
職場における「帰属意識」は、社員が安心して働き、主体的に貢献できる職場環境をつくるための重要な要素です。心理的安全性とエンゲージメントを高めるうえでも欠かせません。社員一人ひとりが組織の一員であると意識し、意欲的に業務に取り組む姿勢は、組織全体の成長に繋がります。
しかし、識別されない、あるいは孤立していると感じる従業員がいる場合、帰属意識は低下し、結果として組織全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、帰属意識を高めるための具体的な方法について、心理的安全性の確保、エンゲージメントの向上といった観点から詳しく解説します。また、実際に施策を導入し、成功を収めている企業の事例も紹介していきます。
帰属意識とは?心理的安全性・エンゲージメントとの関係を解説
本章では、「帰属意識」「心理的安全性」「エンゲージメント」それぞれの定義を解説し、それらが組織にどのような影響を与え、互いにどのように関連するかを明確にします。
各種企業事例や調査結果からも、心理的安全性やエンゲージメント施策の実施は、帰属意識の向上を通じて業績や離職率に大きく影響することが確認されています。これら3つの要素は相互に作用し合い、「組織の健全性の指標」としても重要です。
リクルートワークス研究所の「働く人の意識調査」(2023年)によれば、日本企業の従業員のうち「会社に強く所属していると感じる」人は全体の38%にとどまります。これは米国(55%)や欧州(49%)と比較しても低く、日本企業における組織の一体感や心理的安全性の課題を示しています。(出典:リクルートワークス研究所)
また、米Google社の「Project Aristotle」調査でも、心理的安全性が高いチームは生産性が向上し、離職率が顕著に低下することが報告されています。これらの研究結果は、心理的安全性が組織の信頼感を高め、帰属意識やエンゲージメントの基盤になることを示しています。
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リスクの種類 |
具体的な影響 |
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生産性の低下 |
個人のパフォーマンス低下、チーム全体の効率性低下、目標達成の困難化 |
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離職率の増加 |
優秀な人材の流出、採用・育成コストの増大、企業経営の圧迫 |
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イノベーションの停滞 |
新しい挑戦・提案の減少、競争力の喪失、長期的な成長の阻害 |
帰属意識とは?
社員が自らを「組織の一員である」と感じ、その組織に愛着や誇りを持ち、積極的に貢献したいと考える感情を指します。
高い帰属意識は離職率低下や生産性向上、顧客満足度向上に直結します。
心理的安全性とは?
社員が失敗や批判を恐れず、安心して意見やアイデアを共有できる職場環境のことです。
米Google社の「Project Aristotle」では、心理的安全性は高パフォーマンスチームの必須条件とされています。
エンゲージメントとは?
社員が組織や仕事に対して持つ自発的な貢献意欲や情熱を意味します。
心理的安全性と帰属意識が揃った環境では、エンゲージメントが高まりやすく、結果として業績向上やイノベーション促進につながります。
3つの要素の相互関係
リクルートワークス研究所の「働く人の意識調査」(2023年)では、日本企業で「会社に強く所属していると感じる」社員は38%にとどまり、米国(55%)、欧州(49%)より低い結果でした。
またGoogleの調査でも、心理的安全性が高いチームは離職率が低く、生産性が高い傾向が示されています。
これら3つの要素は相互に作用し、「組織の健全性の指標」として機能します。
帰属意識が低いとどうなる?エンゲージメント低下が招く3つのリスク

帰属意識の低下は必ずエンゲージメントの低下とセットで現れます。例えば、あるIT企業では組織改編後に帰属意識が低下し、半年で自主退職者が前年比1.8倍に増加しました。その後、心理的安全性向上施策を導入したことで離職率が改善した事例もあります。
リクルートワークス研究所(2023年)の調査でも、帰属意識が低い社員は高い社員と比べて離職意向が3倍以上高いことが分かっています。Gallup社(2022年)の国際調査でも、エンゲージメントが低い従業員は高い従業員より生産性が18%低く、欠勤率が37%高いという結果が出ています。
これらの調査や実例からも、帰属意識の低下は企業にとって深刻なリスクであることが明らかです。主な影響は次の3つに集約されます。
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離職率の上昇 – 優秀な人材の流出、採用・育成コストの増加
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生産性の低下 – モチベーション低下による業務効率悪化
