
感情報酬とは、仕事のやりがいや楽しさなどポジティブな
感情を労働の対価とする考え方です。
近年、多くの企業が注目し、導入する事例も増えています。
本記事では感情報酬とはどのようなものか説明し
職場に取り入れる方法や企業事例を紹介します。
感情報酬とは?
感情報酬とは、
ポジティブな感情が生まれることを労働の対価とするものです。
仕事に対するやる気やモチベーションを高め、
社内に良好な人間関係を築く役割も果たします。
感情報酬は「第3の報酬」とも呼ばれ、近年は多くの企業に注目され
導入に成功している企業も少なくありません。
給与とは別の労働の対価
感情報酬は、働きがいやモチベーションのアップなど
無形の報酬を与えるという考え方です。
給料や役職など物質的な報酬だけでは、
働くモチベーションを維持できないこともあります。
何を目標にして働き、なぜその目標を目指しているのか理解できなければ
モチベーションは上がらないでしょう。
そのため、働くことに意味や喜びを見出せる感情報酬が必要とされています。
第3の報酬とされる意味
感情報酬は「第3の報酬」といわれています。
第1の報酬は金銭報酬で、ほとんどの従業員は金銭報酬を得るために
働いているといえるでしょう。
成果を出して評価が高まれば給与が上がり、
残業を多くすれば給与が割増になります。より多くの金銭報酬を得ることは、
働くことの大きなモチベーションであることには違いありません。
第2の報酬は、社内での地位向上です。
係長や課長など昇進により地位が向上することで、名誉の報酬も得られます。
社内でより尊重され、名刺を渡した相手にも丁寧に扱われるなど、
ステータスを感じられる報酬です。
昇進とともに給与が上がり、第1の報酬も満たされます。
これまで、従業員のモチベーションを保つには
第1と第2の報酬で十分と考えられてきました。
しかし、近年はこれら目に見える報酬だけでは従業員のやる気
モチベーションを保つことはできなくなっています。
物質的な報酬に代わる第3の報酬として、感情報酬が注目されているのです。
注目されている理由
感情報酬が注目されているのは、第1・第2の報酬だけでは
従業員のモチベーションを保てないという状況があるためです。
近年は、仕事以外で家族と過ごす時間などプライベートを重視する人が増えています。
ただ給与が高い・役職につけるというだけで、大切な時間を犠牲にしたくないのです。
モチベーションが低いまま働いても生産性が上がらず、
企業の成長は望めないでしょう。
そのため、外側から与える報酬だけでなく
従業員の内側に訴えかける感情報酬が重視されるようになっています。
感情報酬を取り入れて従業員のやる気を引き出し
主体性を持って働いてもらおうと考える企業が増えているのです。
感情報酬を取り入れる方法
感情報酬は働きがいやモチベーションを高めるために効果的ですが
金銭のように目に見えるものではなく、取り入れ方に迷う側面もあります。
一般的に取り入れられているのが、以下のような方法です。
- 称賛する
- 共感する
- 尊重する
- 愛情を持つ
これらの方法は従業員の感情に良い影響を与え、やる気を引き出すのに効果的です。
それぞれの内容をみていきましょう。
称賛する
感情報酬は「称賛」になり称賛とは
成果を出したときや会社にとって良い影響があることを褒めるだけではありません。
社員の努力や気遣いといった行為や仕事への姿勢、プロセスを褒めることです。
感情報酬における称賛は結果だけでなく、そこに至ったプロセスや努力している姿
周りへの配慮、姿勢などを褒めることです。
他の人にはない、その人ならではのアイデアや能力、気配りなどを称賛します。
結果を出しているものに限らず、その行為自体を褒め称えます。
努力や行為、アイデアを褒められた従業員は「認められている」と感じ
モチベーションを高めるでしょう。
共感する
従業員の話に耳を傾け、共感することも感情報酬になります。
契約をとるのに苦労してたり、難しい案件に悩んでいたりする従業員に対し
労りの言葉をかけてアドバイスをすることで、お互いの信頼関係も深まるでしょう。
特別に称賛するのではなく、ただ共感するだけでも従業員は理解されていると感じます。
幅広い場面で与えることのできる感情報酬であり、積極的に使うと効果的です。
称賛とともに共感も示せば、より効果が高まるでしょう。
尊重する
相手を尊重することも感情報酬のひとつです。
特に立場が上にある人が部下や後輩に対して尊重する態度を見せることは
高い効果があります。
次のようなことを意識するだけでも、感情報酬となります。
- 部下や後輩が話しているときは、体をそちらに向けて聴く姿勢を見せる
- 相手の目を見て聴く
- 意見が違う場合も最後まで話を聴き、話を遮らない
