
社内のコミュニケーションを活性化したり情報共有を効率化したりするために、導入企業が増えている社内SNS。
「うちの会社でも導入したいけど、コストはかけられない。無料で使える社内SNSには何があるの?」
とお探しの方が多いのではないでしょうか。
しかし、社内SNSと一口に言っても、その機能や種類はさまざま。そのため、どれを選べば良いのかわかりづらく、不適切なものを選んで失敗するケースも多いのです。
そこで本記事では、あなたの会社にピッタリな無料の社内SNSを選べるようにするために、以下の情報をまとめました。
①社内SNSを選ぶ前に確認すべき2つのポイント
②無料の社内SNSおすすめ5選
③無料SNSの比較表
④社内SNS導入に失敗しないための注意点
最後までお読みいただければ、無料の社内SNSに関する知識が深まり、どれを選んだら良いのか的確な判断ができるようになります。さっそく続きをご覧ください。
1.社内SNSを選ぶ前に確認すべき2つのポイント
無料で使えるおすすめの社内SNSをご紹介する前に、再確認してほしい2つのポイントがあります。
①導入「目的」を明確にする
②「必要な機能」を洗い出す
これは、ベストな社内SNSを選ぶ際に拠りどころとなる重要なポイントです。
これらが不明瞭なままでは、自社にとって良い社内SNSの判断基準がブレてしまいます。それでは的確な判断ができません。
それぞれ、詳しく解説しましょう。
1-1.①導入目的を明確にする
まずは「導入目的」を明確にしましょう。
できれば「社内SNS導入企画書」といったドキュメントを作成し、目的・背景・達成したい具体的な指標などを明記しておくことをおすすめします。
社内SNSの導入目的は、大きくいえば「コミュニケーションの活性化」「情報共有の効率化」を目指している企業が多いかと思います。そこから、さらにもう一段階、掘り下げて考えてみましょう。
「コミュニケーションの活性化あるいは情報共有の効率化によって、何を成し遂げたいのか」を明確にします。
例えば、
・営業スタッフ同士の連携をスムーズにして契約率を上げる
・スタッフ間の信頼関係を強化して離職率を下げる
・情報共有をスピーディに行いトラブル対応の初速を上げる
……など、社内SNSを導入することによって、何をどう変えたいのか明らかにし、チームメンバーと共有しておきます。
「その目的にはどんなSNSを導入するのが良いか?」と、具体的に考えられるようになります。
1-2.②必要な機能を洗い出す
目的が明確になったら、その目的に沿って「必要な機能」を洗い出します。社内SNSの機能の一例として、次のようなものが挙げられます。
・チャット
・ビデオ通話
・ライブ配信
・自動翻訳機能
・ブログ(日記)
・メッセージ(DM)
・掲示板(BBS)
・ファイル共有
・グループ(コミュニティ)作成
・足跡(アクセス履歴)
・いいね!機能
・モバイルアプリ対応
・アドレス帳
・アンケート
有料の社内SNSサービスであれば、数多くの機能が標準装備されていますので、機能の洗い出しはさほど重要ではありません。導入後に、必要な機能のみ使用すれば良いからです。
しかし無料の社内SNSサービスは、装備されている機能が限られています。どこに重点を置くのか、優先順位を明らかにしておく必要があります。
・必ず必要な機能
・できれば欲しい機能
・不要な機能
という具合に整理しておきましょう。
ここまでできたら、いよいよ次章では、無料の社内SNSの具体的な選択肢をチェックしていきます。
2.無料の社内SNSおすすめ5選
本章では無料の社内SNSのおすすめを5つ、ご紹介します。
「うちの会社の目的に合う社内SNSは、どれだろう?」という視点で読み進めてくださいね。
2-1.workplace(ワークプレイス)
出典:Workplace
workplace(ワークプレイス)は、Facebook社が展開している社内SNSサービスです。一言で表現すれば「Facebookの社内版」で、Facebookと同じ感覚で簡単に使いこなすことができます。
グローバルでは2016年10月〜、国内では2017年5月〜提供されている比較的新しいサービスです。料金体系は以下の3パターンがあります。
プラン名 |
1ユーザーあたりの月額 |
エッセンシャル |
$0 USD(無料) |
アドバンス |
$4 USD |
エンターブライズ |
$8 USD |
無料のエッセンシャル版でも基本機能を備えており、「エッセンシャル版で十分」という企業も多いでしょう。
<主な機能>
・チャット
・ビデオ通話
・ライブ配信
・グループ
・ニュースフィード
・自動翻訳
・ファイル保管
・モバイルアプリ
<おすすめシチュエーション>
・ビデオ通話で会議がしたい。
・できるだけ社員にとってなじみのあるインターフェイスを希望している。
・母国語の違う従業員同士のコミュニケーションを円滑にしたい。
<導入企業> ※有償プラン含む
・ファミリーマート
・琉球銀行
<メリット>
・Facebookに近いインターフェイスでなじみやすい。
・自動翻訳機能を搭載している。
・モバイルアプリがある。
<デメリット>
・無料のエッセンシャル版ではグループ数・ビデオ通話の最大人数・ファイルの保管容量など制限がある(詳しくはこちら)。
2-2.LINE WORKS(ラインワークス)
出典:LINE WORKS
