表彰制度を見直して社内エンゲージメントを最大化させる導入方法

表彰制度の制定や見直しを検討中でしょうか。社員のやる気を引き出して仕事のモチベーションを上げるために表彰制度はとても効果があります。しかし、ただ表彰をすれば良いわけではなく、正しい運用をしないと、表彰制度に期待した効果が得られないばかりか、かえって社員を白けた気分にさせてしまうなど、表彰そのものが裏目に出てしまうこともあります。

そこで今回は、表彰制度の制定や見直しの際に知っておくべき

  1. 表彰制度とは
  2. 表彰制度にはどんな効果があるのか
  3. 表彰制度の活用方法
  4. 表彰制度の作り方
  5. 表彰制度で気をつけるべき2大ポイント

をまとめました。最後までお読みいただければ、表彰制度を制定・改変する際に必要な情報が網羅的に把握でき、自社にとって必要な賞が何かがわかるので、確信を持って賞の制定・改変ができます。また、導入事例も記載してありますので、ぜひ参考になさってください。


1.表彰制度とは

社内表彰制度とは、従業員が功績をあげ業績アップなどに貢献した場合、または企業で規定した表彰されるべき社員の行動に対し、それを社内で称える制度です。普段から頑張っている社員にとっては自分の努力が「公的」に認められる機会でもあります。

表彰制度は労働基準法89条で社則への記載が規定されていますが、その記載内容に決まりはありませんので、自社独自の表彰制度の制定が可能です。

従来の表彰制度は、企業として「理想の社員像」を指し示すためのお手本のような役割があったため、より高い給与や役職などを与えることが多かったのですが、現在では、社員の仕事へのモチベーションアップと維持のために定期的に褒めて「承認」をするために表彰をする傾向があります。

また表彰制度は、社員から見た場合も「自分は会社でどのぐらい頑張ればいいのか」の目安にもなり、社内での自分らしい働きかたや、明確な目標を持った働き方をするための一役を担っています。

【参照:労働基準法89条9項


2.表彰制度にはどんな効果があるのか

ここでは表彰制度にどのような効果があるのかを説明します。表彰制度には主に

  • 社員のモチベーションアップにつながる
  • 評価されにくい業務にスポットライトを当てる機会
  • 会社へのロイヤリティを育てる

という3つの効果があります。

2-1.社員のモチベーションアップにつながる

表彰制度による表彰は、社員が仕事のやる気を維持する、やる気を出させるなどの効果があります。人間には、心理学者マズローが提唱する6つの欲求階層があり、各段階の欲求が満たされてから、次の段階へと移動します。欲求の6段階を図にするとこのような形になります。

【参照:マズローの基本的欲求の階層図への原典からの新解釈

各段階を仕事や働きかたに当てはめて説明します。やる気やモチベーション維持のために必要な表彰は、図のからになります。

①②の生理的欲求と安全欲求

生理的欲求と安全欲求は給料がそのまま生活に消える働き方です。贅沢できるお金はこの中には含まれませんが、衣食住の心配は無くなります。社員で言えば平社員の状態でしょう。

③の社会的欲求

社会的欲求とは「孤独を避けたい」という欲求です。例えば会社では

  • 仕事で人間関係で問題を起こさずやりとりができている時
  • 仕事のやりがいを同僚同士で分かちあった時

など、会社の一員としてうまくできている時に欲求が満たされます。この段階ではモチベーションが「集団の中の自分」に向いているため、業績などのことは二の次の状態です。この段階でもチームワークとして表彰の対象にはなりますが、個人の表彰にはなりません。

④の尊厳欲求

尊厳欲求は「褒められたい欲求」のことです。例えば、

  • AB商事の社員だなんてスゴイよ、優秀なんだね」と言われた
  • 「今回の成果は君の活躍が大きかった、よくやった」と上司から褒められた
  • お客様から「ありがとう」「楽しかったです」などの反応があった

など、自分に属した事柄に関して賞賛があった時に喜びと同時に自尊心が満たされます。表彰制度はこの部分の欲求を大きく満たしてくれます。この段階まできた社員には、個別の課題や担当を与え、具体的に自分の出した結果だと感じられるような仕事をさせると、さらに成長をしていきます。