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チームワークの崩壊 – 協力・情報共有の減少による組織力低下
これらを防ぐには、心理的安全性の確保とエンゲージメント施策が不可欠です。
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要素 |
概念 |
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心理的安全性 |
安心感 |
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帰属意識 |
所属感 |
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エンゲージメント |
貢献意欲 |
なぜ心理的安全性が帰属意識とエンゲージメント向上の鍵になるの

Unipos導入によって心理的安全性が高まった企業事例では、組織の一体感やエンゲージメントが高まり、組織文化そのものが変容しています。たとえば、アース製薬では「心理的安全性向上プロジェクト」を実施する中で、上司・部下間のコミュニケーションが活性化し、若手社員(35歳以下)の離職率が減少した実績があります。また、カクイチグループでは、Unipos導入後「感謝の文化」が定着し、売上が前年比132%に達するとともに称賛文化が醸成された事例もあります 。


帰属意識・心理的安全性・エンゲージメントを同時に高める3つの施策

帰属意識、心理的安全性、エンゲージメントは、それぞれ密接に関連し合う要素であり、これらを同時に高めることが組織全体のパフォーマンス向上に不可欠です。組織の基盤を強化し、持続的な成長を促すには、これら3つの要素に統合的にアプローチすることが効果的です。本章では、これらの要素を効果的に向上させる具体的な施策として、以下の3つのアプローチを紹介します。
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社員の貢献を可視化する施策:自身の仕事が組織に貢献していると実感できることは、承認欲求を満たし、組織への帰属意識を高めます。貢献が正当に評価される透明な環境は、心理的安全性を育み、社員の自発的な行動(エンゲージメント)を促進する効果が期待できます。
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理念浸透を加速する施策:組織の理念やビジョンを共有し、社員がその実現に向けて共通の目標を持つことで、一体感が育まれ、帰属意識が高まります。理念への共感はエンゲージメントを強化し、共通認識は安心して意見を交わせる心理的安全性をもたらします。
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多様な働き方を可能にする施策:個々のライフスタイルや価値観を尊重する柔軟な働き方は、社員が自分らしく安心して業務に取り組める環境を提供します。これにより心理的安全性が確保され、組織への信頼と強い帰属意識が育まれるでしょう。柔軟な働き方は、社員がより意欲的に業務に取り組む、エンゲージメントの向上にもつながります。
社員の貢献を可視化するピアボーナス(企業事例:GMOインターネット)
社員の貢献を可視化する施策として、「ピアボーナス」が注目されています。これは、社員同士が日々の業務における感謝や称賛を、専用のツールやアプリを通じてポイントや少額のインセンティブとともに送り合う仕組みです。「peer(仲間)」と「bonus(報酬)」を組み合わせた言葉であり、会社からの一方的な評価だけでなく、仲間からの相互評価が特徴です。
ピアボーナスは、数値目標だけでは測りにくい細やかなサポートや配慮といった行動も、感謝のメッセージとして可視化されます。これにより、社員は自身の貢献が正当に評価され、承認されていると実感できるでしょう。この貢献の可視化は、組織に以下のような好循環をもたらします。
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心理的安全性の向上: 感謝を伝え合う文化が醸成されることで、社員間のポジティブな人間関係が構築され、心理的安全性の高い環境が生まれます。
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エンゲージメントの向上: 自分の働きが仲間から認められることは、組織への貢献意欲、すなわちエンゲージメントを高めます。
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帰属意識の醸成: 仲間とのつながりや一体感を日々実感することで、組織への所属意識が強まり、帰属意識が育まれます。
企業事例としては、GMOインターネットグループが導入しているピアボーナス制度(旧称:GMOすごい人賞)が挙げられます。同社では、行動指針である「スピリットベンチャー宣言」に基づいた貢献を社員同士が称賛し合うことで、理念の浸透を加速させ、グループ全体の一体感醸成に成功しています。
