帰属意識とは?帰属意識を高める施策6つと低い原因、事例を解説

「組織サーベイの結果で帰属意識が低いと出た。実際うちの会社は帰属意識が低いと感じている。どうしたら高められるだろうか?」

「テレワークが続き社員の帰属意識が低下してきたように感じるが、どうしたらいいだろう?」

終身雇用制度の崩壊、個人のライフスタイルに合わせた多様な働き方の出現、コロナ禍により急激に普及したテレワークなど、

個人と組織を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中で「帰属意識」に改めて注目が集まっています。

冒頭で挙げたような課題を感じたことがある方も、決して少なくはないのではないでしょうか。

帰属意識を持って働く人は、組織に熱心に貢献し定着率も良い、とても頼もしい存在です。

一方で、帰属意識が低くなると仕事に対するモチベーション低下し、離職率が高まってしまう可能性もあります

社員が会社と一体感を持ち前向きに働き続けるには、帰属意識の向上が欠かせません。

今回は帰属意識の基礎的な意味の解説や、帰属意識が低下する原因、帰属意識を高めるための方法についてご紹介します。

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1.帰属意識とは

帰属意識とは、「特定の集団に所属しているという意識」のことです。

家族やコミュニティ、企業、国籍など、幅広い範囲を指します。

企業への帰属意識は、「企業の一員として所属している」意識ということになります。

企業への帰属意識が高いということは、企業への愛着があり、「がんばって貢献したい」という意識が自然と芽生えている状態だといえます。

また、企業そのものだけではなく、供給する商品やサービス、自分が所属する部署への帰属意識も存在します。

企業への帰属意識の持ち方は社員ごとに異なります。帰属意識が高い社員がいれば、帰属意識が低い社員もいるのです。

1−1.帰属意識が高いと定着率が上昇

 企業への帰属意識が高いと、仕事面において様々な好循環が生まれます。まず、企業への愛着があるため長期にわたって働いてくれる傾向にあり、離職率を低く抑えられます。

労働人口の減少により人手不足が叫ばれる昨今において、社員に帰属意識を持ってもらうことは、長期的な人材の確保にもつながるのです。

1−2.帰属意識の高さはモチベーションアップにつながる

 帰属意識が高いと、「この企業を支えたい」「部署のメンバーと連携して業績を上げたい」というように、仕事へ熱意が高まります。帰属意識の高い社員はモチベーションを高く持って仕事に臨むので、業績への貢献も期待できます。

組織の一員であるという意識により、部署内でのチームワークの向上にもつながるのです。

1−3.帰属意識が低いと離職率が高まる 

 反対に、帰属意識が低いとどうなってしまうのでしょうか? 

企業への愛着が持てず、仕事にもやりがいを感じにくくなるため、離職率が高まります。待遇面などもっと条件のよい環境で働きたいという思いが強くなるため、転職の意思決定も容易になるのです。

1−4.帰属意識の低さはモチベーションの低下に

 帰属意識が低くなると、仕事に対するモチベーションを維持するのが難しくなります。自分も組織の一員であるという意識が軽薄になり、仕事に対しても受け身になりがちです。帰属意識が低い社員は、自発的に行動することが難しくなってしまうでしょう。

2.社員の帰属意識が低くなる4つの原因

社員の帰属意識が低下してしまう原因としては、以下の4つが考えられます。

1.終身雇用制度の崩壊

2.成果主義の導入

3.勤務形態の変化

4.企業のビジョンが不明瞭

2-1.終身雇用制の崩壊

 終身雇用制の崩壊による雇用の流動化が、帰属意識を低下させてしまう原因の一つだとされています。

従来の日本企業では、就職してから定年まで働き続けることが一般的な価値観とされてきました。企業も社員もお互いに、安定して長く働き続けることを望んでいたのです。

しかし、バブル崩壊以降の日本社会は終身雇用制を持続させるのが困難になりました。

そのため成果主義を導入する企業が増え、年功序列が成立しなくなったのです。一つの企業で働き続けることが難しくなり、転職が当たり前になりつつある現代では、企業への帰属意識を高く持ち続けることが難しくなってきています。