⑤の自己実現欲求

自己実現欲求は、仕事で「自分のしたいことを実現したい」という欲求のことです。が満たされて初めて意識に上ってくるモティベーションです。この段階まできた社員には、大規模なプロジェクトへのメンバーなど、大きな手応えとやりがいを感じられる仕事を与えると、人一倍頑張ってくれます。中には、独立起業をする人もいます。

⑥の自己超越欲求

自己超越欲求は「自分を犠牲にしてでもやらなければならないと思う仕事をする」ことです。最もわかりやすい例えで言えば、ノーベル平和賞はこの分野に属しています。他にも、国際平和の運動・人権擁護活動・民主化運動などがあげられます。

会社員だとなかなかチャンスは少ないものの、

  • 社運をかけたプロジェクトのリーダー
  • 子会社の社長
  • 国家事業に関わる仕事(例:オリンピック開催に関わる仕事など)

など、自分という存在を超越した状態で大きな結果を出す必要のある仕事を任せることができます。

このようにして、表彰により各段階で社員の本当の欲求を満足させると、やる気を維持させ、会社の成長につながるような働き方を促すことができます。会社員の場合、①②は比較的安定して供給されますので、のチームワークからが社内評価の対象となることが多いでしょう。

いずれにしても、表彰制度があることは

  • このくらい頑張れば評価される
  • 自分にも評価されるチャンスがある
  • 結果だけではなく、プロセスも評価対象になる

ことを理解するきっかけになるため、社員が仕事のモチベーションを維持するきっかけになります。

2-2.評価されにくい業務にスポットライトを当てる機会

表彰制度があると、普段はどのような業務をしているのか伝わりにくい部署や仕事に対し、会社からスポットライトを当てることができます。例えば、営業職の努力や仕事ぶりは数字で出てきますので、わかりやすく、また普段から脚光を浴びやすい部署です。

しかし、経理・総務・エンジニアの努力や成果は、仕事内容を明確に数値化できないため、その仕事ぶりを周知させるのは難しいのです。特に、経理やエンジニアは完璧に仕事をして当たり前、たった1つのミスは膨大なマイナスになるという環境で仕事をしています。ミスをすれば注目されますが、「普段は完璧な仕事をしている」という意味で感謝されることは無いに等しいでしょう。

このように、裏で企業を支える人や部署に対し表彰をし、その活躍を全社に周知させ、企業から裏方に対して感謝の気持ちを伝える機会になります。表彰される側からしたら「自分たちの仕事をちゃんと見てくれていた」ことが伝わり、やりがいと誇りを感じられます。

2-3.会社へのロイヤリティを育てる

表彰をし続けていくと「愛社精神」が育ちます。英語ではロイヤリティと言い、企業に対した愛着のような感覚を指します。社員にとっての表彰は、自分の普段の努力や成果を会社が認めてくれた証になりますので、

  • この会社の社員になってよかったな(自己肯定感)
  • 私はこの会社にとって価値ある人間なんだ(自己効力感)
  • この会社、いいところだな(好印象)

と、自分を認めてくれた環境=企業を好きになり、自分の存在そのものを承認してくれた企業に対して深いロイヤリティを抱きます。

会社へロイヤリティを持つと、離職率は激減し、企業にとって必要な人的リソースの流出を食い止めが可能ます。また同時に人事上のトラブルも起きにくくなります。

【参照:独立行政法人労働政策研究 ・ 研修機構 論文 若年者の離職状況と離職後のキャリア形成


3.表彰制度の活用方法

本章では、表彰制度の活用方法について紹介します。

3-1.表彰の種類 

表彰の種類について説明します。表彰の仕方に決まりはなく、設定も企業毎に様々です。こちらでは昔からあるスタイルと今のスタイルで、どちらも現行でよく使われているものをまとめました。

①今の表彰スタイル

 

②昔からの表彰スタイル

モチベーション維持・やる気アップ

表彰目的

理想の社員像を見せるため

・業績の良い人など

・縁の下の力持ちタイプ

・職場に好影響を与える人など

表彰されるタイプ

・社員のお手本のような人

・社員のお手本のようなグループ

3-1-1.①今の表彰スタイル

社員のモチベーション維持とやる気アップが表彰目的なので、「奨励」や「承認」の形式を取ることが多い。

 

