効果が上がる!1on1ミーティングの進め方と6つのポイント

2-2-1 部下の現在の気分や体調を確認する

ミーティングの冒頭では、まず部下の体調や精神状態などのコンディションを確認しましょう。

「体調はどうですか?」
「最近忙しそうだけれど、疲れていない?」
「元気に働けていますか?」

といった軽い質問で、短時間の会話で十分です。
これにより、アイスブレイクになりますし、もし疲れていたり体調不良だったりすれば、業務量を減らしたり、病院の受診を勧めたりするのもマネージャーの仕事です。

2-2-2 前回の振り返りと今回のテーマを確認する

次に、前回のミーティングの振り返りをします。

「前回は◯◯をするというアクションプランを決めたけれど、うまく実行できていますか?」

などと質問しましょう。
その結果、「うまくいっています」という回答であれば、

「それはよかった、では今日は何か話したいことはありますか?」

と、今回のテーマを確認します。

一方で、前回の振り返りに対して、「うまくいきませんでした」という回答があれば、あらためて失敗の原因を探る必要があります。

「どうしてうまくいかなかったと思う?」

と質問を投げかけて、部下自身がもう一度その課題について深く考えられるように誘導してください。

2-2-3 部下が話したいことを聞き出す

前回の課題が解決していれば、いよいよ今回の本題であるテーマに入ります。

「では今日は、何か話したいことはありますか?」

と質問して、部下から話し出すように仕向けましょう。

事前にテーマを共有していたとしても、上司の方から「今日はこれを話すんだったよね」と決めつけないようにしてください。
会話の主導権が上司に移ってしまいます。

部下から話したいテーマが出てきたら、上司はとにかく聞き役に徹してください。
もし話が途切れてしまったら、

「そのあとどうしたの?」
「それでどう思った?」

と話の続きを促して、部下の感じていること、考えていることがすべて吐き出されるまで深掘りしましょう。

ここで決してしてはいけないのは、

✖️途中で話をさえぎること
✖️上司の意見を述べること
✖️部下の考えに対して「いい・悪い」「正しい・間違っている」と判断を下すこと
✖️すぐに解決策を提示すること

です。
上司が指導や指示の体制に入ってしまうと、部下は自分で考えることができなくなるからです。

うまく話を聞き出すには、

「なぜそうしたの?」「どういう気持ちでしたか?」など、話を続けやすい質問を投げかける
「そうだね、よくわかるよ」など、共感を示す
「なるほど、◯◯したんだね」など、相手の言った言葉を繰り返す
大きくうなずくなど、相手の言葉にボディランゲージで反応する

といった言動が効果的なので、適宜差し挟んでみてください。

2-2-4 部下自身に内省・考察させる

話をすべて聞き出したら、次は部下自身に課題の解決策を考えさせます。

「では、どうすればいいと思う?」
「自分ではどうしたい?」

といった言葉で内省を促しましょう。

そこで部下が出した答えが、上司から見て間違っていたとしても、絶対に否定してはいけません。
「なぜそう考えるの?」「それをするとどうなると思う?」など、部下自身が多角的な視点からその問題を検討できるように誘導してください。

また、すぐに解決策が出てこない場合もあると思いますが、上司から「◯◯をしたら?」と提案するのもNGです。
部下が自分なりの意見をまとめられるようにアシストしましょう。

2-2-5 上司からフィードバックする

部下が自分の考えをまとめることができたら、ここではじめて上司のフィードバックをします。

ただ、この場合も一方的な指導や意見の押し付けにならないよう注意が必要です。

「その方法がいいと思ったのはなぜ?」
「それをすると、どんな改善が期待できる?」
「実際にできると思う?」

といった質問を投げかけて、部下自身が自分の考えを検証するように仕向けてください。
単なる思い付きではなく、その考えが本当に解決につながるのか、問題点はないか、現実的に可能なのかを、改めて熟考するフェーズです。

ここでもし部下が「正しい解決策ではない」と気づいたら、再度内省と熟考に戻り、最適と思われる解決を探りましょう。
また、どうしても解決案にたどり着けない場合には、上司から方向性を示すヒント程度なら出してあげるといいでしょう。

2-2-6 今後のアクションプランを考える

解決の方向性が決まったらそこで終わりにせず、実際にどう行動するのか、アクションプランにまで落とし込んでください。
「テレアポの架電件数を増やす」といった曖昧な目標ではなく、「トークスクリプトを作って◯◯さんにチェックしてもらい、それに従って1件架電する」というように、具体的な数値や行動を設定することが大切です。

また、長期的な目標ではなく、ミーティング後にさっそく実行できるような行動計画を立てましょう。
ミーティングは毎週〜毎月という短い周期で繰り返しますので、次の回までに実行し、その結果を再検討できればベストです。

