
「社内で気の合う人たちと趣味の活動をしたい」
「他の部署の人たちとも仕事外で交流を持ちたい」
このようなことを考えながら、日々の仕事に打ち込んでいる人も多くいらっしゃるでしょう。社員同士の交流が深められる部活の設立には、会社として大きなメリットがあります。近年では社内にバラエティ豊かな部活を設立する会社も多くあり、部員たちは盛んに活動しています。
しかし、会社として部活の設立を認めようと思っても、申請方法の設定や保険や経費の扱いなど、不明点も多くあることでしょう。そこで今回は、会社で部活を設立するメリットや設立の際の手順、おすすめの12の部活をご紹介します。
1.社内に部活を持つ3つのメリット
社内に部活を設けるには、人事部として各種手続きへの対応が必要です。しかし、多くのメリットがあるのが会社の部活の魅力。主に以下で解説する3つの効果が期待できます。
1.社員間のコミュニケーションが活発に
2.部署間での交流が深まる
3.メリハリをつけて働けるようになる
1-1.社員間のコミュニケーションが活発に
普段顔を合わせている社員同士でも、プライベートまでは知らないことがほとんどではないでしょうか。会社内の部活において、仕事中とは違った意外な一面を見る場合もあるでしょう。
部活では同じ趣味の社員同士が集まるため、自然と話が弾みます。社員同士の交流が活発になることでコミュニケーションの量が増し、仕事やプライベートのことを気軽に相談できるような、良好な関係性が出来上がることがあります。
1-2.部署間での交流が深まる
会社の部活は部署の垣根を超えたメンバーで構成されることがほとんどです。そのため、普段の業務では関わる機会がない人とも交流を持てるのがメリットとなります。営業の社員と管理部門の社員など、お互いの仕事内容が見えづらい人同士が交流することで、双方の仕事へ理解を深められるでしょう。
部活で面識ができると会社でも話しかけやすくなり、部署を超えたコミュニケーションに発展していくことが期待できます。
1-3.メリハリをつけて働けるようになる
会社の部活は平日の仕事終わりや休日に集まって行われます。そのため、普段の仕事とは切り離して考えることができ、体や気分のリフレッシュに役立ちます。趣味やスポーツに打ち込む時間ができることで、社員たちはメリハリを持って仕事に打ち込めるようになるでしょう。
2.会社で部活を作る際の5つのポイント
部活の設立では、代表となる社員がメンバーを集めて会社に申請することがほとんどです。会社によりますが、5名以上メンバーを集めることが条件である場合が多くあります。
社内の部活の設立を希望された際に、会社として注視すべき5点をまとめました。
1.設立の目的を明確にする
2.各種規定の作成
3.部の活動頻度の設定
4.部費の支給額の設定
5.保険への加入の有無
2-1.設立の目的を明確にする
部活を設立する際の目的を明確にしておきましょう。最初の目的が明確でなければ部は方向性を見失い、次第に形骸化してしまう可能性があるからです。そうならないためにも、設立を望む社員には、目的をしっかりと持ってもらう必要があります。
会社の部活の大きな目的として、「コミュニケーションの活性化」があります。それに付随して、「部活で得られた経験や知識を仕事にも活かすため」などの目的を持ってもらうことが大事です。
2-2.各種規定の作成
会社への部活の設立を認めるにあたり、各種規定を設ける必要があります。具体的には以下の条件を設定し、それを満たせる場合は部活として認定する方針を取るとよいでしょう。
・部員数の規定を設ける(設立時に最低5人以上必要など)
・部活動には複数の部署のメンバーが在籍している必要がある
・部活動における役職を明確にする(部長・副部長・会計など)
・活動期間は業務時間外に限定する
・部費の使用内訳を明確にする
・活動内容をレポートで提出したり社内SNSにアップしたりする
・同じ内容の部活を複数設立することは認めない
・部活動の掛け持ちには限度を設ける
条件を認めた部活のみ設立を認め、定期的な経過報告を義務にして、運営内容を周囲から見えるようにすることが重要です。活動内容が不明瞭な部活に対しては各種補助を行わないなど、厳密な取り決めをしておきましょう。
