表彰制度を見直して社内エンゲージメントを最大化させる導入方法

表彰制度の制定や見直しを検討中でしょうか。社員のやる気を引き出して仕事のモチベーションを上げるために表彰制度はとても効果があります。しかし、ただ表彰をすれば良いわけではなく、正しい運用をしないと、表彰制度に期待した効果が得られないばかりか、かえって社員を白けた気分にさせてしまうなど、表彰そのものが裏目に出てしまうこともあります。

そこで今回は、表彰制度の制定や見直しの際に知っておくべき

  1. 表彰制度とは
  2. 表彰制度にはどんな効果があるのか
  3. 表彰制度の活用方法
  4. 表彰制度の作り方
  5. 表彰制度で気をつけるべき2大ポイント

をまとめました。最後までお読みいただければ、表彰制度を制定・改変する際に必要な情報が網羅的に把握でき、自社にとって必要な賞が何かがわかるので、確信を持って賞の制定・改変ができます。また、導入事例も記載してありますので、ぜひ参考になさってください。

1.表彰制度とは

社内表彰制度とは、従業員が功績をあげ業績アップなどに貢献した場合、または企業で規定した表彰されるべき社員の行動に対し、それを社内で称える制度です。普段から頑張っている社員にとっては自分の努力が「公的」に認められる機会でもあります。

表彰制度は労働基準法89条で社則への記載が規定されていますが、その記載内容に決まりはありませんので、自社独自の表彰制度の制定が可能です。

従来の表彰制度は、企業として「理想の社員像」を指し示すためのお手本のような役割があったため、より高い給与や役職などを与えることが多かったのですが、現在では、社員の仕事へのモチベーションアップと維持のために定期的に褒めて「承認」をするために表彰をする傾向があります。

また表彰制度は、社員から見た場合も「自分は会社でどのぐらい頑張ればいいのか」の目安にもなり、社内での自分らしい働きかたや、明確な目標を持った働き方をするための一役を担っています。

【参照:労働基準法89条9項

2.表彰制度にはどんな効果があるのか

ここでは表彰制度にどのような効果があるのかを説明します。表彰制度には主に

  • 社員のモチベーションアップにつながる
  • 評価されにくい業務にスポットライトを当てる機会
  • 会社へのロイヤリティを育てる

という3つの効果があります。

2-1.社員のモチベーションアップにつながる

表彰制度による表彰は、社員が仕事のやる気を維持する、やる気を出させるなどの効果があります。人間には、心理学者マズローが提唱する6つの欲求階層があり、各段階の欲求が満たされてから、次の段階へと移動します。欲求の6段階を図にするとこのような形になります。

【参照:マズローの基本的欲求の階層図への原典からの新解釈

各段階を仕事や働きかたに当てはめて説明します。やる気やモチベーション維持のために必要な表彰は、図のからになります。

①②の生理的欲求と安全欲求

生理的欲求と安全欲求は給料がそのまま生活に消える働き方です。贅沢できるお金はこの中には含まれませんが、衣食住の心配は無くなります。社員で言えば平社員の状態でしょう。

③の社会的欲求

社会的欲求とは「孤独を避けたい」という欲求です。例えば会社では

  • 仕事で人間関係で問題を起こさずやりとりができている時
  • 仕事のやりがいを同僚同士で分かちあった時

など、会社の一員としてうまくできている時に欲求が満たされます。この段階ではモチベーションが「集団の中の自分」に向いているため、業績などのことは二の次の状態です。この段階でもチームワークとして表彰の対象にはなりますが、個人の表彰にはなりません。

④の尊厳欲求

尊厳欲求は「褒められたい欲求」のことです。例えば、

  • AB商事の社員だなんてスゴイよ、優秀なんだね」と言われた
  • 「今回の成果は君の活躍が大きかった、よくやった」と上司から褒められた
  • お客様から「ありがとう」「楽しかったです」などの反応があった

