
職場コミュニケーションを活性化することは、円滑に組織でビジネスを進めるために必要不可欠です。情報共有が上手くいかなければ、離職や生産性の低下などにもつながる可能性があるでしょう。
コミュニケーションといっても、対話を増やすだけでなく効果的なシステムを作るなど方法はさまざまです。本記事では、社内モチベーションを保つための職場コミュニケーションのポイントについて紹介します。
1.社内のコミュニケーション不足を放っておくことで引き起こされるリスク
HP総研が行った社内コミュニケーションに関する調査によると、部門・事業所間でのコミュニケーションに課題を抱えていると答えた企業が68%にものぼりました。
物理的に離れているため、対面でコミュニケーションをとる機会が少ないことが理由と考えられます。さらに、経営陣と社員間のコミュニケーションに課題を感じる企業も半数以上という結果になりました。部門内では、部長とメンバーの間がコミュニケーション不足であるということもわかっています。
これらの結果から、就業場所や業務内容、立ち位置が異なるとコミュニケーション不足になりがちだといえるのではないでしょうか。こういったコミュニケーション不足を生み出す原因としては、組織風土や社風が挙げられます。さらに、対面で会話をする機会が減ったことも要因のひとつといえるでしょう。
では、コミュニケーションが不足することにより、どのようなリスクが考えられるのでしょうか。
生産性の低下
コミュニケーションが不足すると、生産性が低下する恐れがあります。報告・連絡・相談の機会が減ると、情報共有に漏れが生じます。特に、緊急連絡や重要事項の共有がうまくいかないと、上司と部下、部署と拠点など広い範囲の業務に支障をきたし、ミスやトラブルを引き起こしてしまうのです。
関係者や関係部署と相談して新たなことにチャレンジすることができず、改善点を提案したとしても話し合いにならず否定で終わる可能性があります。暗黙知といってノウハウや経験に基づく技術なども継承しにくい環境となり、生産性の低下につながるリスクが高まります。
離職率の増加
コミュニケーション不足の状態が続くと、社員の精神状態にマイナスの影響が出てきます。コミュニケーション不足が原因でミスやトラブルが増えてしまうと、業務に対してストレスが溜まりやすくなります。
さらに、良好な人間関係を築けず、無気力やうつ病といった症状を引き起こすこともあるでしょう。その結果、離職者が増え、業務がスムーズに回らなくなってしまいます。さらに、離職者が多いことは企業の評判を落とすことにもなりかねません。社員を募集しても集まらなくなり、負のスパイラルに陥ってしまうのです。
視野が狭くなる
商品開発などは、さまざまな立場の人が集まって意見を述べ合うことでよりよい商品づくりを行うことができます。しかし、コミュニケーション不足の場合、視点が狭くなりやすく、最悪の場合取り返しのつかない問題を引き起こすかもしれません。
他部署と連携をとるべき作業もスムーズにいかなくなり、物事に対する視野が狭くなってしまいます。
顧客の信頼を失う
職場内で情報共有が不十分だと、顧客から問い合わせや発注があったときに、タイムリーな対応が難しくなります。また、誰がどんな仕事をしているのか把握できなくなります。
すると、せっかくの受注や営業の機会を失ってしまうかもしれないのです。場合によっては、将来大きな契約につながるであろう顧客を逃しかねません。ビジネスチャンスを逃したり、企業全体がマイナスのイメージをもたれる可能性が高まってしまいます。
2.コミュニケーション不足を改善するためのポイント
社内のコミュニケーション不足に気が付いたら、いくつかのポイントに沿って改善を進めていきましょう。
コミュニケーション不足になった原因を考える
うまくいかないということは、何かそうなる要因があるはずです。例えば、他部署や部署内のメンバーのことを知らない、経営陣と現場の考え方が一致しない、目的が周知されていないといった要因が考えられます。
要因は、状況や職場によって異なるため、まずは課題を明確に把握することが大切です。この時、コミュニケーションの範囲を絞るとよいでしょう。部署間なのか、部署内の上司と部下なのか、それとも同僚間なのかといった具合です。さらに、従業員にアンケートをとることで、どのつながりのコミュニケーションに課題があるのかが見えてきます。
全員が参加しやすいシステムづくり
全員にコミュニケーション活性化のシステムに参加してもらうには、動機と建前が必要です。例えば、社内行事としてコミュニケーションの場を提供すると、乗り気でなくても参加せざるを得なくなります。
また、双方向のコミュニケーションがあるかという点も大切です。システムによっては、役員や主催側のみからの一方的なコミュニケーションになってしまいます。社内行事の担当を持ち回りにするなど、全従業員が自分事として捉えるための工夫が必要です。盛況で終わったときには、会社全体で褒める環境を生み出すとより効果的です。
課題に応じた改善策を考える
コミュニケーション不足の原因が分かったら、その原因を解消できるような改善策を考えましょう。さらに、準備にかかる手間や時間が少ないものだと取り入れやすいです。