このような対応により従業員は自分が尊重されていると感じ、モチベーションを高められるでしょう。
愛情を持つ
愛情を持って接するだけでも感情報酬になります。
ミスを指摘する場合でも、ただ怒っているだけなのか愛情がこもっているのかは相手に伝わります。
敵意を持った叱責は相手を萎縮させるだけでしょう。
厳しい指導も「自分のことを思って指導してくれている」と感じられれば
前向きに受け止め改善に務めようとします。
期待に応えるために、より頑張ろうという意識を持つでしょう。
感情報酬を導入する際の注意点
感情報酬の導入は、ただ居心地の良い職場環境を作るというだけではありません。
どのような環境にしたら効果が上がるかを積極的に考えることが大切です。
感情報酬を導入する際に注意したい点を解説します。
金銭・地位の報酬と引き換えにしない
感情報酬は金銭・地位の報酬とは別に考えましょう。
感情報酬を与えているから、ほかの報酬が低くても良いわけではありません。
いくら感情報酬は充実していても給与が低く
昇進の期待がなければ、求める効果は得られないでしょう。
給与や昇進制度は従来通りの水準に保ちつつ
感情報酬を取り入れることが従業員のモチベーションアップにつながります。
環境づくりを積極的に考える
感情報酬を上手に取り入れるためには、環境づくりを積極的に考えることが大切です。
ただ居心地の良い職場を作るだけでは、報酬としての効果は薄いでしょう。
従業員の承認欲求や成長欲求を刺激するものでなければなりません。
自分が会社にとって重要な存在と感じられ、明確で達成可能性がある目標があり
前向きに挑戦できる環境づくりを行う必要があります。
感情報酬を与え合う環境づくりに役立つのがUniposのピアボーナスです。
感情報酬のやり取りが難しいと感じる場面でも
ピアボーナスのシステムがあれば容易に感情報酬を与え合い、感謝する文化を醸成できます。
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感情報酬を導入した企業の事例
感情報酬に注目する企業は増えており、導入を検討しているところも少なくありません。
感情報酬を自社に根付かせるためには、導入に成功している企業事例を見ることをおすすめします。
各社の取り組みを見て応用できる部分があれば、積極的に取り入れてみるとよいでしょう。
ここでは、感情報酬を導入した企業の事例を4つご紹介します。
感情報酬を人事制度に導入【サイバーエージェント】
インターネット広告事業を展開する株式会社サイバーエージェントは感情報酬を導入する企業の先駆けとなる存在です。
感情報酬をマネジメントの重要なキーワードとし、積極的な導入を行っています。感情報酬を導入するきっかけになったのは、離職率の高さです。1998年の設立当初は、営業の目標数字を達成できなければ上司から詰められるという環境でした。そのために離職が増えてしまい、危機感を感じた経営陣は「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを作りました。その後、人事を重視し「全員がやりがいや楽しさを感じながら前向きに挑戦できる会社」へと変えていく行動を開始したという経緯があります。感情報酬の導入により設立時の「詰め文化」は消え、「褒め文化」に移行しました。年に2回、ホテルの大宴会場を貸し切って全体表彰が行われているのもそのひとつです。褒められた社員の仕事への情熱がほかの社員にも伝わり「自分も頑張って次は壇上に立とう」という気持ちにさせて組織全体のモチベーションアップに貢献しています。表彰式で褒めることは従業員全体の共感を得られ、思いをひとつにできることもメリットです。褒めることで会社の方向性が理解しやすくなったのも、感情報酬を導入した成果のひとつです。「それをしてはいけない」というと、それ以外なら何をしてもよいことになります。しかし、褒める場合は正しい道を提示することになり、進むべき方向が明らかになるのです。また、同社では毎月アンケートを実施し、何か問題があればその都度人事が対応してネガティブな感情をケアしています。従業員の感情を大切にすることも、感情報酬を運用する一環といえるでしょう
感情報酬で称賛文化が生まれる【カクイチ】
ガレージ・倉庫・物置事業を行う株式会社カクイチでは、最新のITツールを導入して感情報酬の導入に取り組み、社内に称賛文化を熟成しました。その結果、売上の大幅増加を達成しています。
株式会社カクイチは明治19年創業という老舗企業ですが、インターネット環境が整ったのは2018年ごろで、それまではIT環境とは無縁な状態でした。しかし、感情報酬を導入するためにUniposをはじめとする最新のITツールを導入し、称賛文化を根付かせています。
