
モチベーションは仕事をする中で大切な要素であり、モチベーションの高さが成果につながることも多くあります。モチベーションを高く持つことは難しいものですが、セルフモチベーションを実践することでコントロールできます。
個人だけでなく、組織においてもモチベーションは重要です。一人ひとりのモチベーションが高ければ、組織の雰囲気も前向きなものとなり、従業員の自発的・積極的な行動が期待できます。
本記事では、モチベーションをコントロールするセルフモチベーションについて、実践方法や知っておきたい効果、組織におけるモチベーションの高め方を解説します。
セルフモチベーションとは

セルフモチベーションとは、自分でモチベーションをコントロールする技術のことです。セルフモチベーションを行うことで、高いモチベーションを維持して目標の達成のために行動できます。
初めはモチベーションが高くても、時間の経過やマンネリなどによってモチベーションが低下したという経験のある方は多いでしょう。しかし、とくに仕事においては遂行することや成果を出すことが求められるため、モチベーションに引きずられてパフォーマンスを落とすことは避けたいものです。
そこで役立つのがセルフモチベーションです。モチベーションを成り行きに任せるのではなく、モチベーションを自分でコントロールし、高い状態を維持して物事を行えればさまざまなメリットを得られます。
モチベーションに影響する3つの法則

モチベーションにはさまざまな要因が関係しています。どのようなきっかけでモチベーションが変化するのかを知ることで、セルフモチベーションに活かせるでしょう。モチベーションの変化に関する主な効果には、以下の3つがあります。
・サンクス効果
・ロールモデル効果
・ピグマリオン効果
どれもモチベーションをコントロールする手掛かりとなるでしょう。3つの効果を一つずつ紹介します。
1.サンクス効果
サンクス効果は、他人から感謝や評価を受けることで、モチベーションやパフォーマンスが上がる現象です。
他人から感謝されれば、多くの人が嬉しさを感じるでしょう。さらに、具体的にどのような点がよかったのかがわかれば、自分の強みとして強化したり、喜ばれるような行動を起こしたりするなど前向きな行動につながりやすくなります。
とくに上司から部下へ感謝や評価を伝えることで、部署全体の士気が上がる可能性は高いです。それに触発されて、気軽に感謝を伝え合う姿勢が定着すれば、お互いにモチベーションを高め合う風土となり、好循環を生み出します。
2.ロールモデル効果
ロールモデル効果は、他人の行動や態度に触発されて、自分の行動や態度、価値観などが変わる現象です。
人は他人を模倣しようとする傾向があります。模範となる人物やとくに優れた能力や成果を出す人物が身近にいれば、知らず知らずのうちにロールモデルとなり、行動や思考に大きな影響を与えるでしょう。
他人の成功や挑戦を目にすることでモチベーションは上がります。そのため、活発な雰囲気の中に身を置くことも、モチベーション向上に効果的です。モチベーションが上がらないときに、他人のよいところや見習いたい点を探すことでモチベーションの向上を図ることもできるでしょう。
3.ピグマリオン効果
ピグマリオン効果は、他人の期待が自分の行動や結果に影響を与える現象です。
期待されている、信頼されていると思うとやる気が出てきたという経験のある人も多いのではないでしょうか。人は期待されると応えようとし、期待に沿った成果をあげる傾向があります。
他人からの期待によって自己肯定感や自己効力感が高まることで、能力やパフォーマンスも向上すると言われています。期待や信頼感があれば気軽に伝えてみるといいでしょう。
ただし、過度な期待や理想の押し付けは相手にとって負担になることもあり、モチベーションが下がってしまうことも考えられます。相手のよいところが伸びるように促すような、自然な声掛けを心がけましょう。
セルフモチベーションとセルフマネジメントとの違い

セルフモチベーションと混同されやすい「セルフマネジメント」は、自己管理を意味する言葉です。自分の能力を最大限発揮するために、仕事の進捗や自分の体調・精神状態、スケジュールやプライベートなど、あらゆるものを自分で管理することを指します。
セルフマネジメントにはモチベーションの管理、つまりセルフモチベーションも含まれています。セルフモチベーションはセルフマネジメントに内包されていると言えるでしょう。
セルフモチベーションの実践がもたらすメリット