  • 顕彰スタイル

高い業績をあげた個人やチームに対して褒めて承認し、それを周知する方法。華々しい賞が多い。

営業部の全国売上トップ、新人営業マンの賞など。

例>社長賞・ベストパフォーマンス賞・ルーキー賞

 

  • 奨励スタイル

社員の地道な努力に対して贈られる賞。普段、縁の下の力持ち的な仕事をしている人や部署に対し、スポットライトを当てるチャンスです。経理、開発、エンジニア系など数値化できない仕事が主な対象になります。自薦他薦問わず応募すると、面白い候補者が出ることがあります。

例>努力賞・奨励賞

 

  • ヒューマンリソーススタイル

職場に良い雰囲気を与えてくれる働きをしてくれた人に対しての賞。社員個々の、普段は見えにくい良質な性質や行動をクローズアップする機会です。例えば、

  • 当番じゃなくてもいつも会議室のカップを片付けてくれる
  • いつも美味しいコーヒーをいれてくれてありがとう
  • 必ず笑顔で、挨拶や声をかけてくれる

など、気配りやちょっとした良いことで仕事環境の小さな調整をしてくれている人を同僚や顧客なども含めた全体から推薦で選出します。上司が関わらないため、自由に選出できるので楽しんで参加してもらえます。

例>グッドジョブ賞・グッドスマイル賞・ベストカフェ賞

 

このように、様々な角度から社員の仕事ぶり、企業での活躍ぶりを自由に評価することが可能です。また最近は、ただ褒めるだけはなく、ハリウッド映画「グラミー賞」におけるラジー賞、年末「プロ野球珍プレー・好プレー大賞」の珍プレー大賞に相当するタイプの賞を制定する企業も出てきました。

これは、全員が一丸となって挑戦して失敗はしたものの

  • 挑戦がなければ失敗もなかった
  • 成功はしなくてもノウハウは残った
  • 長いことチャレンジしていると、こういうこともある

という部分にスポットを当てて、社員の前向きな姿勢と挑戦を誉め讃え、チャレンジをする社風を培うタイプの賞です。

【参照:ゴールデンラズベリー賞

【参照:プロ野球珍プレー・好プレー大賞

3-1-2.②昔からの表彰スタイル

企業にとって模範・理想となるような働きをした人や部門などに対して表彰があります。

 

  • 永年勤続・定年退職など

一定の期間を経過した社員には全員公平に贈られる賞

 

  • 技術・技能などに関したもの 

企業にとって必要な技術や技能を持っている社員やグループに対して

例>技術賞・技能賞・科学技術賞

 

  • 発明・開発に関したもの

新しい商品や技術などを開発、発明した社員やグループに対して

例>発明賞・イノベーティブ開発賞

 

  • 無事故無災害に関したもの

安全に貢献した社員やグループに対して

例>安全賞・労災賞・労働環境賞

 

  • 災害時功労に対するもの

災害や盗難などの緊急時に顕著な働きをした社員やグループに対して

例>災害功労賞・防災賞・災害予防賞

 

  • 功績・業績に対するもの

生産・営業など、企業の功績に貢献した社員やグループに対して

例>学会賞・◯◯賞(には社名や創業者名が入ることが多い)

 

  • 社名啓発に関したもの

スポーツなどで企業にとって名誉となる成績を収めた社員やグループに対して

例>◯◯スポーツ賞(には企業名が入ることが多い)・殊勲賞

3-2.褒賞の種類

賞には褒賞や記念品があります。以前は表彰楯やトロフィーなどが使われる場合もありましたが、置き場所が自宅だと困ることから、最近では次のような品物が選ばれる傾向があります。

 

  • 時計

時を刻むことから、永年勤続・定年退職の記念品として社名と社員名入りで贈られます。腕時計・置き時計など企業により様々です。

 

  • ギフトカタログ

設定金額まで自由にお買い物ができるギフトカタログの場合もあります。個人により、その時に欲しいものは違うので、カタログ型の褒賞は喜ばれます。

 

