的コミュニケーションが分離しやすくなるため、会議もしっかりと時間通り終わることがやりやすくなったと斉藤は分析します。

ただし、そのまま感情的コミュニケーションが失われると、メンバーは目の前の仕事をこなしていればそれでいいという状態になり、組織としての一体感やコラボレーションがなくなってしまう恐れもあります。

では、どうすればいいのでしょうか。鍵を握るのは「ビジョンの共有」だと上林氏は言います。

「チームとは共通の目標に向かうための集団です。こんなチームでありたいというチーム像を共有できていることが大切です。オフィスワークではお互いの仕事も見えるし、何のために仕事をしているのかがわかりやすいのですが、テレワークではそれが見えにくくなります。ですから、上司が自分の言葉でどんなチームでありたいかをメンバーに伝えることが大事なのです」(上林氏)

これに斉藤も同意し、「同じ方向を向くことは簡単そうで難しい。土台になるのは”見える”ということ」と述べ、特にテレワークではいかにお互いの仕事や貢献を可視化していくかがポイントになると述べました。

リーダーには”メンバーの一番のフォロワー”になることが求められている

ここまでのディスカッションで何度も語られてきたように、一体感を醸成しコラボレーションが生まれるチームになるためには、リーダーの役割が非常に重要です。

この点について斉藤は、「これまでの”見える組織”ではリーダーの役割は”目的を示す”ことだったが、テレワークのような”見えない組織”では”目的を繰り返し伝えてメンバーにとって一番のフォロワーになる”こと」だと意見を述べます。

さらに「意思決定をして責任を取るのは大変で、リーダーは疲弊しやすい」と課題を挙げ、「経営層がリーダーのフォロワーになってやるべき」と解決策を示しました。

斉藤の意見に対して上林氏は「リーダーはできるだけ情報をオープンにするスタンスが大事」だとコメント。心理学の”返報性の法則”を例に挙げ、「メンバーに本音を出してほしいならリーダーから出す必要があるし、メンバーに自発的に行動してほしいならリーダーが行動するべき」と述べました。

そして、「(コロナが収束した後も)以前のスタイルに戻そうとするのではなく、新しいコミュニケーションやマネジメントのあり方を作っていこうとする意識が今後は大切になってくる」(上林氏)と述べ、ウェビナーを締めくくりました。

* * *

テレワークの定常化により、多くの組織は互いの行動や存在が感じにくい「見えない組織」へと変化しています。これまでとは異なる形のコミュニケーションが主流になっていく中で、マネジメントのあり方も大きく変わっていくことになります。

どのような点に注意して組織マネジメントを行っていけばいいのか、頭を悩ませているリーダー層や経営層にとって様々な学びが得られたウェビナーになったのではないでしょうか。

<登壇者プロフィール>

株式会社NEWONE 代表取締役社長 上林 周平 氏

大阪大学人間科学部卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。官公庁向けのBPRコンサルティング、独立行政法人の民営化戦略立案、大規模システム開発・導入プロジェクトなどに従事し、2002年、株式会社シェイク入社。

企業研修事業の立ち上げを実施し、商品開発責任者として新入社員〜管理職までの研修プログラム開発、新入社員〜経営層に対するファシリテーターや人事・組織面のコンサルティングを実施。

2015年より、株式会社シェイク代表取締役に就任。前年含め3年連続過去最高売上・最高益を達成。2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、エンゲージメントを高める支援を行う株式会社NEWONEを設立。プライベートでは、3児の父親で子育てに奮闘中。

米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー

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変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるための「Uniposウェビナー」とは

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働く仲間同士、異なる部門同士、企業と個人が相互理解を深めたら、組織はもっと強くなる。「あなたの組織を一歩前へ進めるUniposウェビナー」は、変化に対応できる強くしなやかな組織をつくるためのウェビナー。コロナ危機をきっかけに2020年5月開始し、毎回数百名の方にご参加いただいています。

組織課題解決やSDGsのプロ、識者、実践者を毎回ゲストにお呼びし、予測不可能な時代を生き抜く組織のあり方を共に考え、実践のヒントをお伝えします。みなさまお誘い合わせの上、お気軽にご参加下さいませ。

▼過去ウェビナー参加者様の実際の声

「経営陣や上層部に対してのアプローチに悩みを持っておりましたが、今回の講演で素敵なヒントをいただくことができました。どうもありがとうございました。​」

「今まで何度か同テーマのセミナーに参加しましたが、​一番腑に落ちる内容が多いセミナーでした。 ​又、参加させて頂きたく思います。」​

「いまプロジェクトを担当していますので本当に助かりました。」​

「いくつものヒントをいただけて、同じように悩んでいる方が大勢いることもわかりました。今は、さぁどこから手をつけようか、と前向きに考えています。」​

「目から鱗で感動しました。」​

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