2-2.成果主義の導入

 終身雇用制の崩壊と合わせて、従来の日本企業の基盤だった年功序列も見直されています。

長く働くことで昇進や昇給が期待できた時代とは違い、今は結果を大事にする成果主義が主流になっています。

成果を上げた分、給与に反映される成果主義によって、帰属意識や仕事へのモチベーションが上がる社員がいるはずですが、全員がそうとは限りません。

がんばって働いてもなかなか結果に結びつかず、給与など待遇面の改善が期待できない社員の場合は、帰属意識が薄れてしまうと考えられるのです。

2-3.勤務形態の変化

 働き方改革によって、労働者の働き方が大きく変化しています。働く時間を選べるフレックスタイム制の導入や、自宅でも仕事ができるリモートワークの推進など、社員全員が揃って同じ場所で働く機会が減りつつあります。

多様な働き方には子育て中の社員など、環境に合わせた仕事を選べるメリットがあります。

しかし、オフィスで顔を合わせる機会も減り、社員同士の交流が少なくなった結果、部署や組織への愛着が失われてしまい、帰属意識の低下につながることが懸念されているのです。 

2-4.企業のビジョンが不明瞭

 変化が目まぐるしい現代において、企業は幾度となく経営判断の軌道修正を迫られることが多くなっています。その過程で、社員に対して企業としてのビジョンを提示し、納得感を持ってもらえなければ、不信感へとつながってしまうでしょう。

「この企業で長く勤めても将来性がないのでは?」と思われてしまうと、社員の帰属意識は途端に低下してしまいます。

3.帰属意識を高めるための6つの施策

帰属意識の低下は、大切な社員の離職を招いてしまう恐れがあります。帰属意識を高めるための6つの施策をご紹介します。

1.インナーブランディング

2.社内のコミュニケーションの活性化

3.ワークライフバランスの推進 

4.社員エンゲージメントを高める

5.社内報の作成

6.クレドカードの作成・配布

 

3−1 1.インナーブランディング

 インナーブランディングとは、企業が社員に対して企業理念やビジョンなどを理解してもらうための啓蒙活動のことです。インナーブランディングは社内向けの書籍や動画、WEBサイトを使った方法で浸透させるケースが多くあります。

社員が自社について理解を深め、愛着を持つことで従業員満足度が向上。帰属意識が高まることで離職率の低下やモチベーションアップが期待できます。

3−2 2.社内のコミュニケーションの活性化

 社員同士で適度なコミュニケーションをとることは、帰属意識の向上に影響します。上司や同僚に対して親しみを持つことで、共に働きたいと思う気持ちが醸成されるのです。

社内のコミュニケーションの手段としては、部活の設立や、シャッフルランチ制度の導入により、部署を跨いだ社員同士の交流が活発化します。普段は見えてこない他部署の社員の働き方を知ることで、自然と愛着を持って企業と接することができるようになるでしょう。

3−3 3.ライフワークバランスの推進

 働き方改革が叫ばれる中、「ワークライフバランス」を推進している企業も多いでしょう。ワークワイフバランスとは、直訳すると「仕事と生活の調和」であり、「やりがいを持って働きながら、家庭においてもライフイベントに応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」とされています。

ワークライフバランスの推進によって労働時間の削減を行い、長時間労働によるストレスの問題などを改善していくことで、社員の多様な働き方を実現しましょう。社員が長く働ける、定着率の高い企業では、自然と帰属意識が高まる傾向にあります。

3−4 4.社員エンゲージメントを高める 

 「社員エンゲージメント」を高めるのも、帰属意識の向上に効果的に働きます。社員エンゲージメントとは、「社員が所属する企業と自分の仕事に熱意を持ち、貢献しようとする意欲」のことです。

社員エンゲージメントは、企業と社員の相互関係によって成り立つものです。企業と社員が理念やビジョンにおいて、同じ方向性を持つことができるようになります。帰属意識を高めるだけでなく、社員の成長にも期待が持てるのです。

他にも、社員エンゲージメントが高まることで自発的に行動する社員が増え、生産性の向上にもつながるとされています。

3−5 5.社内報の作成

 社内報の作成は社員の帰属意識を定着させるのに効果的です。社内報とは、社内の情報を記載した冊子やWEB媒体のことで、社員であれば誰でも閲覧できます。

社内報に掲載される経営層や社員向けのインタビューに目を通し、他の社員の考え方を知ってもらうことが帰属意識を高めるのに効果的です。社内の情報共有によって、社員同士の帰属意識が高まることが期待できます。