  • 置物

トロフィーや楯などに社員の名前と賞名が入ったものです。人にもよりますが、愛社精神の強い人ほど喜ぶ傾向があります。

 

  • お金・商品券・旅行券

賞金としてお金が出る場合、同じ金額相当の商品券や旅行券の場合もあります。実質的にお金と同じですので喜ぶ人も多いでしょう。ただ、本人にいくら渡ったかがみんなの前で発表されますので、ご祝儀として振舞わなければならない雰囲気になり、せっかくの褒賞を自分や家族のために使えなくなる場合もありますので、渡す側の配慮は必要になります。

3-3.導入事例

本章では、表彰制度の導入事例を2社、紹介します。もともと表彰制度がない企業の方が少数ですので、表彰制度を追加した結果、どのような変化をしたのかに注目したいと思います。

3-4.①損保ジャパン日本興亜保険サービス株式会社

業界:保険業界 保険代理店業

規模:全国営業拠点100箇所以上  社員:1,478人  代理店:543人

改善課題:もとの表彰制度では抜群に成績の良い人しか表彰されず、表彰制度があることでかえって営業モチベーションが下がる傾向がありました。また、対象が営業マンに限定されてしまうため、その営業マンを支えるアシスタント職などには一切還元されない点にも不満がありました。

新しい表彰スタイル:「みんなに幅広い還元ができる表彰」を新規導入。従来型の表彰制度とは別に、対象を社内営業職と代理店を合同にした3ヶ月期間限定インセンティブポイントキャンペーンを導入しました。集計をグループや事業所ごとの目標、個人目標などがクリアするたびに発表し、都度、ポイントを付与する仕組みに制定し、現状を体感しやすい工夫をしてあります。

具体的なポイント付与方法は以下の通りです。

  1. 成約件数成約件数に応じて付与
  2. 連月稼働→3ヶ月連月稼働で付与
  3. スタートダッシュキャンペーン目標となる売上の達成者に付与
  4. 殊勲賞営業現場での良い取り組みに付与

上記の方法だと、アシスタントやパートの人など事業所全てを含めたメンバーに対しての還元があり、全員がやる気を持って仕事をするようになるのではないかという制定時の新しい発想が伝わってきます。

結果:

  • 各自に業績を向上しようというモチベーション生まれた
  • 事業所ごとの数字目標を個人レベルまで落とし込むことに成功
  • 営業稼働率が前年2倍になり、年間目標をクリア

アシスタントやパートなどの裏方にも評価ポイントが及ぶようになったため、俄然、事務方のモチベーションがアップ。積極的な営業職へのサポートやモチベーションアップに繋がる声かけが増え、マネジメントが上手になりました。

また、褒賞をポイントにしてあるため、自分の欲しいもの・好きなものを選べる楽しみも成功の一因だったようです。

  • もらったポイントで子供に何をあげようか
  • 家族みんなで褒賞ポイントの交換を考えて楽しい

など、仕事現場だけではなく、一個人レベルでのモチベーションアップにも効果があることがわかりました。

【参照:損保ジャパン日本興亜保険サービス株式会社

3-5.②メルカリ

業界:IT業界 アプリ開発ほか

規模:関連企業含む社員1,826

改善課題:もともと、四半期ごとにThanksカードで感謝を伝え合う「All for One」賞がありましたが、201712月に世界累計1億ダウンロードを突破という急激な企業拡大により

  • 業務は共にしているけども一度も顔を合わせたことがない人がいる
  • 急に人が増えて名前と顔が一致しない
  • 仕事山盛りで、ちょっとした声をかけるタイミングもない

などの現象が起き始めました。十数人規模の事務所だったところから、人と業務があっという間に増えてしまったため、職場でのコミュニケーションを見失うほどのスピードで仕事をしていくようになった。職場での人間関係が希薄になると、少しのつまづきで働くことの意味が見つけにくくなって、せっかく入社をしても早期に離職を希望する人が増える状況が発生し始めていました。

もちろん、上記の部分は、本来ならば後で「All for One賞」などで伝え合えるはずなのですが、それを体験するまでに人が辞めてしまう可能性もあることも懸念。なんとかして、表彰がある四半期を待たなくても「今」伝え合う仕組みがないかと感じ、模索していた。