2-3.部の活動頻度の設定
会社に部活を設立しても、活動の実績がなければ設立を認めた意味がありません。そこで、毎月1回以上の活動など、活動頻度を設定しておきましょう。活動頻度が低い部活や、活動実績の無い部活に対しては、部費の支給を打ち切ったり、廃部にしたりするなど厳しい対応が必要です。
そうすることで、社内に安易に部活を作ろうとする流れを断ち切り、真剣な思いを持った社員が設立する部活を認めやすくなります。
2-4.部費の支給額の設定
部活動に必要な部費は、福利厚生費として会社が支給するケースがあります。
経団連が発表した「第61回福利厚生費調査結果報告」によると、2016年度における、会社が社員1人に対して1ヶ月に負担する「文化・体育・レクリエーション費用(施設・運営、活動 への補助 )」は、1,989 円でした。
内訳としては、「施設・運営」が786円、「活動への補助」が1,203円となり、活動への補助だけでも1,000円ほどが支給されていることになります。企業規模や部活の内容にもよりますが、平均して1,000〜2,000ほどが、毎月の部費の金額といえそうです。
2016年度福利厚生費等の項目別内訳(従業員1人1ヵ月当たり、全産業平均)
項目 |
金額 |
|
文化・体育・レクリエーション |
1,989円 |
|
施設・運営 |
786円 |
|
活動への補助 |
1,203円 |
参考:第61回福利厚生費調査結果報告
https://www.keidanren.or.jp/policy/2017/106_honbun.pdf
他にも、社員同士で折半して部費を出し合うケースがあるようです。
2-5.保険への加入の有無
運動系の部活の場合、練習中にけがをするようなケースが出てくるでしょう。部活中のけがは労災扱いにはならないため、あらかじめ注意が必要です。部活に参加することは任意であり、仕事上の問題ではないため労災が適用されません。そのため、スポーツ安全保険やレクリエーション傷害保険などの保険に加入しておくと安心です。
激しく体を動かす部活の場合は、スポーツ安全保険への加入がおすすめです。スポーツ安全保険は会社が設立した部活も加入でき、4人以上の部員がいることが条件となります。
公益財団法人スポーツ安全協会についてはこちら
部活設立をはじめとする、従業員エンゲージメント向上施策に潜む7つの落とし⽳とは|詳しいポイントを徹底解説
3.会社で人気の部活7選(アウトドア系)
会社の部活にはさまざまな種類があります。まずは、スポーツや登山など、アウトドア系の部活の一部をご紹介します。
1.フットサル部 2.テニス部 3.ボルダリング部 4.ゴルフ部 5.ボウリング部 6.サバイバルゲーム(サバゲー)部 7.バドミントン部 |
部活で体を動かし汗を流すことで、社員同士の交流が深まるでしょう。
3-1.フットサル部
幅広い世代から人気が高いフットサル部。仕事終わりに集まって練習したり、会社同士の試合に出場したりするなど、活発に活動することが多い部活です。男性だけでなく女性が在籍するチームも少なくありません。フットサルを通じて部署や年齢、性別を超えた交流を可能にします。
3-2.テニス部
気軽に参加しやすいスポーツであるテニス。男女問わず打ち込めるスポーツとして、会社の部活でも人気があります。部署を超えた交流が期待できるでしょう。月に数回の練習に加え、他社のテニス部との試合を行うケースも多いようです。
3-3.ボルダリング部
ボルダリングとはロッククライミングの一種であり、人工的に作られた小岩の壁を登るスポーツです。屋内のジムもあり、仕事終わりに気軽に集まって活動できます。全身を使って行うため、ダイエットなどにも効果的です。
壁を登る人を応援したりアドバイスしたりする中で、自然と社員間の距離感が縮まっていくでしょう。
3-4.ゴルフ部
年齢や性別に関係なく楽しめるスポーツ、ゴルフ。ゴルフ部では年に数回のゴルフコンペに備えて練習を行うこともあるようです。会社によっては、関連企業や取引先を集めたコンペを開催するケースもあります。