例えば、上司と部下のコミュニケーションに課題があるのならば1on1ミーティングが、職場全体でのコミュニケーションに課題があるのならば社内SNSや社内イベントなどが候補となるでしょう。課題に加え、職場の雰囲気や風土なども踏まえ、取り組みを検討しましょう。
責任者など上層部を味方にする
新しい取り組みを始める場合、反発したり乗り気になれなかったりする従業員が少なからず出てきます。そうなった場合に備え、上層部を味方につけておくとスムーズに導入できます。
上層部がやろうという意思をもち、率先して取り組んでくれることで、社内全体が取り組みに対して前向きになります。効果やメリットをはっきり示し、上層部を納得させられるよう進めていきましょう。
他部署も巻き込みできるだけ大きな規模で行う
コミュニケーション不足の改善は、できるだけ大きい規模で行うと高い効果が期待できます。そのため、自分が所属している部署だけでなく、他部署も巻き込んで社内を横断して取り組める改善策を考えましょう。
部署が違うと、必要性や考え方、課題などもさまざまです。そのため、なぜコミュニケーション不足を改善しなくてはならないのか、どのように取り組むのか、どんな効果が得られるのかなどについてできるだけ具体的に説明し、どの部署にも納得してもらったうえで進める必要があります。
たくさんの部署が納得して取り組み、成果をあげると、最初は参加していなかった部署も参加するようになるはずです。
3.効果が期待できる3つの社内コミュニケーション施策
では、具体的にどのような施策が有効なのでしょうか。効果が期待できる施策を3つ紹介します。
1on1ミーティング
アメリカのシリコンバレーの企業が始めた1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で行う面談です。週1回~月1回の頻度で定期的に行い、部下が主役となります。
部下が業務上の課題や悩みを上司に話し、上司は部下の話に対してフィードバックを行うシステムです。これまでの1対1の面談は、進捗管理や部下の評価を目的としており、上司からの一方的なコミュニケーションになりがちでした。そのため、信頼関係の構築が難しいとされていました。
一方、1on1ミーティングは、部下の目指すキャリアや悩みを把握できるため、信頼関係が築け、部下の主体的な行動につなげることができます。双方向で質の高いコミュニケーションができるといえるでしょう。
さらに、部下の情報を引き出すことで上司自身の考え方に変化をもたらすこともできます。その結果、新しい方針やビジョンのフィードバックが可能となるのです。部下側も、自分の意見を採用してもらえる機会が増えるため、モチベーションが高まり主体的に行動する動機になります。
社内SNS
社内SNSを導入すれば、迅速なコミュニケーションが可能となります。導入の際には、目的を周知し、プライベートの投稿をしすぎないなどのルールを設定することが重要です。
メールでもコミュニケーションは可能ですが、個人同士のやりとりになりがちで、自分が発言しなくてはという感覚を持ちにくいという課題があります。社内SNSであれば、発言する個人に注目が集まりつつも、グループ間での情報共有もできるのです。
また、アイコンなどに個人の顔写真を登録することで、発言者の顔が見えるため、メールと比較すると活性化が期待できます。
また、部署を超えたグループ設定もできるため、他部署の業務に関するノウハウや業務内容を共有でき、学びの場にもなります。同期が他部署や他支店で活躍する様子もタイムリーに分かり、刺激を受ける従業員もいるでしょう。自分の投稿に対して従業員や経営陣からコメントやいいねボタンなどによるフィードバックをもらえるため、活用したくなる施策といえます。
ピアボーナス
ピアボーナスは、従業員同士で報酬を贈り合う制度です。従来は、業務の成果や貢献に対し、上司が部下を評価したり賞賛したりしていましたが、ピアボーナスは従業員同士で評価し、成果給を贈り合うのが特徴です。
感謝や賞賛が気軽に伝えられるため、部署を超えたコミュニケーションがとりやすくなります。さらに、他部署の役割や業務内容に関心をもったり、他部署と自分の部署の業務内容の関連やつながりが見えたりすることで、社内コミュニケーションの活性化が期待できます。互いに褒め合い尊重し合う文化の創造にもつながり、組織風土の改善にもなるでしょう。
さらに、従業員の会社に対する愛着心や帰属意識といったエンゲージメントの向上効果も期待できます。評価の権限を従業員にも持たせることで、経営陣への信頼や意欲向上にもつながります。
評価や賞賛が増えるたびに自信ややりがいも高まり、結果、エンゲージメントが向上するのです。小さなやり取りや些細な行動も評価されている、見てもらえているという実感が湧き、他者への興味や関心も湧いてきます。これまでの一方的な上司からの評価では得られない効果といえます。
また、これまでの評価制度では、達成率や売上額など数値や上司から見た仕事ぶりだけで評価が行われがちだったため、業績に直結しない取り組みや数値化できない成果が評価の対象になりにくかったです。