新しい表彰スタイル:「お互いを褒めあうツールの導入」

2017年9月にユニポスというコミュニケーション専用ツールを導入し、従業員が「今」伝えたい

  • 感謝 「ありがとう」
  • 喜び 「うれしいです」
  • 褒め言葉 「よかったです」「さすがです」
  • 記念日へのお祝いの言葉 「おめでとうございます」

などを直接、しかもポイント付きで伝えたい相手に送信できるようにしました。社内専用ツールとしてカスタマイズしたものを採用しています。

四半期ごとに表彰するような大掛かりなものではありませんが、毎日、毎時、毎分単位でお互いを小さく表彰しあえる「優しい気持ちを伝え合うツール」として社内で人気があります。

贈り合うポイントは社内では「メルチップ」(メルカリとチップを合わせた造語)というニックネームで呼ばれています。メルチップは

  • 1人週に400ポイントまで送信可
  • 1ポイント=1円換算
  • 受け取ったポイントは毎月の給与とともに現金換算
  • 毎週末に使用されなかったポイントはリセットされる

という仕組みで、メルチップの換金平均は800円程度です。多い時は1日に1,000件以上の投稿が行われている事実からも、社員は大きな表彰制度ではなくても、日々もらえる「小さな褒め言葉」でも十分、モチベーション向上とやる気の維持が可能であることがわかります。

現在、メルカリでは、四半期ごとの表彰にメルチップ賞を追加しています。従来の「All for One」賞もそのまま残してあります。

【参照:メルカリ

【参照:産経ビズ 記事

【参照:ユニポス


4.表彰スタイルの作り方

ここでは、表彰スタイルを新しく作る・追加する場合のやり方を説明します。表彰をゼロから作る場合でも、1つ1つの賞の設定には下記のプロセスが必要になりますので、賞の制定の仕方として理解してください。

4-1.ゴール設定 

まずは、「企業として」達成したいゴールを定めます。ゴール設定が明快だと、この後に続くステップが非常にやりやすくなります。

 

【おすすめパターン】

基本は、自社が伸ばしたいと思っている部分をメインにして考えます。例えば

  • 売り上げ数を伸ばしたい
  • 離職率を下げたい
  • もっと知名度をあげたい

など、具体的で数値化できるものの方が賞としては公平性があります。達成したいゴールのために「何をしたら褒められるのか」という考えで良いでしょう。ゼロから表彰制度を制定する場合は、伸ばしたい部分にプラスして、自社の経理理念や企業理念の部分から、理想の人物像などをイメージすると「褒めるべき人」の姿がわかってきます。

4-2.予算設定

予算の確保をします。表彰制度を長く続けていくためにも、無理のない予算設定が必要です。予算の内訳は、主に経費ですが、全てを社内で行う場合と、外注する場合とで費用に大きく差が出ます。

例として、永年勤続賞などのように毎年必ず発生する賞で、会場を借りずに社内の大会場で社員で協力して表彰式をする場合で計算してみましょう。

都内シンクタンクの調査によると、永年勤続賞の経費は一人当たり5年で15,000円、10年で36,000円、15年で49,000、20年で7万5000円と、年功序列に増えていきます。これにプラス副賞として楯などの記念品を送る場合はさらに1人あたり5,000円程度が追加されます。委員会活動費は社内で行うため諸費用3,000円程度です。

タイトル

かかる経費

永年勤続など表彰(1人あたり)

5年:1.5万 20年:7.5万 30年:13.2万 

表彰楯・トロフィーなど

クリスタル表彰楯 一枚5,000円〜

その他委員会活動費など

打ち合わせ一回3,000円前後

永年勤続賞はその年に出る人数にもよりますが、5・10・15・20・30が1人ずつの受賞者が出て楯を副賞とする場合

  • 15,000+36,000+49,000+75,000+132,000+(5,000楯×5=25,000)=332,000円

になります。これ以外に、様々な賞が発生し、中には大きな賞金や賞品が必要な場合もあります。

派手な表彰をする場合は、これ以外に会場費手配、人員手配(照明・カメラ・誘導)などのプロに頼む費用が発生します。平均的なイベント費用は50名来場者で40〜120万円です。ただし、イベント会社に依頼をすると、表彰式をグラミー賞のように盛り上げてくれます。