3−6 6.クレドカードの作成・配布

 クレドカードを作成し、社員に配布することで帰属意識を高める方法もあります。クレドとは、企業の信条や行動指針を簡潔に表現した言葉です。社員が仕事をする上での指針となります。

世界的にホテル事業を展開しているザ・リッツ・カールトンホテル カンパニー L.L.Cでは、クレドの内容をカード化して社員全員に配布しているのは有名です。社員はいつでもクレドカードを読むことができ、社内で自分に求めらていることを再確認。適切な接客へと活かされています。

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4 帰属意識の高い企業4社の具体例

社員の帰属意識が高い企業例として、4社をご紹介します。

・株式会社サイバーエージェント

・サイボウズ株式会社

・株式会社オリエンタルランド

・ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーL.L.C.

 

4−1 株式会社サイバーエージェント

 株式会社サイバーエージェントでは、人材の「採用・育成・活性化・適材適所」を重要視しています。社員ごとの資質を把握し、能力を最大限に発揮できるよう取り組んでいるのです。企業を挙げての取り組みは、20代~30代の若手社員が86%を占める同社において、離職率はわずか10.3%という高い定着率に現れています。

社員の成長を企業の成長として見据える施策により、社員の高い帰属意識を実現しているのです。 

4−2 サイボウズ株式会社

 「働きがいのある会社ランキング」に応募することで、第三者目線による評価を受けるなど、社員がやりがいを持って働ける環境づくりを行なう、サイボウズ株式会社。

社内だけで理念やビジョンの浸透を行うのではなく、外部の企業やユーザーからの評価を得ることで客観性を高めるなど、インナーブランディングに力を入れています。

4−3 株式会社オリエンタルランド

ディズニーブランド施設を運営する株式会社オリエンタルランドでは、社員やアルバイトなどのキャスト(スタッフ)に対し、決起集会である「キャストペップラリー」や、上司が感謝の意を伝える「サンクスデー・アンド・ウィーク」など、定期的にイベントを開催。

優れたパフォーマンスを発揮するキャストに対して手渡される、「ファイブスタープログラム」や、勤続年数に応じて記念ピンを贈呈する「サービス・アワードプログラム」などの制度が充実しているのが特徴です。キャストは高いモチベーションと帰属意識を持ち、日々の業務に取り組んでいます。

「就職四季報」2017年版によると、株式会社オリエンタルランドは2011年入社及び、2012年入社の社員の3年後離職率が0%という、高い定着率を誇っているのがわかります。

企業名

2012年入社:3年後離職率

2011年入社:3年後離職率

オリエンタルランド

0.0%

0.0%

 

出展:東洋経済オンライン・「就職四季報」2017年版(東洋経済新報社)

https://toyokeizai.net/articles/-/101430?page=2

4−4 ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーL.L.C.

 前の章でもご紹介した、世界的なホテル事業を展開する、ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーL.L.C. では、社員に対する研修制度や自己啓発、職能を向上させるための機会を数多く用意。

社員を内部顧客(インターナルカスタマー)として、顧客満足度を高めるための意見を積極的に取り入れる用意しています。これは「従業員満足度調査」と呼ばれ、社員の意見をもとに改善を行うなど、チームワークとコミュニケーションを重視し、尊重しあえる立場にしています。これにより、社員が自主性を持ち、自然と帰属意識が生まれてくるのです。

5 まとめ

勤務先の企業に所属する意識である帰属意識。終身雇用制から成果主義へと移行する中で、帰属意識の意味合いが従来のものから変化しています。

帰属意識が薄れた理由としては、以下の要素が考えられましたね。

・終身雇用制度の崩壊

・成果主義の導入

・勤務形態の変化

・企業のビジョンが不明瞭

転職が当たり前になった現代では、帰属意識の意味も変わってきています。離職率が低く、社員一人ひとりのモチベーションが高い企業は、総じて社員の帰属意識が高い傾向にあることがおわかりいただけたかと思います。

・インナーブランディング

・社内のコミュニケーションの活性化

・ワークライフバランスの推進 

・社員エンゲージメントを高める

・社内報の作成

・クレドカードの作成・配布

上記のような施策によって、社員の帰属意識を高めていくことが可能です。

また、ワークライフバランスの推進など、社員の働き方に多様性を持たせることで、自然と帰属意識が芽生えていくものです。帰属意識の高い社員たちの手によって、企業の更なる発展の可能性が開かれていくでしょう。

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