そのため、上司と部下の間にズレが生じ、従業員の満足度やモチベーションが下がってしまうといったことも起こっていました。ピアボーナスなら、表面化しにくいものも評価されやすくなるため、従業員の満足度も高まり、離職率の低下を防ぐ効果も期待できるのです。
4.ピアボーナスの導入によりコミュニケーション不足が改善された事例
ピアボーナスは国内のさまざまな企業ですでに導入されており、コミュニケーションの活性化に役立っています。
メルカリ
メルカリは、2017年からピアボーナスのツールを導入し、メルチップ制度を始めました。毎週月曜日に400Tipが全社員に配布され、1Tip1円に換算されて給与に上乗せされます。
日々見落としてしまいがちな「Go Bold」「All for One」「Be Professional」な出来事に対し、感謝や賞賛の言葉とともに従業員同士でチップを贈り合います。多いときは1日1000件近い投稿が行われており、利用率も高いです。
社内アンケートでは87%が満足していると回答しており、他拠点や他部署とのコミュニケーションのハードルが下がった、仕事を見てくれていると感じやすくなったという評価が集まっています。
拠点が多い企業なので、顔と名前が覚えられず、相談しにくい、他の従業員が何をしているか分からないといった課題がありましたが、ピアボーナスの導入によりこれらの課題が解消しました。さらに、自社クレドを日々発信し体現していくことにつながったため、身近で簡単な業務から自社クレドに結びつけていくことができたのです。その結果、愛社精神や会社への共感を生み出すことに成功しました。
株式会社ユニークワン
従業員1人当たり毎日5タコスが配布され、バリューに沿った行動に対してメッセージとタコスを贈り合う制度を導入しています。1タコス30円に換算され、100タコスから換金して給与に反映することができます。ただし、タコスはその日のうちに使い切らなければ消滅してしまいます。
そのため、必然的に贈り合うようになったのです。また、社内SNSを活用しているため、手軽にやり取りができたのも、活性化の要因になっています。
株式会社じげん
株式会社じげんでは、社内コミュニケーションの活性化と見えにくい評価の可視化を目的としてピアボーナスを導入しました。
従業員には毎月白紙のカードが配布されます。カードには1000ポイントを贈る権利がついており、感謝を贈りたい人に手書きのメッセージと1000ポイントを贈ることができるシステムです。貯まったポイントは、会社が運用する商品やAmazonポイントに交換することができます。
また、組織運用制度を社内で募集し、よいアイディアには特別ポイントが支給されたり、入社後1カ月以内に他部署や多職種の人とランチをしてサインを6個集めると入社祝いのポイントがプレゼントされるなど、さまざまな活用がされています。
5.ピアボーナスのツールとして特におすすめなのはUnipos
Uniposは、ピアボーナスのツールとして数多くの企業で導入されています。
評価したい従業員に対し、メッセージと共にポイントを贈ることができます。チャットツールやスマホで贈ると、タイムラインに投稿され、その投稿に対して別の従業員が拍手で反応できるのが大きな特徴です。
1ポイントが何円に換算されるのかは企業が自由に決めることができます。継続して使いたくなるよう、直感的でシンプルな操作となっており、隙間時間に手軽に投稿できるのも特徴です。チャットワークやスラック、MicrosoftTeamsとも連携することができます。
導入だけでなく、社内に定着するまで丁寧なサポートが受けられるため、これまで社内SNSなどを活用していなかった企業でも安心して始めることができます。
貯まったポイントは、成果給として従業員に還元されます。また、お菓子やAmazonギフト券にポイントを交換することもできるため、企業の実態に応じた形での導入が可能です。
さらに、ハッシュタグに企業の行動理念や企業理念を記載することで、バリューの浸透にも役立ちます。どのような行動やバリューを体現しているのかが具体的に分かり、日常的に目にするようになるため、自然と理念の浸透が促進されるというメリットもあります。
Uniposに蓄積されるデータを分析する機能もあるため、チームやメンバーの関係性を数値で可視化することが可能です。その数値をもとに、課題を早期発見し素早く改善することができます。感謝の数を人事評価の要素として活用することもできるでしょう。
Unipos (ユニポス) | 使って挑戦できる風土をつくるには?
ピアボーナスで感謝や賞賛を共有し離職率を下げて組織の生産性を高めよう
ピアボーナスを導入し、感謝や賞賛を共有する仕組みを確立できれば、離職率を下げて組織の生産性を高めることができます。導入する企業側にも従業員側にもメリットのある取り組みにするためには、使いやすく活用したくなるようなツールを使うことが効果的です。
導入実績が豊富でサポートが充実し、定着率の高いUniposなら、初めてのピアボーナス制度の活用に役立ちます。