【参考:産労総合研究所 永年勤続賞に対する調査

【参考:法人用トロフィー作成 メイクワン】

【参照:JTB 表彰イベント専門 モティベーションプラス

 

【おすすめパターン】

まずは経理と相談をします。その際、がしっかり決まっているほうが経理も納得しやすいので、ある程度、賞の作り込みをしてから行きます。その際、最低でも

  • 賞の数
  • 褒賞と商品の数
  • 対象者の数
  • 開催回数
  • 開催時期
  • この賞の運営に関わる経費
  • 表制度委員会の活動費

がわかっていないと、経理も回答のしようがありませんので、よく下調べをして作成をしましょう。

4-3.担当者設定

表彰制度を社内に定着・継続させていくには、担当者と担当チームを作ります。専門の担当者がいる方が表彰に関したノウハウがたまりやすいという長所もあります。

 

【おすすめパターン】

担当者・担当チームには、なるべく様々な背景の人を入れ、社内をあらゆる角度から見て褒めるべき・表彰すべきことをピックアップできるようにした方が良いでしょう。企業では、自分が所属している部門の仕事以外のことは、意外と知らないものです。

  • 営業
  • 総務
  • 事務職
  • システム系

などをバランスよく取り入れ、各方面からの意見を吸い上げます。どちらかといえば、性質的にはクリエイティブで自由、かつ仕事を公平に見られるタイプが向いています。

あまり大所帯になると動きが悪くなりますので、人数はリーダーを入れて1012人程度いれば、欠員が出ても運営ができます。実際の表彰式の時はもっと多くの人手が必要になりますので委員会などを作って対応すると良いでしょう。

4-4.ガイドラインを作る

表彰制度のガイドラインは、毎回、表彰を一定した基準で行えるように作ります。毎年決まったことをするためには、以下のようなガイドラインが必要になります。これらのガイドラインは、社内規則にも追加して誰もが閲覧できるようにします。

<例>

  1. 期間:毎月・半年に1回・1年に1
  2. 表彰の目的:何にスポットライトを当てるのか
  3. 対象部門:全社・本社のみ・事業所ごと、など
  4. 選考対象:全社員
  5. 賞金・褒賞:賞状、楯、記念品など
  6. 推薦者:自薦・他薦・ネット投票など
  7. 審査:審査をする方法・審査をする人
  8. 発表:毎年月〜月に本社掲示板・ウェブサイト・社内報にて発表
  9. 表彰式:毎年月 東京本社大会議場にて表彰式を開催・立食懇親会あり
  10. 選考にあたっての留意点など:永年勤続賞と定年退職感謝賞も同時表彰*

【参照:コンタクトセンター 表彰ガイドライン

【参照:日経アジア賞 表彰ガイドライン

 

【おすすめパターン】

ガイドラインそのものは、各企業のものを参考する、様々な表彰スタイルをモデルにしながら作って行きます。決まりはありませんので、自社の表彰制度にとってぴったりなものが、一番良いガイドラインです。

企業と社員にとって価値ある表彰であるためには「自分にも平等にチャンスがある」、公平に評価をされる機会であることをわかってもらうようにします。

例えば、永年勤続賞*は最短5年からスタートすれば、5・10・15・20〜と、誰もが5年ごとに必ず表彰台に乗ってスポットライトを浴び、社長から労いと感謝の言葉を受け取ることができます。

世の中には得意分野を持つ人ばかりではありません。華々しい数字や特技がなくても、誠実で地道な仕事をしてくれている人への「存在承認」をしてくれる、自分を見てくれている会社なのだとわかってもらう必要があり、表彰制度はそれを伝える力があります。

また、企業内のポジションや階級に全く関係のない賞を制定するのも面白いでしょう。例えば、

  • いつもスーツがかっこいいで賞・ベストスーツ賞
  • カバンがおしゃれ賞
  • ランチ選びセンス良い賞
  • 表彰式特別企画 ラテアート大会

など、なんでも良いのです。日々、会社の雰囲気を明るくしてくれる行動は褒めるに値します。一番大切なのは、この表彰制度と表彰式そのものを「自分には関係ないや」とは思わせないことです。