2-2-7 今回のまとめと確認をする

ミーティングの最後には、今回の内容をもう一度振り返りましょう。

「では、今日からこういう解決策を実行するということですね?」

とお互いに確認して終わりにします。

2-3 事後処理

1on1を効果的に行うには、ミーティングが終わった後にもすべきことがあります。
以下のことを必ず実施してください。

2-3-1 記録を残す

まず、ミーティングの内容は、かならず部下に記録を残させてください。
何を話したのか、どんな解決策に至ったかを部下自身が毎回記録しておくことで、

・次回のミーティングで、前回を振り返る際に参照できる
・同じテーマを繰り返してしまうことを避けられる
・過去からの記録を時系列的に見ることで、成長度合いが浮き彫りになる

といった効果があります。

さらに、その記録を共有して、上司からコメントやアドバイスなどのフィードバックができるとよりよいでしょう。

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3 1on1ミーティングのテーマと質問項目

1on1ミーティングの進め方については理解してもらえたかと思います。
ですが、
「実際には何を話せばいいのか?」
「部下がテーマを決められなかったり、特に話すことがなかったりした場合はどうすればいい?」
といった懸念もあるでしょう。

そこでこの章では、ミーティングで取り上げるテーマや質問項目の例を挙げておきましょう。

3-1 推奨されるテーマの例

まず、ミーティングのテーマとしてどんなトピックを取り上げればいいのでしょうか?

原則的には部下がテーマを考えるべきですが、始めたばかりだと何も思いつかないという者も出てきます。
そんな場合は、上司から以下のようなテーマを示して、その中から疑問に思っていること、困っていること、不満に思っていることを具体的なトピックとして挙げてもらうといいでしょう。

【仕事や会社に関するテーマ】

◾️現在の業務について
◾️仕事上の問題やトラブルについて
◾️今後の仕事について
◾️上司からの指示や仕事の任せられ方について
◾️上司の考え方や方針について
◾️先輩、同僚、後輩について
◾️チームのあり方について
◾️職場の人間関係について
◾️会社やチームの目標について
◾️会社のミッション、ビジョン、バリューについて

【部下自身に関するテーマ】

◾️自分の成長について
◾️個人の目標について
◾️今後のキャリアについて
◾️新しく挑戦したいこと、伸ばしたいスキルについて
◾️ワークライフバランスについて
◾️現在興味を持っていることについて
◾️プライベートな悩みについて

これを見れば、どれかひとつは「これについて気になっていることがある」と思い当たるでしょう。
例えば事前準備の段階で参考として提示しておいてもいいですし、ミーティングの際に部下が「話すことがない」と言った場合、この中から選ばせることもできます。

3-2 質問項目の例

次に、上司からの具体的な質問項目を例示します。
「部下が自発的に話すよう促す」といっても、どんな言葉をかければ心を開いてもらえるのかは難しいところです。
そんなときに、以下のような質問を投げかけてみてください。

【最初にテーマを提示させる際の質問】

いきなり「今日のテーマは何について話す?」と言われても、なかなか話出せない部下もいます。
そこで、

「仕事は楽しい?」
「最近困っていることとか、悩んでいることはないですか?」

と聞いてみましょう。
楽しくなかったり困っていたりすれば、「実は……」と話を引き出すことができるでしょう。

【部下により深く内省・熟考を促す質問】

1on1ミーティングの要は部下自身が深く考えることです。
もし途中で考えに詰まってしまっているようであれば、

「どうしてうまくいった(失敗した)と思う?」
◯◯のプロジェクトについてはどう考えていますか?」
「業務をもっと効率化するには、どうすればいいだろう?」

など、「なぜ」「どんな風に」「どうやって」を問いかけてみましょう。
こう聞かれると、「はい・いいえ」だけでは答えられないので、何かしら自分の考えを述べるはずです。

【その他の質問】

部下に心を開かせたい、リラックスして話してほしい、といった場合には、以下のような質問も有効です。

「最近仕事で嬉しかったことは何?」
「今の業務以外に、やってみたい仕事はどんなこと?」

部下の気持ちや希望を訊ねることで、上司は部下の人となりについて知ることができますし、部下も「上司が自分の話を聞いてくれる」という信頼感を抱くようになるでしょう。

3-3 話題に詰まったら上司からの「自己開示」が有効

もしそれでも話題がなかったり、話に詰まってしまった場合の打開策としては、上司の「自己開示」がオススメです。

自己開示とは、自分に関する情報や考えていることを、ネガティブな事柄も含めてありのままに言葉で伝えることです。
これをすると、相手も同じように自分の話をしやすくなり、親近感や信頼感を抱くようになるのです。

例えば、部下から仕事上の悩みを聞き出すには、
「私も、◯◯さんくらいの年齢のときにこんなことで困っていて、それが原因で大きなミスをしてしまったんだけど……
といった失敗談を語ってみてください。

すると部下は、「そうなんですか? 実は僕、こんな失敗をしてしまって……」と打ち明けてくれる可能性が高くなります。

失敗談に限らず、家族や趣味などのプライベートな情報を話すだけでも、相手との心の距離を縮めることができます。

ミーティングに臨む前に、自己開示で何を話すか準備しておくといいでしょう。

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