
リフレッシュ休暇にはどんなメリットやデメリットがあるんだろうか?
リフレッシュ休暇は有給休暇とどう違うの?
リフレッシュ休暇は、社員に心身ともにリフレッシュしてもらうという意図から創設された休暇制度で、導入する企業が近年増えています。
この記事では、リフレッシュ休暇を導入する会社側のメリット・デメリットとともに、休暇を取得する従業員側のメリット・デメリットをご紹介します。
さらに、リフレッシュ休暇導入の3つのポイントもご紹介します。
リフレッシュ休暇導入を検討している企業や人事労務担当の方は、ぜひ参考にして、自社にふさわしいリフレッシュ休暇制度を創設してください。
1.リフレッシュ休暇とは?
年齢や勤続年数に応じて取得できる数週間〜数ヵ月の長期休暇のことを一般的にリフレッシュ休暇と呼んでいます。
リフレッシュ休暇は、年次有給休暇や育児休業といった法定休暇(法律で定められた休暇)とは異なり「法定外休暇(特別休暇)」に含まれます。
法律による規定はありませんので、企業判断で新たに制度を作り、導入する場合は事前に就業規則によって、対象者や休暇期間、有給にするかどうか等、条件を定める必要があります。
1-1.リフレッシュ休暇の導入状況
平成30年の厚生労働省の調査によれば、リフレッシュ休暇制度の導入企業は全体の12.4%となっています。さらに、その中で休暇中の賃金を全額支給(つまり有給扱い)している企業は97%、付与日数は平均で5.5日となっています。
この結果から、リフレッシュ休暇はほとんどの会社が有給休暇扱いで、平均6日程度の支給をしていることがわかります。
リフレッシュ休暇導入状況を会社規模で比べると、
1000人以上/47.6%
300〜999人/29.9%
100〜299人/18.2%
30〜99人/7.7%
となっており、企業の規模が大きいほど導入率が高い傾向が出ています。
出典:厚生労働省『平成30年就労条件総合調査結果の概況:結果の概要』
1-2.リフレッシュ休暇と有給休暇との違い
リフレッシュ休暇と有給休暇との大きな違いは、法律で定められた休暇か、そうでないかの違いです。
有給休暇は法定休暇なので義務となりますが、リフレッシュ休暇は法定外休暇となるので任意となります。よって、リフレッシュ休暇を導入する・しないは、企業側で選択することができます。
有給休暇は法律で定められているため、取得の条件等が定められていますが、リフレッシュ休暇は、会社ごとに任意で設定することができます。そのため、有給でも無給でもどちらでも構いません。
2.リフレッシュ休暇のメリット・デメリット
リフレッシュ休暇のメリット・デメリットを企業側の側面からと従業員側からの側面の両面で見ていきましょう。
デメリットは少なく、しっかりと対策を取っておくことができれば、ほとんど業務に影響は出ないでしょう。
2-1.企業側のメリット・デメリット
2-1-1.メリット
・従業員のメンタルヘルス対策
・従業員の離職防止対策になる
・新しいアイデアやイノベーションのきっかけに
・生産性の向上効果
・業務を引き継ぐ従業員の育成(休暇取得者が退職する場合)
・求人募集のアピールポイントにもなる
リフレッシュ休暇は比較的長期間取得できるので、従業員が心身をしっかりと休めることができ、メンタル不調を防ぐ効果や離職の防止に役立てることができることが会社側の最大のメリットでしょう。十分な休息は心身に良い影響を及ぼし、ストレスを解消して、仕事に対する意欲を高めてくれる効果もあります。
また、レアケースになりますが、休暇取得者がそのまま退職する場合には、別の社員が業務を引き継ぐことになるため、従業員育成の場になることもあります。求人募集の際のアピールポイントにすることもできます。
2-1-2.デメリット
・一時的に業務が滞る可能性も
・制度の浸透・取得率が上がるまでに時間を要する
リフレッシュ休暇導入のデメリットはあまりありませんが、制度を導入してから浸透するまでにある程度時間がかかることや、社内の重要な職務を請け負っている人がリフレッシュ休暇を取得することで、業務が滞ってしまう可能性があるというデメリットがあります。
制度の浸透に関しては、まず上司クラスが積極的に取得することで制度をアピールしたり、社内にリフレッシュ休暇取得を勧めるポスターを貼り出すなどして、休暇取得を促すような施策をとりましょう。
また、業務が滞るかもしれないデメリットに関しては、リフレッシュ休暇導入前に、組織やチーム内で業務負担の比重が人によって偏らないよう、バランスを取る対策を考えることが大切です。
2-2.従業員側のメリット・デメリット
2-2-1.メリット
・ワークライフバランスが向上する
・まとめて休暇を取得できる
・モチベーションの向上
・仕事が効率的に進められる
年末年始の休暇や夏休み休暇でなければ、3日以上の連続した休暇が取れないという会社は多いかもしれません。リフレッシュ休暇の場合、会社によって設定日数は様々ですが、かなり長期(平均日数5.5日)に休めるので、心身を休めるとともに、普段の休日にはできない趣味や旅行なども可能になるので、ワークライフバランスがとても良くなります。
長期に心身を休めることで、職場に復帰した後には仕事に対する意欲が高まり、これまで以上に仕事の効率が上がるというメリットもあります。
2-2-2.デメリット
・休暇前に引継ぎをする必要がある
・引継ぎやその準備に時間がかかる
・業種や勤務形態によっては休暇を取得しにくいケースもある
従業員側のデメリットは、業務内容によっては、リフレッシュ休暇中の業務を他の人に代わってもらうことが非常に難しいケースがあるということです。