4-5.賞品選び

制度をある程度まで設定したら賞品を決めます。褒められるのも嬉しいですが、賞品に魅力がないとモチベーションは下がります。もし、従来型の表彰制度などで人気のない賞品がある場合は、この機会に撤廃しましょう。賞品として多いのは

  • 賞金
  • カタログギフト
  • ギフトカード・ポイントカード
  • 海外旅行・国内旅行券

などがあります。どれも欲しいものを自由に選べるという点で共通しています。

 

【おすすめパターン】

もらって嬉しいものは年代や性別により差も出てきますので、ネット上で社内アンケートを取っても良いでしょう。最近の傾向としては、もらって嬉しいものには

  • テーマパークチケット(ディズニー・USJ
  • 高級食材の引換券(カニ・和牛など)
  • 飲食系ギフトカード(高級レストラン向け)
  • 有名店のスイーツ(並ばないと買えないもの)
  • 高級炊飯器・電子レンジなどの高級家電

など、「欲しいけれど、自分で買うにはちょっと手が出ない」というものは、その商品名だけでもテンションが上がり、とてもやる気が出る傾向があるようです。結婚式二次会の豪華景品などは、表彰式で使う賞品の参考にもなりますので、定期的にチェックすると良いでしょう。

【参照:ゼクシイ ゲスト200人が激白!本当に欲しいものランキング10


5.表彰制度で気をつけるべき2大ポイント

本章では、表彰制度で気をつけるべき点について説明します。

5-1.形骸化しないよう、自社のスタイルと欲求にあった事をする

「今」の自社の目的にあったことをしましょう。形だけ繰り返し行なっていても本来の目的である「企業が目指したいゴール」(4章)から外れてしまっている賞は意味がありません。潔く廃止し、今の状態にあったものを再制定した方が良いでしょう。

形骸化の理由は、制度の見直しをしていないことが主な理由です。特に、該当者なしが何年も続くものは、廃止しないまでも、しばらくレースから外すことも検討しましょう。また、創業者やカリスマ的な先代が存在している場合、忖度をして廃止しない賞は、メインレースではないレジェンド賞的なものに変更し、

「今、働いている人たち」

をメインにした賞制度にするために手を加えて行きましょう。

5-2.社内規定に沿ったことをする

社内規定に沿った賞というのは「誰もが納得する賞にしよう」と同義語になります。賞をもらった人が、周囲から「あなたなら貰って当然だよね」と思ってもらえるようなものにする必要があります。会社が入賞と決めたことを多くの人からも承認・賛同してもらうためには、社内規定という全社員共通のルールに乗っ取る方法が最も有効です。

例えば、営業成績で素晴らしい功績を出した人を賞として褒めるためには、先に、人事制度という社内規定でその評価基準が明確に規定され「この人は優の評価です」と言い切れる必要があります。これが、誰もが納得する共通の評価基準になります。次に、その人事評価に値するほどの働きをしている人が、各賞の制定ルールに則って受賞をします。

仮に、適切な評価の社内規定がないままで賞が制定されると

  • 周囲から人望もなく尊敬もされていない人が賞をもらう
  • 上に弱く、下に強いタイプがいつも賞をかっさらっていく
  • 取引先の息子だというだけでルーキー賞をもらう

というシーンが起きる可能性があります。まともに頑張ってきた社員は仕事へのモチベーションが下がりますし、企業への不信感を抱きます。そして、このことがきっかけで深く傷つき、離職率が上がることすらありえます。

表彰は、全社員共通のルールでもある「社内規定」に沿った評価をベースにし、企業ゴールに貢献するために頑張った人をおおいに褒めたたえる仕組みであるべきです。


6.まとめ

いかがでしたでしょうか、表彰制度に関して

  1. 表彰制度とは
  2. 表彰制度にはどんな効果があるのか
  3. 表彰制度の活用方法
  4. 表彰制度の作り方
  5. 表彰制度で気をつけるべき2大ポイント

をまとめました。表彰制度は、社員にやる気を出させ、モチベーションを維持するためにもとても大切です。ぜひ、全社員が公平に企業に承認をされ、自分は大事にされていると思えるような表彰制度を作ってください。

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