モチベーションを維持することは簡単ではありません。しかし、セルフモチベーションを身に着ければ、さまざまなメリットを得られます。
外的要因に左右されず、常に一定のモチベーションで行動して成果を出せれば、周囲からの評価を得られ、今後の信頼関係にもつながります。それによって自身のモチベーションがさらに上がり、よい循環を生み出せるでしょう。
周りに左右されず仕事を遂行できる
セルフモチベーションによって、外的要因に関わらず自分のモチベーションを維持できます。モチベーションが下がってしまうと、集中力を持続できず業務の質が落ちるなど、悪影響を及ぼすでしょう。モチベーションを高く維持するセルフモチベーションを実践することで、モチベーションの低下を防ぎ、安定した行動や成果が期待できます。
評価が上がりやすくなる
セルフモチベーションを行い、常に安定して行動し成果を出し続けられれば、周囲からの評価を得やすくなります。期待が集まれば、前述したピグマリオン効果によってさらなる活躍ができるでしょう。
成果につながらなくても、状況にかかわらずモチベーションを維持して努力する姿は、周りの従業員にもよい影響を与えます。そして、自分に自信や誇りを持って業務に望めるでしょう。
信頼関係の構築につながる
モチベーションをコントロールして仕事をすれば、スムーズな業務の遂行や目標の達成ができ、「あの人に任せれば大丈夫」と周囲に信頼されるようになるでしょう。
成果や期待から、さらなる業務や相談を受けることもあるかもしれません。セルフモチベーションを含めた努力が周囲に伝わり、強い信頼関係の構築が期待できます。
セルフモチベーションを行う高める方法

セルフモチベーションは誰でも実践でき、特別な技術は不要です。具体的には以下の方法があります。
・具体的な目標設定
・ロールモデルの設定
・健康管理
・リスクと解決策の把握
目指すべき目標やロールモデルを定め、不測の事態にも落ち着いて対応できるように備えておくことがモチベーションを乱されないためには大切です。さらに、心身ともに健康でなければ気持ちも弱くなり、行動する体力を維持できません。これらの方法を試しながら、セルフモチベーションを実践しましょう。
具体的な目標設定をする
セルフモチベーションにまず必要なことは目標を立てることです。目標がないと何を目指すべきかがわからなくなり、モチベーションを維持しにくくなります。目標は抽象的なものでなく、数値や行動の内容など具体的なものにするとよいでしょう。達成する期限を決めることもモチベーションにつながります。
目標を達成できないことはモチベーション低下の原因となるため、現実的に達成できる目標を立てましょう。初めは小さな目標でも大丈夫です。目標の大小にかかわらず、達成できたという成功体験を重ねれば自信やさらなるモチベーションにつながります。
さらに、達成できた喜びや周囲からの評価を得られ、モチベーションをいっそう上げられるでしょう。
ロールモデルを設定する
目標となる身近な人をロールモデルに設定することも、モチベーションの向上に有効です。ロールモデルの行動を観察したり、思考をまねたりすることで、目標の達成に近づくでしょう。
前向きな人の多い環境の中に身を置くことも効果的です。前向きな人の姿勢や行動に刺激を受けることで、自分も努力しようという気持ちになります。さらに、後ろ向きな気持ちを抱きにくくなるでしょう。
心身ともに健康管理に気を配る
心身の健康はセルフモチベーションの土台です。心身が健康でなければ消極的な気持ちになったり無力感を抱いたりするでしょう。また、体力がない状態だと自分の能力を最大限発揮したパフォーマンスができません。セルフモチベーションを行う前提として、心身の健康管理にも目を向ける必要があります。
心も身体も健康でいるためには、健康的なライフスタイルを心掛けることが大切です。食事や睡眠・休息、運動の習慣など、日頃のライフスタイルを見直しましょう。
リスクと解決策を洗い出しておく
挑戦や行動をするときは、あらかじめリスクを洗い出して解決策を考えておくといいでしょう。失敗した場合の対策方法がわかっていれば、必要以上に恐れたり尻込みしたりすることが少なくなり、前向きに行動できるようになります。「もし失敗してもこうすればよい」と思うことで、安心して物事に臨めるでしょう。
もし失敗してうまく対応できなくても、失敗から学べることはあるはずです。失敗を次の行動に前向きに活かせるよう、振り返りを行いましょう。
セルフモチベーションを行うコツ