感情報酬を導入するきっかけとなったのは、従業員同士の交流が少ない組織体制への懸念です。同社は全国に28の営業拠点がありますが、他拠点との交流は難しい状況でした。また、店舗や営業、事務職などそれぞれの仕事が分散し、部署を越えた交流があまりないという環境でもありました。そのため、従業員が職場で認められる機会を増やすためには、社員の承認欲求を満たす施策が必要だと考えたそうです。
同社は平均年齢が高く、ITリテラシーが低めだったため、まずは社内にインターネット環境を整えるデジタル改革が行われました。その後、Uniposを導入することで、社内には「称賛文化」と「感謝体質」が生まれたのです。
感謝体質が生まれたことで、自然発生的に各拠点が互いに鼓舞し合う状況が生まれました。これにより、コロナ禍であったにもかかわらず売上は前年の132%増という過去最高の収益を達成したそうです。
感情報酬を評価制度のベースに据える【favy】
株式会社favyは、店舗向けのサブスクビジネスを展開する会社です。
2018年7月に創業したベンチャー企業で、感情報酬を評価制度のベースに据えて急成長を遂げています。
同社の取り組みは、「感情報酬」×「挑戦」を軸に従業員のチャレンジしたいという欲求を満たす独自の制度を整備し、成長を促しているのが特徴です。事業の成長スピードが高まるにつれ、半年に1回の人事評価では成長スピードと個人目標が合わなくなりました。
スピード感を持って個人の成長やチャレンジをアシストするために取り入れたものが「アジャイル・フィードバック」の制度です。
最大で年12回の評価面談を行う制度で、スピード感をもって従業員の行動や結果を評価することにより、成長スピードを押し上げています。
制度では最大年12回の昇給ができ、スキルと成果を重視して給与が上がるのも特徴のひとつです。あくまでも、感情報酬を重視したもので「最大で年12回、スタッフの感情をポジティブに動かすための制度」と位置付けています。
感情報酬で表彰【リンクアンドモチベーション】
経営コンサルティング会社の株式会社リンクアンドモチベーションは、組織のモチベーションを保つためにコミュニケーションを重視しています。トップから現場・部署同士・全社員をつなぐコミュニケーションの機会を、さまざまなタイミングで展開をしています。
同社では、金銭報酬だけではなく感情報酬を提供する表彰制度を設けているのが特徴です。表彰は3ヵ月に一度行われ、全社総会の場で優れた社員やプロジェクトを表彰します。パフォーマンスの高さはもちろん、成長・変化の度合いや周囲への影響等を総合的に判断し、ヒーロー・ヒロインとなる人物を選出するものです。全社員の前で評価理由やエピソードが読み上げられ、受賞者は全社員の前でスピーチします。
後日には経営陣との会食に招待されるなど、従業員自身が成長するきっかけになる制度です。さらに、ほかの従業員にも大きな影響を与える制度として機能しています。
感情報酬の導入に役立つピアボーナス
感情報酬を効率的に導入できるのが、Uniposのピアボーナスです。ピアボーナスは従業員同士が報酬や手当を送り合う仕組みで、アイテムに交換できるポイントや少額の金券など、送り合う報酬はさまざまです。
ツールを使い、日頃の行動や業務の成果・貢献に対して、評価や感謝を贈りたい相手に報酬やメッセージを送信します。
これまでのインセンティブ制度では評価しづらかった、目に見えない行動や数字で表せない貢献をピアボーナスを通じて可視化することが可能です。
メッセージはリアルタイムで全従業員に配信され、従業員同士の理解を深められます。ピアボーナスを送られた従業員は評価される喜びを感じ、企業側は従業員の貢献に気付けるのもメリットです。
組織全体に褒め合う文化が熟成され、感情報酬の制度を根付かせられるでしょう。
まとめ
感情報酬の意味やメリット、導入事例などについて解説しました。
記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。
- 感情報酬とは、ポジティブな感情が生まれることを労働の対価とするもの
- 従業員の働きがいやモチベーションを生み出す役割を果たす
- 感情報酬の導入に必要なのは、以下の4つ
- 称賛する
- 共感する
- 尊重する
- 愛情を持つ
- 感情報酬の導入に成功した企業の事例
感情報酬の導入で従業員の承認欲求を満たし、仕事へのモチベーションを高められます。
離職防止や生産性のアップにつながり、企業を成長させるでしょう。
感情報酬を導入するきっかけになるのが、Uniposのピアボーナスです。
従業員のモチベーションアップを図りたいと考えている方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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