など、自分に属した事柄に関して賞賛があった時に喜びと同時に自尊心が満たされます。表彰制度はこの部分の欲求を大きく満たしてくれます。この段階まできた社員には、個別の課題や担当を与え、具体的に自分の出した結果だと感じられるような仕事をさせると、さらに成長をしていきます。

⑤の自己実現欲求

自己実現欲求は、仕事で「自分のしたいことを実現したい」という欲求のことです。が満たされて初めて意識に上ってくるモティベーションです。この段階まできた社員には、大規模なプロジェクトへのメンバーなど、大きな手応えとやりがいを感じられる仕事を与えると、人一倍頑張ってくれます。中には、独立起業をする人もいます。

⑥の自己超越欲求

自己超越欲求は「自分を犠牲にしてでもやらなければならないと思う仕事をする」ことです。最もわかりやすい例えで言えば、ノーベル平和賞はこの分野に属しています。他にも、国際平和の運動・人権擁護活動・民主化運動などがあげられます。

会社員だとなかなかチャンスは少ないものの、

  • 社運をかけたプロジェクトのリーダー
  • 子会社の社長
  • 国家事業に関わる仕事(例:オリンピック開催に関わる仕事など)

など、自分という存在を超越した状態で大きな結果を出す必要のある仕事を任せることができます。

このようにして、表彰により各段階で社員の本当の欲求を満足させると、やる気を維持させ、会社の成長につながるような働き方を促すことができます。会社員の場合、①②は比較的安定して供給されますので、のチームワークからが社内評価の対象となることが多いでしょう。

いずれにしても、表彰制度があることは

  • このくらい頑張れば評価される
  • 自分にも評価されるチャンスがある
  • 結果だけではなく、プロセスも評価対象になる

ことを理解するきっかけになるため、社員が仕事のモチベーションを維持するきっかけになります。

2-2.評価されにくい業務にスポットライトを当てる機会

表彰制度があると、普段はどのような業務をしているのか伝わりにくい部署や仕事に対し、会社からスポットライトを当てることができます。例えば、営業職の努力や仕事ぶりは数字で出てきますので、わかりやすく、また普段から脚光を浴びやすい部署です。

しかし、経理・総務・エンジニアの努力や成果は、仕事内容を明確に数値化できないため、その仕事ぶりを周知させるのは難しいのです。特に、経理やエンジニアは完璧に仕事をして当たり前、たった1つのミスは膨大なマイナスになるという環境で仕事をしています。ミスをすれば注目されますが、「普段は完璧な仕事をしている」という意味で感謝されることは無いに等しいでしょう。

このように、裏で企業を支える人や部署に対し表彰をし、その活躍を全社に周知させ、企業から裏方に対して感謝の気持ちを伝える機会になります。表彰される側からしたら「自分たちの仕事をちゃんと見てくれていた」ことが伝わり、やりがいと誇りを感じられます。

2-3.会社へのロイヤリティを育てる

表彰をし続けていくと「愛社精神」が育ちます。英語ではロイヤリティと言い、企業に対した愛着のような感覚を指します。社員にとっての表彰は、自分の普段の努力や成果を会社が認めてくれた証になりますので、

  • この会社の社員になってよかったな(自己肯定感)
  • 私はこの会社にとって価値ある人間なんだ(自己効力感)
  • この会社、いいところだな(好印象)

と、自分を認めてくれた環境=企業を好きになり、自分の存在そのものを承認してくれた企業に対して深いロイヤリティを抱きます。

会社へロイヤリティを持つと、離職率は激減し、企業にとって必要な人的リソースの流出を食い止めが可能ます。また同時に人事上のトラブルも起きにくくなります。

【参照:独立行政法人労働政策研究 ・ 研修機構 論文 若年者の離職状況と離職後のキャリア形成

次ページ「表彰制度の活用方法」

本質的な課題と向き合える

メールマガジン登録

気づきを得られる、試してみたくなる、動きたくなる。 組織改革や人材育成に関するヒントが詰まった、管理職や人事のための無料メールマガジンです。