セルフモチベーションの方法を実践しても、「自分ではどうしても気持ちを切り替えられない」と感じることもあるでしょう。モチベーションは感情と関わるため、完全にコントロールすることは難しいものです。
しかし、モチベーションの仕組みや自分の心のパターンを知っておくと対応しやすくなります。ときには第三者の力を借りてもいいでしょう。
ここでは、セルフモチベーションを行うにあたって知っておきたい、3つのコツを紹介します。
モチベーションが下がるパターンを把握する
モチベーションの仕組みを理解した上で、自分のモチベーションが下がるパターンをつかんでおくと、セルフモチベーションにおいても対応しやすくなります。
たとえば「睡眠不足の日はモチベーションが下がりやすい」など、具体的に振り返ってみると人によってさまざまなパターンが見つかるでしょう。モチベーションが下がるパターンを理解していれば、なぜモチベーションが上がらないのか悩むことも減るでしょう。
モチベーションが上がらなくても自分を過度に責めず、「こういう傾向があるから仕方ない」と割り切ることも時には必要です。また、なぜその場合にモチベーションが下がるのかを考察し、対策をあらかじめ考えておくといいでしょう。
下がったモチベーションを高めることは難しいものです。そのため、モチベーションが下がる状況にならないように考えておくことも有効です。
モチベーションの仕組みを理解する
モチベーションをコントロールするには、仕組みの理解が欠かせません。モチベーションにつながる動機付けは、大きく分けて以下の2つがあります。
外発的動機
・外部からのきっかけがモチベーションにつながる場合(指示・報酬・罰など)
・「~しなければならない」「~すべきだ」
・外部からの要因によって動かされているため即効性はあるが、自発的ではない
内発的動機
・自分の内側から生じるものがモチベーションにつながる場合(使命感・興味・関心・意欲など)
・「~したい」
・自分の意思や勘定に基づいて自発的に動くため、モチベーションが長続きする
外発的動機に比べると、自分の内面から出る内発的動機の方が自分のこととしてとらえやすく、モチベーションを持続しやすい傾向にあります。そのため、内発的動機を増やすことでモチベーションを維持しやすくなるでしょう。
外発的動機に対して自分の考えを深め、内発的動機と結び付けてモチベーションを上げることもできます。しなければならないことが自分の使命や興味などに結びつけられないか考えてみましょう。
第三者から評価してもらう
第三者から評価してもらうことで、モチベーションは高まります。反対に、自分の行動が正当に評価されなければモチベーションは下がるでしょう。社内の評価体制が整っていれば定期的に評価を受けられますが、頻繁に受けられない場合も多くあります。そのため、日頃からの何気ない会話の中で、他の人に評価を求めてみてもいいでしょう。同僚に話して意見を求める、目標に対する評価基準を設けて上司に評価をお願いするなどの方法があります。
組織でモチベーションを高めるためにできること