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インナーブランディングとは、企業の理念やビジョンを社員に深く理解・共感してもらい、組織の内側からブランド価値を高める活動です。企業の目指す方向性と自身の業務が結びつくことで、社員は仕事への意義や誇りを感じ、エンゲージメントが向上します。共通の価値観を持つことで、組織への一体感や帰属意識が醸成されるでしょう。また、理念や行動指針が組織の「共通言語」として機能し、社員が安心して意見交換や挑戦できる環境を育むことで、心理的安全性が高まります。
具体的な施策としては、以下のようなものが有効です。
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社内報やイントラネットでの経営メッセージ発信
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理念を体現した社員のストーリー共有
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理念研修やワークショップの実施
例えば、ヤンマー株式会社では「HANASAKA」という価値観を浸透させるワークショップを通じて、社員の自発性を養っています。また、クレドカードの作成・配布も、理念浸透に役立つでしょう。これらの取り組みは、企業文化を醸成し、従業員のエンゲージメントと組織への所属感を強化します。
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男性が多い環境でも定着!社内の雰囲気が変わった |株式会社日阪製作所 様支援事例Unipos (ユニポス) | 人と組織の行動力を引き出し、カルチャーを変えるUnipos多様な働き方を可能にするワークライフバランス制度
ワークライフバランス制度は、「仕事と生活の調和」を目的とし、社員が私生活と仕事の双方を充実させられるよう支援する取り組みです。この制度によって会社が個人の生活や価値観を尊重していると感じることで、社員は安心感を抱き、企業への信頼や帰属意識が高まります。結果として、仕事に対する前向きな姿勢が生まれ、エンゲージメントの向上にもつながります。社員が長く安心して働ける環境は、定着率の向上にも貢献します。
具体的な制度としては、以下が挙げられます。
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フレックスタイム制
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リモートワーク
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時短勤務
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男性の育児休業取得推進
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副業許可
これらの制度は、社員一人ひとりの多様なライフステージや働き方に対応し、自律的な業務遂行を支えます。例えば、株式会社トリプルバリューでは、育児中のパート社員が働きやすいよう、出勤日数や時間を自由に選べる柔軟な勤務制度を整備しており、心理的安全性AWARDでゴールドリング賞を受賞しました。
ただし、制度を導入するだけでは十分ではありません。社員が制度を気兼ねなく利用できるよう、心理的な障壁を取り除くための風土作りが不可欠です。管理職が制度への理解を深め、制度利用がキャリアの不利益にならないという明確なメッセージを社内外に示すことが、その利用促進には極めて重要です。
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施策の成果と企業事例比較|日常的な承認がもたらす変化

前章でご紹介した「ピアボーナス」「インナーブランディング」「ワークライフバランス制度」の3つの施策は、それぞれ異なるアプローチを取りながらも、共通して「日常的な承認文化の醸成」という効果をもたらします。社員が日々の業務の中で認められ、感謝される機会が増えることで、自身の貢献が組織にとって重要であると実感できるようになります。このような承認の積み重ねは、心理的安全性を高め、組織への所属意識や仕事への意欲を向上させるため、まさに帰属意識とエンゲージメント向上の鍵となります。ここでは、各施策を導入した企業事例と、そこから得られた具体的な成果を比較して見ていきましょう。
以下は、各施策を導入した企業の事例と、そこから得られた具体的な成果を示したものです。
上記の表から、各施策がどのように「日常的な承認」として機能し、社員の行動や意識にポジティブな変化をもたらしたか、具体的に掘り下げていきます。
GMOインターネットグループではピアボーナス制度を導入し、社員同士が「GMOすごい人賞」として日頃の感謝や称賛をポイントで送り合える仕組みを構築しました。これにより、行動指針「スピリットベンチャー宣言」に基づいた貢献が可視化され、理念浸透と一体感の醸成に繋がりました。実際にGMOアドパートナーズでは、最高益の達成と離職率の低減を両立しています。
ヤンマー株式会社は、インナーブランディングの一環として、価値観「HANASAKA」を浸透させるためのワークショップを国内外で実施しました。社員は企業理念を自分事として捉え、自発的に業務改善に取り組むようになり、その結果、業務改善量が増加しました。
