
近年、日本が直面する「労働人口の減少」や「働き方の多様化」などの課題に対し、企業は対応を求められています。
一方で「そもそも働き方改革とは何か」「なぜ・どのように対策に取り組むべきなのか」と疑問に思う方もいるでしょう。
そこで本記事では、それらの疑問を解消すべく、働き方改革について徹底解説します。
記事の最後では、働き方改革にまつわる課題の解決に役立つツールもご紹介していますので、併せてご覧ください。
目次
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]1.働き方改革とは?
いつから・なぜ働き方改革は始まったのか、どのような目的があるのか、働き方改革の基本をお伝えします。
1−1.いつから・なぜ働き方改革は始まったのか
働き方改革の要となる「働き方改革関連法」は、2018年6月に法案が成立し、2019年4月1日より順次施行され始めました。国は、働き方改革を「一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジ」と定義しており、これまでの日本で当たり前となっていた労働環境を、根本から見直す取り組みと位置づけています。
「一億総活躍社会」とは、以下の2つの観点からなる言葉です。
・少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持すること
・誰もが職場・家庭・地域で生きがいを持って活躍可能な社会のこと
一億総活躍社会を実現するためには、働く人々がそれぞれの事情に応じた多様かつ柔軟な働き方を選択できるようにすることが必要です。
また、働き方改革は大企業のみに向けられた課題ではありません。日本における労働環境を変えるためには、日本国内雇用の約7割を担う中小企業・小規模事業者の対応こそ重要となってくるでしょう。
参考:働き方改革のポイントをチェック! | 働き方改革特設サイト
1−2.働き方改革で目指す姿
働き方改革では、働く一人ひとりの事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会の実現を目指します。
そのためには、それぞれの企業においても、働く人々が意欲・能力を存分に発揮できる環境を整えるために以下のような姿を目指す必要があるでしょう。
・業務内容や枠組みを見直すとともに、ITを活用するなどして業務の生産性が向上している
・モチベーションやエンゲージメントを高めるための仕組みが整っている
・時間や場所にとらわれない働き方の選択肢がある
・育児や介護、病気の治療、健康づくりなどと両立するためのサポート体制が整っている
将来に対しよりよい展望を持って働ける人が増えれば、企業にとっても、国にとっても良い影響が期待できます。
2.働き方改革関連法とは?
2019年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」の内容について、確認していきましょう。
2−1.働き方改革関連法の3つのポイント
働き方改革関連法は、正式には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」といいます。働き方改革関連法では、労働基準法や雇用対策法などの8つの法律が改正対象となっており、以下の「3本の柱」と呼ばれるポイントごとに分けられます。
・第1の柱:働き方改革の総合的かつ継続的な推進
・第2の柱:長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現等
・第3の柱:雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
この働き方改革関連法の内容について、詳しくは次の章でご説明します。
2−2.働き方改革関連法の具体的な内容
働き方改革関連法の内容を、8つに分けて見ていきましょう。すでに施行済みのものほとんどですが、「月60時間超の残業に対する割増賃金率引き上げ」は2023年4月から中小企業にて施行されるものであるため、特に注目しておくべき内容です。
2−2−1.時間外労働の上限規制を導入(大企業:2019年4月~、中小企業:2020年4月〜)
「時間外労働の上限規制」とは、残業時間の上限を原則月45時間・年360時間とするものです。臨時的な特別の事情があり、労働者側と使用者側が残業について合意している場合でも、以下の上限を超えることはできません。
・年720時間
・複数月平均80時間(休日労働含む)
・月100時間(休日労働含む)
以前までは法律上の上限規制がなく、大臣告示による上限を超えた場合に行政指導が入るだけでした。しかし、改正後は懲役や罰金が科されるおそれがあります。
2ー2ー2.年次有給休暇の確実な取得(大企業・中小企業ともに2019年4月~)
10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、付与された日から1年以内に、少なくとも5日は年次有給休暇を取得させることが義務付けられました。