従業員一人ひとりのモチベーションを高めることで、組織のモチベーションも上がります。そのためには、組織全体でモチベーションの向上に取り組むとよいでしょう。
モチベーションを高めるために組織にできることは多岐にわたります。一人ひとりに対して細やかに行うべきことや、全体の目標設定や雰囲気づくりなど、さまざまな方法の中から組織に合ったものを試してみましょう。
1対1の面談を行う
上司と部下が1対1で話す機会を設けることで、日頃話せないことを共有できます。上司は知らなかった部下の想いを聞き、評価を見直すこともあるでしょう。部下は上司からの評価をあらためて知れたり、不安を解消できたりするかもしれません。
日々忙しく業務を行う中では、じっくり腰を据えて話をすることは難しいものです。面談の機会を設ければお互いに気付きを得られ、セルフモチベーションにも生かせるでしょう。
アンケートを行う
モチベーションの実態を把握し、反映させることもモチベーションの向上につながります。そのためには、従業員のモチベーションや会社への愛着、従業員同士の信頼関係などに関するアンケートを行うといいでしょう。
福利厚生や評価体制など、モチベーションを維持するために足りないことがわかれば改善の糸口も見つかります。
目標を設定する
個人のセルフモチベーションと同様に、組織のモチベーションを向上することにも、目標の設定が役立ちます。会社や部署全体で達成すべき目標を設定することで、従業員が同じ方向に向かって行動する風土を形成でき、モチベーションの向上につながるでしょう。
しかし、目標が高すぎるとモチベーションの低下を招きます。目標は高すぎず低すぎない、現実的に見て達成できるものを設定しましょう。状況によって目標を細かくする、新たな方向への目標を増やすなど、柔軟に変化させることも大切です。
エンパワーメントを強化する
エンパワーメントとは「力を与えること」を意味します。ビジネスの中では、裁量権を与えることや自律性を促進すること、能力を開花させることとして使われる言葉です。
従業員に裁量権とともに責任も適度に与えることで、「自分を信頼してこの仕事を任せてくれている」と感じ、主体的・能動的に行動しようとするでしょう。その中で新たな能力の獲得や成長が期待できます。
組織の中でエンパワーメントを強化することで、自分事として業務に取り組む従業員が増えるでしょう。モチベーションの高い従業員が増えれば、周りにもよい影響を与えると考えられます。その結果、組織全体が活発化するでしょう。
セルフモチベーションを実践する研修を行う
セルフモチベーションに関する研修を行うことも一つの方法です。
従業員の中には、セルフモチベーションとは何か、どうすればいいのかがわからない人もいるかもしれません。セルフモチベーションの方法やモチベーションの仕組み、目標達成のコツなど、具体的なトレーニングを交えて取り組めるといいでしょう。
オンラインの研修であれば、従業員それぞれのペースで参加しやすく負担も少なくなります。業務と並行して、無理なくセルフモチベーションを身に着けられる体制をつくりましょう。
心理的安全性を担保する
心理的安全性を担保することで、モチベーションを外的要因に左右されずのびのびと仕事ができるでしょう。心理的安全性とは、組織の中でおびえることなく安心して行動や発言ができる状態のことです。自分の考えを伝えたり、想いに従って自発的に行動したりできる環境であれば、モチベーションも上がります。
「こう言ったら能力が低いと思われるのではないか」「今行動するのは邪魔に思われるのではないか」と従業員が感じる状態は、心理的安全性が低いと言えます。心理的安全性が低いと従業員が主体的に行動することは難しく、当たり障りのない言動にとどまったり、必要最低限のことしか行わなくなったりするかもしれません。
個人の心がけで心理的安全性を強化することは難しいため、従業員の心理的安全性を担保する環境を組織全体でつくっていく必要があります。
給与以外のインセンティブを与える
モチベーションの向上のために会社にできることの一つに、給与以外のインセンティブを与えることがあります。
たとえば、会社から貢献度の高い従業員へ表彰を行うことで、従業員は達成感や責任感を抱きます。多くの人の前で成果が認められ、「これからも頑張ろう」と感じることで、モチベーションの向上につながるでしょう。
また、従業員同士が称賛をおくり合える環境をつくることも会社としてできることです。役職や上下は関係なく、フラットに称賛をおくり合える場を設けることで、組織全体が前向きな雰囲気になります。その結果、組織全体のモチベーションを向上できるでしょう。
組織のお悩みを解決するシステム「Unipos」には、従業員同士が称賛をおくり合える「ピアボーナス」の機能があります。称賛をおくった人ともらった人の両方がポイントを受け取ることができ、貯まったポイントは会社が設定した報酬であるリワードと交換できる仕組みです。
このやり取りは当事者同士だけでなく、あらゆる従業員が見られるオープンな場で行われます。気軽に称賛をおくり合えるなかで従業員の心理的安全性も高まり、組織の活発な雰囲気づくりに役立つでしょう。
Uniposの詳しい内容はこちらをご覧ください。
https://unipos.me/ja/issuesSolve/psychological-safety
セルフモチベーションを組織に定着させる
セルフモチベーションを組織の風土として定着させるには、従業員一人ひとりがモチベーションをコントロールできるようになることが必要です。そのためには、これまでに挙げた方法を実践するとともに、人事評価制度にもモチベーションに関する要素を組み込むことが大切です。
近年注目されている「OKR」を採り入れることも、組織のモチベーションにつながります。OKRは目標の設定や評価を行う方法の一つであり、組織全体で取り組むものです。目標設定や評価のサイクルを短期間で回すことが特徴であり、目標に集中して取り組むことでモチベーションの維持が期待できます。目標の達成を重ねることで職場の士気が上がり、よい循環を生み出すでしょう。
セルフモチベーションを実践してのコントロールでより良い組織をつくろう

モチベーションの高い組織をつくるには、従業員一人ひとりのモチベーションと組織全体のモチベーションを考える必要があります。それぞれの従業員がセルフモチベーションを身に着けてモチベーションを高く維持すれば、組織全体のモチベーションも高まるでしょう。組織の方では、全体の目標を設定することや従業員のセルフモチベーションをサポート、評価体制や環境の改善など、さまざまな対策が必要です。
モチベーションの高さは業務効率や生産性につながり、活発で自発的な企業風土を生み出します。最終的には業績や利益にも結びつくでしょう。セルフモチベーションの定着したよりよい組織となるために、できることから実践してみましょう。