株式会社オリエンタルランドは、「顧客に夢と魔法を提供する」という理念を徹底するためのブランド教育プログラムを導入しました。これにより、社員一人ひとりがブランドを体現し、マニュアルに頼らずとも高品質な接客サービスを提供できるようになっています。
株式会社メルカリも、企業理念やビジョンの浸透に注力しており、特に採用ブランディングを通じて、理念に共感する人材の獲得に成功しています。
株式会社トリプルバリューは、育児中のパート社員向けの柔軟な勤務制度を整備しました。これにより、社員は自身のライフスタイルが尊重されていると感じ、心理的安全性が確保された結果、心理的安全性AWARDでゴールドリング賞を受賞しています。
これらの事例から見えてくる共通の成功要因は、「承認の可視化」と「継続性」です。単発的なイベントに留まらず、ピアボーナスのように日々の業務の中で互いの貢献を認め合う仕組み、インナーブランディングのように理念が常に意識される環境、ワークライフバランス制度のように個々の働き方が尊重される制度が、持続的なエンゲージメント向上には不可欠です。日々の業務に承認の仕組みを組み込むことで、社員は常に組織から必要とされていると感じ、結果として強い帰属意識が醸成されるでしょう。
FAQ|帰属意識・心理的安全性・エンゲージメントのよくある質問
これまでの記事では、社員の組織への愛着を示す「帰属意識」、安心して意見を交わせる「心理的安全性」、そして仕事への貢献意欲である「エンゲージメント」が、組織の成長に不可欠な要素であることを解説してきました。これら三つの要素は密接に関連し、互いに影響し合いながら組織力を高める鍵となります。
このセクションでは、これらの概念や、組織に導入すべき施策に関して、読者の皆様から特に多く寄せられる疑問に、FAQ形式でお答えします。帰属意識を高める具体的なメリット、心理的安全性と帰属意識の明確な違い、さらには小規模企業でも実践できる効果的な施策といったテーマについて、分かりやすく解説します。このセクションを通じて、各概念への理解を一層深め、貴社組織の課題解決に向けた具体的なヒントを見つけていただければ幸いです。
帰属意識を高めるメリットは?
帰属意識の高さは、企業に多くのメリットをもたらします。主なメリットは以下の通りです。
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従業員の離職率低下とそれに伴うコスト削減
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生産性の向上とチームワークの強化
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顧客満足度の向上と企業ブランドの確立
これらのメリットについて、具体的に見ていきましょう。
まず、従業員の離職率低下に大きく貢献します。組織への愛着が強い従業員は長期的に定着する傾向が見られます。実際、エンゲージメントが高い従業員は、そうでない従業員に比べて離職率が大幅に低いというデータもあります。これにより、労働人口が減少する中で長期的な人材確保が可能となり、一人当たり約100万円とされる採用費用だけでなく、新たな人材の採用や育成にかかるコストも削減できます。
また、帰属意識が高い従業員は「会社に貢献したい」という意欲が自然と高まります。自社への愛着が深まることで、受け身ではなく自発的に行動するようになり、仕事への熱意も高まります。これにより、個人の生産性はもちろん、チーム全体の業績向上にも寄与するでしょう。さらに、チームの一体感が醸成され、部署間の連携強化や円滑なコミュニケーションが促進されることも、大きなメリットの一つです。
さらに、従業員満足度の向上は、顧客へのサービス品質向上に直結します。従業員の定着率が1%上昇すると顧客満足度が0.5%上昇するという研究結果も出ており、顧客満足度が高まることで企業全体のブランドイメージや競争力の向上にも貢献します。
心理的安全性と帰属意識の違いは?
心理的安全性と帰属意識は密接に関連していますが、それぞれ異なる概念です。まず、心理的安全性とは、米国ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した心理学用語で、「組織やチームの中で自分の考えや価値観を安心して表現できる状態」を指します。これは、チームメンバーが失敗や批判を恐れることなく、率直に意見を述べたり、質問したりできる「環境」や「土台」となるものです。
一方、帰属意識とは、組織やチームに対する「愛着心」や「一体感」といった「感情」を意味します。これは、組織の一員であるという所属感や、その組織に貢献したいというポジティブな欲求を伴います。
この二つの関係性は、心理的安全性が帰属意識を育むための「土台」であると理解できます。心理的安全性が確保された環境では、社員は「ここにいても大丈夫だ」という安心感を抱くことができます。この安心感があって初めて、社員は組織への信頼を深め、「ここにいたい」「この組織に貢献したい」という強い帰属意識へとつながっていくのです。
心理的安全性と帰属意識の主な違いは、以下の表にまとめることができます。
小規模企業でも実践できる施策は?