このデメリット対策は、普段から個人個人の業務をブラックボックス化させないように、誰が一定期間休んでも業務が滞りなく進むような社内のシステムを構築しておくことです。専門性の高い業務の場合は、代替が難しいことが多いですが、顧客側にもリフレッシュ休暇のメリットを伝えて、従業員に対してリフレッシュ休暇取得に後ろめたさを感じさせないようにする工夫をしましょう。
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3.リフレッシュ休暇の導入事例
実際にリフレッシュ休暇を導入している企業の事例を見てみましょう。会社の個性が出ている休暇制度となっていることがわかります。これからリフレッシュ休暇を導入してみようと考えている会社は、ぜひ参考にしてみてください。
◉ヤフー株式会社(Yahoo! JAPAN)
サバティカル制度
勤続10年以上の正社員を対象に、2~3カ月の範囲で取得可能。休暇期間中、一定期間は会社が支援金を支給。
自らのキャリアや経験、働き方を見つめなおし、考える機会をつくることで、本人のさらなる成長につなげることを目的とした休暇制度。
◉株式会社ベネッセコーポレーション
2009年より「ベネッセ休暇」と称して10年ごとのリフレッシュ休暇を導入。当時は勤続10年目に特別休暇3日と支援金3万円を支給。勤続20年目は5日の休暇と支援金15万円を支給していた。
2012年には、勤続5年目から30年目までの5年刻み(計6回)に変更し、さらに取得日数を最低でも5日に増加、土日の週休日と合わせて合計9日の連続休暇を可能とした。
最高付与日数も旧制度の5日(勤続20年目)から15日(勤続30年目)へ大幅に増やしている。
ベネッセ休暇導入以降の取得率は、2009年度が89%、2010年度と2011年度はともに92%と9割前後で推移していた。社員が年間計画で休暇をスケジュールに織り込んで、期初に上司としっかり業務の見通しを立てることにより非常に高い取得率を出している。
ジンジュール “よく生きる”の実現を目指す「ベネッセ休暇」
4.リフレッシュ休暇を導入する際の3つのポイント
リフレッシュ休暇は導入しても取得してもらえなければ意味がありません。そこで導入の際の3つのポイントをご紹介します。
1.取得の条件を明確にして周知を図る
2.上司から積極的に取得させるように促す
3.休暇中の業務引継ぎをしっかりとおこなう対策をとる
せっかくリフレッシュ休暇を導入しても取得してもらえなければ「絵に描いた餅」になってしまいます。積極的に利用してもらえるように周知をしっかりと行いましょう。
4-1.取得の条件を明確にして周知を図る
リフレッシュ休暇は、勤続「5年目」「10年目」「30年目」といったように、一定期間経過している従業員のみが取得できるというケースが多く、取得できる日数も、「勤続3年目は5日」「勤続10年目は10日」などと、勤続年数の長さに応じて増加していくのが一般的です。
こういった条件を明確に定めても、従業員に周知をしないと、自分がリフレッシュ休暇取得の条件に当てはまっているのかわからず積極的に休暇申請をしてくれません。
給与支給明細票などに勤続年数を詳細に表示する、社内向けの広報やポスターなどで、リフレッシュ休暇の取得方法について積極的に知らせる、等の対策を取りましょう。
4-2.上司から積極的に取得させるように促す
リフレッシュ休暇を導入したら、上司クラスが率先して取得するようにしましょう。
休暇取得に関しては、リフレッシュ休暇以外の休暇であっても、部下が上司を差し置いて取得するのは申し訳ないと思ってしまうケースは多くあるので、特に「ごほうび休暇」とも言えるリフレッシュ休暇のような長期休暇は、上司が取得していないと部下は取得することを尻込みしてしまいます。
リフレッシュ休暇の場合、勤続年数が取得の条件になっていることがほとんどですから、上司クラスのは取得の条件に当てはまっている方が多いはずです。条件に当てはまっている上司は積極的にリフレッシュ休暇を取得しましょう。
4-3.休暇中の業務引継ぎをしっかりとおこなう対策をとる
休暇中の業務引き継ぎは、操業を滞らせないためにしっかりと行いましょう。
休暇中の業務引き継ぎを簡単に行えるようにする一番効果がある対策は、属人化を止めることです。属人化とは、業務を担当しているその人にしかわからない、できない業務がある状態で、情報が共有化されず、担当者が急に仕事を休んだり、突然辞めてしまうことで業務に多大な支障を及ぼすのです。
これまで属人化傾向が高い組織だった場合は、リフレッシュ休暇導入をきっかけにして、システムで動く組織に変更を行いましょう。
マニュアルを作って、仕組み化をし「いつ、どこで、誰がやっても同じ成果を出せる組織」に作り変えることで、リフレッシュ休暇が取りやすくなるだけでなく、引き継ぎも楽に行えるようになります。
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5.まとめ
リフレッシュ休暇は、年齢や勤続年数に応じて取得できる数週間〜数ヵ月の長期休暇で、「法定外休暇(特別休暇)」になります。
法律による規定はなく、企業判断で新たに制度を作り、導入する場合は事前に就業規則によって、対象者や休暇期間、有給にするかどうか等、条件を定める必要があります。
最後にリフレッシュ休暇のメリットを復習しておきましょう。
◉会社側のメリット
・従業員のメンタルヘルス対策
・従業員の離職防止対策になる
・新しいアイデアやイノベーションのきっかけに
・生産性の向上効果
・業務を引き継ぐ従業員の育成(休暇取得者が退職する場合)
・求人募集のアピールポイントにもなる
◉従業員側のメリット
・ワークライフバランスが向上する
・まとめて休暇を取得できる
・モチベーションの向上
・仕事が効率的に進められる
リフレッシュ休暇導入を検討している方は、ぜひ自社ならではと言えるようなリフレッシュ休暇を導入して、社内の活性化を図ってください。