
モチベーションが下がると社員は自発的に行動しなくなり、生産性を下げる原因になります。モチベーションが上がらない状態が続けば、離職につながることもあるでしょう。
本記事ではモチベーションが下がる原因を解説するとともに、高めるための具体的な方法を紹介します。
仕事のモチベーションとは?

モチベーションとは「動機付け」や「意欲」という意味があり、目標を達成するための原動力となるものです。モチベーションには内側から湧き出る内発的なものと、外部から与えられる外発的なものがあります。
仕事を意欲的に行うためには、これら2種類のモチベーションを高めることが大切です。
モチベーションの種類は2つ
モチベーションには内発的モチベーションと外発的モチベーションの2種類があります。内発的モチベーションは自分の内側から湧き出る意欲のことで、外発的モチベーションとは外部から与えられるものから発生する意欲のことです。
内発的モチベーションは原動力が自分の中にあり、下がりにくく持続性があります。長期間維持できるため、結果的に大きな効果を得られます。一方、外発的モチベーションは評価や報酬など外部から与えられるものを要因とするもので、高い効果はあるものの一時的な効果に留まりやすい傾向にあります。
仕事で継続的にモチベーションを高めるには、報酬などの外発的モチベーションをきっかけに、内発的モチベーションへと導くことが大切です。
仕事のモチベーションが大切な理由
仕事のモチベーションは、企業の成長のために欠かせません。社員のモチベーションが高まると意欲的に働くようになり、業務のパフォーマンスが向上します。生産性を高め、業績アップにもつながるでしょう。職場の雰囲気も明るくなり、人間関係を円滑にします。
反対に、社員のモチベーションが下がると仕事への意欲がなくなり、最悪の場合は離職につながります。人材不足の時代に社員の離職はできるだけ避けなければなりません。近年では「静かな退職(quiet quitting)」と呼ばれる、最低限の仕事だけをこなす状態も問題視されています。こうした状態を防ぐためにも、モチベーションの維持は重要な経営課題です。
仕事のモチベーションが下がる6つの原因

仕事にやりがいがない
自分のやりたい仕事ではなく、理想とのギャップがあるとモチベーションが下がりやすくなります。仕事に意義を見出せない、達成感がないといった場合もモチベーションを下げる要因です。同じことを繰り返す仕事にありがちで、成果が直接感じられない仕事を続けていると、何のために働いているのかわからなくなることもあるでしょう。
この状態は従業員エンゲージメントの低下にも直結します。エンゲージメントとは組織への自発的な貢献意欲を指し、やりがいの欠如はその土台を揺るがす原因になります。
関連記事:従業員エンゲージメント向上の具体例を紹介!事例から学ぶ向上施策
仕事が忙しい
仕事が忙しく、毎日目の前の仕事に追われているとモチベーションは上がりません。長時間労働が常態化している会社はプライベートの時間もなくなり、ストレスが蓄積します。労働環境の悪い状態が続く限り、社員のモチベーション向上は期待できません。
慢性的な長時間労働は燃え尽き症候群(バーンアウト)のリスクも高めます。一度バーンアウトに陥ると回復には時間がかかるため、早期の対処が重要です。
人間関係が良くない
職場の人間関係が良くないと、仕事への意欲がなくなります。業務の連携もうまくいかず、ストレスを抱えることもあるでしょう。人間関係の悪い職場は心理的安全性が低く、発言や挑戦をためらう原因にもなります。
一方、人間関係の良い職場では、多少はきつい仕事でも前向きな気持ちで取り組めます。褒めてくれる上司や励まし合える同僚がいれば、困難な仕事も乗り切れるでしょう。
関連記事:心理的安全性の作り方とは?高める4つの因子と実践方法、事例を紹介
キャリアプランがない
仕事に将来性を感じられない、キャリアプランがないといった場合、自分が成長している実感を得られず、仕事へのモチベーションは下がります。
キャリアプランとは、自分が将来どのような経歴を積み重ねていくかを考える中長期的な計画のことです。キャリアプランが具体的に描ければ目標が明らかになり、モチベーションも高まります。しかし会社がキャリアパスを提示せず、キャリア支援も行わない場合は、目標が定まらずにモチベーションを保てません。
人事評価に納得できない
成果を出しているのに思ったような評価がされないと、仕事のモチベーションが下がります。評価は外発的モチベーションとして重要な要素であり、昇格や昇給にも結びつくため、正当な評価が行われていないと感じると従業員はやる気をなくしてしまいます。