新入社員から会社の役員クラスまで幅広い年齢層が集まる部活なので、普段は決して取れないようなコミュニケーションが期待できます。
3-5.ボウリング部
着替えなどの必要がないため、仕事帰りに屋内の施設で気軽に行えるボウリング。参加者の年齢層が幅広く、男女関係なく参加できるのが魅力の部活です。スコアによって明確な順位が出ますが、部員間に実力差がある場合はハンデをつけるなど、工夫により初心者も楽しめます。
3-6.サバイバルゲーム(サバゲー)部
エアガンなどを用いるサバイバルゲームを定期的に行う部活です。屋外や屋内のフィールドでチームごとにわかれて勝敗を競い合います。高い戦略性とチーム間での連携が重要になるため、部署を超えた信頼関係が生まれやすくなっています。
初心者やインドア派の社員が多く、女性の部員も多いのが特徴です。
3-7.バドミントン部
年齢や性別を問わず、気軽に楽しめるスポーツであるバドミントン。仕事終わりに体育館やスポーツセンターなどで練習を行います。練習しながら部員同士が楽しく交流できるのが魅力です。適度に体を動かせるため、運動不足の解消に持ってこいでしょう。
4.会社で人気の部活5選(インドア系)
続いてインドア系の部活を5つご紹介します。
1.映画部 2.料理部 3.ボードゲーム部 4.軽音楽部 5.茶道部 |
趣味を通じて他部署との交流が行えるため、コミュニケーションの活性化が期待できる部活が多くあります。
4-1.映画部
社内の映画好きが集まる映画部は、話題作が公開される度にメンバーで劇場に足を運びます。芸術性の高いものからアクション満載のものまで幅広く鑑賞し、後で感想を語り合うなど、お互いの価値観を知れる貴重な機会が持てるのが特徴です。
劇場に足を運ぶだけでなく、社内で映画の上映会を開くなど、さまざまな方法で映画と接する機会が作れる部活です。
4-2.料理部
社内の料理好きが集まる料理部。旬の食材を使ったおいしく健康的な料理を作りながら、部員同士でコミュニケーションを取れる場となります。手を動かしながらだと、自然と会話が弾みます。男性社員が参加するケースも多く、和気藹々と料理づくりを楽しめる部活です。
4-3.ボードゲーム部
近年、人気が高まっているボードゲームを楽しむボードゲーム部。会社の会議室などを使って、仕事終わりにボードゲームを行います。プレイ人数に合わせたゲームを選び、気軽に始められるのが大きなメリットです。
運に任せたり、心理戦を仕掛けたりと、積極的なコミュニケーションが交わされるボードゲームは、他部署の社員同士の交流を深めるのに適しています。
4-4.軽音楽部
音楽好きが集まる軽音楽部。学生時代に音楽をやっていた人も、未経験の人も参加できる部活です。終業後にスタジオを借りて練習し、好きな音楽に熱中することで、メンバー間の信頼関係を深められます。
会社によっては忘年会などのイベントで、軽音楽部が演奏をする場合もあるようです。
4-5.茶道部
茶道を通じ、おもてなしや相手への思いやりの心を学ぶ茶道部。女性社員の割合が高いですが、男性も一緒に活動するケースもあるようです。茶道の稽古で学んだ気配りを、同僚や顧客に対して発揮できる、学びの場にもなるでしょう。
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5.まとめ
会社に部活を設立するには段取りが必要ですが、会社や社員が大きなメリットを享受できることがわかりました。
メリットが多い部活ですが、デメリットがまったくないわけではありません。例えばスポーツ系の部活の場合、試合で勝つために真剣に練習している社員と、ダイエット目的で参加している社員との間には、意識の乖離が生まれてしまうこともあるでしょう。そうならないためにも、部員間で方向性を統一してもらうことが大事です。
部活動については、定期的に社内ポータルサイトや社内SNSなどに写真つきで経過をアップするようにして、活動内容を見える化するのが大切です。より多くの社員に会社の部活に興味を持ってもらい、交流の輪を広げていきましょう。