LINE WORKSは、LINE株式会社が展開する「ビジネス版LINE」です。LINEでおなじみのチャットやスタンプに加えて、掲示板・カレンダー・アドレス帳・アンケートなどの仕事で活用できる機能を備えています。
LINEと同じ使い勝手だから、普段LINEを使っている人なら導入した日から簡単に使えるのが大きなメリットです。料金体系は以下の4種類。
プラン名 |
1ユーザーあたりの月額 |
フリー |
0円(無料) |
ライト |
300円(年額契約) |
ベーシック |
500円(年額契約) |
プレミアム |
1000円(年額契約) |
無料のフリープランでも、基本機能は網羅されているため、まずはフリーで試してみると良いでしょう。
<主な機能>
・トーク
・アドレス帳
・グループ機能
・ホーム(掲示板)
・カレンダー
・アンケート
・共有ストレージ(基本容量5GB)
<おすすめシチュエーション>
・ユーザー教育なしで導入できる簡単なSNSを探している。
・プライベートのLINEを仕事でも使っている従業員が多い。
<導入企業>※有償版含む
・ソフトバンク
・サッポロビール
・大阪市
・みずほ銀行
・RIZAPグループ
<メリット>
・仕事ではプライベートと別のLINEアカウントが使えるようになる。
・使い慣れたLINEと同じ使い勝手だから使いやすい。
・国内のデータセンターから提供されておりセキュリティに配慮されている。
<デメリット>
・フリー版では一部機能に制限がある。
2-3.Yammer(ヤマー)
出典:Yammer
Yammer(ヤマー)はMicrosoft社が提供する社内SNSで「社内版Twitter」というイメージになります。YammerはOffice365のプランに含まれているため、Office365を導入している企業であれば実質無料で使用できます。
Office365は有償サービスとなり、料金体系は以下の通りです。
プラン名 |
1ユーザーあたりの月額 |
Office 365 E1 |
¥870 |
Office 365 ProPlus |
¥1,300 |
Office 365 E3 |
¥2,170 |
Office 365 E5 |
¥3,810 |
<主な機能>
・メッセージ投稿・スレッド表示
・ファイル・画像の共有
・イベント・投稿・質問
・いいね!ボタン
・グループ
<おすすめシチュエーション>
・MicrosoftのOfficeを社内で利用しており連携させたい。
・Office365の導入予定がある。
<導入企業>※有償版含む
・東急住宅リース
<メリット>
・Microsoft Office(Word、PowerPoint、Excelなど)との連携がしやすい。
・母体がMicrosoftでセキュリティに関する技術力が高い。
<デメリット>
・Yammer単体での無料導入ができない。
2-4.Chatwork(チャットワーク)
出典:Chatwork
Chatwork(チャットワーク)は、Chatwork株式会社が展開するビジネスチャットです。ビジネスチャット国内利用者数No.1のトップシェアを誇り、導入企業は246,000社を突破しています。
社内だけでなく、社外とのコミュニケーションにもチャットを使いたいと考えるなら、導入企業の多いChatworkが第一選択肢となるでしょう。
Chatworkには、有償プランも用意されていますが、無料のフリープランでも基本的な機能はすべて使うことができます。
プラン名 |
1ユーザーあたりの月額 |
フリー |
¥0(無料) |
パーソナル |
¥400 |
ビジネス |
¥500 |
エンタープライズ |
¥800 |
<主な機能>
・グループチャット
・タスク管理
・ファイル管理
・ビデオ・音声通話
<おすすめシチュエーション>
・メール・電話などで行っているコミュニケーションを効率化したい。
・チャット機能さえ使えれば他のSNS機能はなくても良い。
・取引先にChatworkを導入している企業が多い。
<導入企業>※有償版含む
・サイバーエージェント
・グリー
・京都大学
<メリット>
・ビジネスチャット機能が洗練されており使いやすい。
・導入企業が多いため取引先とも連携しやすい。
<デメリット>
・タイムラインやいいね機能などのTwitterやFacebookに近いSNS機能はない。
2-5.Slack(スラック)
出典:Slack
Slack(スラック)は、サンフランシスコを拠点とするSlack社が手がけるチャットサービスです。150カ国以上の国で利用されており、日間アクティブユーザー数は1,200万以上。
英語版のサービス開始は2013年、日本語版は2017年11月〜と後発にもかかわらず、世界中でユーザー数を増やし続けている、いま最も勢いのある社内SNSサービスであるといえるでしょう。
Slackの最大の強みは、外部サービスとの連携機能です。例えば、Googleドライブ・Dropbox・Twitter・Skypeなど、300種類以上の外部サービスとの連携が可能で、通知や管理をSlackに一元化できるのです。
単なるビジネスチャットではなく、日々の業務を効率化するための業務基盤として活用できる点が、世界中で支持されています。
Slackには有償プランもありますが、無料のフリープランでも基本機能はすべて使用できます。
プラン名 |
1ユーザーあたりの月額 |
フリー |