年次有給休暇は、労働者自らの請求・計画年休・使用者による時季指定のいずれかの方法で取得させます。
「使用者による時季指定」とは、使用者が労働者の意見を聴取・尊重し、「◯月◯日に休んでください」「◯月中に◯回休んでください」などと年次有給休暇を取得すべき時季を指定するものです。
2ー2ー3.同一労働・同一賃金(大企業:2020年4月~、中小企業:2021年4月~)
「同一労働・同一賃金」とは、同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を禁止することを指し、「パートタイム・有期雇用労働法」の改正によって定められました。例えば、職務内容などが同じ場合は、基本給や賞与などの待遇も同じであることが求められます。非正規雇用労働者は、正社員との待遇差の理由などを使用者に説明を要求することも可能です。
2ー2ー4.月60時間超の残業に対する割増賃金率引き上げ(中小企業:2023年4月~)
現行の制度では、時間外労働が月60時間を超えた場合、その超過分についての法定割増賃金は中小企業では25%以上に据え置かれています。
猶予していた背景には、業務体制を見直したり、新たな労働者を雇用したりすることが大企業のように簡単にはできない中小企業への配慮があります。
しかし2023年4月からは、中小企業も大企業と同様に、法定割増賃金率が50%以上となります。
2ー2ー5.フレックスタイム制の拡充(大企業・中小企業ともに2019年4月~)
「フレックスタイム制」とは、一定の範囲内で日々の始業・就業時刻や労働時間を労働者自らが決めることで、ライフスタイルとの調和を図りながら効率的に働くことを目指す制度です。これまでの制度では、調整を行える労働時間の期間、すなわち清算期間の上限が1か月までとされていました。
法改正後は、清算期間の上限が3か月に延長されたため、月をまたいで柔軟に労働時間を調整できます。
参考:フレックスタイム制 のわかりやすい解説 & 導入の手引き|厚生労働省
2ー2ー6.高度プロフェッショナル制度の創設(大企業・中小企業ともに2019年4月~)
「高度プロフェッショナル制度」とは、金融商品の開発・ディーリング業務、アナリスト業務など、高度で専門的な知識や技術を要する特定の業務に従事する労働者を対象に、労働時間や休日、割増賃金などの規定を適用しない制度です。
ただし、労働者の健康を守るために、労使委員会の決議や労働者本人の同意はもちろんのこと、年間104日以上の休日確保の義務などの健康確保措置がとられています。
参考:高度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説|厚生労働省
2ー2ー7.産業医・産業保健機能等の強化(従業員数50名以上:2019年4月~)
従業員の健康を確保するため、産業医による健康相談や指導を強化する制度です。例えば、以前までは月100時間以上の時間外労働をしていた労働者が、長時間労働者面接の対象でしたが、改正後は月80時間以上かつ疲労の蓄積が認められる者に見直されました。
事業者は、このような取り組みに適切に対応するために体制を整える必要があります。
参考:「産業医・産業保健機能」と 「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます|厚生労働省
2ー2ー8.勤務間インターバル制度の導入促進(大企業・中小企業ともに2019年4月~)
「勤務間インターバル」とは、勤務後に一定の休息時間を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保することです。前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定の休息時間を確保することが、使用者の努力義務として規定されています。
「始業時間が毎日変わらないため、残業の翌日は睡眠不足で仕事に臨むことになる」などといった状況を防ぐことが可能となり、労働者の健康確保やワーク・ライフ・バランスの推進が期待できます。
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3.何よりも今働き方改革に取り組みたい理由
今だからこそ働き方改革に取り組むべきといえる理由は、大きく分けて3つあります。
以下では、それぞれの理由について解説します。
3−1.労働人口の減少
国の将来人口の予測に基づくと、2050年に日本の人口は約1億人にまで減少する見込みとなっています。
さらに、労働力の中核である15歳以上65歳未満の生産年齢人口は、全体の人口に対する比率が1990年ごろを境に減少傾向に転じており、2050年には50%台前半となる見込みです。
企業には、労働への参加を高める雇用施策が求められるとともに、労働人口が減るなかでも活動を維持するため、生産性をさらに向上させなければならないでしょう。
参考:2050年までの経済社会の 構造変化と政策課題について|経済産業省
3−2.働き方の多様化