人事評価で社員がやる気をなくす主な原因は次の2点です。
- 不明確な基準:何を基準に評価されているのかわからず、結果に不信感を抱く
- 自己評価とのギャップ:自分の評価と異なる低い結果に納得できず、「このまま働いても評価されない」と感じる
関連記事:人事評価で部下がやる気をなくす理由とは?原因や対処法を紹介
給与が低い・待遇が悪い
給与や福利厚生などの待遇面は、外発的モチベーションにあたります。働きに対して給与が低い、福利厚生が十分でないといった場合はやる気をなくす大きな要因です。やりがいのある仕事で職場の人間関係が良くても、給与が低くては働く意欲を維持できません。
社員のモチベーションが下がる3つのデメリット

自発的に行動しなくなる
モチベーションが下がると社員は自発的に行動しなくなり、上司から指示された受け身の仕事だけをこなすようになります。その結果、評価が下がり、さらにモチベーションが低下するという悪循環に陥ります。チームワークを乱すことにもなりかねません。
生産性が下がる
やる気のない社員は周りにも影響を与え、職場の雰囲気を悪くします。モチベーション低下の影響は個人にとどまらず、組織全体に波及して会社の成長を妨げる結果にもなりかねません。
離職が増える
モチベーションが下がると仕事に意欲がなくなり、働くこと自体が苦痛になります。離職者が増えれば人手不足になり、残った社員の負担が増えてさらに生産性を下げるという負のスパイラルに陥ります。社員のモチベーション低下は会社の存続にも関わる問題であり、早めの対策が必要です。
社員のモチベーションを高める7つの方法

評価制度を見直す
自分の働きが正当に評価されれば、社員はモチベーションを高めます。現在の評価制度が明確でない場合は、早急に見直しを検討しましょう。
何を頑張れば評価されるかがわかる具体的な基準であれば、社員は評価を得るために意欲的に働けます。評価者の主観ではなく、基準に基づいた客観的な評価を行うことが重要です。
評価のフィードバックも欠かせません。部下は自分の良い部分や不足していることを認識でき、改善への取り組みが内発的動機付けになります。
1on1ミーティングを導入する
定期的な1on1ミーティングの導入もモチベーション向上に効果的です。1on1ミーティングは評価面談とは異なり、部下の成長を促進するために行われます。対話を通して信頼関係を構築し、相互理解を深められます。
ただし形だけの1on1にならないよう注意が必要です。上司が一方的に話す「業務報告会」にすり替わってしまうと、逆効果になることもあります。部下の話に耳を傾け、コーチングの姿勢で関わることが大切です。
福利厚生を充実させる
待遇の改善は外発的モチベーションの向上になり、即効性があります。社員のモチベーションを高めるのに効果的な福利厚生の例を紹介します。
- 就業時間の短縮:週のうち1日だけ出社時間を遅らせる制度など
- 休暇取得の手当金支給:長期休暇を充実させるための手当
- 育児支援:ベビーシッターの手配や社内託児所の設置
- 飲食物の提供:休憩室でのドリンク提供やランチ補助
人材の流動化が活発な時代には、社員が会社に求めるものも多様化しています。社員にとって何が必要かを考え、ニーズに応えられる福利厚生を検討しましょう。
スキルアップをサポートする
社員のスキルアップを支援する制度を設けることも、モチベーション向上につながります。スキルが上がることで社員は自分の仕事に興味を持ち、意欲的に働けるようになります。
主な支援制度としては、社内研修の実施、資格取得制度(一時金支給・費用負担)、書籍購入費用負担、外部研修費用負担などがあります。
スキルアップの支援は「企業が自分に投資し、期待してくれている」という実感を与え、制度の創設自体がモチベーション向上に役立ちます。
キャリアパスを提示する
キャリアパスとは、仕事の最終的な目標を定め、それを実現させるための道筋のことです。上位の役職や職務に就くために必要な業務経験や要件を明確に示すことで、社員は将来に向けた目標設定ができます。
自分の目指すべき方向性が明確になれば、日々の業務へのモチベーションも高まります。キャリアデザイン研修を行い、ゴールを明確にする支援も効果的です。
身近な存在で目標となる人物をロールモデルとして提示するのもおすすめです。上司や先輩社員が講師を務める勉強会、他部署との交流会などを通じて、モデルとなる人物に出会える機会を提供しましょう。
社内コミュニケーションを活性化する
社内コミュニケーションが活発な職場は人間関係が良好で、業務の連携もスムーズです。仕事への意欲が湧き、モチベーションを維持しやすいでしょう。