¥0(無料) |
スタンダード |
¥850 |
プラス |
¥1,600 |
<主な機能>
・チャット
・メッセージ
・ビデオ通話
・ファイル共有
・外部サービスとの連携
<おすすめシチュエーション>
・海外スタッフとチャットでやり取りしたい。
・外部サービスも含めて一元管理できるようにしたい。
<導入企業>※有償版含む
・NASA
・LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン
・オラクル
・スタンフォード大学
・国務省
<メリット>
・業務全般の効率化に活用できる。
・海外スタッフとの共有にも使いやすい。
<デメリット>
・無料プランでは直近1万件のメッセージしか表示できない。
・日本国内では知名度が低い。
3.無料の社内SNS比較表
5つの社内SNSをご紹介しましたが、それぞれを比較すると以下の通りです。
|
国産 |
母体 |
機能 |
||||
チャット |
ビデオ通話 |
ファイル共有 |
タイムライン |
ニュースフィード |
|||
workplace |
– |
|
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
LINE WORKS |
○ |
LINE |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
yammer |
– |
Microsoft |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
Chatwork |
○ |
– |
○ |
○ |
○ |
– |
– |
Slack |
– |
– |
○ |
○ |
○ |
– |
– |
「タイムライン・ニュースフィード」形式で情報が流れるSNSを導入したい場合には、workplace・LINE WORKS・yammerが選択肢となります。
それぞれ母体が異なりますので、Facebookが良いのか、LINEが良いのか、Microsoftが良いのか……という視点で検討すると良いでしょう。
一方、「ビジネスチャット」の機能に重きを置いている場合には、ChatworkまたはSlackが選択肢となります。
国内のユーザーが多いのはChatwork、世界的にユーザーが多いのはSlackですから、利用シーンに合わせて選ぶと良いでしょう。
4.社内SNS選びに失敗しないための注意点
最後に、社内SNSの導入に失敗しないための注意点を3つ、ご紹介します。
4-1.本格導入の前に必ずテスト期間を設ける
本格的に社内SNSを導入する前に、必ずテスト期間を設けましょう。テスト期間中は、SNS導入の担当者だけでなく、すべての部署で使ってもらうことが大切です。
実際に運用してみると、事前に気付けなかった問題点が出てくるものです。部署によっては「この仕様では逆に仕事が増える」など、大きな問題があるかもしれません。
事前にテストをしっかり行っておけば、導入後のトラブルや不満を未然に防ぐことができます。
4-2.将来的に有料プランに移行する可能性も考慮する
社内SNSを導入した当初は無料のフリープランで十分でも、会社の成長や従業員数の増加に従って、フリープランでは対応し切れなくなることがあります。
その際、新たな別の有料サービスに申し込むのではなく、現在使っているサービスを有料プランにグレードアップするのが最も効率的です。
そこで「将来的に有料プランに移行したとしても、使い続けられるサービスかどうか」について、あらかじめ検討しておきましょう。
そうすれば、いざ有料プランに切り替えるときにもスムーズに移行ができるでしょう。
4-3.高セキュリティのサービスを利用する
無料で提供されているWEBサービスの中には、セキュリティに問題があるケースもあるので、慎重に選ぶ必要があります。
本記事では、高度なセキュリティ技術を持つ企業が運営している信頼性の高い社内SNSだけをピックアップしてご紹介しました。それ以外の社内SNSを検討する際には、
・通信やデータベースは暗号化されているか?
・データセンターの安全性は?
・第三者機関による脆弱性診断を受けているか?
など、必要に応じて運営会社にコンタクトを取ってセキュリティ面の確認を行ってください。
社内SNSでは、自社の戦略や顧客情報など、機密レベルの高い情報をやり取りすることもあるでしょう。情報漏洩を引き起こさないよう、高セキュリティのサービスを選ぶことが大切です。
5.まとめ
社内SNSを選ぶ前には、まず次の2つのポイントを確認しましょう。
①導入目的を明確にする
②必要な機能を洗い出す
目的が明確になれば必要な社内SNSも明確になりますから、より自社に合う選択ができるようになります。
無料で使える社内SNSは、次の5つがおすすめです。
①workplace(ワークプレイス)
②LINE WORKS(ラインワークス)
③Yammer(ヤマー)
④Chatwork(チャットワーク)
⑤Slack(スラック)
社内SNS選びに失敗しないためには、次の3点に注意してください。
①本格導入の前に必ずテスト期間を設ける
②将来的に有料プランに移行する可能性も考慮する
③高セキュリティのサービスを利用する
適切な社内SNSの導入は、社内のさまざまな課題を解決に導いてくれます。ぜひ、あなたの会社の成長の一助としてください。