大規模な予算や専門部署を持たない小規模企業でも、社員の帰属意識を高めることは十分に可能です。鍵となるのは、コミュニケーションの質と頻度を高めること。これにより、社員が「大切にされている」「組織の一員である」と感じられる環境を構築できます。
具体的な施策として、まず定期的な1on1ミーティングの実施が挙げられます。週に1回30分程度からでも始められます。経営層や上司が直接社員の声に耳を傾け、個人の貢献を承認する機会を設けることで、自身の業務が組織に貢献していると実感できます。実際、ある中小製造業(従業員50名規模)では、1on1ミーティングを導入した結果、離職率が年間25%から7%にまで低下した事例があります。
次に、低コストで導入できる感謝や称賛の仕組みも有効です。Slackのようなチャットツールに「感謝・称賛チャンネル」を設ける、あるいは紙の「ありがとうカード」を導入するといった方法が考えられます。建設業で社員数20名の企業では、この「ありがとうカード」の導入によって日々の感謝が可視化され、風通しの良い職場づくりに貢献しました。
さらに、経営状況や今後のビジョンを共有するための「全社ミーティング」を定期的に開催することも重要です。情報格差が解消され、組織への信頼感と一体感を育むことができるでしょう。
これらの施策は企業の規模を問わず実践しやすく、着実に社員の帰属意識向上につながります。
具体的な施策の例:
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定期的な1on1ミーティング
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低コストでの感謝・称賛の仕組み導入
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経営状況やビジョンを共有する全社ミーティングの定期開催
施策名
概要と効果
ピアボーナス
社員の貢献を可視化し、日常的な感謝を通じて心理的安全性を高めます。
インナーブランディング
理念への共感を促し、組織との一体感を醸成することでエンゲージメントを高めます。
ワークライフバランス制度
多様な働き方を認め、個々を尊重することで心理的安全性を向上させます。
まとめ|帰属意識は心理的安全性とエンゲージメントの上に成り立つ
本記事では、社員の「帰属意識」を高めることが、組織の持続的な成長においていかに重要であるかを解説しました。この帰属意識を育む上で不可欠な要素として、「心理的安全性」と「エンゲージメント」の密接な関係性を強調しています。社員が安心して意見を表明できる心理的安全性が確立されて初めて、組織への信頼感が深まり、自らの役割に対する意欲や熱意、すなわちエンゲージメントが高まります。この好循環が「この組織の一員でありたい」という強い帰属意識へと繋がります。心理的安全性は、まさに帰属意識とエンゲージメントの確固たる土台であると言えるでしょう。
Google社が実施した「プロジェクトアリストテレス」の調査でも、チームの成功には心理的安全性が不可欠であることが明らかになっています。これは、心理的安全性の確保がエンゲージメントを向上させ、ひいては帰属意識の醸成に貢献することを裏付けるものです。また、心理的安全性が向上することで、ある企業ではエンゲージメント指数が20%上昇した事例も報告されています。
このような好循環を生み出すための具体的な施策として、本記事では「社員の貢献を可視化するピアボーナス」「理念浸透を加速するインナーブランディング」「多様な働き方を可能にするワークライフバランス制度」の3つをご紹介しました。
帰属意識向上に貢献する主な施策
これらの施策は、社員が日々の業務の中で認められ、組織との一体感を実感できる機会を創出します。ピアボーナスによる日常的な感謝の可視化、インナーブランディングによる理念への共感、そしてワークライフバランス制度がもたらす個々の尊重は、それぞれ心理的安全性を高め、エンゲージメントを向上させることで、結果的に社員の帰属意識を深める有効な打ち手となります。
しかし、帰属意識の向上は一朝一夕に実現するものではありません。組織の文化を変革し、社員一人ひとりの意識を変えるには、継続的な取り組みが不可欠です。まずは、社員が失敗を恐れず、安心して意見を言える「心理的安全性」の確保から着手することが、組織変革の第一歩となります。経営層や管理職が率先して心理的安全性の重要性を認識し、社員の声に耳を傾ける姿勢を示すことで、組織全体に安心感が浸透し、それがやがて強い帰属意識と高いエンゲージメントへと結びつくでしょう。貴社の組織が、より強固な一体感と高い生産性を持つために、今日からできることを始めてみませんか。