社内コミュニケーションを促進する施策としては、社内報の発行、社内イベントの開催、コミュニケーションツールの導入などがあります。近年はリモートワークの普及で対面コミュニケーションの機会が減っているため、オンラインで気軽に交流できる仕組みの整備が重要になっています。
称賛・感謝の文化を仕組みとして取り入れる
日常の中で「ありがとう」「助かりました」という感謝の気持ちを可視化し、組織全体で共有する仕組みは、モチベーション向上に大きな効果を発揮します。こうした仕組みは「ピアボーナス」と呼ばれ、従業員同士が称賛や少額のインセンティブを送り合うシステムです。
上司からの評価だけでは拾いきれない日々の貢献を可視化できるため、「自分の仕事が見てもらえている」という実感が内発的モチベーションの向上につながります。
モチベーション向上に成功した企業事例
浅間商事|新人定着率を大きく改善
IT機器の導入から運用までトータルサポートする総合IT商社の浅間商事では、新人の定着率が低いという課題を抱えていました。仕事が「個人商店化」して部署間の連携がうまくとれず、ノウハウが社内に共有されないことも問題でした。
そこで、社員同士が感謝や称賛を送り合えるピアボーナスの仕組みを導入。SNSに慣れていないメンバーをフォローするための推進チームをつくり、導入当初から現在まで90%以上という高い利用率を維持し、新人定着率が大きく改善しました。
アース製薬|部署を越えたコミュニケーションを実現
衛生薬品の製造・販売を行うアース製薬は、「全員参画」「コミュニケーション」「人がすべて」というアースバリューを掲げ、社内コミュニケーションの活性化と社員の隠れた貢献を可視化することに取り組みました。
ピアボーナスの仕組みを導入した結果、投稿を通じて他部署の仕事内容が見えるようになり、従業員同士が褒め合うという新しいコミュニケーションが生まれました。ハッシュタグで企業のポリシーやバリューを紐づけることで、企業文化の浸透にもつながっています。
まとめ
モチベーションが下がる原因は「仕事にやりがいを感じない」「人間関係が良くない」「評価に納得できない」などさまざまです。社員のモチベーション低下は生産性の悪化や離職の増加に直結し、会社の成長を阻害します。
評価制度の見直しや1on1ミーティングの導入、福利厚生の充実、キャリアパスの提示、そして称賛・感謝の文化を仕組みとして取り入れることで、社員のモチベーションを持続的に高めることができます。
特に、社員同士が日常的に称賛を送り合う仕組みは、上司からの評価だけでは見えにくい貢献を可視化し、内発的モチベーションの向上に効果を発揮します。Unipos(ユニポス)は、こうしたピアボーナスを通じて社内コミュニケーションを活性化し、離職率の低下に貢献するツールです。
よくある質問(FAQ)
Q. モチベーションが下がる主な原因は何ですか?
仕事にやりがいがない、人間関係が良くない、キャリアプランがない、人事評価に納得できない、給与・待遇が悪い、仕事が忙しすぎるなどが主な原因です。特に人間関係と評価への不満は、離職の直接的な引き金になることが多いとされています。
Q. 内発的モチベーションと外発的モチベーションの違いは?
内発的モチベーションは「仕事自体のやりがい」「成長の実感」など自分の内側から湧く意欲で、持続性が高いのが特徴です。外発的モチベーションは給与・評価・報酬など外部から与えられるもので、即効性はありますが一時的な効果に留まりやすい傾向があります。
Q. 社員のモチベーションが下がっているサインは?
遅刻や欠勤の増加、発言の減少、受け身の姿勢が目立つ、業務の質が低下する、チームへの協力が減るなどがサインとして挙げられます。こうした兆候を見逃さず、早期に1on1などで対話の機会を設けることが重要です。
Q. モチベーション向上に効果的な施策は?
評価制度の見直し、1on1ミーティングの導入、福利厚生の充実、スキルアップ支援、キャリアパスの提示、社内コミュニケーションの活性化、称賛・感謝の文化づくりなどが効果的です。外発的な施策と内発的な施策を組み合わせることで、持続的なモチベーション向上が実現できます。
Q. ピアボーナスはモチベーション向上にどう役立ちますか?
ピアボーナスとは、従業員同士が日常の貢献に対して感謝や称賛を少額のインセンティブとともに送り合う仕組みです。上司からの評価では拾いきれない日々の貢献が可視化されることで、「自分の仕事が認められている」という実感が生まれ、内発的モチベーションの向上につながります。