正社員や派遣労働者、アルバイトなど雇用形態が多様化しているほか、労働者の希望や事情に応じてテレワークやフレックスタイム制、副業などワークスタイルの種類も増えてきています。
加えて近年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、これまでの働き方を大きく見直さなければならないタイミングでもあるでしょう。
育児や介護、病気の治療などと仕事を両立したり、ワーク・ライフ・バランスを重視した働き方を選択したりと労働者が柔軟に働き方を決められる環境整備は、労働力確保の観点からも避けれられません。
3−3.長時間労働の深刻化
かつての日本には、労働者が企業のために自らを犠牲にして労働することが美徳とされてきた文化があります。
その結果、日本は世界的に見ても長時間労働が深刻な状況です。
厚生労働省の「令和2年版過労死等防止対策白書」によると、週労働時間が49時間以上の日本人労働者の割合は、18.3%(男性:26.3%、女性:8.3%)となっています。
アメリカ(15.7%)やイギリス(11.4%)、フランス(10.1%)、ドイツ(7.7%)と比べても高い数値であることがわかるでしょう。
4.こうした問題の解決のために必要なこと
労働人口の減少や働き方の多様化、長時間労働の深刻化といった問題の解決へ挑戦するために、国の「働き方改革」に則ったうえで、企業はどのような対策をとればよいのでしょうか。
以下では、3つのポイントをお伝えします。
4−1.現状を把握し課題を策定する
働き方改革を推し進めるうえでは、現場でどのようなことが起きているのか現状を把握し、課題を策定することが重要です。自社の労働者が抱えている問題に対し、必要な対応を検討していきましょう。
一人ひとりの問題を解消するため、課題の策定の際には、問題をなるべく細かく分類・整理していきます。
4−2.社内連携を強化し生産性を上げる
そもそも「(労働)生産性」とは、労働者1人あたり、あるいは1時間あたりで生み出す成果の指標です。
公益財団法人日本生産性本部の「労働生産性の国際比較(2020年版)」によると、日本の1人あたりの労働生産性は、OECD加盟37か国中26位と低い結果になっています。
また、1時間あたりの労働生産性も21位であり、決して高い数値ではありません。
労働人口が減っていくなかで、企業としての生産性を維持・向上するためには、労働者一人ひとりの労働生産性を高めることはもちろん、社内の連携をさらに強化し全体の生産性を上げていくことが必要です。
参考:労働生産性の国際比較<2020年版>|公益財団法人日本生産性本部
4−3.コミュニケーションの活性化により働きやすい環境を整える
働きやすい環境が整備され、多様な人材が活躍できるようになれば、企業の人手不足解消や生産性の向上などにつながります。
柔軟な働き方を実現するためには、社内のコミュニケーションの活性化が鍵となります。
コミュニケーションが円滑になれば、一人ひとりの希望や事情が把握しやすくなるとともに、労働者本人の企業に対する満足度にも影響するでしょう。
5.ピアボーナスのご紹介
問題の解決のために必要な3つのポイントをご紹介しましたが、すぐにすべてに取り掛かるのは難しいのに加え「生産性を高めるといってもどうすれば?」「コミュニケーションはどうやって活性化させる?」と悩んでしまうでしょう。そこで今、働き方改革のサポートにも役立つとして注目されているのが「ピアボーナス」です。
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5−1.今注目されるピアボーナスとは
「ピアボーナス」とは、英語の「peer(仲間)」と「bonus(報酬)」を組み合わせた言葉で、従業員が成果給(インセンティブ)などを送り合う仕組みのことを指します。
インセンティブとして送るのは、アイテムに交換できるポイントや少額の金券などです。
ピアボーナスは、従業員同士で感謝の気持ちとともにお互いを評価し合うことで、社内コミュニケーションの活性化やモチベーションの向上につながります。
コミュニケーションが活性化されモチベーションが向上すれば、生産性の向上や人材流出抑止効果も期待できるのです。
参考記事:ピアボーナスとは?解決できる課題や今注目の理由、おすすめツール3つまで徹底解説
5−2.ピアボーナスツール「Unipos」
ピアボーナスツールでおすすめなのが、Unipos株式会社が運営する「Unipos(ユニポス)」です。Uniposはピアボーナス制度を日本に広めるきっかけとなったツールで、これまでにさまざまな企業が導入し、その効果を実感しています。
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また、SlackやChatWorkなどのビジネスツールと連携できるほか、スマートフォンアプリからの投稿も可能なため、働き方が多様化しているなかでもコミュニケーションを減少させることなく活用できるでしょう。
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